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第 5 章 社会ネットワークと DC との関係検証

4. 変数の測定項目

5.5 回帰分析

本項では, 回帰分析を行う。企業のDCとその影響因子間の関係モデルは, 以下の4つ のモデルに変換することができる。

表5-20 検証する四つのモデル一覧

モデル 従属変数 (共通)独立変数 (共通)制御変数 モデル1 環境境洞察

(EC)

社会ネットワークの強 度(NIN), 社会ネットワ ークの中心性(NCE), 社

会ネットワークの異質性

(NHE)

環境変動性(ET), 企 業性質(Q1), 成立時間

(Q4), 規模(Q5), 組 織のライフサイクル(の

段階)(Q8)

モデル2 学習能力

(LC)

モデル3 統合能力

(INC)

モデル4 再構築能力

(REC)

出所:筆者作成。

第2節で提示した本研究のモデルは, 次の四つの回帰方程式として定式化できる。

モデル 1 EC = c + a1(NIN) + a2(NCE) + a3(NHE) + controls + ε1

モデル 2 LC = c + b1(NIN) + b2(NCE) + b3(NHE) + controls + ε2

モデル 3 INC = c + c1(NIN) + c2(NCE) + c3(NHE) + controls + ε3

モデル 4 REC = c + d1(NIN) + d2(NCE) + d3(NHE) + controls + ε4

次に, 各モデルを検証していく。まずは, モデル1の回帰分析を実施し, 結果を以下の 表に示す。

表5-21 環境境洞察力(EC)と社会ネットワークの回帰分析の結果 係数a

モデル1 標準化されていない係数 標準化係数 t値 p値(有

意確率)

B値 標準誤差 ベータ

1 (定数) -.691 .274 -2.518 .013

ET .360 .057 .360 6.317 .000

Q1 .050 .068 .039 .734 .464

Q4 .115 .058 .109 1.987 .048

Q5 .301 .062 .266 4.854 .000

Q8 -.231 .060 -.215 -3.826 .000 2 (定数) -.119 .221 -.540 .590

ET .150 .048 .150 3.124 .002

Q1 .015 .054 .012 .275 .784

Q4 .043 .046 .041 .936 .350

Q5 .104 .051 .092 2.029 .044

Q8 -.138 .048 -.129 -2.879 .004

NIN .229 .066 .229 3.455 .001

NHE .179 .069 .179 2.599 .010

NCE .259 .077 .259 3.370 .001

a. 従属変数: EC

上記の表に標準化係数の値とp値(有意確率)が示すように, 「社会ネットワーク強度

(NIN)」, 「社会ネットワーク中心性(NCE)」(p=.001)は「環境感知能力

(EC)」(p=.001)に, 0.1%水準で有意な正の影響を, 「社会ネットワーク異質性

(NHE)」(p=.010)は「環境感知能力(EC)」に, 1%水準で有意な正の影響を与えて いることが確認された。

モデル1ではECの値は次のように算出される。

EC =-0.119+0.229* NIN +0.179 * NHE+0.259 * NCE+ controls + ε1

したがって, 「H1a:社会ネットワーク強度は, 企業の環境感知能力に正の影響を与え る」, 「H2a:社会ネットワーク異質性は, 企業の環境感知能力に正の影響を与える」,

「H3a:社会ネットワーク中心性は, 企業の環境感知能力に正の影響を与える」が支持さ れた。

続いて, モデル2の回帰分析を実施し, 結果を以下の表に示している。

表5-22 学習能力(LC)と社会ネットワークの回帰分析の結果 係数a

モデル2 標準化されていない係数 標準化係数

t値

p値(有

意確率)

B値 標準誤差 ベータ

1 (定数) -.473 .292 -1.620 .107

ET .293 .061 .293 4.834 .000

Q1 .096 .072 .075 1.321 .188

Q4 .106 .061 .101 1.723 .086

Q5 .220 .066 .194 3.325 .001

Q8 -.266 .064 -.248 -4.146 .000

2 (定数) .219 .211 1.040 .300

ET .040 .046 .040 .872 .384

Q1 .048 .051 .037 .930 .353

Q4 .021 .044 .020 .491 .624

Q5 -.016 .049 -.014 -.322 .748 Q8 -.156 .046 -.145 -3.395 .001

NIN .326 .063 .326 5.157 .000

NHE .224 .066 .224 3.412 .001

NCE .259 .073 .259 3.540 .000

a. 従属変数: LC

上記の表に標準化係数の値と有意確率が示すように, 「社会ネットワーク強度(NIN)

