第 5
第 4節 全体部分型 (野 球 の順位)の 授業 1.実 践授業の目的と概要
第 4節 全体部分型
(野球 の順位)の 授業
│
アーギュメンテーションを取り入れた授業案
・数値 を く らべ る ときは,差を とれ ば分 か る。
。同種 の2量には大小があ る。
・ 単位 あた り量 は くらべ られ る。
どの チー ムが1番で し ょ うか。
チー ム名 勝 ち 負 け 試合数
中 日 ドラ ゴンズ 36 59
横浜DeNAベイスター ズ 39 60 広 島東洋 カープ つ4 ′υ04
読 売 ジ ャイア ンツ 61
東京 ヤ クル トス ワ ロー ズ 30 62
阪神 タイ ガー ス 29 32 61
○ ア ンチテーゼ ○ 試 合数 が異 な る と,差 で は く らべ られ ないか ら,割 合 で く らべ る と中 日
●テーゼ ● 勝利数 でみ る と読 売 が1番 敗 北数 でみ る と中 日が1番
相互に異例
「…だと思 う」
■共有 で き る事柄 ■
試 合数 が同 じな ら,差で くらべ られ る。
試 合数 が異 な るか ら, 6チー ムを同時 に く らべ る こ とがで きない。
勝 利 数 十試 合 数 で 考 え る と 中 日 36÷ 59=0610
横 浜 21+60=0350
東 京 32+62=0.516
広 島 27÷ 62=0435
阪 神 29÷ 61=0475
読 売 37÷ 61=0606
●勝利 数 では, 37勝で読売
敗北数 では, 23敗で 中 日
勝利 数― 敗 北数 では,読売 と中 日 根拠
「だって…」
○ 中 日 勝 ち数 試合数
︿ロ
●勝利数 36勝
37勝
差は, 1勝
●
勝利数 が 多いチー ムが1番だ と 思 う。
勝利 数や敗北数 で考 えた ら,一
度 に全部較 べ る こ とが で きる。
「〜までは,
で も…。」
○
試合 数 が異 な るか ら,勝 利 数や 敗 北数 で く らべ るのはおか し いので はないか。
○
試 合数 をそ ろえ るこ とがで き れ ば,く らべ る こ とがで きるの で はないか。
一般化のふ るい
「他 の場面に当てはめた ら」
◇ 試合数がそろつていない場合でも
,勝
利数 ÷試合数 をす ることで,1試
合 し た ときの勝つ害1合をもとめることができるので, くらべることができる。2.プ
ロ トコルの分析 と考察 (1)A組野球 の順位
I‑2 1つ
の数量だ けで判断l Cl僕 も中 日 ドラゴンズだ と思 って。その理 由は,
ンズが一番試合数 が少 ないです よね。
l
この5つのチー ムの中で
,申
日 ドラ →2 Clだ け ど
,中
日 ドラゴンズ1主この5チー ムの中で負 け数が一番少 ない し,勝
ち数が一番│ 多υヽ。3C
一番 じゃない。・
14C(勝 (下
ち数)37が
ある。 線筆者)│Clは ,1つ
の数量 で あ る「勝 ち」や「負 け」に着 日して発話 を始 めた。し力ヽし, 友達 との対話 の 中で1つ
の数量 に着 日して も くらべ る こ とが で きない ことに気 づ いた。さらに,「勝 ち―負 け」で も順番 が決 め られ ない こ とに気 づ いて いつた。Ⅲ
‑2 2つ
の数 量 を加減 でそ ろえて判断5C2す
べ てのチー ムの試合数 を59試合 に して,読
売 ジャイ アンツが61試合 だか ら,「611‑59Jで
2だか ら,勝
ち数 と負 け数 を 「‑lJだ
った ら中 日 ドラゴンズ と一緒にな る│
か ら1位は ジャイア ンツ と中 日両方ι
(下
線筆者 )│― ●― ●― ●― │― ●― ●― ●― ●… ●― ●―・ ―・ ―・ …・ ―・―・ ―・ …・ …・―・―・ ―・ ―・ ―・ ― ヽ― ●― ● ・ ―・ 二:̲f̲1=.二 .l
前述 の 「I‑2」 とは
,発
想 は異 な る ものの結果 と して,中
日と読 売 が同 じに な り,順
番 を決 めるこ とがで きない こ とで,疑
間が さ らに深 ま った。.
