第 7 章 木質バイオマス活用方針とプロジェクトの検討
8.4 木質バイオマスストーブ導入の検討
村内で発生している未利用材や、製材所から出る端材の有効活用方法として、薪ストーブやペレット ストーブの燃料としての利用が考えられます。これらのストーブは、公共施設だけでなく、一般の家庭で も利用することができるため、地域資源を身近なところで使うことができるという利点があります。さらに、
最近では原油価格の高騰から灯油の値段も上がっており、代替燃料への関心も高まっています。
そこで、小規模施設や家庭に向けたストーブ導入のシミュレーションを行いました。
檜原村においては、原材料の村内での調達方法や購入に対する仕組みづくりを行うことによって、地 域資源やエネルギーが循環するシステムを構築することが可能です。そういった長期的なサポートにつ いても、併せて検討していきます。
ここでは、ストーブ導入による二酸化炭素排出削減効果を試算しました。
8.4.1 家庭へのストーブ導入の検討 (1) 薪ストーブ
檜原村の家庭部門における暖房用年間エネルギー消費量から、1 世帯当たりの年間薪消費量を 求めた結果、1,408kg/年となりました。これにより1世帯で削減できる二酸化炭素は0.57t-CO2/年と なります。
村内では、薪は自分で調達することができれば、燃料代はかかりませんが、調達の手間がかかりま す。また、村内の薪販売業者による販売価格は、1束(約7~8kg)300円前後となっており、kg単価 に直すと約40円/kgとなります。
灯油の発熱量は8,329kcal/L であり、村内燃料販売業者における2008、2009年の平均灯油販 売価格は、約100円/Lとなっています。また、薪(含水率30%WBスギ)の発熱量を2,868kcal/kg とした場合、灯油 1L と同じ熱量を得るためには、約2.9kgの薪が必要となり、灯油 1L と同じ熱量を 得るために必要な薪単価は122円となります。
また、全世帯の10%に薪ストーブを導入した場合、薪の消費量は175t/年となり、その際の二酸化 炭素排出削減量は、71.09t-CO2/年となります。
檜原村新エネルギー詳細ビジョン
第 8 章 木質バイオマス導入基本計画
表 8-16 1 世帯あたりの薪需要量と二酸化炭素排出削減量
項目 値 単位 備考
① 檜原村の家庭部門年間エネルギ
ー消費量 21,838,386 Mcal/年 =91,374GJ
② 暖房によるエネルギー比率 23.0 % 「省エネルギーデータ集 2004」(財)
省エネルギーセンター
③ 檜原村世帯数 1,244 世帯 平成17年1月現在世帯数
④ 檜原村における世帯当たりの年間
暖房エネルギー消費量 4,038 Mcal/世帯/年 ①×②÷③
⑤ ストーブによる暖房比率 50 % 一戸建て住宅で一階をストーブ一台 で暖房していると仮定。
⑥ ストーブによる石油エネルギー消
費量 2,019 Mcal/世帯/年 ④×⑤
⑦ 対化石燃料機器効率比 50 %
⑧ 薪発熱量(低位) 2,868 kcal/kg 含水率30%
⑨ 一世帯当たりの薪消費量 1,408 kg/年 ⑥÷⑧÷⑦×1000
⑩ 導入台数 124 台 全世帯の10%
⑪ 檜原村全体のペレット消費量 175 t/年 ⑨×⑩÷1000
⑫ 灯油の発熱量 8,768 kcal/L
⑬ 灯油削減量 230 L/年 ⑥÷⑫×1000
⑭ 灯油の二酸化炭素排出係数 2.49 kg-CO2/L
⑮ 薪ストーブ導入による二酸化炭素
排出削減量 0.57 t-CO2/年 ⑬×⑭÷1000
⑯ 檜原村全体の二酸化炭素削減量 71.09 t-CO2/年 ⑩×⑮
(2) ペレットストーブ
檜原村の家庭部門における暖房用年間エネルギー消費量から、1 世帯当たりのペレット消費量を 求めた結果、年間 540kg/年となりました。これにより 1 世帯で削減できる二酸化炭素は薪と同じく 0.57t-CO2/年となります。
ペレット(東京ペレット)の発熱量は 4,400kcal/kg であり、価格が 60 円/kg となっています。灯油 1L と同じ熱量を得るためには、約 1.9kgのペレットが必要となり、その時の価格は約 120 円となりま す。
