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トルコ市場への進出状況 2-1.

トルコに進出している本邦企業は、外務省「海外在留邦人数調査統計(平成23年速報版)」

によると、在トルコの本邦企業数は 68 社(本邦企業の支店 14、駐在出張所 16、本邦企業 100%出資現地法人 30、合弁会社 7、日本人が現地で興した会社 1)となっている。本邦企 業の進出地域は、首都アンカラに進出している商社等を除くと、ほぼ全てイスタンブールと その近郊であるマルマラ地域に集中している。近年における主な本邦企業の進出状況は下記 の通りである。

表20 主な本邦企業の進出状況

出典:JETRO、各種報道、国際金融情報センター、MUFG

2012年 2013年

東洋鋼鈑 生産拠点設立を目的に合併会社設立 日立物流 地場企業買収を発表

日経新聞 支局設立 古阿電工 駐在員事務所開設

コニカミノルタ 地場代理店を買収 ブリヂストン 第2工場建設を発表

住友電工 地場合併で切削工具販売法人設立 味の素 地場企業50%買収を発表

日東電工 地場大手メーカーを買収 パナソニック 地場企業買収を発表

富士フイルム 地場企業(デジタルカメラ等販売)買収 テルモ 地場企業買収を発表

日立製作所 支店を設立 三菱東京UFJ銀行 現地法人設立

東レインターナショナル 事務所設立 カゴメ 種苗会社(マイノリティ出資先)を連結化

日清食品 地場合併で即席麺生産拠点設立 日本電産 駐在員事務所設立

郵船ロジスティックス 現地法人設立 2014年

NTTデータ 地場ITベンダー買収 Sysmex 現地法人設立

オーエスジー 販売拠点設立報道 日清製粉 合併会社設立

大塚製薬 地場合併での販売拠点設立 リコー 代理店買収

住友ゴム工業 地場合併でのタイヤ生産拠点設立 三菱電機 地場企業買収を発表

ホシザキ電機 地場合併での業務用冷蔵庫販売拠点設立 三菱重工 出資比率50%のJV設立(天然ガス焚き発電)

KDDI 支店設立 プロテックエンジニアリング 駐在員事務所設立

三菱電機 100%出資の現地法人設立 DIC 生産拠点設立を発表

2013年 神栄 駐在員事務所設立

東芝メディカルシステムズ 地場販売代理店買収 東洋インキ 駐在員事務所設立(現地法人化)

ミルボン 駐在員事務所設立 三菱マテリアル 駐在員事務所設立

理研ビタミン 駐在員事務所設立 丸紅 コマツ販売合併会社設立

JFE商事 駐在員事務所設立 前田建設 合併会社設立

三菱電機 地場販売代理店買収 日経BP 地場企業80%買収

日立国際電気 生産現地法人設立 SCS国際コンサルティング 現地法人設立

大林組 駐在員事務所開設 興和 現地法人設立

東洋炭素 生産拠点設立 三井造船 合併会社設立

安川電機 販売現法設立 ユニクロ 駐在員事務所設立

稲畑産業 駐在員事務所設立 デンソー 地場企業50%を買収

ヤマハ 支店設立 日本ハム 地場企業60%買収を発表

東芝 現地法人稼動を発表

(1) 本邦企業にとってのトルコでのビジネスチャンスと留意点

三菱東京UFJ銀行作成の「トルコ経済と投資環境について」という資料によると、販売、

生産、地域のハブ拠点とさまざまに活用できるのがトルコの強みであり、日本からの直接 投資は近年急速に拡大しているとされる。2014 年のトルコの貿易収支をみると、輸入が約 2400 億 USD を超え、中東地域ではアラブ首長国連邦に次ぐ規模である。対内直接投資は 1200億 USDを超えており、活発な経済活動が行われていることがうかがえる。実質 GDP 成長率も、2009年のリーマンショックの影響による一時的なマイナス成長はあったが、2000 年以降高成長を続けており、ここ数年も3%前後で安定している。

その他、本邦企業がトルコへ進出するにあたっての特徴的なビジネスチャンスについて は、下記のような点があげられる。また、文化の違いなどから、いくつか留意すべき点も ある。

