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火山灰の放出・拡散状況を把握し、レーダーデータとの比較検証、火山灰輸送シミュレーションの初期 値として利用可能なデータを取得するため噴煙の映像観測を実施するとともに、降灰調査を実施した。映 像観測では霧島山新燃岳南方 7.6 km の地点(図 2-3-1 の■)より赤外線カメラ、デジタルカメラ(2 台。

Canon EOS 60D 、 Canon EOS Kiss X4 な ど ) お よ び ハ イ ビ ジ ョ ン ビ デ オ カ メ ラ ( 2 台 。 Panasonic HDC-TM750 など)を用い、噴煙の全体像及び噴出直後の状況のクローズアップ映像を取得した。観測 期間は 1 月 29 日より 3 月 30 日まで(気象庁試験研究費による観測期間を含む)であり、可視映像につい ては 3 月 13 日の一部期間を除き、ほぼ連続的にデータを取得した。ビデオ映像は火口付近の拡大映像 を秒 30 フレームで、噴煙の拡散状況を見るための広角画像は秒 1 フレームで収集した。デジタルカメラ および赤外画像については 15 秒あるいは 30 秒毎のインターバル撮影を行った。降灰調査では定点(図 2-3-1 の●)における降灰トラップとともに降灰中に 5~10 分程度の高時間間隔で直接採取も行った。

多量の画像データを概観するためのインデックスデータを作成することで、解析に適した映像データを 容易に抽出することが可能となった(図2-3-2)。また、噴煙の噴出状況や拡散状況を概観するため、「時 間軸画像」を作成した(図2-3-3)。

噴煙の上昇形態を解析し、爆発噴煙は噴出直後加速しながら上昇するが、ある程度上昇すると減速に 転じること、ブルカノ式の爆発噴煙でも複合的な構造を伴い部分ごとにかなり異なる上昇速度となる場合 があることが分かった(図2-3-5)。

降灰の高時間間隔の直接採取によって、火口から7~10km離れた地点においては、噴火開始後20~

30分後に降灰が開始することが分かった。図2-3-6に2月18日噴火の例を示す。

図 2-3-1 新燃岳における映像観測点、降灰観測点位置

図 2-3-2 新燃岳可視映像観測インデックス(観測期間:2011 年 1 月 29 日~3 月 30 日)

図 2-3-3 3 月 13 日 17 時 45 分噴火の「時間軸画像」

下段①~③の画像は上図の①~③の位置における画像を切り出し右方向につなぎ合わせて作成している。

噴煙の上昇過程や降灰状況を概観することができる。

図 2-3-4 3 月 13 日 17 時 45 分噴火噴煙

② ③

図 2-3-5 3 月 13 日 17 時 45 分噴火噴煙の成長過程(●)と上昇速度(▲)の時間変化

図 2-3-4 の解析結果、plume 2 は plume 1 の後から噴出した噴煙で、plume 1 を追い越して成長を続けている。

図 2-3-6 2 月 18 日 18 時 16 分の爆発的噴火による降灰 a)単位面積当たりの降灰重量分布([g/m2])。

b) a)図の■地点(新燃岳の南 7.5km)での降灰連続採取による降灰量単位時間、単位面積あたりの降灰重量

([g/m2/min])の時間変化。降灰開始前から翌 19 日 15 時までに 116 g/m2の降灰が観測された。最初の降灰 は 18 時 16 分噴火開始から 23 分後の 18 時 39 分に確認しており、19 時 08 分までの 29 分間にその 99 %以 上が堆積している。

平成23 年霧島山新燃岳噴火に関する緊急調査研究 平成23 年霧島山新燃岳噴火に関する緊急調査研究

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