また、全世帯の5%ペレットストーブを導入した場合、ペレットの消費量は33t/年となり、その際の二 酸化炭素排出削減量は、35.55t-CO2/年となります。
檜原村新エネルギー詳細ビジョン 第 8 章 木質バイオマス導入基本計画
表 8-17 1 世帯あたりのペレット需要量と二酸化炭素排出削減量
項目 値 単位 備考
① 檜原村の家庭部門年間エネルギ
ー消費量 21,838,386 Mcal/年 =91,374GJ
② 暖房によるエネルギー比率 23.0 %
「省エネルギーデータ集 2004」(財)
省エネルギーセンターより、関東地域 の平均値を採用
③ 檜原村世帯数 1,244 世帯 平成17年1月現在世帯数
④ 檜原村における世帯当たりの年
間暖房エネルギー消費量 4,038 Mcal/世帯/年 ①×②÷③
⑤ ストーブによる暖房比率 50 % 一戸建て住宅で一階をストーブ一台 で暖房していると仮定。
⑥ ストーブによる石油エネルギー消
費量 2,019 Mcal/世帯/年 ④×⑤
⑦ 対化石燃料機器効率比 85 %
⑧ ペレット発熱量(低位) 4,400 kcal/kg 東京ペレット発熱量
⑨ 一世帯当たりのペレット消費量 540 kg/年 ⑥÷⑧÷⑦×1000
⑩ 導入台数 62 台 全世帯の5%
⑪ 檜原村全体のペレット消費量 33 t/年 ⑨×⑩÷1000
⑫ 灯油の発熱量 8,768 kcal/L
⑬ 灯油削減量 230 L/年 ⑥÷⑫×1000
⑭ 灯油の二酸化炭素排出係数 2.49 kg-CO2/L
⑮ ペレットストーブ導入による二酸化
炭素排出削減量 0.57 t-CO2/年 ⑬×⑭÷1000
⑯ 檜原村全体の二酸化炭素削減量 35.55 t-CO2/年 ⑩×⑮ 8.4.2 公共施設へのストーブ導入
公共施設へのストーブ導入を行った際の、木質燃料消費量及び二酸化炭素排出削減量を算出しま した。ここでは、普及啓発効果の高い施設として、檜原小学校・檜原中学校及び檜原図書館の灯油に よる暖房を、全て木質バイオマスストーブに切り替えることを想定し、算出を行いました。
現在、檜原小学校には石油ストーブと石油ファンヒーターが合計 18 台、檜原中学校には石油暖房 温風器が合計22台導入されています。
3施設で使用している灯油による暖房を、全て木質バイオマスストーブに切り替えた場合、薪の消費 量は合計 68,169t/年、ペレットの消費量は合計 26,137t/年となり、その際の二酸化炭素排出削減量 は、合計27.76t-CO2/年となりました。
檜原村新エネルギー詳細ビジョン
第 8 章 木質バイオマス導入基本計画
表 8-18 檜原小学校へのペレットストーブ導入効果
項目 薪 ペレット 単位 備考
① 檜原小学校の暖房年間エネル
ギー消費量 45,742 45,742 Mcal/年 =191GJ
② 対化石燃料機器効率比 50 85 %
③ 木質燃料発熱量(低位) 2,868 4,400 kcal/kg
④ 檜原小学校の木質燃料消費量 31,898 12,231 kg/年 ①÷②÷③×1000
⑤ 灯油の発熱量 8,768 8,768 kcal/L
⑥ 灯油削減量 5,217 5,217 L/年 ①÷⑤×1000
⑦ 灯油の二酸化炭素排出係数 2.49 2.49 kg-CO2/L
⑧ ストーブ導入による二酸化炭素
排出削減量 12.99 12.99 t-CO2/年 ⑥×⑦÷1000 表 8-19 檜原中学校へのペレットストーブ導入効果
項目 薪 ペレット 単位 備考
① 檜原中学校の暖房年間エネル
ギー消費量 44,074 44,074 Mcal/年 =184GJ
② 対化石燃料機器効率比 50 85 %
③ 木質燃料発熱量(低位) 2,868 4,400 kcal/kg
④ 檜原中学校の木質燃料消費量 30,735 11,784 kg/年 ①÷②÷③×1000
⑤ 灯油の発熱量 8,768 8,768 kcal/L
⑥ 灯油削減量 5,027 5,027 L/年 ①÷⑤×1000
⑦ 灯油の二酸化炭素排出係数 2.49 2.49 kg-CO2/L
