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本研究の限界

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 139-142)

第 6 章 の概要

6.5. 本研究の限界

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うな取り組みを行うことが,男性による育児休業の取得率の向上へと貢献しう

る具体的な方略として提案した。それは,父親やその家族,職場にポジティブな

帰結をもたらすこと,そして,真の男女平等社会の実現に近づく一助となると期

待されるだろう。

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Prentice & Miller, 1993)。この手法の妥当性を成り立たせるためには,個人態 度と他者態度推測の比較のときに,“想定している集団”を一致させることが前

提となる。つまり,態度の評価者と被評価者を対応させなければならない。ここ

で,本研究は特定の組織でデータ収集したのではなく,web 調査会社のパネル に対して調査を実施した。回答者は同一の職場に所属していない可能性がある

ため,“想定させる集団”を「同じ職場で働く人々」と設定して尋ねると,“想定

している集団”が一致しなくなる可能性が生じてしまう。ゆえに,「世間一般の

人々」などと広範なレベルで設定する必要があった (e.g., Munsch et al., 2014)。

ただし,この手法では“「世間一般」での規範”と,“「所属集団」での規範”が

必ずしも一致しないという問題が残される。しかしながら,「世間一般」と「同

じ職場で働く人々」とを想定させたときの態度推測の平均値に有意差は見出さ

れなかった(Miyajima & Yamaguchi, in preparation)ことから,本研究で得られ た結果に大きな影響はないといえよう。ただし,対象とする集団の不一致性を避

けるため,今後は実在の組織において検証することが望ましいだろう。

第2に,研究4から心理的安全風土が集団成員の個人的選好の表明 (i.e. 男性 の育児休業を支持する意見の表明意図)を高める可能性が示唆された。この結果 から,多元的無知の解消に心理的安全が効果を持つと考察しているものの,心理

的安全風土によって誘発された個人の意見表明が集団全体に伝播し,多元的無

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知の消失へと至る動的な規範変容のプロセスを直接的に示したわけではない。

したがって,心理的安全が真に多元的無知を解消させる効果があるのかどうか

については,縦断的にデータを収集し,集団や組織における規範や行動の経時的

変化の分析が求められるだろう。

第 3 に,研究データは横断的に得られたものであり,多元的無知と行動意図 との因果関係を議論することは困難である。したがって,今後は質問紙調査法の

みならず実験室実験などの手法を用いることも視野に入れた検討が必要だろう。

例えば,第4章において検討した「偽りの実効化」は,日本企業の従業員を対象 としたフィールド実験として,ある男性従業員が育児休業の取得を申し出たと

きの状況の公開性によって,他の従業員の非難や意見表明といった行動に差異

がみられるのかどうか,直接的に変数を操作して検証することで,より説得力の

ある知見を提供することが可能となるだろう。

第 4 に,これは本研究を通して当てはまることだが,多元的無知の操作的定 義を個人レベルの態度の自他差 (i.e. self-other discrepancy)として扱っている。

しかしながら,多元的無知は本来,集団レベルの現象であるために,“多元的無 知状態の個人”の心的・行動傾向を検証しようとするのではなく,集団や組織を 単位としたマルチレベルでの分析へ取り組むことが求められる (Halbesleben, Wheeler, & Buckley, 2007)。具体的には,部署や支店などの組織単位でデータ

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を収集し,個人レベルのデータ (e.g., 態度や行動)と集団レベルのデータ (e.g., 組織風土や組織構造)との相互作用を階層線形モデリング (Hierarchical Linear Modeling)などで分析すれば,包括的な検討が可能になるだろう。

第5に,本研究における調査回答者 (i.e. Yahoo!クラウドソーシングのパネル) はある特定のインターネットユーザーを代表している可能性がある。したがっ

て,本研究で得られた知見はごく一部の人々のみに限定される可能性があるこ

とを留意しておかねばならない。

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