日本招聘の延期と本邦企業向けセミナーの実施の経緯 3-1.
本調査の一環として、本邦に優位性のある技術・ノウハウの紹介を通じて病院PPP事業の 円滑な推進に寄与することを目的として、2015年9月にトルコ保健省高官の招聘を予定し、
招聘プログラムの企画と調整を行った。一方、トルコでは2015年6月に総選挙が実施され、
その結果第1党であった公正発展党(AKP)の議席が過半数割れしたため、単独与党による 組閣が困難となり、連立政権の樹立を目指した動きが行われた。結果、各党の交渉の折り合 いがつかず、組閣できなかったことから、2015年8月末に再度総選挙をやり直すことが決定 された。この影響を受け、保健省高官の来日の調整は困難となり、招聘は延期されることと なった。なお、招聘にあわせてトルコ保健省高官による病院PPP事業に関するセミナーを予 定していたが、こちらも延期とすることにした。
その後、再度招聘の日程・メンバー等に関して調整を行っていたが、2015年11 月に実施 された再総選挙の影響を受け、結果的にトルコ保健省内において来日者の調整がつかず、ト ルコ保健省高官の招聘自体を見送らざるを得なくなった。
一方、トルコ病院PPP事業において本邦技術・ノウハウをいかすためには、本邦企業の病 院PPP事業への進出を促進することが重要である。そこで、本邦企業の病院PPP事業への関 心を高めるため、本調査の結果について広く本邦企業に説明するためのセミナーを開催する こととした。
延期となったトルコ保健省の招聘事業の概要、及び病院PPP事業に関するセミナーの概要 は、以下のとおりである。
招聘事業の概要 3-2.
(1) 招聘の目的と期待される効果
① 招聘の目的
本招聘事業の目的は、トルコ側にとっては、日本の先進的な病院PPPの実践例や、医 療機器、サービス等を視察し、トルコにおけるそれらの整備事業に日本の知見を活かす ことである。一方日本側にとっては、トルコ保健省高官への本邦技術・ノウハウの紹介 を通して親日化を図り、医療の海外展開政策に則った医療輸出促進を実現することであ る。
このように、本招聘を通して両国のニーズを合わせることが可能であり、トルコ側の 視察希望を満たすとともに、両国の交流を促進するためのセミナー開催や政府関係機関 への表敬訪問等を通して、一層の効果発現を目指した。
② トルコ側の視察希望
本招聘プログラムの検討にあたり、トルコ保健省へのヒアリングを行ったところ、以 下の4点について日本の先進的事例を学びたいとの希望が寄せられた。
①病院PFI事業
②粒子線治療施設(陽子線治療装置)
③スポーツ医学専門施設
④免震施設・設備
トルコ保健省は、現在複数の国立病院をPPPスキームにより整備することを目標とし ており、全国で同時並行的に複数の案件を進めている。しかしながら、すでにトルコに おける病院PPP事業は第一号案件が始まってから7年近くが経過するものの、どの案件 も予定通りの進捗がみられていない。そこで、保健省はすでに 10 年以上の実績を持つ 日本の先進的なPFI病院の経験・ノウハウを参考にすることで、事業の円滑な実施に繋 げたいとのことである。
また、トルコにおいては、ヘルスツーリズムの促進の目的もあり、これら病院PPP事 業において、新たに粒子線治療施設(陽子線治療施設)やスポーツ医療専門施設の整備
を計画している。これらの施設についてはトルコでは導入実績がないため、日本におけ る事例を視察したいとのことである。
免震施設・設備については、トルコは日本と同様に地震多発地域であるため、地震後 も稼働が必須となる一定規模以上の病院には免震装置を導入することが義務付けられる こととなった。日本では 2011 年の東日本大震災を含め、幾多の大地震を経て実証され てきた免震に関する技術やノウハウがあり、トルコ側が高い関心を示している。
③ 期待される効果
上記の視察を通して、トルコ側にとっては前例のない事業に取り組む際に日本の事例 が参考となり、より円滑な事業実施につながることが期待できる。
