平成
25年
度算数科における割合の概念形成に関す る研究
兵 庫 教 育 大 学 大 学 院
教育内容・方法開発専攻
‖
12145E
学 校 教 育 研
_究
科
認 識 形 成 系教 育 コー ス
大
山
乃
輔
目
次
序章 本研 究 の 目的及 び方法 と本論 文 の構成・・・・ ・ 。・ ・・・・・・・・ 1 第1節
本研 究 の 目的及 び方法・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ 1 第2節
本論 文 の構 成 ・・・・ │・ ・・・・・・・・ 。・ ・・00。
・ 。2 第1章
割合 学習 の困難 性 と改善策 ・・・・・・0000。
・・・000。
・3
第1節
割 合 の捉 え方・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・ 。・ ・ ・・・ 4 第2節
割合 学習 の困難 性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・, 10
第3節
割合 学習 の困難性 に対す る改 善策 0。 ・ ・・・・・0000019
第4節
割 合学習 の課題・ ・・・・・・ ・・・・・・・ ・ ・・00。
・ 25 第2章
割合 の教材研 究 ・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・ ・ 0・ ・ 。 26 第1節
割 合 学習 において児童 が数量 を くらべ る視 点・・ ・・・ ・・ 。27 第2節
問題 を分析す る視 ′点・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・ ・・ 。32 第3節
教科書 にお け る導入 問題 の分析 ・・・・・・・・・ ・・ 「・・ 37 第4節
割合 の導入授 業 の提案 ・・・・・・・・・・・・ ・・・ ・・ … 45 第3章
割合 の概 念形 成 とアー ギュメ ンテー シ ョン・ ・・・ ・・・・ ・・・ 47 第1節
数 学教 育 にお け る概念形成 に関す る先行研 究・ :・ ・・・・・ 48 第2節
アー ギュメ ンテー シ ョンの捉 え方・・・ ・・・・・・・ ・・・ 58 第3節
各教科 にお け るアー ギ ュメンテー シ ョン研 究・ ・・ ・・ ・ ・・ 60第
4節
算数科 にお け るアー ギ ュメンテー シ ョンの授 業 モデル ・・・・ 68 第4章
割合 の概 念形 成 に関す る実態調査 ・・ ・・・・ ・・ ・:...71
第1節
実態調 査(I)の
目的・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・ ・・・ 72 第2節
実態調 査(I)の
概 要・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ 75 第3節
実態調査(I)の
結果及 び考察■船 学習の導入題材の適正について一 … ・ 78 第5章
割合 の概 念形 成 に関す る授 業 実践 。・・10°
°° °°000。
・ 83 第1節
授 業実践 の 目的 と方法 ・・ ・・ ・ ・・・・・・ ・ ・・・ ・・・ 84 第´2節
授 業 を分析 す る視 点・・・ ・・ ・・・ 。・・・・ ・・・・ ・・ 86 第3節
割 合 に関す る実態調査(Ⅱ)00000000。
・ ・・ 。・ ・・ 87 第4節
全 体部 分型(野球 の1贋位 )の 授 業・ ・・ ヽ・ ・・ ・・・・ ・・・ 90 第5節
伸縮型(ゴムの伸 び)の 授 業・・・ ・・・ ・・・・・・・ 0。 ● 96 第6節
実践授業 の考察 ・・・・・・・・・・ ・・・・ ・・ ・・ ・・・101 第6章
割合 の概 念形成 を促 す単元構 成 ・・ ・・・・・ ・・ ・・・・ ・ ・ 。104 第1節
割 合 に関す る実態調査(IIl)。 ・・・・・・・・・・・・・・ 。・105 第2節
各教科 書会社 にお ける単元構成 ・・・・ ・・・・・・・・・・ 110 第3節
害J合の指 導計画・ ・・ 0。 ・・・・・・・・・・・ ・・・・ 。 114 終章 本研 究 の ま とめ と今 後 の課題 ・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・ … 123 第1節
