第 4 章
名詞複合語の獲得 5. 2 フ ランス 語の名詞複 合語と 類似表 現
5.6 考察
145
(11) a. 和 語 + 和語: e.g. お に ぎりほ う れん草 、ノコギリ ザリガ ニ b. 漢語 + 漢語: e.g. キ リ ン(麒 麟) 鉛筆
c. 外 来語 + 外来 語: e.g. ス リ ッパペ ン ギン、ガ ムキュ ウイ d. 混種 語: e.g. ハ ン カチ天 使 、バナナ ワニ (鰐)
一 方で 、 これらの 意 味関係 に 注目す る と、付 録 3 に示されるように 8 種類の支 配 的な 意 味 関 係が 「 形 」で あ っ た (e.g. バ ナナ ワ ニ 、 ドー ナ ッ ツネ ギ)。 上 述 の 通 り 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル を 対 象 と し た 心 理 実 験 で は 主 要 部 課 題 の み を 実 施 した た め 、 彼 ら の 複 合 語 の 意 味 の 獲 得 に 関 し て は 直 接 考 察 す る こ と は で き な い 。し か し 、 前 章 で 考 察 し た 「 所 有 」 や 「 形 」 に 代 表 さ れ る 意 味 関 係 の 知 覚 可 能 性が 獲 得 時 期 の 早 さ と 相 関 す る と い う 仮 説 が バ イ リ ン ガ ル に も 適 用 可 能 で あ る なら ば、「形」 として解 釈されやす いこれら の刺激は (ある程度 主要部のパ ラメータ 値に一致し た計算処 理ができる ようにな った後で) 意味課題 を実施した 場合に、
日 本 語 モ ノ リ ン ガ ル と 同 様 、 支 配 的 な 意 味 関 係 が 付 与 さ れ る 割 合 が 相 対 的 に高 く なる こ とが予測 さ れる。
他 方 、 従 来 指 摘 さ れ て い る よ う に バ イ リ ン ガ ル の 方 が モ ノ リ ン ガ ル よ り も 概 し てメ タ 言語知識 が 豊かで あ るなら ば 、彼ら の方が語 (音) と意味の 恣意的 な関 係 性 へ の 気 付 き が モ ノ リ ン ガ ル 以 上 に 敏 感 で あ り 、 そ れ ら を 分 析 す る 際 の 能力 が 優れ て いる可能 性 がある (Rosenblum and Pinker 1983な ど)。これが正しいとす ると、意味課題において日本語モノリンガルと日仏バイリンガルがある刺激 (新 語) に対して付与 す る意味関係 の傾向が 異なるなど のシナリ オが予測さ れるが、
バ イ リ ン ガ ル に よ る 複 合 語 の 意 味 の 獲 得 の 調 査 ・ 考 察 に つ い て は 今 後 の 課 題と し たい 。
い ず れ に せ よ 、 正 答 率 が 極 め て 低 い (11a-d) の よ う な 刺 激 の 存 在 は 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル が 何 ら か の 理 由 で 日 本 語 の パ ラ メ ー タ 値 に 一 致 し た 計 算 処 理 が 適切 に でき て いないこ と を強く 示 唆する 。
146
本 語 モ ノ リ ン ガ ル の 結 果 と 比 較 ・ 検 討 し た 。 以 下 で は 、 実 験 の 結 果 を 踏 ま え て
(1a-d) に ついて順 次 考察を す る。
5.6.1 言語間転移と親密度
本 節 では 刺激の 親 密度に 着 目しな が ら、(1a-c) につ いて考 察する。まず 、(1a) を 以下 に 再掲する 。
(12) 複 合 語の主要 部 のパラ メ ータ値 が 異なる 二 つの言 語を学習中 の5~6歳の日
仏 バ イリンガ ル は、複 合 語の視 覚 情報 を 提示しない 主要部 課題に おいて 、 ど の 程度 日本 語の 複 合語の 内 心性を 理 解できる のか
