の即時的な 震源決定
火山性地震の即時的な震源決定
平成22年度科学技術振興調整費「重要政策課題への機動的対応の推進」課題(成果速報)
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防災科学技術研究所
ア.目的
地震波の到着時刻に基づく震源決定が困難である低周波地震や微動などの火山性地震について、
最近開発された高周波(5-10 Hz)の地震波振幅を用いた手法を用いて、即時的かつ自動的に震源決定 を行い、霧島火山の活動の状況を把握することを本研究の目的とする。
イ.データと解析手法
本研究では、霧島火山を取り囲むように分布する防災科研の霧島山万膳(KRMV)・霧島夷守台
(KRHV)・都城北(MJNH)と気象庁の霧島山高千穂河原(KITK)の高感度地震計のデータを利用した
(図 1-7-1)。震源決定には、Kumagai et al. (JGR, doi:10.1029/2009JB006889, 2010) による高周波の地 震波振幅を用いた手法を用いた。この手法では、サイトの増幅特性の補正を施した 5-10 Hz の周波数帯 の振幅に、S 波の等方輻射を仮定してフィティングを行い、空間のグリッドサーチにより最小残差点として 震源を決定する。5-10 Hz の周波数帯では、火山の不均質性による地震波の散乱により輻射分布が崩 れ、等方的な振幅分布になると解釈されている。サイトの増幅特性は、霧島火山周辺で発生した構造性 地震のコーダ波を用いて推定した。
ウ.解析結果
図 1-7-2 に、1 月 31 日 18 時 47 分に発生した低周波地震の波形を示した。図 1-7-3 に震源決定の結 果を示した。震源決定には、30 秒のタイムウインドウを用いて 5-10 Hz の平均振幅を用いた。震源は海 抜下約 5 km に決まった。この位置は、KRMV 観測点の波形の S-P 時間や、KITK と KRMV 観測点の初 動の到着時間差(図 1-7-2)と整合的である。
噴火に伴う地震と微動については、4 秒 のタイムウインドウを連続的に動かしながら、震源決定を行っ た。爆発的噴火に伴う地震(図 1-7-4)の震源は、概ね海抜下約 5 km までに決まった(図 1-7-5)。一方、
微動は、その震源が火口直下に決まるものと、海抜下約 8 km までの深部に決まるものとがあることが分 かった(図 1-7-6)。
エ.自動震源決定システムの構築
この震源決定手法を自動化し、ウェブにより閲覧できるシステムを構築した。上記観測点の連続波形を 常時チェックし、振幅に基づくトリガーを行う。比較的大きなイベントについて高周波振幅を用いた震源決 定を行い、その結果を観測波形・スペクトル・パーティクルモーションとともにウェブに自動的に掲載してい る(図 1-7-7)。ウェブ掲載までにかかる時間はイベント発生から数分以内である。このウェブサイトは火山 噴火予知連絡委員に公開している。
謝辞 本研究には、気象庁の霧島山高千穂河原観測点の波形データと国土地理院発行の「数値地図 50m メッシュ(標高)」を使用した。
図 1-7-1 観測点位置
図 1-7-2 (a) 2011 年 1 月 31 日に発生した低周波地震の波形。(b) 同地震の立ち上がり部分の拡大図と初動 の時刻差および SP 時刻から推定される KRMV と KITK の震源距離差(3.9 km)と KRMV の震源距離(10.0
図 1-7-3 低周波地震(図1-7-2)の高周波振幅(5-10 Hz)を用いた震源決定の結果。左図の色は残差分布、
右図の丸が最小残差点を示す。右図の観測点名の下の数字は各観測点の震源距離。
図 1-7-4 KRMV で観測された 2011 年 1 月 27 日から 2 月 3 日までの爆発的噴火に伴う地震波形。
図 1-7-5 爆発的噴火に伴う地震(図1-7-4)の高周波振幅(5-10 Hz)を用いた震源決定の結果。丸は震源位 置と初期振幅の大きさを示す。
図 1-7-6 2011 年 1 月 19 日から 2 月 7 日までに発生した微動(左)とその高周波(5-10 Hz)の振幅を用いた 震源決定の結果(右)。右図の丸は震源位置とその初期振幅の大きさを示す。
図 1-7-7 自動的に推定された震源決定結果を表示するウェブ。