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PFI 事業の現状とコンセッションの導入

約 1.5 倍

スイス第 3 の都市バーゼルの FC バーゼル 1893 が本拠地とするサッカー専用スタジア ムが街のシンボル的存在となっているザンクト・ヤコブ・パルクである。

1.4 我が国におけるコンセッションの動向

1.4.1 PFI 事業の現状とコンセッションの導入

(1) PPP/PFI の概要

①PPP/PFIとは

まずは

PPP/PFI

の概念について整理する。PFI とは

Private Finance Initiative

の略で あり、民間の資金、ノウハウを活用して、公共施設の設計、建設、維持管理、運営等を行 う手法を指す。特に、民間側で資金調達を行うことが

PFI

の前提となる。一方で、

PPP

(Public

Private Partnership)は官民連携、公民連携と訳され、広義のPPP

には

PFI

が含まれる

が、狭義の

PPP

では、民間側の資金調達は必ずしも必要としない。狭義の

PPP

手法とし ては指定管理者制度や包括的業務委託などが挙げられる。

PFI

を含む

PPP

は、 「資産への関 与度」と「運営への関与度」を縦横の軸としたときに、公共事業と民間事業の中間に位置 する手法であると整理できる。

図表1-4-1 事業手法の分類

(出典)内閣府民間資金等活用事業推進室ウェブサイト<http://www8.cao.go.jp/pfi/index.html>及び三井 住友信託銀行株式会社「社会資本整備におけるPPP/PFIの可能性」(2014年2月)を基に当研究 所にて作成

PPP(Public Private Partnership)

公共施設等の設計、建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、

民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るもの

PFI(Private Finance Initiative)

PFI法に基づき、公共施設等の設計、建設、維持 管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術 的能力を活用して行う手法

民設公営

BOT

公共事業 従来型 業務委託

民間事業

包括的 業務委託

指定管理者

制度 DBO方式

運営への関与度

資産への関与度

公的資金のみ 民間資金導入

公の関与が高い 民の関与が高い

BTO

コンセッション

②PFI事業のスキーム

PFI

事業の一般的なスキームは下図のとおりである。国や地方公共団体といった公共側の 主要業務としては、①特定事業の選定・募集・選定事業者の決定、②事業の監督・評価(モ ニタリング) 、③国への助成金申請等が挙げられる。一方、民間側(選定事業者)

1

は、特 定事業の実施のみを目的とする特別目的会社(Special Purpose Company : SPC)を設立し、

公共側と実施契約を締結することで事業を実施する。選定事業者の主要業務としては、① 資金調達、②設計、③建設、④維持・管理、⑤運営、⑥リスク管理等が挙げられる。この ほか、コンサルティング企業や監査法人が公共側のアドバイザーとして参加する場合が多 い。また、金融機関や選定事業者以外の出資企業・出資者、保険会社など、

PFI

事業のスキ ームには様々な主体が関係してくる。

図表1-4-2 PFI事業の一般的なスキーム

(出典)特定非営利活動法人全国地域PFI協会ウェブサイト<http://pfi-as.jp/>を基に当研究所にて作成

③PFIの特徴と導入メリット

PFI

事業には大きく

4

つの特徴がある。それぞれの特徴に起因するメリットとして、ま ず「①複数年に及ぶ契約期間」により、民間側は長期安定的な経営が、公共側は財政負担 の平準化が期待できる。次に「②同一事業者への包括的性能発注」により、民間側は自社 が有する新技術やノウハウの活用等により業務改善余地が拡大し、公共側でペナルティを 課すことで、質の高い公共サービスの提供が可能となる。さらに「③公共・民間で事前に リスク分担」することで、民間側は担務するリスク分担の適正化が、公共側としても民間

1 一般的に、PFI事業では複数の企業が共同企業体(コンソーシアム)を組成して事業に応募する。

特別目的会社

(SPC)

アドバイザー/コンサルタント

(法務面、財務面、技術面)

アドバイザー契約

【公共】 【民間】

コンソーシアム

(選定事業者)

