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木質ボイラー導入システムの検討

第 7 章 木質バイオマス活用方針とプロジェクトの検討

8.3 木質ボイラー導入システムの検討

檜原村においては、導入可能性の高い技術として、木質チップや薪を直接燃焼して熱利用を行う施 設へのボイラー導入が考えられます。ここでは、村内の熱需要の高い施設について、前提条件を整理 し、ボイラー導入にあたっての規模の設定や経済性試算等のケーススタディを行います。

ここでは、導入候補となる施設に木質バイオマスボイラーを導入することを想定し、施設のエネルギー 需要量や既存のシステムとの適合性(ボイラー更新時期、施設規模、熱需要の通年利用、熱利用シス テム)などを鑑みながら、導入規模ごとの年間収支シミュレーションや環境性の検討を行います。

檜原村新エネルギー詳細ビジョン 第 8 章 木質バイオマス導入基本計画

村内における、化石燃料需要の高い5施設は、以下のようになっています。

表 8-3 村内施設における化石燃料需要量(上位 5 施設・再掲)

灯油 A重油 LPガス 熱量換算合計 原油換算合計

L/年 L/年 m3/年 GJ/年 kL/年

檜原村やすらぎの里 128,000 0 382 4,736 124 老人福祉施設 39,400 0 12,813 2,732 72 食品加工施設 0 63,760 0 2,493 65 檜原温泉センター

「数馬の湯」 55,900 0 2,766 2,329 61 都民の森森林館 17,186 0 1,061 737 19

このうち、老人福祉施設と食品加工施設については、民間の施設であり、モデル的な木質バイオマ スの導入を行う場合、公共性の高い施設から導入を行うことが望ましいと考えられます。

そこで、今回は、導入対象候補施設として、村内を代表する施設であり、温水利用を行っている、以 下の2施設を対象に検討を行います。

表 8-4 導入検討候補施設概要

施設名称 導入内容 用途 エネルギー需要量 施設設置年度 可能性 檜原村

やすらぎの里

木質バイオマス ボイラー

給湯・暖房 灯油:128kL/年 LPG:382m3/年

平成11年完成

(温泉は平成16年)

中長期検討 檜原温泉センター

「数馬の湯」

木質バイオマス ボイラー

給湯 灯油:55.9kL/年 LPG:2,766m3/年

平成8年完成 中期導入

8.3.2システム前提条件 (1)資源条件

村内で発生している材の多くは、林地残材など、林業の現場において発生しています。木材加工 施設から発生している材は量も少なく、樹皮を除くほとんどが、他の用途に利用されています。

(2)需要条件

導入検討対象となる2施設における、現状の燃料の需要状況は、以下のようになっています。

表 8-5 導入対象施設の燃料需要状況

検討施設 既存設備 使用用途 使用燃料 燃料消費量 年間燃料費 檜原村

やすらぎの里

灯油ボイラー

出力:930kW 給湯・暖房 灯油 128kL/年 1,280万円/年 檜原温泉センター

数馬の湯

灯油ボイラー 出力:815kW

465W350kW

(バックアップ))

給湯 灯油 55.9kL/年 559万円/年

注)1.灯油は100円/Lと設定(2007、2008年の東京都の灯油販売平均価格)

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第 8 章 木質バイオマス導入基本計画

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 数馬の湯

やすらぎの里

図 8-1 月別灯油使用量 (3) 施設概要

導入検討対象となる2施設の概要は、以下のようになっています。

表 8-6 檜原村やすらぎの里の施設概要

項目 内容 外観

①施設名称 檜原村やすらぎの里

②所在地 〒190-0211 檜原村2717

③敷地面積 27,878m2

④建屋面積 2,555.17m2

⑤延床面積 5071.62m2

⑥建屋の構造

(建物構造、階数、特徴等)

ふれあい館(3F)、けんこう館(2F)、

ゆうあい館(2F)、じどう館(1F)

