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木質バイオマスによる地域活性化策の検討

第 9 章 檜原村における二酸化炭素排出削減方法の検討

10.2 木質バイオマスによる地域活性化策の検討

檜原村では現在、森林や林業に関わる多くの取り組みを行っています。

木質バイオマス導入にあたっては、このような取り組みとの相関関係を持つことにより、効果的な普 及啓発や地域活性化が期待できます。

そこで、村内で行われている森林に関わる事業や取り組みとの相乗効果を考えながら、檜原村の貴

檜原村新エネルギー詳細ビジョン 第 10 章 木質バイオマス導入計画

10.2.1 村内で進められている取り組みと導入事例

現在、檜原村で進められている森林に関わる取り組みには、普及啓発から森林施業・木材加工に関 わるものまで、以下のようにさまざまなものがあります。

表 10-2 檜原村における森林に関わる取り組み

檜原村主要事業 事業内容

森林セラピー 森林のもつ癒し効果をを利用し、心と身体の健康維持・

増進を図るためのツアーの実施

教育の森 各種イベントによる自然とのふれあいなど

中央区の森 中央区、檜原村、里山再生塾と森林所有者が協定。自 然環境のため間伐や枝打ちなど

武蔵野水道「時坂の森」 主伐事業で伐採した山に花粉の少ないスギを植樹

●ソフト系事業

文化放送とのコラボレーション 登山道の案内看板を新規に作製、取り付け(未定)、マ イ箸の販売金の一部を村に寄付

学校木質化 小、中学校の教室の木質化 村立図書館 地場産材を使った図書館の建設

ふるさとの森事業 21年度以降 都民に森林を身近に感じてもらい、自分 たちの森として親しんでもらう

地場産材活用対策奨励事業 間伐材を搬出した際、材積に応じて補助金を交付 地場産材利用促進事業 地場産材を使用して家を新築、改築、増築した際に補

助金を交付

●木材利用系 事業

地場産材活用対策作業道開設事業 作業道の開設について補助金を交付 森林再生事業 東京都からの委託 25年間で2回の間伐

●林業系事業

枝打ち事業 森林再生を実施した場所の枝打ち 日照の確保による伐採 日照の確保のための立木の伐採

●景観整備系

事業 沿道景観による伐採 秋川渓谷沿いの立木を伐採による景観の向上

また、村内の以下の施設5ヶ所において、6台のペレットストーブが導入されています。

表 10-3 檜原村内のペレットストーブ導入事例

施設 導入主体 場所 導入年 導入設備 導入機種 写真

檜原都民の森 売店

「とちの実」

東京都 数馬 H15 ペレット ストーブ

山本製作所

「Woody」

檜原都民の森 レストラン

「とちの実」

東京都 数馬 H16 ペレット ストーブ

エンバイロ ファイヤー社

「ウィンザー」

檜原村新エネルギー詳細ビジョン

第 10 章 木質バイオマス導入計画 施設 導入主体 場所 導入年 導入設備 導入機種 写真

檜原村役場

「カフェせせらぎ」 檜原村 本宿 H17 ペレット ストーブ

テルモロッシ社

「エコサーモ」

檜原小学校

(図工室・

家庭科室)

檜原村 本宿 H19 ペレット ストーブ

山本製作所

「Woody」

(2台)

教育の森

研修棟 檜原村 南郷 H21.2 薪ペレット 兼用ストーブ

さいかい産業

「だるま君」

10.2.2 檜原村地域活性化策

このような取り組みを踏まえ、木質バイオマスだけでなく、その他の取り組み併せた総合的な森林資 源活用をイメージした、地域活性化策を描きました。

図 10-1 森林資源活用による地域活性化イメージ

檜原村において効果的と思われる、木質バイオマスと絡めた地域活性化策は、以下のようなものが 考えられます。

林業系事業

(森林・林地等)

木材利用系事業

(公共施設・住宅等)

ソフト系事業

(観光施設・都民の森等)

森林の総合的利用による 地域活性化♪

森林/林業

景観整備系事業

(沿道・住宅隣接地等)

木質バイオマス事業

(温浴施設・家庭等) 経 済 利 用 ・ 公 益的機能利用

フィールド

利用 マテリアル

利用 景観利用

エネルギー 利用

檜原村新エネルギー詳細ビジョン 第 10 章 木質バイオマス導入計画

(1) 森林セラピーといやしの湯

檜原村では平成19年3月、都民の森の「大滝の路」が、都内初の

「森林セラピーロード」として認定され、今年度よりセラピーツアーが開 始されました。大滝の道は、ウッドチップが敷かれた、足への負担が 少ないチップロードとなっています。

このツアーでは、檜原の名所(払沢の滝・神戸岩等)を巡り、村ならではの体験(そば打ち・木工)を 取り入れながら、旅館に宿泊し、フィトンチッドやマイナスイオンに溢れた大滝の路を散策して森林セ ラピーを体感し、数馬の湯でリフレッシュするというコースが設定されています。今後は、森林セラピー を通じた観光産業の活性化が期待できるため、ツアーで訪れる施設に木質バイオマスストーブを導 入し、ツアー参加者へ取り組みをアピールすることが考えられます。