本研 究 のま とめ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・ … 123 第2節
今 後 の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 。・ ・ ・ … 128おわ りに 。・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ ・・・・ ・・・ ・・・ 129
序章 本研究の 目的及び方法 と本論文の構成
第
1節
本研究の目的及び方法
割合 学習 に関す る先 行研 究 は,数
多 くな され てい るが,害
J合 は,児
童 に とつ て理解 が難 しい単元 で あ る。 筆者 自身 も小学校 教員 と して割合 学習 を指導 して きたが,指
導 が しに くい と感 じていた。例 えば,「 くらべ る」こ とを「量 と測定」 領域 において子 ども達 は経験 を してい るが,こ
れ まで の学習 で は長 さ重 さ,か
さな ど具体 的 な量 を扱 って きてい る。 しか し,「害1合」 は関係 概 念 で あ り,実
態 が存在 しない こ とも困難性 の一つ で あ る と考 え られ る。 また,「 単位 量 あた り大 き さ」,「 小数倍,分
数倍 の意 味理解 」 な ど関連 す る既 習事項 が多 い こ とや,問
題解決 を手続 き的 に指導す るこ とで は困難性 の改善 を行 うこ とがで きない こ と な どが困難性 の原 因の一 つ と考 える。 したが って,既
習事項 を生 か しなが ら害」 合 の概 念 を少 しず つ豊 か に してい くこ とが必要 であ る と考 え る。 そ こで,本
研 究 の 目的 は,児
童 に害1合の概 念形成 を促 す た め の過程 を,次
の2 点か ら考察す るこ とで あ る。 ① 先行研 究 をふ ま えて害1合学習 の困難性 とそ の改善 策 を考 察す る。 ② ① を も とに,割
合 学習 の概念形成 を促 す授 業 の在 り方 を考 察す る。 なお,研
究 の方法 と しては,先
行研 究 を分析 ・考察す る文献解釈 的研 究 を行 う。 さ らに,実
態調査 及 び実践授 業 を行 うこ とを通 して,効
果 的 な指 導 の在 り 方 を検討 したい。第
2節
本論文の構成
本論 文 は,6つ
の章 で構成 す る。 第1章
では,割
合学習 の困難 性や そ の改善策 につい て,先
行 研 究 を も とに概観 し,割
合学習 の現状 と課題 につ いて検討す る。1
第2章
で は,割
合学 習 にお い て,児
童 に育成す る考 え方 を同定 し,そ
のための 学習 の在 り方 を考 察す るた めの教材 研 究 を行 う。 まず,割
合 以外 に よる くらべ 方 か ら割合 に よる くらべ方 へ の概 念拡 張 につ いて,「 く らべ る視 点」 を示 し,教
科書 にお ける害1合指導 の課題 を明 らか にす る。さらに,「問題 の型 」,「題 材」,「式 の構造(比の3用
法)」 を も とに教科書 分析 を行 うこ とで,割
合 学習 で扱 う問題 につ いて検討 す る: 第3章
では,数
学教 育 にお け る概 念形成 に関す る先行研 究 を概観 し,本
研 究 にお け る概 念形 成 の在 り方 につ いて示す。 また,概
念形成 を促 す指 導方 法 と し てのアー ギ ュメ ンテー シ ョンにつ いて,先
行研 究 を も とにそ の特徴 を考察 し, 授業 づ く りへ の示唆 を得 る。 第4章
では,割
合学習 を終 えた児童 に対す る実態調 査 を行 い;割
合 指導 の実 態 を把握 す し,授
業づ く りへ の示唆 を得 る。 第5章
では,第
4章
で明 らか とな った実態や教科 書分析 を も とに,「 全体部 分 型 (野球 の順位)」 の授 業 と 「伸縮型 (ゴムの伸 び)」 の授 業 を計画 。実施す る。 また,事
前・ 事後調査 の結果 か ら,「 全体部 分型 」,「 伸縮 型」 の授業 のそれぞれ の特徴 を分析す る。 第6章
では,第
5章
までの研 究 を も とに,割
合学習 の単元指 導計 画 を検討 す る。 ‐2‐第
1章
