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今後の課題と考察

約 1.5 倍

スイス第 3 の都市バーゼルの FC バーゼル 1893 が本拠地とするサッカー専用スタジア ムが街のシンボル的存在となっているザンクト・ヤコブ・パルクである。

1.3.4 今後の課題と考察

今後ますます少子高齢化が進むと予想される中で、持続可能なまちづくりは各自治体に

とって重要な課題である。各自治体においては、立地適正化計画を策定し、これまで無秩

序に拡大してきた都市を、ヒト・モノ・カネ・情報を拠点にコンパクトに集約し、拠点と

拠点、都市と都市を公共ネットワークでつなぐ持続可能なまちづくりに向けた取組が行わ

れている。こうしたコンパクト+ネットワークの効果を高め、地域活性化を図るには、各

拠点にヒト・モノ・カネ・情報を惹きつけ、拠点間の交流を促す仕掛けが必要となる。そ

のような中、大規模スポーツ施設は、域外からの交流人口の増加や所得の獲得、コミュニ

ティの創出などが可能な施設として、持続可能なまちづくりにとって重要な施設のひとつ

になり得ると考えられる。街なか(拠点)にこうした大規模な施設を整備することで、ヒ ト・モノ・カネ・情報が集まるきっかけとなる。

今後、大規模スポーツ施設を整備する上で重要となるポイントについて、事例調査等か ら見えてきた点をいくつか挙げてみる。

まず一つ目は、立地である。これまでの大規模スポーツ施設は、行政主導のもと国体等 に合わせて郊外に整備されることが大半であった。郊外に整備したスポーツ施設は、運動 公園のように他の施設と合わせてまとめて整備でき、敷地制約の少なさから比較的大規模 な施設を整備することができる半面、利用者の視点からみると鉄道など公共交通機関での アクセスが不便な場合も多い。今後、我が国は高齢化が進むことを考えると、公共交通機 関を利用して誰でも容易にアクセスできる街なかに整備する必要性が高いと言える。街な かに整備することで、アクセスが容易になり観客数の増加が見込めるだけでなく、公共交 通機関の利用者増や街なかの他の施設(飲食店等)の

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次的利用も促され、経済面におい ても自治体や周辺店舗にとって大きな効果があると言える。郊外と比べて街なかにおいて こうした大規模な敷地を確保することは困難なことも想定されるが、国内の産業構造の変 化、工場の集約・移転による工場跡地など、北九州スタジアムのように民間所有の土地を 活用することも検討されるべきである。

二つ目は、複合機能型のスポーツ施設とすることである。我が国にはまだ、スポーツを

「する」ための施設、つまり単機能型の施設が多い。 「する」ための施設は、利用者が限定 され、賑わい創出や交流人口の増加に繋がらない。アオーレ長岡やザンクト・ヤコブ・パ ルクのように、スポーツの利用に限定せず、市民交流ホールや商業施設などを併設するこ とで、幅広い年齢層、より多くの人が利用できる施設となり、賑わい創出や稼働率の向上 に繋がる。さらに、こうした複合機能のハード面での整備だけでなく、プロ野球の球場で みられるようなコンサートなどを誘致できるソフト面の機能整備も行えば、さらなる稼働 率の向上や賑わい創出、地域の活性化に繋がることが期待できる。

三つ目は、市民利用が可能な施設とすることである。大規模なスポーツ施設は、プロス ポーツチームが本拠地として利用していることから、プロスポーツチーム専用の施設と認 識されている場合も多いが、多くが公共施設であるという特性上、本来であればもっと市 民利用が可能な施設となるべきである。現状では、多くの施設において市民が利用したい と思える機能が少ないことから、市民利用が進んでいないという側面もあるが、近年は大 規模スポーツ施設内に市民利用できる機能(フィットネスジムやクリニック等)を併せ持 った施設も増えてきている。普段から市民に利用してもらうことで、稼働率の向上も期待 される。

これらのポイントは、大規模スポーツ施設整備を検討する中でひとつの壁となる収益性 の問題解決の鍵となることも期待できる。これまでの単機能・郊外立地のスポーツ施設は、

収益性が低く、その施設を維持していく費用も賄えないものが多いと思われるが、複合機

能・街なか立地で日常的に利用できる施設であれば、集客力や収益性の向上により経済的

に採算の取れる施設となることも期待される。

建設業界にとっては、大型スポーツ施設の工事規模は数十億~数百億となることから、

注目すべき施設であることは言うまでもない。しかし、北九州スタジアムのように

PPP/PFI

を活用した事例は今後ますます増えてくることが予想される。空港事業や下水道

事業等ではコンセッションを活用した施設運営に建設会社が携わる事例が増えてきている が、大型スポーツ施設においても、今後コンセッション等を活用し、民間事業者が施設建 設から運営までを一貫して携わる案件は増えてくるだろう。そうした中で、建設業界にも 運営まで参画できるノウハウが今後は求められてくるであろう。

世界的に見ても、大規模スポーツ施設は単なる競技場ではなく、今後のまちづくりを左

右する地域活性化の起爆剤として注目されている。我が国においても、各自治体において

今後の少子高齢化を見据えた中・長期的なまちづくりが議論され、スポーツ施設整備に対

して国が重点的に取り組んでいく姿勢が見られる今だからこそ、まちづくりにおいて大規

模スポーツ施設がまちづくりの中核施設として整備されることを期待したい。

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