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病院運営の確実性 2-1.

日本の各企業がこれまでに培ってきた医療関連サービスは、医療産業の市場拡大の期待と 共に国内の医療発展に寄与するに留まらず、トルコにおける現地医療の質の向上に寄与する 可能性は高い。

トルコの病院運営に日本式の運営システムを導入し確実に運営を行う可能性については、

日本式システムを現地に提供し運営展開する際に、現行において障壁となることが想定され る法規制や慣習等を十分に把握し、事業収支見込みの推定ほか、ターゲット案件ごとに事業 成立要件を明らかにし、その事業性について評価する必要がある。

なお、医療関連サービス事業の確実性については、日本国内及びトルコの現地におけるパ ートナー(運営サービス事業者)の存在や展開する事業の収益性、当該事業が日本とトルコ 双方にもたらす社会的インパクトといったものも要素になると考えられる。

以上の要素からは、ターゲット案件を選定するに際しては、比較的大きな市場を持ち、情 報が集まり、社会的インパクトを大きく与えることが可能な大都市、もしくはその近郊の案 件をターゲットとすることが望ましいといえる。

選定評価としては、経済・産業が発展しており、インフラ・物流が整備され、人口が多い 地域を高評価とする。

日本製医療機器、病院情報システム導入の可能性 2-2.

(1) 日本製医療機器導入の可能性

医療機器の導入においてはメンテナンス性が最も重視されるポイントである。特に病院 PPP事業では、比較的水準の高いメンテナンス対応が事業者に要求されており、迅速な対応 が必要となる。そのため、ターゲット案件の選定に際しては、医療機器メーカーの代理店 ないしは修理拠点等のアフターサービスポイントとのアクセスが容易な地域を選定するこ とが有効である。

現状としては、日本製医療機器の取り扱いがある代理店等はほとんどがイスタンブール ないしはアンカラに所在している。また、メンテナンスセンターも地域の主要都市を中心 に展開していることが確認されている。現状においては、人口が多く、地域の主要都市と されている都市の計画が、ターゲット案件として適当であると考えられる。

(2) 病院情報システム導入の可能性

病院情報システムの基幹システムとなるソフトウェアについては、本邦企業がトルコ国 内でシステム販売をするために参入することは非常に難しいことから、本邦企業参画の方 法としては、トルコ国内企業への技術供与(クリニカルパス等)、もしくは、日本の最先 端システム(早期がんシステム等)の販売が考えられる。

したがって、トルコ国内企業と協業できるかどうかが、本邦企業参画のポイントの 1 つ となることから、価格競争が厳しいトルコ国内では、比較的規模が大きな1000床以上の案 件が金額も大きくなり、本邦企業にとってメリットが大きいと思われる。

上記(1)、(2)を踏まえ、選定評価としては、経済・産業が発展しており、インフラ・

物流が整備され、人口が多い地域ならびに規模の比較的大きい案件を高評価とする。

医療施設の有効活用性 2-3.

地域に裨益効果をもたらすためには人口が多いことも1つの要因となる。大都市になれば なるほど近代的な大型病院が都市部に整備されることによる裨益効果は大きい。また、老齢 人口率が低いことも地域の活動が活発であるための1つの要素となる。さらに、各種産業が 集まり産業集積が進んでいる地域は企業間の連携がとりやすく本邦企業の進出にも有利であ り、委託業務も支援が受けやすい。上記のような視点にて案件を選定する必要がある。

新たに計画する各病院は、変化、進歩するテクノロジーに適合した医療機器及び設備のた めの適切なスペースを確保し、手術室、集中治療室、救急、研究室、画像センター、診療室 等、特殊サービスユニット等に設備面や十分なスペースを計画することになっているが、一 般的に最近のトルコの病院は十分なスペースが確保されており、PPP での計画病院は、全て の病室を個室または2人部屋とすることが定められている。また、病室内にトイレと浴室、

冷蔵庫、食事台、付添用ソファー等のある「特殊病床」として基準化されており、このスペ ースの有効利用、例えば、災害時のスペースの転用や病室の病床数の増床等において日本は 経験的に優れたノウハウを有しているので、日本の企業の設計施工でそのノウハウの活用が 見込まれる。また、不要なスペースを節約し、イニシャルコスト、ランニングコストともに 下げることが可能である。最新テクノロジーが利用され、トルコの病院での日帰り手術等の 治療サービスにおける新たな概念等にも病院施設計画面で日本の経験をいかすことができる。

このためには、計画病院が多機能で大型になるほどその効果は発揮されやすい。

選定評価としては、経済・産業が発展しており、人口が多い地域、ならびに規模の比較的 大きい案件を高評価とする。

立地特性(経済、将来人口、周辺病院、病院の位置付け、災害等のリスク)

2-4.