割合学習の困難性 と改善策
本 章 で は,ま
ず,割
合 の捉 え方 につ いて学 習指導要領 及 び数 学教 育 にお け る 先行研 究 を概観 し整理 す る。 また,割
合 学習 の困難性 につ い て先行 研 究 を概 観 し,本
研 究 の問題 意識 を明 らか にす る。第
1節
割合の捉 え方
第
2節
割合学習の困難性
第
3節
割合学習の困難性 に対す る改善策
第
4節
割合学習の課題
第
1節
割合の捉え方
本節 におい ては,本
研 究 にお け る割 合 の捉 え方 を検討 す る こ とを 目的 とす る。 そ のた めに,ま
ず 学習 指 導要領 にお け る 「割合 」 の取 り扱 い の変遷 を辿 るこ と で,割
合指導 の歴 史 を概観 す る。 次 に,数
学教 育 にお け る害1合 の捉 え方 につ い て先行研 究 を概観 す る。1.学
習指導要領 に お ける割合 の取 り扱 いの変遷 昭和22年
度 以降 の学習指 導 要領 にお ける 「割合」 に関す る記 述 は,表 1-1
の通 りとな る。 表1-1
学習指導要領における 「割合」の取 り扱い 告示年度 指 導 目 標 日召不口224千 (試案) 日常生活 に起 こることが らにつ いて歩合や百分率 を計算 し,割
合 の観念 を明 らか に して,新
聞や雑誌 にあ らわれ るい ろいろな歩合や 百分率 を理解す る能 力,及
び 日常生活 に歩合や百分率 を用 い る能力 を養 うこ と。 昭和26年 (試案)(1)百
分率 は,分母 が190である特別 な分数の分子であ る数 を用いて,割合 を表 わ した ものであることを理解す る。(2)百
分率 を用い る と,各部分 の大 き さの割合 が整数 に よって表 わ され るの で,各
部分 の大 き さを比べ るのにつ ご うが よい ことを理解す る。(3)基
準 にす る量の大 きさが同 じでない よ うな場合 に,そ れ に対す る量の大 き さを比べ るのに,そ
のままの数 を月いたのでは適 当でない ことを知 り, この よ うな場合 に百分率が用い られ ることを理解す る。 日召不日33イ手(1)同
種 の二つの数 量A,Bの
割合 を表 わす のに,整
数,小
数お よび分数 を 用い るこ とや,そ
れ に関す る計算 の基本的 な場合 につ いて理解 させ る。 アAの
Bに
対す る割合(p)を一つの数で表わす のに,A÷
Bを
用 い ること, な らび に,そ
の割合(p)を整数,小
数お よび分数 で表 わす こと。 イpが
小数 で表 わ され る場合 にも,Aは
,B×
pと して求 め られ ること。 ウA÷
Bが pで
表 わ され る とき,Bを
1と み る と,Aが
pで表 わ され るこ と,お
よびpが 1よ り大 きいか小 さいかで,Aが
Bよ り大 きいか小 さいか がわか ること。(2)百
分率 お よび歩合 の意 味 について理解 させ る。(3)異
種 の二つの数量 についての割合 を表 わす のに,一 方 の一定量 に対す る 他 の量の大 き さを用いた り,「単位 量 当 り」の考 え方 を用 いた りす るこ と を理解 させ,‐ 数量 の関係 を調べ るのに これ を用い る能力 を伸 ばす。 昭和 43年(3)百
分率お よび歩合の意味について知 らせ,これを用いることができるよ うにす る。 ア 百分率お よび歩合(害1,分
など)の意味を知 ること。 ' イ 百分率お よび歩合の基本的な場合 についての計算ができること。 昭和 52年(1)百
分率 の意味 について知 らせ,こ
れ を用い ることがで きるよ うにす る。 平成 元年(1)百
分率 の意味 について理解 し,そ
れ を用い ることがで きるよ うにす る。 平成 10年(2)百
分率の意味について理解 し,そ
れを用いることができるよ うにす る。 平成20年(3)百
分率 について理解 でき るよ うにす る。 ‐4‐昭和
33年
度版 の学習指導 要領 においては,C数
量 関係 倍1合)(式・公 式)(表 グ ラフ)と い うよ うに数 量 関係 の独 立分野 として割合 が位 置 づ け られ た。 また,関
連す る小数,分
数 の乗 除の計算 が 中学校 か ら小学校 の学習 内容 に移行 して きた。 また,国
