第 6 章 バイオマスエネルギー利用技術調査
6.2 檜原村で利用可能な技術
木質バイオマスエネルギー利用技術のうち、村内での利活用が期待されると考えられる、木質バイオ マス利用技術及び機器について、以下にまとめました。
6.2.1チップ燃料
木質チップ燃料は、木材を破砕したもので、ボイラーで直接燃焼したり、ガス化コージェネレーション システムにおける燃料として利用されます。
木質チップ燃料はチッパー形式によって、長所・短所を持つため、総合的に検討して選択する必要 があります。
(1)木質チップの特性
木質チップの形状は、「破砕機」によるものと「チッパー」によるものの2タイプに分けられます。それ ぞれの特徴を以下に示します。
表 6-3 チップの種類と特徴
破砕チップ 切削チップ
形態
細長い繊維状 薄い方形状
製造方法 【ハンマーミル方式】
ハンマーの打撃による衝撃力で破砕する。
【カッターミル方式】
受刃と切断刃によるせん断力で破砕する。
カッターナイフまたはカッターディスクで削り 取っていく。
機械耐久 性
カッターによる破砕は、石などの異物により カッターが破損するため、木材の選別が必 要となる。石などの異物混入の可能性ある 木材はハンマーミル方式が望ましい。
カッターによる破砕は、石などの異物によりカ ッターが破損するため、木材の選別が必要と なる。
主な用途 堆肥原料、マルチング材、吹きつけ材 製紙パルプ用原料
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(2) 特徴(○メリット、●デメリット)
メリット デメリット
○比較的容易に製造が可能です。
○質の良いチップは、製紙用原料として用いること ができます。
●含水率が一定でなく、高含水率のものもあります。
●利用機器が複雑になるため、小さな機器には利 用できません。
●チップの形態で長期間露天に晒された場合、分 解や発酵熱による発火の恐れもあるため、保管が難 しくなります。
(3) 木質チップ利用機器
木質チップの利用機器としては、チップボイラーが挙げられます。近年、環境意識の高まりにより木 質バイオマスの熱利用が増え、それに伴い木質チップボイラーの開発や販売が進んできています。
(4) チップボイラー
チップボイラーは、木質チップを燃料としたボイラーです。
現在、国内で利用可能なチップボイラーは、含水率 100%といった高含水率(いわゆる「生チッ プ」に対応しているものが多くなっています。
国内のチップボイラー取扱メーカーは、以下のようになっています。
表 6-4 国内のチップボイラー取扱メーカー
燃焼機器 メーカー名 取扱い会社
株式会社タカハシキカン
オヤマダエンジニアリング株式会社 国内製
イクロス株式会社
シュミット(スイス) 株式会社巴商会 ポリテクニク(オーストリア) 住友商事株式会社
協和エクシオ株式会社 株式会社カナック
ビンダー(オーストリア) 宇部テクノエンジ株式会社
KOB(オーストリア) 株式会社ヒラカワガイダム
タルボッツ(イギリス) マルマテクニカ株式会社 海外製
ギレス(オーストリア) サピオ株式会社 (5) 経済性
チップボイラー利用における採算性評価を示します。出力と投資回収年数は、過去の事例では 以下のようになっています。
表 6-5 投資回収年数を用いたチップボイラーの採算性評価結果 定格出力
燃料 チップ価格
200kW 500kW 1400kW 0 (円/kg) 3 2 1 2 (円/kg) 4 2 2 4 (円/kg) 8 4 2 6 (円/kg) 44 8 4
【資料:平成19年度独立行政法人森林総合研究所公開講演集「木質バイオマスのトリプル活用化戦略」】
注)1.24時間/日、300日/年として設定。
2.投資回収年数=設備コスト×(1-補助率)÷エネルギー販売(収入-支出)
3.全ての施設は50%補助、金利2%とし、重油価格50円/L、電力16円/kWhとして計算した。
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(6) 導入事例
施設名 実施主体等 規模 概要
月ヶ谷温泉月の 宿
株式会社い ろどり
250kW 500kW
木質チップボイラーを設置し、木質バイオマス燃料を用いた 温泉を沸かし、また、給湯・部屋暖房等にも使用している。
高島市熱供給 施設
滋賀県高島 市
523kW チップボイラーの熱を、周辺の2つの民間施設に熱を供給し て熱の販売収入を得ている、熱供給施設。
6.2.2 薪燃料
薪燃料は、伐採された木の幹や枝を使いやすい大きさに割ったり、そのままの状態のものを乾燥さ せて使用するものです。製材や木材加工の時に出る端材を、そのまま燃料として利用する場合も薪と いいます。ボイラーやストーブ・焚き火など、直接燃焼する際に利用されます。
(1) 特徴(○メリット、●デメリット)
メリット デメリット