(1) 政情

2015年6月の総選挙において、2003年より10年以上にわたって安定政権を維持してき た公正発展党(AKP)の議席が半数を割るという結果になった。AKP 単独での内閣組成は 不可能となったため、各党が連立政権の樹立に向けて交渉を重ねたが、期間内に合意に至 らなかった結果、2015年11月1日に再び総選挙が実施されることとなった。結果第1党と

なった AKP は 49.5%の得票率で過半数を超える議席を獲得した。第 2 党には共和人民党

(CHP)が入り、第 3 党には民族主義者行動党(MHP)と人民民主党(HDP)が同数で勢 力を持つこととなった。これを受け、同年11月末に、再びエルドアン大統領から首班指名 を受けたダヴトオール首相による新内閣が組閣された。

以上の経緯を踏まえ、現時点で政情が病院PPP 事業へ与える影響について評価すると、

度重なる選挙や、選挙後の調整の影響を受け事業全体の進捗に遅れが生じる恐れはあるも のの、病院 PPP 事業は国家事業としてエルドアン大統領の下進められており、影響は限定 的であるとみられる。なお、対象となる未公示案件の位置するイスタンブール、アンタル

ヤ、オルドゥ、カハラマンマラシュ、ブルサ、バルトゥンの6県は第1党のAKPの勢力圏 であり、病院 PPP 事業への影響はさらに少ないとみられるが、ディヤルバクルはクルド系 のHDPが第1党となり、過去の政策の見直しが行われる可能性も否定できず、今後注意す る必要がある。

以上を踏まえ、選定評価としては政権与党が勢力を維持しており政情が安定している地 域を高評価とする。

■:共和人民党(CHP) ■:人民民主党(HDP)

■:公正発展党(AKP) ■:民族主義者行動党(MHP)

出典:Seçim.Haberler.com 「2015年11月1日トルコ総選挙の結果」

図47 地域別政党勢力分布状況(2015年11月再総選挙結果)

(2) 治安

以下の図の通り、外務省の海外安全ウェブサイトによると、シリアとの国境周辺である トルコ南東地域は退避勧告、渡航延期勧告地域であり、この地域は本調査においても調査 が困難であり、本邦企業の進出には障害となる可能性が非常に高いことから、ターゲット 案件の対象から除外する。

選定評価としては、治安の良好な地域を高評価とする。

出典:外務省 海外安全ウェブサイト16 図48 外務省海外安全ウェブサイトによるトルコの危険地域

(3) 経済・産業

下図において緑色で示した14の県では、先進国と同等若しくはそれ以上の経済水準に達 している。青色で示した40の県は1人当たりの所得が17,000ドル以上に経済が成長しない

「中進国の罠」に陥る可能性のある地域であり、赤色で示した27の県は貧困線以下の経済 水準に留まっている。現地の主要な企業の本社は経済水準の高いエリアを中心に活動して おり、また、本邦企業が進出しているのもこの地域であることから、本邦企業、現地企業 ともに支援を受けるためにはこの地域を中心に案件を選定することが望ましい。

出典:Daily News ウェブサイトより作成

図49 トルコ国内の経済格差

なお、トルコでは、投資先の地域を 6 つのリージョンに分け、それぞれについて投資奨

16 2015105日 更新情報

励業種を設定するとともに、インセンティブを提供している。インセンティブは、下図で リージョン番号が大きくなるほど手厚くなる。この基準は産業発展の進み具合により決め られている。マルマラ地方やエーゲ地方ではインセンティブは低いが産業集積が進んでい ることを示している。東部及び南東部アナトリア地方ではインセンティブが手厚くなるが、

産業発展が遅れていることを示している。イスタンブール、ブルサ、アンタルヤは最も産 業集積が進んでいる。

出典:トルコ投資促進機関(ISPAT)資料 図50 トルコの投資地域のリージョン区分

以上を踏まえ、選定評価としては、経済・産業が発展している地域を高評価とする。

(4) 基幹インフラ・物流

① 空港

トルコには34の国際空港と18の国内空港、計52空港が設置されており、イスタンブ ールやアンカラ、アンタルヤなどの大都市をハブとしてトルコ国内外各地に航空路線が 就航している。イスタンブールでは第3空港の整備計画がある。

② 道路

トルコでは全国的に道路網が整備されているが、高速道路についてはイスタンブール

-アンカラ間及びアダナ―シャンルウルファ間、イズミール近郊の一部のみに留まって

いる。2023年までに5,300kmの高速道路を整備する計画があるが、イスタンブール、ア

ンカラ、イズミール等の大都市へつながることになる。

③ 港湾

トルコにおける港湾施設は、黒海、エーゲ海、地中海、マルマラ海に面したほとんど の都市にあるが、コンテナターミナルは、未公示案件の位置する県ではイスタンブール 港、ブルサのゲムリック港、アンタルヤ港があり、将来的には港湾隣接の鉄道駅も設置