日本側にとっては、トルコは成長著しい有望な市場であり、日本政府が掲げる医療の 国際展開の政策に沿って日本の医療機器・製品等の進出が期待される国である。そのた め、病院等の視察の際には、日本に優位性のある製品、技術、サービス等も併せて紹介 することで、トルコで日本製品やサービス等が受け入れられやすい土壌をつくることが 期待できる。
さらに、両国への裨益効果を考慮すると、トルコ側と日本側との相互交流を促進する ことで、トルコ側のニーズを共有し、日本側の投資を呼び込むことが可能となる。その ため、招聘プログラムにおいては、トルコの病院PPP事業に関するセミナーを開催し、
トルコ保健省側のニーズの紹介と本邦の経験・ノウハウを共有する機会を設けることで、
より招聘プログラムの効果を高めることが期待できる。
(2) 招聘プログラム
(1)を踏まえ、招聘プログラムとしては以下を検討する。また、それぞれの視察先となる 候補は以下の通りである。
<視察先>
①病院PFI事業
(候補先) 東京都多摩総合医療センター及び小児総合医療センター
②粒子線治療施設(陽子線治療装置)
(候補先) 筑波大学附属病院 陽子線治療センター
③スポーツ医学専門病院
(候補先) 国立スポーツ科学センター
④免震施設・設備
(候補先) ・上記①PFI病院での免震装置の視察
・建設会社の技術研究所(免震装置等の視察)
<セミナー>
トルコ病院PPP事業に関するセミナーの実施 (詳細案)
□参加予定人数 :約100名
□参加対象 :トルコへの投資に関心のある建設会社、商社、金融機関、コンサ ルタント、設計会社、建築・設備機器メーカー、医療機器メーカ ー、ITベンダー、医療関連サービス事業者、等
□プログラム(案):
挨拶 (主催者(JICA)、経済産業省、厚生労働省)
トルコ保健省プレゼンテーション
(トルコの保健医療の状況、病院PPP事業の概要 等)
調査団プレゼンテーション
(日本の病院PFI事業の経験、トルコ病院PPP事業にいかせる日本の技術・ノ ウハウの紹介 等)
質疑応答
(セミナー終了後 講演者との挨拶・名刺交換を行う)
※合計2時間程度
<その他>
表敬訪問先として、トルコ保健省と2014年1月に協力覚書を交わしている厚生労働省、
医療の海外展開政策を進める経済産業省、及び医療の海外展開を実践している一般社団法 人Medical Excellence Japan(MEJ)に訪問する。
(3) 招聘対象メンバー
トルコ保健省 保健投資局 副局長 トルコ保健省 保健投資局 PPP事業部長
トルコ保健省所属 エンジニア (医療機器、運営、施設) 1名ずつ 合計 5名
(4) 招聘行程
表44 招聘スケジュール
1日目 (移動)
2日目 (移動) 日本着
3日目 ・JICA表敬訪問
・病院PFI事業 視察 4日目 (予備日)
5日目 ・スポーツ医学専門施設 視察 6日目 ・省庁等表敬訪問
・セミナー
7日目 ・免震施設・設備研究所 視察
・粒子線治療(陽子線)施設 視察
8日目 (移動)
出典:調査団作成
トルコ病院 PPP 事業に関するセミナー 3-3.
(1) セミナーの経緯と目的
前述のとおり、2015年6月の総選挙及び2015年11月の再総選挙の影響により、トルコ 保健省高官の来日は中止となったが、本邦企業の病院 PPP 事業への関心を高めるために、
病院PPP事業に関するセミナーを以下のプログラムで開催することとした。
(2) セミナープログラム
トルコ病院PPP事業に関するセミナーの実施 (詳細)
□参加予定人数 :約150名
□参加対象 :トルコへの投資に関心のある建設会社、商社、金融機関、コンサ ルタント、設計会社、建築・設備機器メーカー、医療機器メーカ ー、ITベンダー、医療関連サービス事業者、等
□プログラム:
挨拶 (主催者(JICA))
プレゼンテーション①:JICA中東・欧州部欧州課
(トルコ国政治、経済概況 等)
プレゼンテーション②:調査団
(トルコ国の病院PPP事業の状況と参入機会について)
質疑応答
(セミナー終了後 講演者との挨拶・名刺交換を行う)
※合計1.5時間程度
※調査団によるプレゼンテーション資料は、資料編 別添資料3のとおりである。