ーを用いた 噴煙高度 観測
気象レーダーを用いた噴煙高度観測
平成22年度科学技術振興調整費「重要政策課題への機動的対応の推進」課題(成果速報)
2-7b
気象庁気象研究所
2011 年 1 月 26 日から 3 月 31 日までに発生した新燃岳噴火を対象として、気象レーダーにより観測さ れた噴煙エコーデータの分析を行った。その結果、噴煙高度の細かな時間変化が観測できることを確認 した。
ア.気象レーダーの概要
噴煙高度の調査には、気象庁の種子島気象ドップラーレーダー(新燃岳の南141 km、以下種子島レ ーダー)及び福岡気象ドップラーレーダー(新燃岳の北北西176 km、以下福岡レーダー)並びに鹿児島 空港気象ドップラーレーダー(新燃岳の南西20 km、以下鹿児島空港レーダー)のデータを使用した。新 燃岳と各レーダーサイトの位置関係を図2-7b-1に示す。各レーダーは主に降水観測を目的として運用し ており、いずれもCバンド(波長5.6 cm)を利用している。各レーダーの観測仰角と観測高度の関係を図 2-7b-2に示す。噴煙エコーが観測された最高仰角は、種子島レーダーが2.5°(新燃岳上空におけるビ ーム中心海抜7.6 km、垂直ビーム幅の広がり約2600 m)、福岡レーダーが1.9°(同8.7 km、約3100 m)、
鹿児島空港レーダーの空域モードが17.4°(同6.4 km、210 m)、悪天時に運用される飛行場モードが 12.5°(同4.7 km、214 m)であった。ただし、福岡レーダーの観測仰角1.2°、2.8°と6.5°以上は150 km レンジによる観測のみのため、新燃岳の噴煙は探知範囲外である。
時間変化は、種子島・福岡合成レーダーで観測された火山灰雲全体の噴煙エコーデータを10分毎に 分析し、観測時刻の近い鹿児島空港レーダーデータと比較検証した。
イ.気象レーダーによる噴煙高度の時間変化
1月26日から3月31日までの種子島・福岡合成レーダーによる噴煙高度(エコー頂高度)と反射因子(最 大エコー強度)の時間変化を図2-7b-3に示す。この期間、最初の噴煙エコーは、26日07時31分にごく小 規模な噴火が発生し中規模噴火になった15時から見え始め、継続的に27日05時まで観測された(一例を 図2-7b-4に示す)。その後、27日15時41分の1回目の爆発的噴火に伴う噴煙エコーが18時頃まで確認さ れた。28日02時10分から再び見え始めた噴煙エコーは、04時20分以降29日00時まで新燃岳周辺に弱い 降水エコーがかかっていたため不明になった。ただし、28日12時47分の2回目の爆発的噴火は検知され た。29日08時40分を最後に連続的な噴煙エコーは観測されなくなり、2月1日07時54分の4回目の爆発的 噴火以降は散発的な噴煙エコーが3月23日08時23分の噴火まで捉えられた。期間内に発生した13回の 爆発的噴火のうち、10回で噴煙エコーを検出できた。
ウ.空港レーダーによる噴煙高度との比較検証
種子島・福岡合成レーダーによる噴煙高度の観測精度を評価するために、新燃岳に近接の鹿児島空 港レーダーによる噴煙高度と比較した結果を図2-7b-5に示す。連続的な噴火が観測された期間に当た る1月26日15時から28日06時は、種子島・福岡合成レーダーの方がやや高めに出ているがその差異は各 レーダーのビーム幅の広がりに収まっており、細かな時間変化の傾向はよく合っていた(後出の図2-9-2 参照)。その後の散発的な噴火に対しては系統的な差異は見られず、各レーダーの走査頻度の違いに 関係していると考えられる。反射因子のしきい値など各レーダー固有の設定値も考慮すると、種子島・福
岡合成レーダーと鹿児島空港レーダーで観測された噴煙高度は概ね整合的であった。
謝 辞
気象レーダーの解析には田中恵信氏・鈴木 修氏・山内 洋氏により気象研究所で開発・改良された
「Draft」を使用しました。
図
2-7b-1
レーダー配置図。●は北から福岡レーダー、鹿児島空港レーダー及び種子島レーダーの位置、同心円は各レーダーを中心とする
20 km
毎の等距離線を示す。▲は新燃岳。図
2-7b-2
種子島(左上)、福岡(右上)、鹿児島空港レーダーの空域モード(左下)と飛行場モード(右下)の観測仰角と観測高度の関係。赤線は噴煙エコーが観測された仰角。
図
2-7b-3
種子島・福岡合成レーダーによる新燃岳の火山灰雲全体の噴煙高度(上)と反射因子(下)の 時間変化(2011年1
月26
日~3月31
日)。上図に示した赤印は爆発的噴火、点線は新燃岳の火口 標高(1421 m
)。22:10 22:20 22:30 22:40 22:50 23:00
23:10 23:20 23:30 23:40 23:50 00:00
00:10 00:20 00:30 00:40 00:50 01:00
01:10 01:20 01:30 01:40 01:50 02:00
02:10 02:20 02:30 02:40 02:50 03:00
03:10 03:20 03:30 03:40 03:50 04:00
04:10 04:20 04:30 04:40 04:50 05:00
B
図
2-7b-4(a)
種子島・福岡合成レーダーで観測された新燃岳の噴煙エコーの一例(2011
年1
月26
日21
時10
分~27日05
時00
分)。2 km定高度水平断面図21:10 21:20 21:30 21:40 21:50 22:00
22:10 22:20 22:30 22:40 22:50 23:00
23:10 23:20 23:30 23:40 23:50 00:00
00:10 00:20 00:30 00:40 00:50 01:00
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04:10 04:20 04:30 04:40 04:50 05:00
5km asl 10km asl
A B
図
2-7b-4(b) A-B
間鉛直断面図図