⑦使用用途 福祉、医療、保健の複合施設

表 8-7 檜原温泉センター数馬の湯の施設概要

項目 内容 外観

①施設名称 檜原村温泉センター数馬の湯

②所在地 〒190-0211 檜原村2430

③敷地面積 606,924m2

④建屋面積 717,813m2

⑤延床面積 807,791m2

⑥建屋の構造

(建物構造、階数、特徴等) 鉄筋1F、B1

⑦使用用途 温泉施設

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(4) 既存設備概要

導入検討施設の既存設備の概要は、以下のようになっています。

表 8-8 檜原村やすらぎの里既存設備概要

項目 内容 備考

設備の種類と台数 ボイラー 1基、平成10年設置

出力(kcal/h) 800,000 930kW

使用用途 暖房・給湯

使用燃料 灯油

定格消費量(L/h) 110

年間消費量(L/年) 128,000 平成19年度実績値

燃料単価(円/L) 100

年間燃料費(万円) 1,280 100円/Lとした 年間使用日数 365日 温泉:毎週水曜日休み

その他;土、日休み 設備稼働時間(時間/日) 13 8~21時稼動

注)やすらぎの里は、平成2010月より営業時間が午後からに変更になっているが、成19年度の燃料消費量を 使用しているため、変更前の稼働時間で試算を行っている。

表 8-9 檜原温泉センター数馬の湯既存設備概要

項目 内容 備考

設備の種類と台数 温水ボイラー 1基、平成5年設置 出力(kcal/h) 400,000 300,000 465kW、

350kW(バックアップ)

使用用途 給湯

使用燃料 灯油

定格消費量(L/h) 53.5 43.5

年間消費量(L/年) 55,900 平成19年度実績値

燃料単価(円/L) 100

年間燃料費(万円) 559 100円/Lとした 年間使用日数 約310日

設備稼働時間(時間/日) 13 9~22時稼動

(5) 基本設計

木質バイオマスボイラー導入施設建設に向けた、基本設計条件の調査項目を、以下に示します。

① 概念設計

木質バイオマスボイラー導入に関するシステムの概念は、以下のようになります。

原料 収集 変換(製品) 提供 利用(提供先)

・土場残材:368t

・未利用材(林地残材、

間伐材):1,100 t

・チップ:500t

・薪:400~600t

・温浴施設(ボイラー利用):

1,000t(2施設)

② 規模の最適化の検討

木質バイオマスボイラーの導入規模を想定し、経済性シミュレーションを行います。

従来の化石燃料利用機器の場合は、ピーク負荷に対応できるように余裕を持たせて熱源の設定

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第 8 章 木質バイオマス導入基本計画 を行いますが、木質バイオマスボイラーの規模は、必ずしもこれに合わせる必要はなく、ピーク負荷 対応には化石燃料を使用するなど、化石燃料と木質バイオマス燃料とのハイブリッド型システムが合 理的と考えられます。

木質バイオマスボイラーは化石燃料ボイラーに比べて…

‹ 依然として高価であるため、既存システムと同規模のものを導入した場合は、高額な導入設 備費が必要。

◎ 瞬間的な需要量の変動に対するレスポンスが遅い。

✓ ベース需要を木質バイオマスボイラーでまかなう。

✓ ピーク需要は化石燃料ボイラーとの併用によってまかなう。

コストパフォーマンスの高いシステム

図 8-2 化石燃料とペレット燃料によるハイブリッド型熱供給イメージ

このように、既存設備との併用など、施設ごとの熱需要特性に合った方法を探りつつ、ボイラー導 入にあたって、コスト的に最も有利な点を導入最適規模として算定します。

8.3.3ボイラー導入シミュレーション

ここでは、各施設の現況稼働率に近い規模のボイラーが、ベース需要をまかなうための導入最適 規模であると想定し、2 施設に薪ボイラー(2 種類)とチップボイラーを導入した場合について、試算 を行いました。

薪ボイラーについては、燃焼効率が高く設備費用が高いもの(A)及び燃焼効率が低いものの設 備費用が安く導入しやすいもの(B)の2種類を想定しています。

ボイラー導入に関する、それぞれの試算結果は以下のようになりました。

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表 8-10 やすらぎの里ボイラー試算

ボイラー種類 チップ 薪(A) 薪(B) 単位 備考 木質ボイラー規模 250 225 245 kW

入力 313 281 408 kW 木質ボイラー規模÷木質ボイ

ラー効率 木質ボイラー効率 80 80 60 %

設備稼働率 70 70 70 % 想定値

年間熱供給量 766,500 747,338 812,107 kWh/年 木質ボイラー規模×年稼働 時間×設備稼働率 年間木質燃料消費量 342 283 410 t/年 年間熱供給量÷木質ボイラ

