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事業プロセスの違い 3-1.

日本の病院PFIでは、発注者の性格(国または都道府県・政令指定都市かそれ以外かなど)

により異なるが、公募型プロポーザルまたは総合評価一般競争入札であり、提案の「質と価 格」を一体的に評価することが一般的である。

一方、トルコの場合は2 段階評価方式となっており、1段階目で技術評価+価格評価を行 い、2 段階目では通過者の提案を標準化した最終仕様書に対する価格競争(ダッチオークシ ョン)のみで事業者が選定される仕組みとなっている。

出典:調査団作成 図24 日本/トルコの病院PFI/PPP事業フロー

各段階で公表される資料についてみると、日本の場合は発注者から潜在的応募者やエント リーした企業に対して提示する各種文書の大半はインターネット上のウェブサイトにて公表 し、誰でも見ることが可能な状態であることが一般的である。これに対し、トルコの場合は 事前資格審査(PQ)については有料頒布であり、それ以降の入札文書はPQ通過者のみに公 表される。

また、日本の病院PFI事業の場合、事業の各段階において公表資料に対する書面での質疑 応答の機会が設けられており、前項に記載した対面による官民双方の確認手続きも実施され ている。一方、トルコの場合には要求水準や応募条件等の内容について疑義がある場合にお いても、応募者ができる手続きは(少なくとも公には)設けられていない。

さらに、個別の入札資料について日本との比較でトルコの公表資料を見ると、①施設整備 ではコンセプトプラン(意匠イメージ)等は示されるものの構造や設備については詳細の提 示がない、②医療機器・備品など事業者の調達品目が仕様を伴ったリストとして提示されず 事業者提案に委ねられている、③維持管理・運営の要求水準に官民間の業務区分や費用負担 区分が明示されていないなどの不足がみられる。

次に、手続き全体に要する期間でみると、日本の標準的な病院PFI事業の場合、入札の公 示から落札者の決定まで10~12ヶ月程度となっている。

これに対してトルコは、計画上の業務スケジュールは極めて短く 6 ヶ月程度としている

(各案件の PQ 図書に記載)。一方、実際には手続きのそれぞれの段階で遅延が生じている ほか、最終の契約交渉段階で双方の主張がかみ合わず、多くの案件で数年単位での遅れが発 生しているのが実態である。

事業範囲の違い 3-2.

トルコの病院PPP事業における業務範囲の特徴を分析するため、日本の病院PFI(PPP と 同義)の代表的な事例と病院事業範囲との比較を行う。

前提として、トルコの場合は前述した通り19のサービス(事業範囲)が「必須」と「選択」

に区分されており、事業者選定段階では、全てのサービスを事業範囲とする前提で競争が行 われたうえで、落札者決定の後に契約交渉段階において実際に事業範囲に含めるサービスが 明確になるというスキームとなっており、競争段階で事業範囲を明確にしている日本とは仕 組みが大きく異なる。

表17 トルコ病院PPP事業における事業項目

事業項目 サービス区分

必須 選択

1.1 画像サービス 〇

1.2 ラボラトリーサービス 〇

1.3 滅菌及び消毒サービス 〇

1.4 リハビリテーションサービス 〇

1.5 他の医療支援サービス 〇

2.1 ビル・敷地サービス 〇

2.2 臨時の維持管理・修理サービス 〇

2.3 共有サービス 〇

2.4 備品サービス 〇

2.5 地面及び庭のケアサービス 〇

2.6 清掃サービス 〇

2.7 情報管理サービス 〇

2.8 警備サービス 〇

2.9 患者への案内及び受付サービス 〇

2.10 薬品散布サービス 〇

2.11 駐車場サービス 〇

2.12 廃棄物管理サービス 〇

2.13 リネンサービス 〇

2.14 スタッフ及び患者への給食サービス 〇

出典:調査団作成 これを日本の病院PFI事業群と比較するため、区分を詳細化して整理してみてみることと する。

日本のPFIについてみると、事業によって事業範囲が大きく異なっている。八尾市立病院 では施設整備分野はほとんど含まれず運営支援分野の事業範囲が広い。東京都(多摩総合医 療センター・小児医療センター、がん感染症医療センター)や筑波大学では、施設整備から 維持管理・運営、診療材料や医薬品の調達まで広範な事業範囲となっている。一方、大阪府 立成人病センターや長崎市立病院、福岡市立病院など施設の整備と維持管理に限定されてい る。

トルコ病院PPP事業の特徴としてはまず、画像診断・リハビリテーションといった、日本

では業務委託そのものが医療法で認められていないことから事業範囲外としている業務が含 まれていることが挙げられる。

一方で、同国においては「物品管理(診療材料などの調達・在庫・搬送の一元管理)」の システムが浸透していないこと、患者の自己負担がないため「医療事務(診療報酬の即時集 計と自己負担分の収納)」の業務が限定的で委託化が進んでいないことなどから、日本では PFI 事業範囲とされているこれらの業務が事業範囲外または一部のみ事業範囲となっている 点が特徴である。

