本邦企業の優位性のある技術・ノウハウ 3-1.
保健省は優れた技術・サービスについての受け入れには積極的な姿勢を示しており、病院 PPP 事業においては施設・運営・医療機器・情報などの広い分野で日本の技術の提案ができ る。さらに、トルコでは病床数の拡大と先進国型の疾病構造への変化に対応するため、医療 サービスの高度化・病院マネジメントの向上のニーズが高まっており、こうした状況を既に 経験し医療先進国として対応してきた日本の技術を活用することは、病院PPP事業において より質の高い病院整備に資することと考えられる。
具体的に優位性のある技術としては、防災インフラ、省エネ技術等の高度な建築技術、遠 隔医療等の高度な医療設備、検体検査サービス、健康診断サービス等の先進的な医療関連サ ービスや効果的・効率的な病院運営スタンダードなどが挙げられる。これらの技術がトルコ 及び欧米諸国との比較で優れている点、トルコにおける課題を以下に整理する。
表21 日本に優位性のある技術やノウハウと関連企業 分野 関連技術
・ノウハウ
トルコ及び欧米諸国との比較で優れている点
トルコにおける課題 関連企業
SPV
運 営
代表企業として 実際に病院PFI 事業を受注し、
SPV(SPC)を設
立・運営するノ ウハウ
【優位性】先行案件はまだ一つも運営の段階に至っ ていないため、病院PFI事業を実施した経験自体が 優位性となる。
【課題】トルコに特有の運営サービス、商習慣等の 違いへの対応が必要。
表15に示さ れる企業
建 築
免震技術・
防災インフ ラ
日本の免震装置 導入
【優位性】トルコでは100床以上の公立病院は免震 構造で建設する方針が立てられている。日本の免震 装置(部材)の品質、精度は高く信頼性も高い。
【課題】日本の免震部材が有している程の高い信頼 性が必要との認識が極めて低い。「免震建築」とい う言葉のみで満足する傾向がある。これは、トルコ にはまだ免震技術のスタンダードも無く、受け入れ る土壌が無いためである。免震部材の性能によって のみではなく、製造業者の設計や解析、メンテナン スまで含めたエンジニアリング能力が不可欠であ るが、コストを重視した発注が行われている。
オイレス工業 ブリヂストン 昭和電線 横浜ゴム 川口金属工業 大同精密工業 三菱重工 新日鐵住金 日立製作所 他
日本式の免震装 置維持管理体制 の導入
【優位性】免震装置の総合的な維持管理が行われて おり、定期的な点検等の体制が整っており、震災時 に確実に機能し性能を維持する。再度の震災時にも 機能低下がなく高い信頼が保てる。
【課題】この問題に対する認識は一部の構造技術者 に留まっている。施設の維持管理者の認識を高める ための活動と、法的要求事項としての明確化、点検
同上
を行う技術者と企業の育成が行われる必要がある。
免震用エキスパ ンションジョイ ント及び設備配 管の可動継手等
【優位性】日本では、床面に段差を生じないフルフ ラットタイプのエキスパンションジョイントが一 般的で精度が高く、常時の使用勝手がよい。
【課題】海外競合他社とのコスト差
ABC商会
パラキャップ 倉敷化工(株)
免震構造に適し たエレベータシ ステムの導入
【優位性】免震層を貫通するエレベーターに関する 先進技術を有している。中間層免震等、免震形式の 多様化が進めば優位性が高まることが予想される。
日立製作所 フジテック 三菱電機 非構造部材・設
備等の耐震措置
【優位性】構造体に比べて非構造部材や設備等の耐 震性確保に関しては、保健省側で指針を制定してい るが、未だ緒に就いたばかりと考えられる。病院に ついては固定不可能な医療機器も存在し、如何に構 造体の耐震強度を上げたところで、免震構造以外で はこれらの機器の転倒や滑動・衝突による破損が、
医療活動に重大な支障を来す可能性がある。これを 排除するためには、日本で開発された免震床システ ムの活用は有効である。
日立機材 ナカ工業
省エネルギ ー設備・機 器
(高度な環 境処理技 術)
高断熱外壁 【優位性】施設の維持管理コストの低減がなされ、
病院運営の効率化がなされる。
【課題】トルコでは一般的に外断熱が行われている ので、調査を要する。
旭化成 日東紡
デュアルフュー エル発電機