○最も容易に製造が可能です。
○加工コストはほとんどかかりません。
●大きくて重く、運搬に適さないため、森林に近い 場所での利用に向いています。
●形状も一定ではないため、燃料の自動供給には 不向きです。
●燃焼効率を上げることや、火力の調整が困難で す。
●煙が多く出ます。
(2)薪利用機器
薪の利用機器としては、薪ボイラーや薪ストーブが挙げられます。
薪はチップに比べて燃料のサイズが大きくなるため、薪を燃料として利用する場合、自動供給が困 難になり、基本的には人力による供給が必要となります。ただし、薪はチップ製造のような大規模な設 備を必要としないため、身近に薪が手に入る環境においては、利用可能性が高いと考えられます。
① 薪ボイラー
現在、国内で利用可能な薪ボイラーには、以下のようなものがあります。
表 6-6 国内の薪ボイラー取扱いメーカー
燃焼機器 メーカー 取扱会社
エーテーオー株式会社 鶴亀温水器工業株式会社 国内製
竹沢産業株式会社
アトモス(チェコ) 株式会社アーク
KOB(オーストリア) 株式会社ヒラカワガイダム
海外製
シュミット(オーストリア) 株式会社トモエテクノ
② 薪ストーブ
薪ストーブの最大の特徴は、空気の出し入れを自在に調節出来ることです。基本的に薪ストーブ の炉は密閉空間であり、温度の調節は通気口の開閉によって空気の量を変化させ調節します。ダ ルマストーブとして知られているような単純な構造のタイプもありますが、現代の薪ストーブは燃焼効
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容易なためデザイン性を重視したタイプが多く、鋳鉄製は輻射熱や対流による暖房性能の高いもの が多くなっています。
薪ストーブの特徴を、表 6-7にまとめました。
表 6-7 薪ストーブの特徴
項 目 特 徴
燃料の種類 燃料の薪は割って水分を乾燥させることで、燃焼効率が上昇する。樹種は針葉樹、
広葉樹とも薪として利用可能であるが、広葉樹の方が比重が大きくヤニも少ないため 薪に向いている。他方、針葉樹はよく燃えるが、火持ちが悪く、ヤニが多く発生するた め煙突が汚れやすい。
燃料供給 炉の形状に応じて薪を切断し、燃焼状態に合わせ、適宜、人力によって薪を投入す る。
着火 焚きつけとなる細い薪に火をつけ、徐々に太い薪へ火をつける。市販されている着 火剤を利用すると便利である。購入時やシーズン初めには、慣らし運転が必要であり、
ストーブトップの温度を200度程度に保ったまま3時間程度燃やすことを2、3回行う。
燃焼の仕方 薪ストーブの構造は、吸気口から燃焼用の空気を取り込み、薪を燃やし、燃焼時に 発生する煙は煙突から排出するという単純なものになっている。空気の量は一般的に は吸気口で調節を行うが、燃焼効率を上昇させるために、送風ファンではなく二次燃 焼を行うものがある。これには、クリーンバーン方式と触媒式があり、クリーンバーン式 は、未燃焼ガス(低い温度の木炭ガス)に、煙突火室上部にあるパイプ等によって暖め られた高温の空気を吹きかけることで、煙に含まれる微粒子やCOやタールなどの不 純物を燃焼させる。この方式はメンテナンスや扱いが簡単である。一方、触媒式は、未 燃焼ガスを二次燃焼の中でコンバスターと呼ばれる触媒と反応させ二次燃焼を行う。
この方式はメンテナンスが必要で、触媒は3~5年に一度交換する必要がある。触媒 式はクリーンバーン式に比較して維持管理費では不利になるが、燃焼効率が良く燃料 費では有利である。
燃焼ガスの排気方法 煙突によって屋外に排気。煙は薪がおきになるまでは、持続して発生し、薪の炭化 の進行によって、煙の量が少なくなる。
火力調整 可(通気口や薪の投入量によって調節を行う)
暖房方式 輻射式・対流式・輻射/対流式・開放式。
日常のメンテナンス 煙突と本体の定期的な掃除が必要。本体は、火室内や本体にひび割れがないかど うかをチェックし、各ストーブ各所の煤や灰の除去を行い、不完全燃焼を防ぐ。また、
煙突に煤やタールが詰まった状態での使用は煙道火災を招くため、年に一度は掃除 を行うことが望ましい。
(3) 経済性
チップボイラーと比較した場合、檜原村において薪は、条件によっては廉価でも入手できると考え られるため、そのような場合、チップ製造コストの分、燃料代はチップボイラー導入より安価となります が、自動供給ができないため、人件費が必要となります。
(4) 導入事例
施設名 実施主体等 規模 概要
秋川渓谷瀬音 の湯
新四季創造 株式会社
- 温泉の源泉温度が27.2℃と低い為、加温させる必要があり、
近隣の製材所などから出る残材(木質バイオマス)を燃料とし て活用している。
飯南町役場 島根県飯南 町
- 平成19年度新しまね森林・林業活性化プラン推進事業によ り、町内の施設に薪ボイラーを導入し、地域内の木質バイオ マス資源の利活用について実証を行っている。