約 1.5 倍
我が国には現在 97 の空港が存在しており、うち国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠 点として空港法で規定されている「拠点空港」が 28 空港、地方公共団体が設置・管理を行
う「地方管理空港」が
54空港、これらを除き自衛隊との共用空港等を含む「その他の空港」
が
15空港となっている。
28
ある「拠点空港」は、設置・管理者の別によってさらに
3つに区分され、①会社が設 置・管理を行う会社管理が
4空港、②国が設置・管理を行う国管理が
19空港、③国が設置 し地方公共団体が管理を行う「特定地方管理空港」が
5空港である。
仙台空港は国管理の「拠点空港」であり、関空・伊丹空港は会社管理の「拠点空港」で ある。
図表1-4-20 我が国の空港とその分類
拠点空港 地方管理空港 その他の空港 計
会社管理 成田、伊丹、関空、中部
(計4空港) - - 4空港
国管理
羽田、新千歳、稚内、釧 路、函館、仙台、新潟、
広 島 、 高 松 、 松 山 、 高 知 、 福 岡 、 北 九 州 、 長 崎、熊本、大分、宮崎、
鹿児島、那覇
(計19空港)
-
札幌、千歳、百 里 、 小 松 、 美 保 、 徳 島 、 三 沢、八尾
(計9空港)
28空港
地方公共 団体管理
<特定地方管理空港>
旭 川 、 帯 広 、 秋 田 、 山 形、山口宇部
(計5空港)
※国土交通大臣が設置 し、地方公共団体が管理 する空港
中標津、紋別、女満別、青森、大館能代、
花巻、庄内、福島、静岡、富山、能登、福 井、松本、神戸、南紀白浜、鳥取、出雲、
石見、岡山、佐賀
(計20空港)
<離島空港>
利尻、礼文、奥尻、大島、新島、神津島、
三宅島、八丈島、佐渡、隠岐、対馬、小値 賀、福江、上五島、壱岐、種子島、屋久 島、奄美、喜界、徳之島、沖永良部、与 論、粟国、久米島、慶良島、南大東、北大 東、伊江島、宮古、下地島、多良間、新石 垣、波照島、与那国
(計34空港)
調布、名古屋、
但馬、岡南、大 分中央、天草
(計6空港)
65空港
計 28空港 54空港 15空港 97空港
(出典)国土交通省航空局ウェブサイト<http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000310.html>を基に当研究 所にて作成
海外の多くの空港では、滑走路等の航空系事業とターミナルビル等の非航空系事業が一 体的に経営されている一方、我が国の空港では、航空系事業は国や地方公共団体が、非航 空系事業は第三セクターや民間事業者がそれぞれ管理運営を行っており、両事業の経営が 分離している。このため、非航空系事業で上げた収益を、着陸料や施設利用料等の低価格 化のための原資に転嫁することができないなど、全体としての利用促進につなげられない 点が課題として挙げられている。
6さらに、国管理空港では着陸料が全国一律で決められており、それぞれの空港の実情に 応じた柔軟な料金設定ができないことや、空港収支がプール会計であるために収益を意識 した運営が難しいことなどの指摘もなされている。
7国管理空港の航空系事業及び非航空系事業の
2015年度収支(EBITDA
8)は下表のとお りである。滑走路やエプロン等の航空系事業ではほとんどの空港が赤字となっているが、
ターミナルビル非航空系事業を加えることで黒字になる空港が多いことがわかる。
図表1-4-21 国管理空港の2015年度航空系事業及び非航空系事業の収支(EBITDA)
航空系事業(百万円) 非航空系事業(百万円) 合計(百万円)
東京国際(羽田) 43,516 45,552 89,068
新千歳 5,117 9,358 14,475
福岡 △2,195 6,509 4,313
那覇 △5,318 5,533 215
稚内 △690 52 △638
釧路 △617 311 △306
函館 △843 968 125
仙台 △801 1,109 309
新潟 △905 522 △383
広島 △386 1,018 633
高松 △117 393 276
松山 △169 874 706
高知 △642 340 △302
北九州 △336 303 △33
長崎 △173 741 568
熊本 △114 806 693
大分 △218 379 160
宮崎 △223 695 472
鹿児島 116 894 1,009
札幌(丘珠) △317 56 △261
小松 260 434 693
美保 △46 141 95
徳島 139 180 318
三沢 △262 38 △224
百里 △1 182 182
岩国 △113 90 △23
(注1)収支がマイナスとなっている項目を網掛けで記載
(注2)八尾空港は乗降客数ゼロのため、千歳飛行場は民航利用ゼロのため記載していない。
(出典)国土交通省「空港別収支の試算結果(平成27年度)」<http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_00018 1.html>を基に当研究所にて作成
6 国土交通省航空局「空港の現状及び空港経営改革の推進について」(2012年2月)
7 株式会社三井住友トラスト基礎研究所「コンセッション方式を活用した空港事業の民営化」(2016年 8月19日)
8「EBITDA:Earnings Before Interest,Taxes,Depreciation and Amortization(利払前税引前償却前営 業利益)≒経常損益+支払利息+減価償却費」。各空港が1年間の営業を通じて得られるキャッシュ フロー(実質的な利益水準)を表す指標であり、投資家等が企業分析をする際によく使用されるもの のひとつ。2011年度に開催された「空港運営のあり方に関する検討会」において経営状態を適切に把 握するための資料として提案された指標