iⅣ
2つ
の数量 を割合 で判断:
16C51っ
てい うのが100%っ てい うのを割合 に して1にi
な って,これ が中 日 ドラゴンズの試 合数。100%をi 59だ
とした ら, ??の
割合が36回とい うことで…│
ここを求 め るには,59と 1だとした ら,ここは「÷ C5の計算□1 59」 に な ります。
│
17C5も
し,こ?ち
(59と 1側)を
「÷59」 した ら,こっち (36と??側 )も
「÷59」 を i● l
:
しなけれ ばいけないので,「 36÷59」 を しま した.そ うい う風 に (他のチームも)全
i: ・
● :
1 部 や っ て い く と ,中 日 ド ラ ゴ ン ズ が 一 番 … 一 番 に な り ま し た 。 (下 線 筆 者 )i
割 合 の 考 え で な い とい け な い とい うこ とに つ い て は
,他
の チ ー ム の 数 量 関係 を く らべ る こ とで納 得 す る児 童 が い た。‐92‐
(2)考 察
授 業 にお いて,「Ⅲ
‑2 2つ
の数 量 を加減 でそ ろえて判断」の考 えが 出て きた。全体部 分型(野球 の順位)の授 業 を行 つた,A′組 において は,児童 か らは,「Ⅲ‑2」
の考 えを棄去口す る意見 は出て こなか った。 この ことか らも
,全
体部 分型(野球 の 順位)にお いて は,児
童 か ら比例 的推論 を顕在化 させ る こ とは難 しい と言 えるのではないか。
3.事前 日事後調査 の結 果
全体 部分型(野球 の順位 )の 授 業 を行 つた
A組
にお け る事前 ・事後調 査 の結 果 は,表
卜3の
通 りで あ る。調査 問題 について は,第 5章
第1節
第2項
と同 じも ので あ る。・
表5‑3 A組事前 日事後調査 と検定の結果
問題 の型
事 前 事 後
p値
正答 率(人) 正答率(人)
ア 全体部分型(部分 と部分) 48.4(16) 57.6(19) 0.5929
.イ 伸縮型 51.5(17) 48.4(16) 0.8136
ウ 全体部分型 81.8(27) 90.9(30) 0.2482
エ 全体部分型(部分と部分) 51.5(17) 60.6(20) 0.5791
オ 伸縮型 18.2(6) 30,3(10) 0.5316
A組
にお け る,児童 の変容 を検討す るためにマ クネ マー検 定 を行 つた ところ事 前調査 と事後調 査 で有意差 の見 られ る問題 は無 かった。それ では
,有
意 差 が見 られ なか った原 因が どこにあ るか を考 えて い くこ とに す る。 問題 ア は,全
体 が与 え られ ておら ず,問
題 工 は,成
功 と失敗 の○ ×表 が 与 え られ てい るだ けで あつた。つ ま り,授
業 において は,「勝 ち数 」「負 け数」「試 合数 」 の 中か ら必要 な要 素 を選 択す る こ とを行 ったが,問
題 ア,問
題 工で は,全体 にあた る数 を作 り出す こ とが必要 とな るた め立式 す る こ とが困難 にな って い る と言 える。
それ ぞれ の問題 と児童 の解答 例 は
,以
下 の通 りで あ る。ア
けん じくんの学級は
,男
子が 18人,数の どれだけの割合 にあた りますか。
女子が 22人 です。男子の人数は
,学
級全体の(第 1用法
,全
体部分型,P<1)
1撥 寺ムふ
図5‑1 問題 アにお ける解答例
図
5‑1の
よ うに,全
体部分型 の間‐題 において部分 と部分 しか与 え られなかつ た場合 に,全
体部分型 に捉 え直す ことに困難性 がある と言 える。工
ゆみ さんの学校 の畑 は, じゃがい も畑 と花畑 があ ります。 じゃがい も畑 の面積 は40 ピ
,花
畑 の面積 は10ぽです。 じゃがい も畑 の面積 は,学
校 の畑 の面積 の どれだ けの割 合 にあた ります か。 (第 1用法,全
体部分型,P<1)
無Φ誅 ま ⑬ り春 臀 o
図
5‑2
問題工における解答例①│シ ■Ⅲ 9 1。 1讐 0
1卜
ふ暴辱彎輔
図
5‑3
問題工における解答例②図
5‑2,図
5‑3も 図 5‑1と 同様 に,部
分 と全体 に捉 え直す こ との困難性 を示 し ている と言 える。教科書 においては,全
体部分型 の構造 で部分 と部分 であつたり
,部
分 と全体 であつた り様 々な問題提示 の仕方 がな され てい る。特 に,部
分 と部分で与 えた場合 には,部
分 と全体 に注 目す るよ うに表が与 え られ てい るが, 全体 を与 え られ た数 か ら作 り出す とい う学習 も必要 になって くる と思われ る。工 については
,○
×表 を数表 に変換す る必要があ り,そ
こにつまず きがあつ た と思われ る。 なぜ な ら,授
業 中には,数
表 か ら,割
合 の考 えた子 どもが,○
×表では
,他
よ リシュー ト数 が少 ない場合 には,成
功数 をカロえる とい う解法 を 用いている場合 が多いか らだ。‐94‐
蝙
% ◇ ф ф ス X◎ Φλの
ヌ ③¨ ぷф Φ xの 職 澪
tt″
X,■
、図5‑4 カ日法方略による解答例
図
5‑4に
おい て,か
ずお さんの シュー ト回数 が2回
少 ないた め,シ
ュー ト回数 を10回にそ ろ え よ うとした。 その際,比
例 的推論 が無 い加 法方 略 を用 いて,成
功数 を
2回
増や して考 えた児童 が授 業後 もいた。つ ま り
,野
球 の順位 の よ うに数表 で与 え られ た課 題 を解 決 す る際 には,害
1合の考 えを用 い る こ とがで きた児童 も
,○
×表 で与 え られ た場 合 には,加
法 方略 を適 用 しよ うとす る こ とか ら,導
入 時 におい て は,抽
象 化 され た数 だ けで課題 を解決す るよ りも半具体物等 か ら抽象化 され た数 を用いて解決す るよ うに して い く必要性 がある と思われ る。本節 において明 らかになった ことは
,以
下の通 りである。・数表 に よ り課題 が与 え られ る と
,数
だ けの操 作 に陥 りやす く,数
対 の比例 関 係 に気づ きに くい。(Lヒ例 的推論 を内包 していない。)0数だ けの操 作 で解 決 す る前 の段 階 と して
,図
式化 し,結
び付 けて理解 を促 す 必要が あ る。・ 全体部分型 で は
,文
脈 に よつて全体 の数 を作 り出す (補数)必
要 が あ るが,児童 に とつて は難 しい。