定検 定教科 書 にお け る 「帯 グラフ」,「 円グラフ」,「 百分率 (歩合)」, 「異種 の量 の害1合」,「 単位 量」,「 時 間 と速 さ」 の取 り扱 い学年 につ いて は,表
1-2の通 りとな る。 は,直
前 の学年配 当か ら変更 あ り 表 1-1,1■2か
ら,害
1合に関連 す る学習 内容 は,お
おむね第5学
年 にお いて指 導 がな され て きた と言 える。平成10年
度版 学習指導要領 にお いて,異
種 の量 の 割合 の学習 は,第
6学
年 へ移行 した。 しか し,平
成20年
度版 学習指導要領 にお いて,「異種 の量 の害1合」 と 「単位 量」 は,第
5学
年 の同種 の量 の害1合の学習前 に位 置づ け られ た こ とか らも異種 の量 の害1合が同種 の量 の害1合の学 習 に先行す る既習 内容 と して位 置 づ け られ てお り,同
種 の量 の害1合の学習 へ大 きな影 響 を 及 ぼ してい る と言 え る。 表1-2
月ヽ学校 国定検定教科書 にお ける割合 に関す る学習 の配 当学年 数 量 関係 量 と測 定 帯 グ ラ フ 円 グ ラフ 百分率 (歩合) 異種の量の割合 単位 量 時 間 と速 さ 第一期明治37年 6年 6年 6年 5年 第二期明治43年 6年 6年 6年 5年 第 二期 大 正 7年 6年 6年 6年 6年 5年 第 四期昭和10年 年 一4 一 1年 ,1年5年
41年 第五期昭和16年 51年 5年 5年 5年4年
第 六期 昭 和22年 6.年 5年 5年 5年 4年 日召不口26イ手 6年 511‐61イ 「 5年 5年 5年 昭和33年 5年 5年 5年 5年 5年 日召禾口43イ手 5年 5年 5年 5年 5年 日召不口52`手 5年 5年 5年 5年 5年 平成 元年 5年 5年 5年 5年 5年 平成10年 5年 5年0年
6年 6年 平成20年 5年 5年 5年 5年 6年2.本
研究における割合の捉え方
「害
1合」とい う言葉は
,古
くから使われてきた。
『 日本国語大辞典』
(松村
明
,1972)による′
と
,江
戸時代における「割合」の使用例と意味について以下の
ように述べられている。
「分割 してそれぞれ の負担分 としてあてが うこと。 また,そ
の もの。 割 当て。割 り前。 また,割
り勘。」(p.686) また,明
治時代 にな る と以下 の よ うに述べ られ てい る。 「全体 に対す る部分 の,ま
た,あ
るものに対す る他 のあ る物 の量 的関 係。 比率。歩合。害1。 」(p.686) これ らの こ とか らも分 か るよ うに,「 割合」 とい う言葉 は,
日常語 と して用 い ら れ て きた。 そ の こ とは,明
治以 降の教科書記 述 か らも うかが え る。 直 (1990)に よる と,割
合 の教科書記述 について,以
下の よ うに述 べ られ て い る。 「黒表紙本 では,「 割合」 は 「歩合」 と同義 としてい るのだが,実
際 に は 「害1合」 よ りも 「歩合 」 とい う用語 が主 として多 く使 用 され て い る。 しか し,歩
合 とい う言葉 もここで始 めて定義 され た に もか かな二 定義 され る以前 にも 「割合」や 1割に,割
で」 とい う言葉 は,教
科書 に 日常語 として無定義で使 われているのである。 た とえば4年
生 の総 復 習 の単元 には 「甲乙二人 ガ金 ヲ分 クル ニ 甲が3銭
トレバ 乙ハ2銭
ト ル割合 ニ ス レバ, 50銭
ヲ分 クル 時 ノ両人 ノ分 ケ前ハ各 幾 ラナル カ」 とい う問題 が出て い るので ある。 この よ うに割合 を無 定義 で 日常語 と して使 うとい うこ とは戦 後 の 自表紙本 にいた るまで見 られ る。 しか し, 昭和26年
以降 の教科 書 では 「割合 」 を用語 に近 い意 味 で位 置づ けてい るので,害
1合の単元以前 に この言葉 が使 われ るこ とはない。」│
(p.22)(下線筆者) この よ うに 「害1合」 とい う言葉 は,
日常語 と して教科 書 にお い て無 定義 に用 い られ て きたが,昭 和26年
度版 学習指導 要領(試案)か ら用語 と して位 置 づ け られ, ‐ 6‐定義 され る こ とで
,割