(p=.000), 「社会ネットワーク中心性(NCE)」(p=.000),「社会ネットワーク異質 性(NHE)」(p=.001)はすべて「学習能力(LC)」に, 0.1%水準で有意な正の影響を 与えていることが確認された。

モデル2において学習能力は次のように算出される

LC =-0.219+0.326* NIN +0.224 * NHE+0.259 * NCE+ controls + ε2

この結果は, 仮説H1b(「社会ネットワークの強度は, 企業の学習能力に正の影響を与 える」), 仮説H2b(「社会ネットワークの異質性は, 企業の学習能力に正の影響を与え

る」), 仮説H3b(「社会ネットワークの中心性は, 企業の学習能力に正の影響を与え

る」)を支持する。

モデル3の回帰分析の結果を以下の表に示す。

表5-23 統合能力(INC)と社会ネットワークの回帰分析の結果 係数a

モデル3 標準化されていない係数 標準化係数

t値

p値(有

意確率)

B値 標準誤差 ベータ

1 (定数) -1.066 .299 -3.563 .000

ET .347 .062 .347 5.590 .000

Q1 .062 .074 .048 .834 .405

Q4 .173 .063 .165 2.754 .006

Q5 .224 .068 .198 3.312 .001

Q8 -.045 .066 -.042 -.690 .491 2 (定数) -.330 .214 -1.540 .125

ET .081 .047 .081 1.746 .082

Q1 .023 .052 .018 .437 .663

Q4 .077 .045 .073 1.726 .086

Q5 -.023 .050 -.020 -.453 .651

Q8 .065 .047 .060 1.389 .166

NIN .229 .064 .229 3.557 .000

NHE .300 .067 .300 4.492 .000

NCE .309 .075 .309 4.144 .000

a. 従属変数: INC

標準化係数の値と有意確率が示すように, 「社会ネットワーク強度(NIN)(p=.000),

「社会ネットワーク中心性(NCE)」(p=.000),「社会ネットワーク異質性(NHE)」

(p=.000)はすべて「統合能力(INC)」に, 0.1%水準で有意な正の影響を与えているこ とが確認された。

また, 得られたモデル1の回帰式は次の通り。

INC =-0.330+0.229* NIN +0.300 * NHE+0.309 * NCE+ controls + ε3

以上の結果は, 仮説H1c(「社会ネットワークの強度は, 企業の統合能力に正の影響を 与える」), 仮説H2c(「社会ネットワークの異質性は, 企業の統合能力に正の影響を与 える」), 仮説H3c(「社会ネットワークの中心性は, 企業の統合能力に正の影響を与え る」)を支持している。

モデル4の回帰分析の結果は次の通りである。

表5-24 再構築能力(REC)と社会ネットワークの回帰分析の結果

標準化係数の値と有意確率が示すように, 「社会ネットワーク強度(NIN)」(p

=.00), 「社会ネットワーク異質性(NHE)」(p=.000)は「再構築能力(REC)」に,

0.1%水準で有意な正の影響を, 「社会ネットワーク中心性(NCE)」は「再構築能力

(REC)」に, 0.5%水準で有意な正の影響を与えていることが確認された。

モデル1の回帰式は次のように算出される。

REC =0.096+0.245* NIN +0.322 * NHE+0.258 * NCE+ controls + ε4

以上の結果は, 仮説H1d(「社会ネットワークの強度は, 企業の再構築能力に正の影響 を与える」)仮説H2d(「社会ネットワークの異質性は, 企業の再構築能力に正の影響を

係数a

モデル 標準化されていない係数 標準化係数

t値

p値(有

意確率)

B値 標準誤差 ベータ

1 (定数) -.634 .312 -2.028 .044

ET .258 .065 .258 3.977 .000

Q1 -.012 .077 -.009 -.149 .882

Q4 .146 .066 .139 2.221 .027

Q5 .205 .071 .181 2.905 .004

Q8 -.123 .069 -.115 -1.799 .073

2 (定数) .096 .237 .404 .686

ET -.004 .051 -.004 -.073 .942 Q1 -.053 .058 -.041 -.916 .361

Q4 .051 .049 .049 1.040 .300

Q5 -.035 .055 -.031 -.641 .522 Q8 -.018 .052 -.016 -.341 .734

NIN .245 .071 .245 3.454 .001

NHE .322 .074 .322 4.363 .000

NCE .258 .082 .258 3.137 .002

a. 従属変数: REC

与える」), 仮説H3d(「社会ネットワークの中心性は, 企業の再構築能力に正の影響を 与える」)が検証された。