SPC設立 業務契約

選定事業者要業

資金調達

設計 コンソーシア

ム構成企業 が業務契約 に基づき各 業務を実施 建設

維持・管理 運営 リスク管理

公共の要業務

特定事業の選定・募集・

選定事業者の決定等 事業の監督・評価

(モニタリング)

助成金調査・申請等

公共自治体等

事業実施

特定事業 助成金

金融機関 出資者・出資企業等

プロジェクトファイナンス

出資 直接契約

モニタリング実施

保険会社 保険契約 事業契約

対価支払

ノウハウの活用によるリスク対応の効率化が期待できる。最後に「④民間が資金調達」す ることで、民間側は適正な収益(リターン)の確保が期待でき、公共側には追加的な財政 支出の抑制や、割賦払いによる財政負担の平準化といった効用がもたらされる。

図表1-4-3 PFI方式の特徴と導入メリット

PFI方式の特徴 主体別のPFI方式導入の効用

①複数年に及ぶ契約期間 【民間】長期安定的経営

【公共】財政負担の平準化

②同一事業者への包括的性能発注 【民間】新技術やノウハウの活用等による業務改善余地の拡大

【公共】適切な対価やペナルティ賦課による質の高いサービスの提供

③公共・民間で事前にリスク分担 【民間】担務するリスク分担の適正化

【公共】民間ノウハウの活用によるリスク対応の効率化

④民間が資金調達 【民間】適正な収益(リターン)の確保

【公共】追加的な財政支出の抑制、財政負担の平準化(割賦払)

(出典)国土交通省「国土交通省のPPP/PFIへの取組みと案件形成の推進」(2015年129日)等を基 に当研究所にて作成

④PFI事業数の推移と内訳

2017

3

31

日現在、実施方針公表ベースで

609

件の

PFI

事業が開始または検討され ており、契約金額ベースでは約

5

4,700

億円となっている。1999 年度(平成

11

年度)

から

2016

年度(平成

28

年度)までの

PFI

事業数及び契約金額の累計値の推移は下のグラ フのとおりであり、2009 年度(平成

21

年度)頃に伸び率は一旦鈍化したものの、2014 年 度(平成

26

年度)から件数・金額ともに勢いを巻き返し、現在まで着実に伸びつつある。

図表1-4-4 PFI事業数および契約金額の推移(累計)

(出典)内閣府「PFIの現状について」(2017年6月)を基に当研究所にて作成

(注1)2017331日現在の数値

(注2)事業数は、内閣府調査により実施方針の公表を把握しているPFI法に基づいた事業の数であり、

サービス提供期間中に契約解除又は廃止した事業及び実施方針公表以降に事業を断念しサービス の提供に及んでいない事業は含んでいない。

3 13 39 86

131 176

219 264

309 349

383 400 424 446 477 518

553 609

15  34  69  91  149 

206  261 

332 

377  401  414 

455  465  479  516  547 

100  200  300  400  500  600  700  800 

0 100 200 300 400 500 600 700

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 事業数(左目盛)

契約金額(右目盛)

(百億円)

(件)

(年度)

⑤PFI事業の分類

PFI

事業は、

SPC

が公共側から一定の事業実施対価の支払いを受ける「サービス購入型」、

利用者からの料金収入のみによって運営を行う「独立採算型」、公共側からのサービス購入 料と利用者からの料金収入の双方を受けて運営を行う「混合型」に分類することができる。

事業費の回収方法別の

PFI

事業割合をみると、サービス購入型の割合が全体の

71.9%と

太宗を占めている現状にある。一方で独立採算型及び混合型はそれぞれ

15.0%、13.1%と割

合が低い。

図表1-4-5 PFI事業の分類(事業費の回収方法別)

(出典)株式会社民間資金等活用事業推進機構ウェブサイト<http://www.pfipcj.co.jp/index.html>を基に 当研究所にて作成

図表1-4-6 PFI事業の割合(事業費の回収方法別)