また、都民の森で現在行っている丸太切りや木工体験と同時に、薪作り体験もできるようにし、セラ ピーツアー参加者にも薪割りを体験してもらい、そこで作った薪をツアー参加者に宿泊施設まで持ち 帰り、施設に導入した小型の薪ボイラーで、ツアー参加者が作った薪を利用して風呂の加温を行い ます。これにより、木質資源の循環を意識し、自然のいやしを体感してもらうことが可能です。

檜原温泉センター数馬の湯についても、木質バイオマスボイラ ーの導入を検討します。規模の大きな温浴施設への導入は、村内 のバイオマス資源循環につながります。また、ハイキング客などの 観光客に対しても、いやしの湯をアピールすることが可能です。木 質バイオマスボイラーの導入のみでなく、檜原ならではの湯として、

ヒノキチップ風呂や木搾液風呂、薬草湯などの日替わり風呂についても検討し、他の温浴施設との差 別化を図ります。

数馬の湯が、薪を燃料として使用する場合、まとまった量の燃料が必要となります。数馬の湯を薪 ステーションとし、周辺地域の住民にも、そこから薪を提供することも考えられます。

(2) やすらぎの里で普及啓発

木質バイオマス導入に際しては、導入コストや資源収集などの 課題もあるため、村民の理解が最も重要です。檜原村やすらぎの 里には、村民福祉の向上と健康増進を目的に整備された「桧原温 泉やすらぎの湯」があり、村民の憩いの場となっています。ここに木

質バイオマスボイラーを導入し、温泉加温だけでなく施設全体の暖房も賄います。

また、やすらぎの里は、ふれあい館、ゆうあい館、けんこう館、じどう館の4館からなっており、多くの 村民が訪れます。そこで、バイオマスボイラーの仕組みや木質バイオマスについて、わかりやすく説 明したパネルを設置し、バイオマス情報の発信の場とすることで、やすらぎの里を訪れる村民に、木 質バイオマス利用をアピールすることができます。

(3) バイオマスで環境教育

檜原小・中学校を対象にして、平成16年度より学校木質化計画が進 められ、校舎の内装や机・椅子に檜原材が使われています。これによっ て、教室にあたたかみが増し、木のいい匂いがすると、児童にも好評で す。次世代を担う児童への環境教育は、檜原村の活性化のためにも、

大滝の路 チップロード

檜原温泉センター 数馬の湯

檜原中学校 やすらぎの湯

檜原村新エネルギー詳細ビジョン

第 10 章 木質バイオマス導入計画 今後特に重要となると考えられます。木質化した教室で、薪ストーブやペレットストーブなど、木材の 火を暖房として利用することで、家庭においてあまり使われなくなった火を燃やすことを感じる環境教 育につながります。ペレットストーブは、薪ストーブに比べて煙が出ず、燃料の自動供給もでき、直接 火に触れることもないため、安全性から教室への導入に向いていると考えられます。また、薪ストーブ を導入し、薪割りや火熾し、灰の処理などを子どもたちが行うことで、現在行われている林業体験から、

木質バイオマス利用、そして灰の使いみちなど、木質バイオマスの一連の流れ考えるきっかけにもな ります。

一昨年度には、檜原村立図書館が、地元産材を利用した木造平屋建てで新築され、おちついた 雰囲気のある空間となっています。こちらにも、ストーブの導入などが考えられます。

(4) 都市住民・ボランティアとの交流

村の基幹産業は林業ですが、都市住民のみならず、村民にとっても林業を身近に知る機会は減少 しています。そこで、林業体験イベントを通じて、間伐などにより出た材を山から搬出し、木工に利用 したり、拠点施設でのキャンプファイヤーや焚き火に使うことで、木材生産から木材のエネルギー利用 まで、トータルに体験してもらうプログラムを行います。村では、森林に関わるさまざまなソフト系事業も 行っており、これらの事業とつなげることで、効果的な普及啓発を図っていきます。

また、薪ストーブの炎や、石釜でのピザ焼き体験、炭焼き体験など、プログラムで行える体験を通じ て、「火のある生活」を実感してもらうこともできます。

このようなイベントを通じて、村民や森林・林業に関心のある都市住 民の青年のリーダー育成を行います。地域の活性化に必要なのは、「ヨ ソ者」、「若者」、「バカ者」であると言われます。檜原村では、20 年以上 前から都市住民による森づくり活動が行われるなど、都市住民の森づく

り活動への受け入れ土壌もあり、このような取り組みに適していると考えられます。林業の実体験を通 じて、森林や林業の役割に対する理解を深め、村民に限らず、イベント参加者の都市住民等を含め た檜原村応援団を作り、村や林業を内外からバックアップする体制を築きます。これによって、将来的 に檜原村への移住なども視野に入れ、村の人的活力につなげていきます。

(5) 地場産材利用によるストーブ補助

現在、檜原村地場産材利用促進事業として、村内で生産又は製品化された建築材(地場産材)を 使用し、木造住宅を新築、増築、改築を行う者を対象とし、交付金を交付する制度があります。

この中では、村内に木造住宅を新築・増築・改築する場合、地場産 材出荷量1m3につき、20,000円の交付がなされています。この交付を 受ける際に、木質バイオマスストーブ(ペレットストーブ・薪ストーブ)を導 入する場合、さらに導入補助を行うことを検討していきます。

村内の木で建てた家で、木の炎のぬくもりを感じられることは、いやし

ややすらぎの効果を倍にできます。また、地場産材の利用とともに、ストーブの導入も進めることが可 能になります。

林業体験イベント

地場産材住宅