合 を学習 す る前 の段 階 におい て は用 い られ な くなった。 また,
日常語 と して用 い られ て きた とい う歴 史 は,
日常 生活 の 中に割 合 で く ら べ た り,数
量 関係 を表 現 した りす る事 象 が多数 存在 してい る こ とを意 味 して い る と言 える。 次 に,数
学教 育 にお け る 「割 合 」 と 「割合 の考 え」,の捉 え方 につ い て検討 し てい る先行研 究 を も とに,そ
れ らの捉 え方 を考察す る。「割合 」と「割合 の考 え」 につ いて,長
崎(2012)は
以 下の よ うに述べ てい る。′ 「学習指導要領 にお け る割合 の扱 いは
,昭
和30年
代 を境 に大 き く変 わ つてい る。 また,昭
和26年
版 と昭和33年
版 では,
ともに,割
合 がほ とん どの学年 で扱 われ て きたが,そ
の扱 い方 には大 きな違 いが あ った。 前者 では,割
合 は 日常生活 との関連 で表 現 され ていたが,後
者 で は, 「割合 の考 え」 が小数・分数 の乗法 の意 味指導 に大 きな役害1を演 じてい た。 その後 の割合 の歴 史 は,「 害1合の考 え」 につ い ての歴 史 と言 つて も 過 言 ではないで あ ろ う。「割合 の考 え」 が 中心 とな つた昭和QL生
版 で は,乗
法 は整数 の場 合 は累加 で導入 され,小
数 の場合 には比 の用 法 と 関連 させ てそ の意 味 を拡 張 して,1乗
数 の持つ意 味 を,基
準 とす る量 に 対す る割合 を表す数 と考 えて,乗
法 の意 味 を統一 的 に理解 させ る」 (「小学校 算数 指導書 」文部省,昭
和35年
, p.128)と
した。 つ ま り, 「割合 の考 え」 に よつて,乗
法 の意 味 を拡 張す る と した。 しか し,そ
の 後,こ
の学習指 導要領 の考 え方 の文持者 とその反 対者,特
に数 学教育 協議会 (数教協)の
間でいわ ゆ る 「割合 論争」 が起 こった。(中略) なお,最
近 では,「 割合 」 とい う言葉 は数 量 を表 す 「異種 の二つ の量の 割合 と して捉 え られ る数 量」 としてだ け使 われ,同
種 の二 つ の量 の割 合 につ いては,百
分率,歩
合,比
とい う用語 が使 われ てい る。」 (p.16-17)(下線筆者) この よ うに,長
崎 (2012)に よれ ば,昭
和33年
度版 の学 習指導 要領 にお いて,「割 合 の考 え」 が 中心 と して取 り扱 われ る よ うになった。 なお,割
合論 争 につ いて宮下 (2008)は,以
下 の よ うに述べ てい る。「「割合論 争」は何 の論争 であったか とい うと,「 数
=量
の比」 と 「数=量
(数は量 の抽 象)」 の論争 で ある。数 学 な ら,「 数=量
の比」 に軍 配 をあげ る こ とにな る。 しか し,学
校数 学 に実質 に入 つて いつた のは, 「数=量
」 の方 で あ った。」(p.68) この よ うに,昭
和33年
度版 学習指導 要領 にお いて,「 割合 」,「 割合 の考 え方 」 の取 り扱 いが,転
換 して い る。 さらに,『 算数 教育指 導用語辞 典 (第四版)』 を も とに 「割 合 」 の捉 え方 につ いて見てみ る と,以
下の よ うに述 べ られ てい る。 「二つ の数 または同種 の量 のA,Bに
つ いて,Aが
Bの
何 倍 であ るか を 表 した数Pを
,Aの
Bに
対す る割合 とい う。」 (日本数学教育学会出版部,2009,p.305) 一方,田
端 (2002)は,以
下の よ うに述 べ,「 害1合」 と 「害J合 の考 え」 の違 い を 明示 してい る。 「整数 ÷整数 で商 が小数 となる際 に小数倍 が指導 され る。 この整数倍 か ら小数倍 へ と倍 の意 味 の拡 張が され る際 には じめて割合 の見方 が顕 在化す るが,あ
くまで もこの段 階 では割合 の見方 で あって 「割合Jで
はない。(中略)全
体 と部分 の関係 を把握 してい る段階 で は倍 で あ り割 合 の見方 で あ るが,全
体 と部分 の関係 同士 を比較 す る段 階 か ら 「害1合」 と したいので あ る。 一量対 比 の場 合 も同様 に,基
