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病院情報システムの状況 4-1.

医療現場の情報化については、歴史は浅いものの 2010 年ごろから徐々に浸透してきてお り、当初は病院独自で情報システムを構築し運営管理をしている病院が多かったが、最近は 病院情報システムのパッケージを販売するシステム業者が徐々に現れてきており、国立病院 では市販のシステムを導入するケースが多くなっている

国立病院および民間病院のどちらもほぼ全ての病院で外注しており、電子カルテやオーダ、

PACS、検査ほか病院情報システムとしての一通りのシステムが導入されている。

2000 年代にトルコ国内全域でそれぞれ独自の仕様を持ったシステムから上がってくるデ ータを一元的に集めることを目的に作成された『Saglik.net』というシステムがトルコ全体で 導入されている。ただし、現状ではそのシステムで集めた情報を有効に利用はできていな

い。

病院PPP案件の病院情報システムは、公開されている要求水準書を確認した限りでは、基 幹となっているソフトウェアは既存の国立病院のものと同じ内容であるが、病院PPP案件の 場合は対象となるシステムの範囲がより広く包括的なシステム範囲となっている。

病院情報システムの調達方法 4-2.

国立病院におけるPPPによらない従来型の整備手法では、各病院が個別にHIMSを発注し ていたが、現在は各県にPHU(Provincial Hospital Unit)があり、そこが管轄の病院に対し一 括で入札をかけるようになってきている。

一般的な病院情報システムに関する調達では、IT ベンダーが納入するのはソフトウェア のみであり、ハードウェアは病院が用意している既存のものを使うケースが多い。基本的に は 1~3 年ごとに入札が行われ、もしベンダーが入れ替わるようなことがあれば、旧ベンダ ーはソフトごと撤退することになる。

一般的なシステム構築期間(受注から稼働まで)は、2年程度となっている。

病院情報システムの費用 4-3.

トルコ国内企業の IT ベンダーへのヒアリングでは、利用者数から考えるのが一般的とい うことであった。また、病院の収益(Revenue)の0.2~0.5%という目安があるようである。

ヨーロッパでは病院収益の 2%程度が目安であることから、トルコ国内は非常に安い費用で の導入となっている。

病院情報システム構築形態の変化 4-4.

病院情報システムのソフトウェアについての構築形態が変化しており、現在の日本国内の 病院と同様に、1 つの IT ベンダーが 1 病院全体のシステムを構築する形態から、電子カル テ・PACS(放射線画像管理システム)・LIS(臨床検査システム)等をそれぞれ得意として いる IT ベンダーが構築し、それを電子カルテのコアシステムに全て連携させて全体のシス テムを構築する形態に徐々に移行している。また、ソフトの形式についてもクライアント・

サーバー型からweb型へ徐々に移行してきている。ITベンダーもこの2つの流れを歓迎して いる。しかしながら、トルコのITベンダー各社は、トルコPPP事業におけるITサービスの 仕様については要求水準が不明確なうえに利益率も不明で、採算性については疑問視してい るようである。

PPP事業とはまた別に、IT技術の向上に伴うトルコの国立・公立病院の医療情報システム の仕様書が、見直されることになっており、2015年の秋口頃に公表される。この仕様書見直 しには、病院情報システムに精通しているトルコの保健省事務次官補が関わっており、現行 のものよりもさらに要求水準が高く設定されている可能性が高く、PPP 事業における病院情 報システムの要求水準にも影響があると考えられる。

既存国立病院訪問調査(国立アンカラ・ヌムネ病院)

4-5.

アンカラ・ヌムネ病院のシステムは、2005年に7~800台の端末とソフトを導入し、当時 で200万USDにて調達した。ハードウェアは一括購入であり、現在のハードウェアは前のベ ンダーが使用していた 700 台のパソコンをそのまま使っている。ソフトは月払いであり、

SE5人分の費用を含め、毎月病院収入の0.3~0.5%程度分を支払っている。

同病院の規模は1,200床で、1,600台端末を3,000人のスタッフが利用している。医師1人 に1台、看護師7~8人に1台配置している。

現在導入されているのはFONET社のシステムである。ハードのメンテナンスに2人(サ ーバー対応)と7~8人(院内の端末対応)の計10人程度が病院のスタッフとして働いてい る。また、SEが院内に10人おり、内5人はFONETから来ている。毎月40~50の様々なシ ステム変更が発生するため、その対応のため、多くのSEを配置している。

患者が利用できるような端末はない。

病院受付では、国民毎の固有 ID にて受付が行われる。受付後、当日の受付表が発出され る。受付表には、患者が診察から検査に行くといった当日の患者の流れが記載されている。

また受付表はバーコード管理されており、診療履歴などを管理している。また各所に電光掲 示板、液晶表示、患者呼び出しなど設置し、患者のスムーズな流動を促す工夫をしているも のの、外来は待合室が狭く、大変混雑している。外来は電子カルテを採用している。

病棟のスタッフステーションでは、忙しいのでカルテは紙で運用している。ただし、患者 の退院後にサマリをコンピュータに入力して参照できるようにしている。

現行ベンダーの FONET は、クライアント・サーバ型のシステムである。前回ベンダーの EESはWeb型のシステムであった。入札によってコストは半分になったとのことであった。

サーバー室(IT担当ドクターの執務室に設置) 外来受付画面

外来ポリクリニックの患者呼び出し画面 病棟ナースステーション設置の端末(1台)

奥の部屋にもう一台ある 出典:調査団撮影 図43 トルコの病院における病院情報システム導入例