【優位性】BCP(事業継続性)を重視した、災害時 の安定電力・通信供給のためのシステム二重化等の 防災インフラとなる。災害対策として病院に導入で きる規模としては競合が少ないため有利。
【課題】海外競合他社とのコスト差、BCP概念の普 及
ヤンマー 三菱重工業 川崎重工
LED照明 【優位性】エネルギー効率などがよい。日本では実 績が多数ある。
【課題】海外競合他社とのコスト差
パナソニック、
東芝ライテッ ク
BMS (ビル管理 システム)
【優位性】エネルギー効率などがよい。日本では実 績が多数ある。
【課題】海外競合他社とのコスト差
アズビル 三菱電機
パッケージ空調 システム
【優位性】エネルギー効率などがよい。日本では実 績が多数ある。維持管理が容易。
【課題】海外競合他社とのコスト差
ダイキン、三菱、
東芝、日立
水再生処理シス テム
【優位性】濾過率が高く効率がよい。オゾン処理も なされ再生水の純度が高い。日本では実績が多数あ る。
【課題】海外競合他社とのコスト差
東レ、日立製作 所、東芝
潜熱冷却パネル システム
【優位性】日本で開発された製品。断熱性能と保水 機能を持った屋上パネルシステムで、省エネ効果が 大きい。軽量かつメンテナンスフリーである。防水 層の上にそのまま施工が可能なため、押えコンクリ ートが不要となる。
【課題】現地の同様な技術の調査を要する。
海水化学工業
太陽光発電装置 【優位性】気温の高い地域において、温度上昇によ る発電効率の低減率が低い薄膜型太陽電池を採用。
薄膜型については日本が先進である。
シャープ カネカ
【課題】海外競合他社とのコスト差
高効率冷凍機 【優位性】省エネルギー(環境性に優れている。) ダイキン 三菱電機 排水処理設備 【優位性】排水処理能力が優れている。メンテナン
スも充実している。
クボタ オルガノ 五洲興産 バリアフリ
ー設備
次世代に目を向 けた高齢者向け バリアフリー設 備
【優位性】既に高齢化社会である日本の高齢者・患 者向け設備の建築技術は進んでいる。
医 療 設 備
高度先進医 療
陽子線治療機器 重粒子線治療機 器
【優位性】技術面、メンテナンスの点でも日本が先 進である。
【課題】がん患者の増加に伴う、高度ながん治療設 備、がん予防(初期診断等)が求められているが、
コストが高い。
三菱電機、日 立、東芝等
再生医療、内視 鏡がん診断治療 等の最先端医療
【優位性】最先端医療施設でもあり、これからのト ルコの医療への貢献度は大きい。
【課題】トルコの大学との共同開発も考えられる。
日立、
オリンパス、
高度先進医療機 器
【優位性】画像診断装置をはじめとした医療機器、
CT, MRIなど品質・効率面ではアドバンテージのあ
る機種が多数ある。
【課題】海外競合他社とのコスト差
遠隔医療
低侵襲内視鏡手 術支援ロボット による遠隔手術 システム、遠隔 診断システム 等
【優位性】医療水準、アクセシビリティの改善のた めの僻地への医療提供を目的に技術開発が行われ ている。
【課題】海外競合他社とのコスト差
ハイブリッ ド手術室
低侵襲なカテー テル治療やハイ ブリッド手術を 可能にするハイ ブリッド手術室
【優位性】超低侵襲治療の実現を目指した技術開発 では日本が進んでいる。
関 連 サ ー ビ ス
画像診断サ ービス
画像診断サービ ス
【優位性】。画像診断装置ではアドバンテージのあ る機種が多数あり、画像診断技術は進んでいる。
【課題】機器リースを含めたサービスの可能性を調 査する。
検体検査サ ービス
検査サービスシ ステム、検査サ ービスマネジメ ント 等
【優位性】検査サービスの標準化と精度管理の強化 に強みがある。
健康診断サ ービス
労働安全衛生法 に規定された、
労働者の定期健 康診断の制度及 びシステム
【優位性】患者数増加による医療費の増加が著しい ため、予防医学による医療費削減がなされる。
運 営
病院運営ス タンダード
病院運営マニュ アルの作成 教育研修 実施監理 等
【優位性】医療従事者の勤務状態や配置、業務分担 の効率化、およびより適切な物品管理がなされる。
院内物流シ ステム
【優位性】在庫、使用管理、自動発注システム、バ ーコードシステムなどに進んだ技術がある。