準量 とす る量 の時間 的経緯 の前 後 の量 の関係 を把握 してい る段 階では倍 で あ り害1合の見方 であ る。 ところが,二
組 の関係 同士 を比較 す る段 階 か ら 「害1合」 と考 えたいの で あ る。 関係 を把握 してい る段 階 の数 学 的 アイデ アは測 定 で あ る。 関係 を比較 す る段 階 で も関係 を数値化す る数 学的 アイデ ア は測 定で あ るが,そ
の際 に2つ
の数 量 関係 に比例 を前提 とした り仮 定 した りしてい るのが 「割合 」 で ある。」(p.25)(下線筆者) 以上 の こ とか ら,本
研 究 において も,二
組 の関係 を比較す る段 階 か ら「害1合 」 ‐8‐と考 え
,以
下 の よ うに捉 え る こ ととす る。 しか し,本
研 究 で の考察 において両 者 の明確 な区別 が難 しい場合 も多い。 したが って,本
研 究 にお いては,「害1合 の 考 え」 と して限定 して使 う場合 を除 い ては,「 割合」 は,「 割 合 の考 え」 も含 め るこ ととす る。 割合 「Pを
用 いて2組
以上 の数 量 関係 を比較す るために,2つ
の数 また は,同
種 の 量 のA,Bに
つ いて,Aが
Bの
何倍 で あるか を表 した数Pを
,Aの
Bに
対す る 害1合 とい う。」第
2節
割合学習の困難性
本節 では,割
合学習 の困難性 についての先行研究を概観 し整理す ることで,害1 合学習 の困難性 を明 らかにす る。1957年 か ら2012ま ので 日本数学教育学会の『 算 数教育』誌 に掲載 された論文35編
,及
び『 教育心理学会誌』等6編
を同種 の量 の割合学習の困難性 に関す る先行研究 を対象 として抽 出 し,検
討 した。その結 果は下記 の通 りである。 <害1合学習 の困難性>
(1)害
1合の概 念形成(2)割
合 以外 に よる くらべ方 と割合 による くらべ方(3)比
較量 と基 準量 の同定(4)同
種 の量 と異種 の量 の接続(5)児
童 の割 合 の見方(6)割
合 の活 用(1)割
合 の概 念形成 割合 には多 くの既 習事項 が関連 してい る。 例 えば,小
数 の乗 法 は例 に挙 げ ら れ る こ とが多 い。 ガヽ数 倍 を既 に学習 してい る児童 に とつて,割
合学 習 にお い て 新 しく学ぶ こ とは何 で あ るか を指導す る教師 は明確 に してお く必要 が ある。 な ぜ な ら,こ
の新 しく学ぶ こ とこそ が,割
合 学習 におい て促 す べ き概 念 形成 で あ るか らだ。 この こ とにつ いて,土
屋 (2002)は,以
下 の よ うに述 べ てい る。 「割合 の音 味 は小数倍 の音 味 の言 い換 えにす ぎないので はないか,小
数倍 を見 させ てお いて,Aは
Bの
p倍
とい うの をAは
Bを
も とに した ときpの
割合 と言 い換 えてい るにす ぎない と考 え る。Bを
1と見 た と きAは
pと
見 る こ とも小数倍 と割 合 の違 い はほ とん ど取 り上 げ られ て いない,従
って,児
童 は比べ られ る量 ■ もとにす る量=割
合 とい う言 葉 の式 を覚 え,そ
れ を根拠 に考 え るこ としか指導 され て い ない。」 (p.30)(下線筆者) つ ま り,害
1合 とは小数倍 の意 味の言 い換 えにす ぎない のでは な く,基
準量 を1 ‐10‐と見 た ときのい くつ分 で あ る こ とを強調 し
,害
1合の意 味 の導 入 か ら学 習 を行 う こ との重要性 を指摘 してい る。(2)割
合 以外 に よる くらべ方 と割合 に よる くらべ方 困難性 の二つ 日は,割
合 以外 に よる く らべ方 と割 合 に よる く らべ 方 である。 田端(2002)は
, 2つ
の数 量 を くらべ る際 には2つ
の視 点が あ るこ とを以下 の よ うに述べ てい る。 「2つ
の数 量 を見比べ た ときにまず考 え られ るの は,差
か倍 の2つ
で 比べ るこ とで あ る。」(p.24) ここでの差 に よる く らべ方 とは,2つ
の量の差 によつて く らべ るこ とを指 して い る6田