日 仏 バ イ リ ン ガ ル の 正 答 率 は 日 本 語 モ ノ リ ン ガ ル と 同 様 に チ ャ ン ス レ ベ ル にと ど ま っ て い る だ け で な く 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル の 正 答 率 と 大 人 の 日 本 語 話 者 の正 答 率 に は 有 意 差 が 存 在 す る 。 こ の 意 味 に お い て 、 日 本 語 学 習 者 は フ ラ ン ス 語の 入 力の 有 無を問わ ず 5~6 歳 の段 階 で 複合語 の 内心性 に関する知 識を (大人と同 程 度に) 十 分に 獲得 する に至 って いない と 考えら れる。概して 60%~70%で正答 し てい た 3.4節で概観 し た先行 研 究の被 験 者 (英語とフラ ンス語 のバイリン ガル、
英 語と ペ ルシア語 の バイリ ン ガル) に 比べて 正答率が低 くなっ ているが、これに は 日 本 語 モ ノ リ ン ガ ル の 場 合 と 同 様 に 総 じ て 複 合 語 の 視 覚 情 報 が な い 実 験 デザ イ ン に 伴 う 難 易 度 が 影 響 し て い る と 推 察 さ れ る 。 こ の 考 え の 妥 当 性 は 、 親 密度 に 基づ く 結果から 支 持され る 。以下 に (1c) を再掲する。
(13) (大人を含む) 日 本 語モノ リ ンガル に 観察さ れたように 、(1a) の 結果に 複合
語 の親密度 は 影 響し て いるの か
前 節で 確 認したよ う に、親密 度が 高い複 合 語 (e.g. ブドウジュース、とんかつ弁 当) の 正 答 率 と 親 密 度 が 標 準 的 な 複 合 語 (e.g. 玄 関 ね こ 、 キ リ ン 鉛 筆)、 親 密度 が 低い 複 合 語 (e.g. 海 たん ぽ ぽ 、 スイ カ ピ ザ) の 正 答 率 の間 に は有 意 差 が あり 、 前 者 が 高 く 正 答 さ れ て い た 。 こ れ は 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル も 前 者 を 概 し て 機 械的 に 記 憶 し て お り 、 故 に 複 合 語 の 視 覚 情 報 が な い 実 験 デ ザ イ ン の 影 響 を 最 も 受け
147
な かっ た 帰結と推 察 できる 。図 5.2 に示 さ れるよう に、親密 度が高い複 合語 を刺 激 と し た 場 合 の 日 仏 バ イ リ ン ガ ル の 正 答 率 は 、 有 意 差 は 存 在 し な い も の の 日本 語 モ ノ リ ン ガ ル の 正 答 率 よ り も 高 く な っ て お り 、 親 密 度 が 高 い 複 合 語 の 大 半が 彼 らの 辞 書に機械 的 に記憶 さ れてい る のは疑 い ないと 思われる。
一 方 で 、 本 実 験 で は フ ラ ン ス 語 の 複 合 語 は 刺 激 と し て 使 用 し て い な い た め 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル が 日 本 語 の 複 合 語 の パ ラ メ ー タ 値 と フ ラ ン ス 語 の そ れ を 明確 に 区別し ているかとい う 問題に つ いては 棚 上げせ ざるを得な い。5.2 節で確認し た よ う に フ ラ ン ス 語 で は 新 語 の 形 成 が 全 く 許 容 さ れ な い た め 、 今 回 日 本 語 の刺 激 を 用 い て 実 施 し た 主 要 部 課 題 を フ ラ ン ス 語 の 刺 激 に 置 き 換 え て 行 う こ と は本 質 的に 不 毛と思われる 。 しか し 、上 述 の通り 、Nicoladis (1999) は名付けの場面 に おい て 前置詞句 の 使用が 確 立され て いない 3 歳前後 の フランス 語モノリンガ ル の 自 然 発 話 に お い て 、 複 数 の 新 語 と 思 わ れ る 複 合 語 が 観 察 さ れ た こ と を 報告 し て い る 。 従 っ て 、 新 語 の 産 出 ・ 処 理 に 関 わ る 言 語 計 算 が 利 用 可 能 と 想 定 され る こ の 月 齢 の バ イ リ ン ガ ル を 被 験 者 に 絞 っ て 心 理 実 験 を 行 う 価 値 は あ る か もし れ ない。
