(3)第 12時
③ 本時の課題
<問
題 文>
下 の表 は
,あ
る月 までのプ ロ野球 の試 合 の結果 です。どのチ ー ムが1番
成績 が よいで しょ つか。④
本 時の指導
本 時 は
,本
単元 の終末 に位 置す る。 本 単元 で は,導
入 時 にお い て,割
合 以外 に よる く らべ方 と割合 に よる く らべ方 が ある こ とか ら,「 そ ろ えて く らべ る」 こ とを意識 させ て い く。 しか し,単
元 が進 む につれ て,子
どもの意識 は,比
の 3用法 を用 いて比較 量
,基
準量,割
合 を求 め る こ とに向か う。 そ こで,本
時 は,6チ
ー ムの成績 を く らべ るこ とを通 して,割
合 の考 えの よ さ を再認 識 し,必
要 に応 じて使 い分 け をす る こ とが で き る よ うに したい。 試 合 数 が 同 じで あれ ば,「勝 ち数」等 の 1つの量 で くらべ るこ とがで き
,試
合数 が半数 以下で あれ ば,1
位 にはまず な らない等
2チ
ー ムを く らべ るには,様
々 な方法 が あ る。 しか し,6
チー ム を一度 に くらべ る ことがで きるのは
,割
合 であ る。また,6チ
ー ムを一度 に くらべ よ うとす る と,試
合数 (基準量)が
そ ろつて いない こ とに意 識 を向 け るこ とが で き る。 また,関
連 して,個
人 の成 績 につ い て触 れ る こ とで,必
ず し も,割
合 だけで成績 を表 してい るわ けで はな く,「ホー ムラン王」 の よ うに,割
合 ではな く
,1つ
の量 のみ で表す もの もあ る こ とを知 り,な
ぜ,そ
の よ うに表 すのか もつ と調 べ てみ たい と思 わせ
,意
欲 を高 め るこ とがで き る よ うにす る。「勝ち数」,「負 け数」
「勝 ち数― 負 け数」
「分数表示表略」
「割合」
中 日 ドラゴンズ
横浜De NAベイス ターズ 広 島東洋 カープ
読売 ジャイア ンツ
阪神 タイ ガー ス
⑤ 本時の展開
主 な 学 習 活 動 指 導 上 の 留 意 点
1
本時 の課題 をつかむ。○
順位 を予想す る
。 勝利数が1番多いのは読売だ。
○
プ ロ野球チー ムの順位 を決 めるために, どの よ うな情報 が必要 か話 し合 り。
・ 負 けの数 もあつた方 がいいのでは。
。 全部 で何試合 したのかな。
・ 引き分 けは ど うす るの ?
2
課題 を解決 し,交
流す る。・勝利数 が多いか ら
,読
売 が1番だな。。「勝利数 ―敗北数」をす る と
,読
売 と中 日が同 じになつて困 るな。
・敗北数 に注 目す ると中 国が1番だな。
。試合数が違 うか ら
,そ
ろえるこ とはで きな いかな。3
割 合 以外 に よつて く らべ る よ さと割 合 に よつて くらべ るよさを話 し合 う。・試合数がそろつていれ ば
,差
に よつて くらべ るのが簡単だ。
′
。で も
,そ
ろっていないチー ムが あるか ら,一度 に6チー ム くらべ るな ら割合がよい。
4
本時 で学習 した こ とを ノー トにま とめ る。5
野球 の個人成績 の例 を提示 し,成績 の表 し方 は多様 にあ り,必要 に応 じて使 い分 け が され てい る ことに気 づかせ る。0 6チ
ームの勝利数 を提示 し,順位 を予 想 させ る。○ 勝利数以外 に必要 な情報 が ないかを 考 え させ,多様 な く らべ方 が 出やすい よ
うに させ る。
○ 敗北数 も提示す る こ とで,「部分 と部 分」の文脈 を「部分 と全体」で捉 え直す 必要性 を認識 させ る。
○
自分 の解 答 の根拠 を明 らか に して,考 えを説明 させ る。
○ ペ ア学習 を取 り入 れ,自分 の考 えの よ さ,友だちの考 えの よさを認識 させ,一 般化 を図 りやす い よ うに させ る。
●
計算 は
,電
卓 を使 用 させ る。○
基準量が異 なってい るこ とに注 目さ せ
,全
体 をま とめて くらべ る場合には,割合 の方 が良い こ とに気づ かせ る。
※割 合以外 と割合 に よ る考 え を適 用す る 場 面の違 い を理解す ることが できたか。
○
割合 に よつて くらべた方 が よい場合 と割合 に よつて くらべた方 が よい場合 を整理 して,自分 の言葉 で ノー トにま と め させ るこ とで,割合 の適用場 面につ い ての理解 を深 め させ る。
○
成績 の表 し方 の多様性 に気 づかせ,な ぜ,その よ うに して くらべ るのか関心 を 高 め させ る。
どの チームが
1番
か な?