⑧ ストーブ導入による二酸化炭素
排出削減量 12.52 12.52 t-CO2/年 ⑥×⑦÷1000 表 8-20 檜原図書館へのペレットストーブ導入効果
項目 薪 ペレット 単位 備考
① 檜原図書館の暖房年間エネル
ギー消費量 7,938 7,938 Mcal/年 =33GJ
② 対化石燃料機器効率比 50 85 %
③ 木質燃料発熱量(低位) 2,868 4,400 kcal/kg
④ 檜原図書館の木質燃料消費量 5,536 2,122 kg/年 ①÷②÷③×1000
⑤ 灯油の発熱量 8,768 8,768 kcal/L
⑥ 灯油削減量 905 905 L/年 ①÷⑤×1000
⑦ 灯油の二酸化炭素排出係数 2.49 2.49 kg-CO2/L
⑧ ストーブ導入による二酸化炭素
排出削減量 2.25 2.25 t-CO2/年 ⑥×⑦÷1000
8.4.3 ストーブ導入コスト比較
上記の試算に基づき、薪ストーブ・ペレットストーブを導入した場合と、それに相当する石油ストーブ を利用した場合について、コスト面での比較を行いました。導入規模は、20 畳程度の部屋(1 戸建住 宅の 1階部分)を暖めるという想定で試算し、それぞれのストーブにおいて同じ規模となる台数分を想
檜原村新エネルギー詳細ビジョン 第 8 章 木質バイオマス導入基本計画
手することも考えられます。
ただし、二酸化炭素排出削減を考えた場合は、石油ストーブは、約1.3t-CO2/年の二酸化炭素が排 出されます。薪ストーブやペレットストーブは、カーボンニュートラルの観点から二酸化炭素排出削減 がゼロとカウントできるため、二酸化炭素の排出削減効果は、非常に高くなります。
表 8-21 ストーブの比較
項目 薪ストーブ ペレットストーブ 石油ストーブ
燃料 薪 ペレット 灯油
イニシャル コスト
75万円
(本体:25万円)
28.8万円/台
(本体:24万円/台)
9万円
(約3万円×3台)
減価償却費 1.9万円/年(13年平均) 1.8万円/年(13年平均) - 燃料費
5.6万円/年
(年間約1,521kgの薪を使 用)
5.1万円
(年間約687kgのペレットを 使用)
5.3万円
(1.7万円/年/台)
維持管理費 2.5円/年(煙突掃除等) 1.5万円/年(年1回の点検) 0円 支出合計 10.0万円
(13年目以降:8.1万円/年)
8.5万円
(13年目以降:6.6万円/年)
14.3万円
(2年目以降:5.3万円/年)
二酸化炭素 排出量
- - 1,327(kg-CO2/年)
メリット 燃料を無償で入手できれば 安い。
燃料供給が自動でできる。 手軽である。導入費が安 い。
デメリット 燃料投入が手作業になる。
導入費が高い。
燃料が高い。メンテナンスが 必要。
二酸化炭素排出がある。燃 料が高い。
≪試算前提条件≫
注)1.薪・ペレットの年間使用量は、上記の試算による。
2.薪ストーブの燃料費については40円/kgとした(薪価格については、村内薪販売業者から購入するものとし た)。
3.ペレットストーブの燃料費については、ペレット価格は60円/kg、輸送費35.7円/kgとした。ペレット消費量は 0.9kg/hとした(ペレット価格及び輸送費については、東京ペレットを1回につきペレット20袋(200kg)を購 入することを想定して算出した)。
3.石油ストーブ年間使用時間、使用期間については1日8時間、4ヶ月間(120日)と仮定した。灯油使用量は
0.185L/h、灯油価格は100円/L(2008、2009年平均販売価格)とした。
4.二酸化炭素排出係数は、2.49kg-CO2/Lとした(「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令第三条(平成
18年3月24日一部改正)」より)。
0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000
薪 ペレット 灯油 薪 ペレット 灯油
減価償却前 減価償却後
(円) 減価償却費 燃料費 維持管理費
図 8-5 ストーブ別コスト比較