次 に 、 日 仏 バ イ リ ガ ル と 日 本 語 モ ノ リ ン ガ ル の 結 果 に つ い て 考 察 し よ う 。以 下 に (1b) を再掲す る 。
(14) (1a) の 結果と前 章 で示し た 日本語 モ ノリンガ ルの主 要部課題の 結果の 間に
有 意 差は観察 さ れるの か 、つま り 3.4 節 で概観した 先行研究の 被験者 であ る 英語 と フ ラン ス 語 の バイ リ ン ガル な ど に 観察 さ れ る形 態 レ ベ ルの 言 語間 転 移は 日仏バ イ リンガ ル にも観 察 される のか
日 本 語 モ ノ リ ン ガ ル の 正 答 率 の 方 が 日 仏 バ イ リ ン ガ ル の 正 答 率 よ り も 有 意 に高 か っ た と い う こ と は 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル の 方 が 日 本 語 の 複 合 語 を 左 側 に 主 要部 を 持 つ 構 造 と 解 釈 し て い た と い う こ と で あ る 。 言 い 換 え れ ば 、 こ れ は 生 後 間も な い頃 か らのフラ ン ス語を 含 むバイ リ ンガル 環 境が、(少 なくと もこの月齢 時に) 日 本 語 の 複 合 語 の 内 心 性 の 理 解 に 影 響 を 与 え て い た と い う こ と で あ り 、 こ れは 形 態 レ ベ ル に お け る 言 語 間 転 移 と 分 析 で き る 。 上 述 の 通 り 、 親 密 度 が 高 い 複合 語 を 刺 激 と し た 場 合 は 両 者 共 に ほ ぼ 等 し く 正 答 し て お り 、 そ れ に も 関 わ ら ず言
148
語 間 転 移 が 観 察 さ れ た と い う こ と は 、 言 語 間 転 移 を 検 証 す る 上 で 産 出 ・ 処 理に 言 語 計 算 が 関 与 す る 可 能 性 が 高 い と 想 定 さ れ る 親 密 度 が 低 い 複 合 語 を 刺 激 に含 め る実 験 デザイン を 採用す る ことの 重 要性が 裏 付けら れたと言え る。
3.4 節 で概観した ように 、Nicoladis (2000)、Foroodi-Nejad and Paradis (2009) に お い て も 心 理 実 験 の 結 果 に 基 づ い て 形 態 レ ベ ル に お け る 言 語 間 転 移 が 指 摘 され て い る が 、 そ れ ら は 絵 選 択 課 題 な ど の 複 合 語 の 視 覚 情 報 に 依 存 し た 実 験 デ ザイ ン に 基 づ い た も の で あ る 。 他 方 、 本 実 験 は 複 合 語 の 視 覚 情 報 に 依 存 し な い 主要 部 課 題 を 採 用 し た た め 、 そ の 点 で 今 回 観 察 さ れ た 言 語 間 転 移 は 先 行 研 究 で 指摘 さ れ た 言 語 間 転 移 よ り も 被 験 者 の 純 粋 な 言 語 知 識 を 反 映 し て い る と 言 え る 。本 実 験 の 結 果 は 、 複 合 語 に お け る 主 要 部 の パ ラ メ ー タ 値 が 異 な る 言 語 で 構 成 され る バ イ リ ン ガ ル 環 境 が 、 形 態 レ ベ ル に お け る 言 語 間 転 移 を 引 き 起 こ す と い う仮 説 (Nicoladis 1999 など) と合 致 するも の である 。11
5.6.2 言語間転移とその要因
本 節 で は 、 前 節 で 言 語 間 転 移 と 分 析 し た 日 仏 バ イ リ ン ガ ル の 結 果 が ど の よう に 説明 さ れるのか 考 察する 。 以下に (1d) を 再掲する。