‐122‐
終章 本研究のま とめ と今後の課題
本研 究 の 目的 は,① 先行研 究 をふ ま えて割合 学習 の困難性 とそ の改善策 を考 察 す るこ と
,②
考 察 した 困難性 とその改善策 を も とに,割
合 学習 の概 念 形成 を促 す授 業 の在 り方 を考察す るこ とであ つた。 これ をふ ま えて,本
節 では,第 1章
か ら第
6章
までのそれ ぞれ の内容 をま とめ,次
に全体 的 なま とめをす る。第
1節
本 研 究 の ま とめ1:各
章のま とめ第
1章
では,害
J合学習の困難性 について先行研究 を概観 し,本
研 究 の問題意 識 を明 らかに した。第
1節
では,割
合指導の変遷 について学習指導要領等 をもとに概観 した。 も とは,歩
合算 として扱 われていた ものが,割
合 と歩合算 が同義 とな り,さ
らに 異表現 としての百分率 が導入 され て,現
在の指導内容 が構成 されて きた と言 える。 また,「割合」の捉 え方 について
,以
下の よ うに述 べた。害1合
「
Pを
用 いて2組
以上 の数 量 関係 を比較す るた めに,2つ
の数 または,同
種 の量 の
A,Bに
つ いて,Aが Bの
イ可倍 で あ るか を表 した数Pを ,Aの Bに
対す る害1合とい う。」
第
2節
では,害J合学習 の困難性 と しては,先
行研 究 を も とに,①
割 合 の概 念 形成,②
害1合に よる く らべ方 と割合 に よる く らべ方,③
比較 量 と基準 量 の同定,④ 同種 の量 と異種 の量 の接続
,⑤
児童 の割合 の見方,⑥
割合 の活用 の6つ
に分 類 した。第
3節
で は,第 2節
で明 らか とな つた割合 学習 の困難性 に対す る改 善策 につ いて概観 した。 先行研 究 にお け る改善策 の多 くは,③
比較 量 と基準 量 の同定 に 関す るものが多 か った。第
4節
では,本
章 において概観 して きた先行研 究 を踏 ま え割合学 習 の課題 に ついて述 べ た。 また,本
研 究 は,割
合学 習 の導入 にお いて,害
1合に よ る くらべ 方 を理解 す る過 程 に焦 点化 し割合 の概 念形成 を促す授 業 づ く りを考 察 す る こ とに した。
第
2章
で は,割
合 について,「 害1合学習 にお いて児 童 が数 量 を く らべ る視 点」や 「問題 の型 」 な どの分析 の基 準 を示 し教材研 究 を行 つた。
第
1節
で は,「 割合 学習 にお いて児童 が数 量 を くらべ る視 点 」 を示 し,以
降 にお ける教材 の分析 の基 準 とした。
第
2節
では,問
題 を分析す る視 点 として,岡
田 (2008)を も とに,「 問題 の型 」 を用 い るこ とに した。それ らを も とに,各教科書会社 で扱 われ て い る題 材 を,「問 題 の型 」,「 式 の構造(比の3用法)」 を表2‑7に
整理 した。さらに
,第 3節
にお いて,「 単位 量 当た りの大 き さ」,「害1合」 の導 入題材 につ いて分析 した。 その結 果 か ら,「 問題 の型 」,「 扱 う量」,「 比例 的推論 」,「 害1合」,「扱 う数 値」 を視 点 と して
,第 6学
年 を対象 とした割 合 学習 の題材 を伸縮型(ゴ ムの伸 び)と全 体部分型(野球 の順位 )の2つ
を選択 した。第
3章
で は,概
念形成 につ いての先行研 究 を概観 し,そ
の課題 を考 察 した。第
1節
で は,認
識論 の視 点 か ら概 念形成 を促す手法 として,構
成 的 アプ ロー チ を用 い た指導 法 を も とに多 くの問題 解決型 の授業 が提 起 され てい る。多様 な 考 え方 を社 会 的相 互 作用 を通 して練 り上 げ るには,新
た な認 知 的不 協 和 が児 童 を混乱 させ る可能性 が あ り,そ
