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PFI(Private Finance Initiative)とは、従来とは異なる公共事業の実施手法の一つで、民間の資 金、経営能力及び技術的能力を活用することにより、効率的かつ効果的な社会資本の整備を図 ることを目的としたものである。

PFIにはいくつかの類型があり、庁舎や学校などいわゆる「箱モノ型PFI」と呼ばれる事業で は、施設整備とその維持管理のみを事業範囲とする。一方、病院 PFI事業の多くは、施設整備 とその維持管理だけでなく、検体検査や給食などの専門性の高い役務提供サービスを含む「運 営型PFI」である。ただし、医療施設は医療法、医師法、薬事法等の法令の適用を受けるため、

コア業務である診療・治療行為は開設者である公共側の責任のもと行われなければならず、民 間事業者に委ねることはできない。すなわち、医療サービスの提供や経営権は公共側にあり、

民間事業者はあくまで周辺業務に限定してサービスを提供し、その対価の支払いを公共側から 受けるという点が病院PFI事業の特徴である。

従来型病院事業との違い 1-1.

下図は、従来型の病院整備事業とPFIによる病院整備事業の違いを示したものである。

病院PFI事業は、民間事業者に施設の設計・施工から長期にわたる運営までを一体的に発 注する事業方式であり、施設整備のための資金調達も民間事業者が実施する。また発注にあ たっては、業務の体制や手段を詳細に定めた従来の仕様発注ではなく、提供されるサービス の性能や質を規定した性能発注方式を採る。これにより、公共側の財政負担の軽減、民間の 創意工夫による施設整備・サービス提供における費用縮減、サービス品質向上といった効果 を期待するものである。

出典:調査団作成 図19 従来型病院事業とPFI病院事業の比較

期待される導入効果 1-2.

病院PFI事業の導入によって、次の3点が効果として期待されている。

 性能発注による民間の創意工夫の発揮

 包括委託による業務の効率化、委託費用の適正化

 長期契約によるスケールメリット及び民間事業者の業務改善努力の誘発

これらの効果が発揮されることによって、財政負担の削減、業務の効率化、サービスの向 上といったメリットを享受できることになる。ただしその効果を十分に発揮するためには、

事業実施において、下図に示す①~⑤の要素が実現されていることが必要である。以下の項 では、このうち「業務監視(モニタリング)」、「BPR」、「VFM」について詳述する。

出典:調査団作成 図20 PFI導入による効果発揮の要素

(1) 業務監視(モニタリング)

病院PFI事業では、15~30年にわたる長期の運営期間を業務契約に含むこと、また性能 発注によることから、民間事業者のサービスが適正に提供されているか、要求した性能が 実際に発揮されているかについて、管理者である公共側が監視する必要がある。これをモ ニタリングという。

モニタリングは発注時の要求水準に規定された項目に従って行われ、モニタリング結果 と連動してサービス対価の減額あるいは増額が可能なシステムとする。これにより、民間 事業者のモラルハザード防止策やサービス向上のインセンティブとする狙いである。

このモニタリングというシステムは、公共が自ら業務を実施する従来の公共事業と異な り、サービスの提供者と監視者を分離することで適正なサービス水準の担保を可能とする マネジメントであり、病院PFIにおける重要な要素である。

モニタリングでは、民間事業者による日常モニタリングと、公共側による定期モニタリ ングが実施される。日常モニタリングでは、民間事業者のサービスについて、日々の業務 の実施状況を記録・把握し、重大・深刻な問題のないことを確認する。定期モニタリング は月 1 回程度実施し、民間事業者による日常モニタリングの結果を集計・総括し、提供さ

れたサービスが要求水準を満たしているかを評価する。満たしていないと認められる場合 には、サービス対価の減額を行うかどうかを判断する。その他、第三者による患者満足度 調査、職員満足度調査などの随時モニタリングを実施し、事業に対する評価を行う。

(2) BPR(Business Process Re-engineering)

BPR (Business Process Re-engineering) とは、業務の内容や流れを分析し最適化するこ とである。単なる業務改善ではなく、業務全体のプロセスや組織体制、権限等を抜本的に 見直し、再構築することにより、業務の付加価値向上を目指す改革である。

病院PFI事業におけるBPRでは、SPVが担う病院運営に係る様々な業務をグルーピング し、業務グループごとに一括して事業者に委託するという方式を採る。これにより、病院 側が個別の業務ごとに委託を行っていた従来の方式とは違い、各業務の効率化と費用の適 正化、隙間業務(委託業務間の抜け・漏れ)の解消、サービス品質の向上といった効果を 生む。このグルーピングをいかに効果的に行い、業務プロセスの最適化を達成するかが、

PFI導入によるメリット創出のポイントである。

出典:調査団作成 図21 病院PFIにおけるBPR

(3) VFM (Value for Money)

VFM (Value for Money)とは、費用(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value) を供給するという考え方である。公共側が自ら事業を実施した場合と同じ水準のサービス が、PFIによってより低い費用で実現すると期待される場合、PFIによるVFM があること になる。また同じ費用が見込まれるとしても、サービス水準の向上が期待される場合にも VFMがあると判断される。PFIはVFMの最大化を目的とするものであり、その目的のため に、民間事業者の経営ノウハウ・リスク管理能力・技術力・運営ノウハウ・資金調達能力 等を最大限活用し、公共事業の効率性を高め公共サービスの質の向上を図ることが目指さ れている。コストの縮減はもちろんのこと、サービスの質も同時に重視されているのが注 目すべき点である。

PFI導入の判断にあたり、PFIによってどの程度の VFMが生み出されるのかについて、

定量的なメリットを試算する必要がある4。VFMの数値が大きいほどPFI導入によるメリッ トが高いと判断される。SPV が緊密な協力体制のもとで公共事業の効率的な運営とコスト 縮減に取り組んでいくことがPFI事業の成功の大きな鍵といえる。

出典:調査団作成 図22 VFM算出のイメージ

4VFM」の概念、計算の前提条件や計算方法について:「VFMValue For Money)に関するガイドライン(平成13年1月22 日(平成19年6月29日改定) 内閣府)」・「国土交通省所管事業を対象としたVFM(バリュー・フォー・マネー)簡易シミュレーショ ン(平成1512 国土交通省)」を参照。