(15) 形 態レ ベルの 言 語間転 移 が観察 さ れる (あるいは、観察されない) のであれ
ば 、そ れはど の ように 説 明され る のか
3.4.1 節 で 概 観し たよ うに 、言語 間 転移 の 要因に 関しては (i) 構 造の重複、(ii) 言
語 の 優 位 性 、(iii) 日 常 生 活 に お け る 当 該 の 表 現 の 頻 度 、(iv) 日 常 生 活 に お け る 類 似 表 現 の 頻 度 の 四 つ が 提 案 さ れ て い る 。 以 下 で は 、 今 回 の 結 果 が こ れ ら の項 目 の下 で どのよう に 説明さ れ るか検 討 する。
ま ず 、構 造の重 複 の定義 を 述べた 第 3 章の (35) を以 下に再掲す る。
(16) あ る 構造に対 し て言語 A が二 つ 以上の 選 択肢を持 ち、言 語 B がそれ らの 選
択 肢 のうちの 1 つと 重 複する 場 合、言 語 B から言語 A に 言語間転移が生じ る
149
(16) に お け る 言 語 A に な り う る 、 つ ま り 複 合 語 内 の 語 順 が 柔 軟 性 に 富 む の は
(筆 者 が知 る限 り) 通言語 的 にペル シ ア語の み である。3.4.1節で 概観し たよう に、
ペ ル シ ア 語 の 名 詞 複 合 語 は 主 要 部 で 使 用 さ れ る 名 詞 に よ っ て 左 側 主 要 部 ま たは 右 側 主 要 部 の い ず れ か が 概 し て 好 ま れ る 一 方 、 語 用 論 的 要 素 を 捨 象 し た 場 合、
ど ちら で 用いられ て も適格 と 判断さ れ る。第 3 章 の (36) を 以下に 再掲する。
(17) a. ab sib lit. ‘water apple’ = ‘apple juice’
b. gol ab lit. ‘flower water ’ = ‘flower juice’
(Foroodi-Nejad and Paradis 2009: 413-414)
ab ‘water’が 主要 部と して 用い ら れ る場合 は (17a) のような左側主要部が好まれ
る 。他 方 、 興 味深 い こ とに (17b) の よ う な 右側 主 要 部 の場 合 も また 文 法 的 と 判 断 さ れ る 。 従 っ て 、 例 え ば 日 本 語 と ペ ル シ ア 語 の 組 み 合 わ せ は 複 合 語 に 対 して 構 造 の 重 複 の 状 況 を 生 む の で 、 両 言 語 を 学 習 中 の バ イ リ ン ガ ル は ペ ル シ ア 語の 複 合語 を 産 出 ・処 理 す る際 に 日 本 語の パ ラ メー タ 値 と 一致 す る (17b) の 語順 を 好 むよ う になると 説 明され る 。
日 本 語 と フ ラ ン ス 語 の 複 合 語 に 話 を 移 す と 、 両 者 の 構 造 は そ れ ぞ れ 右 側 主 要 部 と左 側 主要部で 固 定され て いる点 に 注意す る 必要が ある。第 2 章で概観した よ う に 日 本 語 に は 多 様 な タ イ プ の 複 合 語 が 存 在 し 、 二 字 熟 語 の 中 に は 左 側 主要 部 と考 え られるも の (e.g. 読書、洗車) がある が、本論文ではこれらは学習など を 通 し て 機 械 的 に 登 録 さ れ る (ま た は 語 根 レ ベ ル で 形 成 さ れ る) と 分 析 す る た め 、生 産 的な語形 成 に関す る 知識の 射 程とは な らない 。
ここで、フランス語は複合語の語順が固定されている一方、5.2 節で概観した よ う に 形 容 詞 に よ る 修 飾 を 含 む 名 詞 句 の 語 順 は 柔 軟 性 に 富 み 、「 形 容 詞–名 詞 」 語 順 と 「 名 詞–形 容 詞 」 語 順 の い ず れ で 用 い ら れ て も 文 法 的 と 判 断 さ れ る (e.g.