① 販売拠点としてのビジネスチャンス

・ 政治的安定と経済成長を両立している。

・ CEマーク、ISO等のEUのスタンダードが積極的に導入され、法体系が確立され つつある。

・ 人口の年齢の中央値が約 30 歳のため人口が増加傾向であり、且つ所得水準が高 い(1人当たりGDP1万ドル)ために消費意欲が強い。

・ 農業、自動車、サービス業等の多岐にわたる産業が集積しており、投資意欲が強 い。

・ トルコの国内企業は高度な部品・材料を生産することができないため、本邦企業 にとって設備機械等の販売のチャンスがある。

・ インフラ(空港、橋、鉄道、道路、発電、港湾、病院等)需要が増大傾向にある。

・ 生産拠点としてのビジネスチャンスがある。

・ コスト(人件費、家賃等)が安く、生産費用を抑えることができる。

・ 勤勉で質の良い労働者が多く、製造業に向いている。

・ 民間の組織化工業団地(OIZ)により、トルコ国内で製品やサービス生産を行う 企業に対して、必要なインフラ施設や供用可能設備が提供される。

・ ビジネスに有利な税制が整っており、投資インセンティブに繋がっている。

・ トルコの戦略的な立地により、デリバリータイムを節約できる。

・ 日本-トルコ間で FTA を締結しており、関税等の税金が優遇されるため、貿易 取引で有利である。

・ トルコ人に親日家が多く、日本ブランドへ強い信頼を寄せている。

② 地域のハブ拠点としてのビジネスチャンス

・ トルコは多角的な平和外交である「ゼロ・プロブレム外交」を掲げ、近隣国と友 好関係にある。

・ 文化・宗教的に欧米やイスラム諸国との接点がある。

・ 欧州との時差・移動時間の短さに加え、トルコ航空の定期便運航国数は世界最多 の108国であり、拠点としての利便性が高い。

③ ビジネス上の留意点

・ 独自の文化・習慣があり、理解するためには人脈が必要である。一方、有能なト ルコ人をパートナーにできれば、周辺国でのビジネスも有利になる。

・ 財閥の影響力が大きいため、ビジネスで成功するためにはトルコの財閥との協力 体制の構築が重要である。

・ 事業におけるコスト増加要因になり得るため、製品、原材料輸入関税の他、財源 使用税に注意する必要がある。

(2) 本邦企業のトルコ病院における事業実績

本邦企業でのこれまでのトルコの病院での事業実績としては、医療機器や設備の販売・

維持管理が挙げられる。本邦の大手医療機器メーカー各社が代理店や支社を通じてトルコ へ進出している。近年の大型事業の例としては、東芝メディカル株式会社が2013年にトル コに支社を設立し、保健省よりCT装置50台を一手に受注するなどの例がある。また、富 士フイルムが2014年、2015年各年で公立病院の40台以上のマンモグラフィー一括受注と いう実績もある。しかしながら、一般的にはトルコへ進出している医療機器メーカーは、

高価でハイスペックな機材の購入を進める私立病院での販売実績が多い傾向にあり、低価 格を重視する国公立病院では価格競争が激しく比較的参入が難しいことが課題である。

(3) 本邦企業の病院 PPP 事業への参画状況

これまでに病院PPP 事業へ実質的な参画を果たした本邦企業は、調査団が確認している 範囲においては、コンサルタントとして2案件(Ankara Etlik Integrated Health Campus案件、

Istanbul Ikitelli Integrated Health Campus案件)に参画しているアイテック以外にはない。

ヒアリングでは、本邦の医療機器メーカー・代理店へ、落札社決定済み案件の事業者よ り機器見積の引き合いが来ているが、現状契約段階まで至っている案件はなく、現時点で 具体的な事業参画はできていない。またSPVとして病院PPP事業へ参画した本邦企業は、

調査時点では1社もないことが分かっている。

これまでの参画に向けた取り組み 2-2.

(1) 入札公示前の参画

本件への取り組みは、2010年11月の日ト首脳会談において、トルコ国首相より日本国総 理に協力が要請されたことを契機としている。アイテックは、病院 PPP 事業への本邦企業 群の参画の可能性を測るため、2011年2月に独自に現地調査を実施した後、平成23~25年 度に経済産業省「日本の医療機器・サービスの海外展開に関する調査事業」として、環境 調査ならびに現地実証調査を実施した6。この3年度にわたる調査を通し当事業のスキーム

6 これらの報告書は、以下のURLより参照が可能である。

「平成23年度調査報告書」

調査、保健省へのアプローチ、医学・医療交流の促進等を行ってきた。

出典:調査団作成 図26 病院PPP事業におけるアイテックの事業経緯

これらの4年間にわたる活動を通して、本邦企業群がSPVとして進出する基盤づくりの 為の情報収集・分析や、本邦企業群が組むローカルパートナーの探索等を行ってきた。ま た、日本の医療が受け入れられやすい基盤づくりのために、保健省に対して日本の技術・

ノウハウに対する理解促進や、医学医療交流の促進等を図ってきた。

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kokusaika/downloadfiles/fy23/outbound_07.pdf

「平成24年度調査報告書」

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kokusaika/downloadfiles/fy24/outbound_11.pdf

「平成25年度調査報告書」

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kokusaika/downloadfiles/fy25kobetsu/outbound_18.pdf