端 (2002)が 上記 で述 べ てい る よ うに, 2つ
の数 量 を く らべ る際 には, 児童 が割合 の学習 をす るまで に経 験 してい る数 量の比較 か ら,差
に よつて く ら べ よ うとす る児童 と割合 に よつて くらべ よ うとす る児童 が混在 してい る状況 に あ る と言 える。 同様 に,平
山(2003)は
,2つ
の数 量 を くらべ る際 に示す児童 の困難 性 につ い て以 下の よ うに述 べ てい る。 「2量
間の倍 関係 を確 実 に把握 で きていた児童 も,比
例 関係 を把 握 す る レベル にお いて は,そ
の判 断 に迷 い を見せ るよ うにな る。す な わ ち 児童 は,「 倍 」 の対 にな る観 点で あ り,量
を比較 す る際 の原 点 とも言 う べ き 「差」 の観 点 を適用 しよ うとす るのである。 この よ うに,割
合 の 文脈 上 で,「 差」 の観 点 を適 用 しよ うとす る方略 は,加
法 方 略 と呼 ば れ る。 しか し,こ
れ までのわが国の学習指導 にお いては,カロ法方 略 に 直接対峙 し,そ
の克服 に時間 を割 くこ とは ほ とん ど行 われ て こなか つ た。 その結果 として,一
部 の児童 は,割
合 の文脈 にお け る 「差」 の観 点 の滴 用 につ いて、整理 で きない ままに,「 倍Jの
観 点 を用 いて い るよ うに思 われ る。 そ して,未
整 理 の ま ま 「差 」 の観 点 は,前
述 の よ うに 把 握 の対 象 が広 げ られ る際 に,迷
い と して表 出す るの で あ る。」, (p.14)(下
線筆者)ここでの差 に よる く らべ方 とは
,2つ
の量 を比例 関係 が ともなわない加減 でそ ろえ る こ とで あ る。 平 山 (2003)は,差
の観 点 を整理 しない ま ま,割
合 の学習 に おい て割合 の観 点 を適 用 す る こ とで,新
たな場面 にお い て差 の観 点 を適用 しよ うとす るこ とを指摘 し,加
法方 略 を克服す る実践 的な研 究 を行 った。 中村(2008)は
,割
合 に よる くらべ 方 の困難性 につ いて以 下 の よ うに述べ て い る。ヽ 「二量の関係 を とらえる とき
,差
で くらべ る方法 と倍 で く らべ る方法 が あ る。児童 の多 くは,差
で くらべ る方法 がで き るが,倍
で く らべ る 方 法 (割合)は
なか なかで きない。 それ は,二
量 の うち一方 を基 準量 にす る とい うこ とに困難性 が潜 んでい るか らで あ る。 この 困難性 を解 消す るた めには,差
で く らべ る方 法か ら倍 で くらべ る方 法 へ と移 行 さ せ,倍
で くらべ る こ との よ さを児童 に感 得 させ る こ とを割 合 の導入指 導 で行 う必 要 が あ る。」 (p.2)(下線筆者) つ ま り,田
端(2002),平
山(2003),中
村(2008)の
指摘 をま とめ る と2つ
の 数量 を見 く らべ る時 に,児
童 が素朴 に くらべ る方法 を吟 味す る こ とを通 して, 割合 で くらべ る方法 を学習す るこ とが重要 で あ る と考 え る。(3)比
較 量 と基準量 の 同定│
困難性 の三つ 目は,問
題 の文脈 か ら 「も とにす る量 」,「 比 べ る量 」,「 害1合 」 を把握 す る こ とで あ る。 この こ とにつ いて 中村(2002)は
,以
下 の よ うに述 ベ てい る。 「割合 は難 しい教材 の一つ である。 その要因 として,大
き く次 の三つ が あげ られ る。 まず,害
1合は二量 の関係 を表す た め,数
の相 対的 な見 方 が必要 にな る。「も とにす る」 とい う考 え方 とともに,
どち らの数 を も とにす るか に よつて,相
対 的 な関係 を数値化 した結果 が異 な る こ と に難 しさの要 因が あ る。」(p.14) ‐12‐この よ うに
,
どち らの数 を も とにす るか に よって,相
対 的 な 関係 を数 値化 した 結果 が異 な る こ とに難 しさの要 因が あ るこ とを指摘 してい る。 また,金
井(2002)は