grand homme / homme grand ‘big man’) ので、フランス語と日本語は (16) で定 義 さ れ る 構 造 の 重 複 の 状 況 を 生 む 組 み 合 わ せ で あ る こ と に 気 付 く 。 つ ま り 、 フラ ン ス 語 と 日 本 語 の 組 み 合 わ せ は 、 複 合 語 で は な く 形 容 詞 に よ る 修 飾 を 含 む 名詞 句 が構 造 の重複を 満 たす点 で 広義な 意 味での 構 造の重 複と言うこ とがで きる。
こ れ を 踏 ま え る と 、 日 仏 バ イ リ ン ガ ル が 複 合 語 の 語 順 を 獲 得 す る 過 程 に お い
150
て 構 造 的 ・ 意 味 的 な 類 似 性 を 持 つ 形 容 詞 に よ る 修 飾 を 含 む 名 詞 句 の 語 順 を 参考 に し て い る な ら ば 、 構 造 の 重 複 に よ っ て 言 語 間 転 移 を 示 し た 本 実 験 の 結 果 を適 切 に 予 測 す る こ と が で き る 。 フ ラ ン ス 語 の 複 合 語 と 形 容 詞 に よ る 修 飾 を 含 む名 詞句は、修飾語 (前者 に おける 第 二要素 及 び後 者における 形容詞) に主強勢が置 か れる 点 でも共通 し ている こ とが指 摘 されて お り (Nicoladis 1999)、この音声的 な 共 通 項 も 広 義 な 意 味 で の 構 造 の 重 複 が 形 態 レ ベ ル の 言 語 間 転 移 を 引 き 起 こす と いう 考 え方を総 じ て支持 す るもの と 思われ る 。
(音 韻論 や 統 語 論を 含 む) 言 語 間 転移 を 考 察し て い る先 行 研 究 では 、 構 造の 重
複 が 当 該 の 現 象 (本 論 文 で は 名 詞 複 合 語) に 生 じ る か に 焦 点 が 置 か れ が ち で あ る が 、 構 造 の 重 複 が 当 該 の 現 象 の み を 射 程 と す べ き か 、 あ る い は 類 似 す る 現象 も 射 程 と す べ き か は 理 論 上 の 問 題 で あ る 。 少 な く と も 本 実 験 の 結 果 は 構 造 の重 複 を 類 似 す る 現 象 も 射 程 に 入 れ る 考 え 方 を 支 持 す る も の で あ る が 、 い ず れ にせ よ 、 こ の 問 題 は 一 つ 一 つ の 経 験 的 な 証 拠 を 積 み 重 ね る こ と で 決 定 さ れ る べ きで あ る。
次 に 、 言 語 の 優 位 性 に つ い て 考 え る 。 言 語 の 優 位 性 が 言 語 間 転 移 を 引 き 起 こ す な ら ば 、 転 移 は 言 語 の 熟 達 度 が 優 位 な 方 か ら も う 一 方 に 向 け て 生 じ る と 分析
さ れる (Paradis 2001な ど)。本実験では被験者を日本語優位のバイリンガルで統
一 し た た め 、 今 回 の 被 験 者 の 場 合 は フ ラ ン ス 語 を 刺 激 と し た 場 合 に 、 そ れ を理 解 す る 際 に 日 本 語 の 影 響 を 受 け う る 。 従 っ て 、 日 本 語 を 刺 激 と し て い る 本 実験 の 結果 の 分析には 、 言語の 優 位性は 該 当しな い ことに なる。
で は 、 日 常 生 活 に お け る 当 該 の 表 現 の 頻 度 は 今 回 の 結 果 に 影 響 し て い る だ ろ う か 。 当 該 の 表 現 の 頻 度 が 言 語 間 転 移 の 要 因 で あ る な ら ば 、 転 移 が 生 じ る のは 語 形 成 が 生 産 的 な 言 語 と 語 形 成 が 非 生 産 的 な 言 語 に さ ら さ れ る 環 境 に 子 供 がい る 場 合 で あ り 、 転 移 は 前 者 か ら 後 者 に 向 け て 生 じ る と 分 析 さ れ る (Nicoladis 1999 な ど)。本実験の被験者は日仏バイリンガルであるので、日本語とフランス 語 は こ の 条 件 を 満 た す 組 み 合 わ せ で あ る 。 他 方 、 複 合 語 の 頻 度 が 転 移 を 引 き起 こ し て い る と す る と 転 移 は 語 形 成 が 生 産 的 な 日 本 語 か ら 非 生 産 的 な フ ラ ン ス語 に 向 け て 生 じ る こ と が 予 測 さ れ る の で 、 日 本 語 を 刺 激 と し て い る 今 回 の 実 験結 果 の分 析 にはやは り 該当し な いこと に なる。
最 後 に 、 日 常 生 活 に お け る 類 似 表 現 の 頻 度 が 影 響 し て い る と 考 え て み て はど