②空港経営改革に関連する法整備
前述のとおり、
2011年の
PFI法改正においてコンセッション方式の導入が可能となった が、当時の航空法や空港法では、空港の管理者等として国、地方公共団体、空港会社に限 定されていたため、その他の民間事業者による運営管理はできない状況であった。
そこで、2011 年に「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理 に関する法律(関空伊丹統合法)」が、
2013年に「民間の能力を活用した国管理空港等の運 営等に関する法律(民活空港運営法)」がそれぞれ制定され、民間事業者による空港運営が 具体的に進められるようになった。
このほか、2015 年
9月の
PFI法改正により、運営権者に対して国・地方公務員を退職派 遣した場合に、派遣期間終了後は公務員に復帰することを前提として退職手当の算定期間 に含めることが可能となった(3 年以内)。これにより、運営権者への公務員派遣が容易と なり、従前公務員が担っていた航空系事業に関するノウハウを運営権者にスムーズに引き 継ぐことができるようになった。
9③空港経営に関する今後の方針(空港経営改革)
国土交通省では上述の民活空港運営法に基づき、滑走路等の航空系事業とターミナルビ ル等の非航空系事業について、民間による一体経営を実現し、着陸料等の柔軟な設定等を 通じた航空ネットワークの充実、内外の交流人口拡大等による地域活性化を図る方針とし ている。
加えて、運営権者による運営開始後の適正な運営担保措置として、下表の方針を掲げて いる。
図表1-4-22 空港経営改革の概要
空港経営改革 の方向性
民活空港運営法に基づき、民間による一体経営を実現し、着陸料等の柔軟な設定等を 通じた航空ネットワークの充実、内外の交流人口拡大等による地域活性化を図る 基本コンセプト 民間の知恵やノウハウを活用して空港を活性化
安全性や利用者利便の確保の最終責任は国が負う(コンセッション導入の理由)
安全性の確保
運営開始前に国から民間へ十分な引継を実施(半年程度の実地訓練等)
ノウハウ継承のため、事業の初期段階(3~5年程度)に公務員派遣
従前と同等の安全基準を民間にも適用(法令上の義務)し、遵守状況を国が監督
大規模災害等の際には国が運営を実施
地域との共生 環境対策等については、従前と同等水準以上の実施を民間事業者に義務づけ 利用者利便の
確保
事業者選定にあたり、利用者利便の向上に関する提案内容を重要視
⇒単なる利益追求ではなく、空港や地域の活性化を目指す提案を優先採用
提案内容は契約上の実施義務として、国がモニタリングを実施 経営健全性の
確保
事業者選定にあたって収支計画を審査
仮に運営を継続できない場合には、国が運営を実施
(出典)国土交通省航空局航空ネットワーク部提供資料を基に当研究所にて作成
9 内閣府「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律」
(2) 仙台空港の事例
①仙台空港の概要
国管理空港である仙台空港は、1,200m と
3,000mの
2つの滑走路を持つ東北地方最大の 国際空港である。国際線の就航に十分な能力を有するとともに、仙台市内まで鉄道で最短
17分とアクセスが良く、東北地方の玄関口としての役割は大きい。しかし、旅客数は
2006年度の
338.7万人、貨物取扱量は
2000年の
2.39万トンをピークに年々減少し、東日本大
震災を受けて旅客数、貨物取扱量ともに大幅に落ち込んだ。その後
2011年を底として回復 傾向がみられ、震災からの復興のシンボルとしての期待が高まっていたものの
10、同空港の 持つ潜在能力を最大限に発揮できていないのではないかとの懸念の声も挙がっていた
11。
図表1-4-23 仙台空港の概要
空港名 仙台国際空港 開港日 1957年
種別 拠点空港(国管理空港)
設置管理者 国土交通大臣 位置 宮城県名取市、岩沼市 面積 239ha
滑走路(長さ×幅) A滑走路:1,200m×45m、B滑走路:3,000m×45m 運用時間
(利用時間)
14時間
(7:30~21:30)
乗入航空会社
【国内線】
日本航空、全日本空輸、アイベックスエアラインズ、AIRDO、Peach Aviation
【国際線】
ユナイテッド航空、アシアナ航空、中国国際航空、タイガーエア、エバー航空、全日本空輸
沿革
1940年 旧陸軍の飛行学校として建設 1956年 GHQ(連合軍総司令部)より返還 1957年 「仙台飛行場」として開港
1964年 「仙台空港」に改称。A滑走路供用開始(1,150m)
1971年 A滑走路延長(1,200m)
1972年 B滑走路供用開始(2,000m)
1992年 B滑走路延長(2,500m)
1996年 国際線旅客ターミナルビル供用開始
1997年 新旅客ターミナルビル供用開始、新旅客ターミナルオープン 1998年 B滑走路延長(3,000m)
2007年 アクセス鉄道開業
2011年 東日本大震災により甚大な被害を受ける 2012年 全路線を復旧
2016年 仙台国際空港株式会社が空港運営事業を開始
(出典)国土交通省東京航空局ウェブサイト<http://www.cab.mlit.go.jp/tcab/conditions/02_tohoku/01_s endai.html>、東北地方整備局ウェブサイト<http://www.pa.thr.mlit.go.jp/shiogama/introducti on/airport/index.html>及び仙台国際空港株式会社ウェブサイト<https://www.sendai-airport.c o.jp/flight/>を基に当研究所にて作成
10 国土交通省「平成27年度国土交通白書」(2016年7月14日)
11 株式会社三井住友トラスト基礎研究所「コンセッション方式を活用した空港事業の民営化」(2016 年8月19日)