の後 の学習 に対 す る教 師 の見通 しが重 要 にな る こ とを金 本(1998),江
森(2012),古
藤 (1998)の 提起 してい る こ とを も とに述 ベ た。第
2節
では,各
教科 にお け るアー ギ ュメ ン ト,ア
ァ ギュメ ンテー シ ョンの先 行研 究 を概観 した。社 会科 にお け る リヴォイ シングを用 いた指 導法 や 理科 にお け るル ー ブ リックを用 いた評 価 方法 は,学
級 の児童 の実態 に応 じて補 ってい く もので あ り,1単
位 時 間 を通 してのアー ギ ュメ ンテ=シ
ョン を行 って い る磯 田 (2009)に お け る先 行研 究 を も とに割合 の概 念 形 成 の可 能性 を検討 す る ことに し た。第
3節
では,儀
田 (2009)の アー ギ ュメンテー シ ョン研 究 か ら,他
者 の考 え を 角翠釈 し, よ さに 目を向 けてい くこ とが概念 形成 を促 す こ とに影 響 を与 えてい くこ とを述 べた。
第
4章
では,割
合概 念の形成 に関す る実態調査 を,害
J合学習 を終 えた第6学
年児童 を対象 に行 つた。
第
1節
では,実
態調 査 の結果 について以下 の よ うに述べ た。 第1用
法 にお い124‐
ては
,文
脈 に関係 な く問題 の型 が影響 を してい る と言 え る。ま た,第 2用
法 は,題材 に関係 な く
:比
較 的安 定 してい た。伸縮 型(定員 )の 問題 は用法 に関係 な く 比較 的安 定 してお り,そ
の要 因 として,「基準 量」が同定 しや す い こ とが考 え ら れ る。 百分率 につ いて は,基
準量 を100と
み てい る こ とへ の理解 が不 十分 で あ った。割合 以外 に よる く らべ方 か ら割合 に よる く らべ方へ の概 念 拡 張 につ いては, 割合 学習 を終 えた段 階 の児童 で あつて も一 定数割合 以外 で く らべ る児 童 がい る
こ とか ら
,導
入課題 を工夫 し,割
合 以外 の く らべ方 の整理 をす るこ とで,適
切 に割合 の考 えを用 い る こ とがで きる よ うにす る必要 が あ る。第
5章
では,割
合学習 を終 えた児童 に対す る実態調 査 の結果 か ら,導
入 にお ける割 合 以外 に よる く らべ方 と割合 に よる くらべ方 の吟 味 を十 分 に行 う必要性 を 感 じ
,学
び直 しの意 味 で,第 6学
年 を対象 とす る授 業 実践 を計 画・実施 した。第
1節
では,第 2章
にお け る教材研 究 と第4章
にお ける実態調査(I′)の 結果 をふ ま えて,次
の2っ
の 目的 で授 業 を計画 した。①割 合以外 に よる く らべ方 と 割合 に よる く らべ方 を吟 味す る授 業 を通 して,割
合 の概 念形 成 を促 す授業 の在り方 を検討 す る。② 問題 の型 の異 な る授 業 を行 うこ とで
,割
合 学習 において児童 が数 量 を くらべ る視 点 に どの よ うな違 いが表れ るの か明 らか にす る。そ こで, これ ま で児童 が学習 した こ とのない題 材 を扱 うた めに
,伸
縮 型 (ゴム の伸び)と 全体部分型(野球 の順位 )を 選択 した。第
5節
で は,そ
れ ぞれ の授 業実践 を通 して明 らか に なつた こ とは以 下の よ う に述べ た。「伸縮型」(ゴムの伸 び)
○
比例 的推論 を内包 し
,比
例 関係 を意識 して比べ よ うとす る こ とが で きる。○
帯小数 で導 入す る こ とがで き
,割
合 の適 用範 囲へ の認識 を拡 張す ることが で き る。○
「○倍」 とい う子 ども達 の持 つてい る倍概念 に近 い数値 を扱 うこ とがで き る。
○
元 の ゴムが あ るこ とで
,基
準量 を1とみ る ことへ の意識付 けが しやすい。○