しかし、全体的にみると両国のPFI/PPP には資金調達・施設整備・維持管理および医療関 連サービスの提供が含まれ、医療行為そのものは含まれない点など類似した事業構成となっ ている。

表18 日本/トルコの病院PFI/PPP事業における事業範囲の比較

分類

事業項目

トルコ病院 PPP 事業

八尾市立 病院

多摩総合医 療センター・

小児総合 医療センター

東京都がん 感染症医療

センター

神戸市立 中央市民 病院

筑波大学 附属病院

愛媛県立 中央病院

大阪府立 成人病セン

ター

神奈川県 立がん センター

京都市立 病院

長崎市 新市立病院

福岡市 新病院 発注者 保健省 八尾市 東京都 東京都 神戸市 筑波大学 愛媛県 大阪府 神奈川県 京都市 長崎市 福岡市

マネジメント

資金調達

設計 実施設計及

びその関連 施設

整備

施工 ○工事 建設 工事及び

その関連

施設の建 築工事、

土木工事

建設 建設 建設 建設

清掃

植栽管理

薬品散布 (○) (○) (○) (○) (○) (○) (○) (○) (○) (○) (○)

施設

メンテナンス 病院施設等

保守管理 施設等 管理

建築設備 保守、運転 監視、修繕

施設整備 保守管理

建築物 保守管理

建築物 保守管理

建築物 保守管理 大規模修繕

警備

検体検査 検体検査

(病理除く)

画像サービス リハビリテー

ション

食事の提供

食事提供

(献立作成 等除く)

看護補助 × メディカル

アシスタント クラーク メディカル

アシスタント 医療機器の

保守点検

物品管理 × 物流管理

運営 物流管理

運営

滅菌消毒

洗濯 リネン

サプライ ○洗濯(リネ

ン管理)

ベッドセンター ×

物品管理

(ベッドステー ション含む)

診療情報

管理 ×

医療事務 × 医事

医療情報シス テム保守運転

(更新含)

× 情報システム

運用補助

総合情報 システムの

運用

患者等の

搬送 △小児医療

センターのみ

分類

事業項目

トルコ病院 PPP 事業

八尾市立 病院

多摩総合医 療センター・

小児総合 医療センター

東京都がん 感染症医療

センター

神戸市立 中央市民 病院

筑波大学 附属病院

愛媛県立 中央病院

大阪府立 成人病セン

ター

神奈川県 立がん センター

京都市立 病院

長崎市 新市立病院

福岡市 新病院 発注者 保健省 八尾市 東京都 東京都 神戸市 筑波大学 愛媛県 大阪府 神奈川県 京都市 長崎市 福岡市 医療ガス供

給設備保守

廃棄物処理

駐車場管理

調

医療機器、

什器・備品 備品調達 什器備品調

達保守管理 診療材料・

医療消耗 備品

△検査・画 像検査分 のみ

薬剤 △混注シス テム分のみ

△調達

代行 医薬品 医薬品調

達関連

医薬品 の調達 病院情報

システム

(開発含)

△基幹シ

ステム除く

医療情報 システム構築

エネルギー ×

利便 施設

売店 利便施

設運営 利便施

設運営

利便施

設運営 利便施

設運営 利便施

設運営

利便施 設運営

レストラン

経営支援 × マネジメント

に含む

マネジメント

に含む マネジメント

に含む

マネジメント に含む

出典:調査団作成

発注者の違い 3-3.

前述のように、日本の病院PFI事業の実施主体は地方自治体や大学であり、事業により異 なる主体が発注者となっている。従って、個々の発注者が PFI導入により解決したいと考え る課題や地域特性等を反映し、民間事業者に求めるサービスの範囲・水準も事業ごとに異な っている。

これに対し、トルコ病院PPP事業は政府が主体となって全国で進める事業であり、全ての 事業において共通の要求水準書、入札仕様書が使用されているため、個々の地域の医療環 境・経済環境に応じた事業計画とはなっていない。

事業方式と資金調達への期待の違い 3-4.

表18に示す通り、日本の病院PFI事業の特徴として民間事業者の業務範囲に資金調達を 全く含まない案件が多数であるという点がある。これは、地方自治体が病院を整備する際の 資金調達において、低利でかつ補助を受けられる公的財源である地方債の方が、民間事業者 によるプロジェクトファイナンスよりも有利となり、より高い VFM の創出が期待できるた めである。現段階では地方自治体の病院整備に係る起債申請は概ねスムーズに承認されてい ることから、PFI とはいえ民間資金を用いず、施設の完成後に起債で調達した資金で建物を 一括して買い取るBTO方式が多く活用されている。(唯一の大学病院PFIである筑波大学の 場合は、地方債である病院債が利用できないため 100%民間資金を用いた割賦払い式の BTO 方式である。)

一方トルコの場合、病院分野に限らずPPPの主要な導入目的としては、国の財政支出を安 定化するために公共施設を BOT 方式の PPP により整備することで財政上のオフバランス化 を図ることが挙げられる。よって、応札者に対して確実な資金調達への期待が大きい。

また日本にはない、多額の入札保証金の差し入れ制度(固定投資額の%)や契約保証金(投