ー効率÷木質燃料発熱量 現況灯油消費量 128,000 128,000 128,000 L/年 平成19年度実績

既設ボイラー効率 90 90 90 %

灯油削減量 87,801 85,606 93,025 L/年 年間熱供給量÷既設ボイラ ー効率÷灯油発熱量 灯油削減率 69 67 73 %

年間二酸化炭素排出 削減量

219 213 232 t-CO2/年 灯油削減量×灯油の二酸化 炭素排出原単位

注)1.ボイラー規模は、現況稼働率に近くなる実在の各種ボイラーを選定し、設定した。

やすらぎの里において、現況設備稼働率25%に近い 235kW程度の木質バイオマスボイラーを 導入した場合、約 70%程度の灯油が削減でき、チップボイラーでは 219t-CO2/年、薪ボイラー(A)

では213t-CO2/年、薪ボイラー(B)では232t-CO2/年の二酸化炭素排出削減効果があります。

この場合に木質バイオマス燃料は、チップボイラーで 342t/年のチップが、薪ボイラー(A)では 283t/年の薪が、薪ボイラー(B)では、410t/年の薪が必要となります。

やすらぎの里

木質燃料 チップ:342t 薪(A):283t 薪(B):410t

二酸化炭素削減 チップ:219t-CO2

薪(A):213t-CO2

薪(B):232t-CO2

灯油代削減 チップ:878万円 薪(A):856万円 薪(B):930万円 ボイラー

チップ:250kW 薪(A):225kW 薪(B):245kW

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表 8-11 数馬の湯ボイラー試算

ボイラー種類 チップ 薪(A) 薪(B) 単位 備考 薪ボイラー規模 125 115 122 kW

入力 156 144 204 kW 木質ボイラー規模÷木質ボイ

ラー効率 木質ボイラー効率 80 80 60 %

設備稼働率 70 70 70 % 想定値

年間熱供給量 352,625 324,415 344,726 kWh/年 チップボイラー規模×年稼働 時間×設備稼働率

年間木質燃料消費量 157 123 174 t/年 年間熱供給量÷木質ボイラ ー効率÷木質燃料発熱量 現況灯油消費量 55,900 55,900 55,900 L/年 平成19年度実績

既設ボイラー効率 90 90 90 %

灯油削減量 40,392 37,161 39,488 L/年 年間熱供給量÷既設ボイラ ー効率÷灯油発熱量 灯油削減率 72 66 71 %

年間二酸化炭素排出 削減量

101 93 98 t-CO2/年 灯油削減量×灯油の二酸化 炭素排出原単位

注)1.ボイラー規模は、現況稼働率に近くなる実在の各種ボイラーを選定し、設定した。

数馬の湯において、現況設備稼働率15%に近い120kW程度の木質バイオマスボイラーを導入 した場合、約 70%程度の灯油が削減でき、チップボイラーでは 101t-CO2/年、薪ボイラー(A)では 93t-CO2/年、薪ボイラー(B)では98t-CO2/年の二酸化炭素排出削減効果があります。

この場合に木質バイオマス燃料は、チップボイラーで 157t/年のチップが、薪ボイラー(A)では 123t/年の薪が、薪ボイラー(B)では、174t/年の薪が必要となります。

① 経済性評価

上記において試算した木質バイオマスボイラーを導入した場合、設備導入費用は以下のようにな ります。ここでは、補助率1/2の補助金を利用してボイラーの導入を行うことを想定し、設備の償却年 数は、13年と設定しています。

表 8-12 やすらぎの里ボイラー導入費用

燃料種類 チップ 薪(A) 薪(B) 単位

250 225 245 kw

木質バイオマスボイラ

ー導入規模 215,000 193,500 210,270 kcal イニシャルコスト 42,400 44,886 5,555 千円 償却年数 13 13 13 年 数馬の湯

木質燃料 チップ:157t 薪(A):123t 薪(B):174t

二酸化炭素削減 チップ:101t-CO2

薪(A):93t-CO2

薪(B):98t-CO2

灯油代削減 チップ:404万円 薪(A):372万円 薪(B):395万円 ボイラー

チップ:125kW 薪(A):115kW 薪(B):122kW