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第 8 章 DC, 競争優位と組織のライフサイクルとの関係検証

5. ディスカッション

前節では, 長安のケース・スタディを通じて, 長安汽車の発展段階にともない, 当社の 社会ネットワークの諸特性がDCに与える影響おおび影響を与える過程に焦点を当てて考 察してきた。本節では, 前節までの内容を踏まえながら, 本章に設定した二つの問に答え る。

5.1 社会ネットワークの諸特性とDCとの関係に関する検証

まず第5章におけるリサーチ・クエスチョン2の「中国の製造業において社会ネットワ ークはDCの形成・変化にどのような影響を与えるのか」に関する仮説の検証について論 述する。

本章の4.1の考察より, 長安の発展とともに, 社会ネットワークの3つの次元が徐々に強 化されてきたことが分かった。そして本章の4.2の考察より, 社会ネットワークのこの変 化が, DCの各次元向上に寄与していることが分かった。この結果は「社会ネットワーク の三つの特性(強度, 異質性, 中心性)はそれぞれDCの四つの次元に正の影響を与え る」という仮説を確証するものである。

5.2 社会ネットワークの諸特性がDCの形成・変化に影響を与える過程に関する分 析

続いて, 「中国の外資依存型の製造業において,社会ネットワークはどのような過程を 経てDCに影響を与えているのか」という問い(リサーチ・クエスチョン3)について検 討する。

長安のケースから得られた結果を中国の外資依存型の製造業全体へと一般化するなら, 中国の外資依存型の製造業企業はまず, 提携間の人的交流頻度の増加, 社員の努力による 信頼関係の強化, 交換資源の範囲増加により社会ネットワークの強度を増大させることが できる。

また企業は異なる性質, 事業を持つ組織との提携の強化を通じて社会ネットワークの異 質性を向上させることができるた。

そして提携における自社の仕事担当範囲の拡大, 自主ブランド製品の開発を通じて社会 ネットワークの中心性を増加させることができる。(表6-13を参照)。

表6-13 社会ネットワーク各特性の変化過程 社会ネットワークの特性 変化過程/方法

社会ネットワークの強度 人的交流頻度の増加

(社員の努力による)信頼関係の強化 交換資源の範囲増加

社会ネットワークの異質性 異なる性質・事業を持つ組織との提携の強化 社会ネットワークの中心性 提携における自社の仕事担当範囲の拡大

自主ブランド製品の開発 出所:筆者作成。

例えばこのような手続きを経て, 中国の外資依存型の製造業に属する企業は社会ネット ワークを発展させることができる。それでは社会ネットワークにおけるこうした発展は, 特に中国の外資依存型の製造業において, どのような過程を経てDCに影響を与えている

本章の4.2における考察を通じて, 社会ネットワークがDCに影響を与える過程につい ては, 以下のような一般的な見通しを得ることができる。

すなわち企業はその創業期と成長期には主に社会ネットワークを通じて, 提携企業の知 識移転という方法によって, DCを形成・発展させることができる。その後, 成熟期以降は, 主に提携企業との知識共創を通じてDCの強化を変化を図ることができる。

以上の考察結果を以下に図示する。

図6-1社会ネットワークの諸特性がDCの形成・進化に影響を与える過程 出所:筆者作成。

6.小括

本章では社会ネットワークのうち, 特に戦略的提携関係に焦点を当てて, 第5章の仮説 を検証した。加えて, 社会ネットワークがどのよう過程を経て発展し, DCに影響を与え るのかという本研究のリサーチ・クエスチョンのひとつにも答えた。そのために本章で は長安汽車を代表例とみなし, その事例研究から中国の国有系自動車産業, ひいては中国 の外資依存型の製造業全体に関する洞察を引き出そうと試みた。