(出典)国土交通省総合政策局官民連携政策課提供資料を基に当研究所にて作成

(注)集計対象は2017429日現在の国土交通省管轄事業

運営事業者のコストが、公共部門から支 払われるサービス購入料と、利用料金収 入等の受益者からの支払いの双方によ り回収される類型

運営事業者のコストが、利用料金収入等 の受益者からの支払いにより回収される 類型

運営事業者のコストが、公共部門から 支払われるサービス購入料により全額 回収される類型

公共

【サービス購入型】 【独立採算型】 【混合型】

運営事業者

(SPC)

利用者

公共 公共

運営事業者

(SPC)

利用者

運営事業者

(SPC)

利用者

サービス提供

サービス

購入料 支払

サービス 提供

サービス

料金支払 提供 料金支払

サービス 購入料

支払

サービス 購入型

71.9%

独立 採算型

15.0%

混合型 13.1%

n=160

(2) コンセッションの導入と PPP/PFI 推進アクションプラン

①PFIに関するこれまでの経緯とコンセッションの導入

我が国の

PFI

の歴史は、

1996

年に財政制度審議会財政構造改革特別部会海外調査報告で イギリスの

PFI

制度が紹介されたところから始まる。その後

1999

年に「民間資金等の活用 による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI 法)が制定された。時期を同じくし て設置された内閣府民間資金等活用事業推進室(PFI 推進室)は、その後の

PPP/PFI

推進 の中心的役割を担うことになる。

コンセッションの源流は、2009 年

10

月から開始された「国土交通省成長戦略会議」に おける議論に遡る。その後、同会議の議論を踏まえて

2010

5

月に公表された「国土交通 省成長戦略」ではコンセッション方式の活用が明記され、翌

2011

6

月に、コンセッショ ン方式の導入を可能とする

PFI

法改正がなされた。その後具体的な案件組成や導入手法に ついての検討が行われ、2013 年の

PFI

ガイドライン改正、 「PPP/PFI の抜本改革に向けた アクションプラン」決定によってコンセッション導入に向けた動きが本格化することとな った。

図表1-4-7 PFIに関するこれまでの経緯

199610月 財政制度審議会財政構造改革特別部会海外調査報告で英国PFIが紹介される 1997年秋頃 緊急経済対策でPFIの導入言及

19985月 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)案国会提出 19997月 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)制定 19998月 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する関係省庁連絡会議開催

総理府内政審議室(現在の内閣官房)に民間資金等活用事業推進室(PFI推進室)設置 20003月 国のPFI 基本方針公表

~2003年 「実施プロセス」「リスク分担」「VFM」「契約」「モニタリング」ガイドライン公表 20046月 内閣府PFI推進委員会 中間報告(今後の方向性提示)

200711月 内閣府PFI推進委員会 報告(課題の総括と対応策)

20094月 内閣府がPFI事業契約に関連した基本的考え方を提示

20101月 国交省成長戦略会議重点5分野の1つに「官民連携」を位置付け

20105月 国交省成長戦略において「戦略的なPPP/PFIの活用拡大」「新たな制度の構築」を提起 民間の知恵と資金を活用した空港経営の抜本的効率化においてコンセッション方式の 活用を明示

20106月 国の「新成長戦略」閣議決定、PPP/PFI活用の必要性明示

20116月 改正PFI法公布(コンセッション方式の導入、民間提案制度明示等)

20123月 改正PFI法(2011年6月改正)基本方針策定

20136月 PFI法改正(官民連携ファンド創設)及び空港運営民活法成立

内閣府がPFIガイドラインを改正・策定(2011年6月の法改正等を反映)

内閣府「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン」公表 日本再興戦略閣議決定(公共施設等運営権の民間開放を位置付け)

201310月 PFI推進機構(株式会社民間資金等活用事業推進機構)設立 20159月 PFI法改正により「公務員の退職派遣制度」新設

20166月 内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」公表

20176月 内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン(平成29年改定版)」公表

(出典)一般財団法人日本経済研究所「我が国PFI 15年の軌跡と今後の展望」(2014年5月)、株式会社 三井住友トラスト基礎研究所「コンセッション方式を活用した空港事業の民営化」(2016年819日)及び内閣府公表資料等を基に当研究所にて作成

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