,構
造 が立式 に及 ぼす影響 につ いて以 下 の よ うに述 べ てい る。 「用法 に関係 な く,問 題文 にお ける数値 の順序が 「B(基
準 量)r皓
1合)A(比
較 量)」 の構 造 にな つてい る問題 は,比
の3用
法 に関 わ らず 正答 率 が高い傾 向が見 出せ る。(中略)「BrA」
とい う構造 の 問題 は二 笙2学
年 か ら学習 してい るか け算 の基本構 造 の形式 で あ る。 よつて,児
童 。生徒 は この形式 にのせ るので式 が立や やす い と思われ る。 この こ とは,比
の第2用
法 の調 査 問題 の■E答 率 が ほかの用法 と比 べ る と高い ヽ ことと整合 的 で あ る。 す なわち,か
け算 の基本構 造 が直接 的 に反 映 で き るので,正
答率 が高い とい える。」(p.10)(下線筆者) この よ うに,金
井 (2002)は,問
題文 の構 造 が児童 の問題 解 決 に影響 を及 ば して い るこ とを指摘 してい る と言 え る。 また,第
1用
法 は 「比較 量 ÷基 準 量」 で あ るた め,問
題 文 に害1合が含 まれ てお らず,基
準 量 と比 較 量 を同定 しに くい こ と と関連 してい る と言 え る。 また,「 も とにす る量」,「 比べ る量」,の
同定 が難 しい こ とが,か
け算 の基本 構造 で あ る 「BrA」
の構造 と して立式すれ ば よい とす る児童 が増 え,結
果 と して 「BrA」
の構 造 になってい る問題 の正答率が高 くな る とい う結 果 を導 い てい る と考 える こ ともで きる。(4)同
種 の量 の割 合 と異種 の量 の割 合の接続 困難性 の四つ 日は,同
種 の量 と異種 の量の接 続 であ る。 田端(2002)は
,異
'
種 の量 と同種 の量の害1合の教授 学習過程及 び数 学的アイデ ア につ いて表 1‐3の
, よ うにま とめた。表
1-3
異種 の量 と同種 の量 の割合 の接続(田端,2002,p.28) 異種 の量の割合 ① 一方の数量 をそろえて他方で比較す る。 ・公倍数の考え。平均の考え ② 一方 を単位量 として他方で数値化する. ・等分除的解釈
。包含除的解釈 同種 の量 の割 合 ① 一方の数量をそろえて他方で比較す る. 。公倍数の考え
・平均の考え ② 一方を単位量 として他方で数値化す る。 ・等分除的角翠釈 ′ ・包含除的解釈 ③ 一方(全体)を 1と みて他方を測定 して数値化す る。 ・包含除的解釈
・測定の考え ′ 表
1-3か
ら分 かるよ うに,異
種 の量 と同種 の量の割合 の導入場面においては, ① と②の教授学習過程 な らびに数学的アイデアが同 じになる。 しか し,異
種 の 量の害1合が等分除的解釈 のままでよいのに対 して,同
種 の量 の害J合では等分除 的解釈 か ら包含除的解釈へ と発展 させ る必要 があると述べてい る。 異種 の量の害1合である「単位量 当た り」の考 えは,『算数教育指導用語辞典 (第 四版)』 によると,以
下 のよ うに述べ られてい る。 「一般 に,2量
A,Bの
割合 を考 えた とき,Aと
Bの
どち らを基準 に と つて も,基
準 に した量の単位量 当た りに対す る他 方の量 の分量が考 え らオЪる。」(p.237) つま り,異種 の量の害1合では,基準 に した量 に対す る他方の量 の分量 (1つ 分) を求 めることであるため,等
分除的解釈 であると言 える。一方,同
種 の量の割 合は,算
数教育指導用語辞典 (第四版)に
よる と,以
下のよ うに述べ られてい る。 「二つの数 または同種の量のA,Bに
ついて,Aが
Bの
何倍 であ るかを 表 した数Pを
,Aの
Bに
対す る割合 とい う。」(p.305) ‐14‐したが つて
,同
種 の量 の割合 は,Bを
基準 に して,Aが
そ のい くつ分 にあた る か を求 め る こ とで あ るの で,包
含 除的解 釈 で あ る と言 え る。 また,包
含 除的解 釈 につ いて は,中
原 (2009)は,Vergnaud氏
の捉 え方 を も とに以 下 の よ うに述べ てい る。 「スカ ラー 関係 に基づ く乗法 は,(求
め る全体 量:x)=(基
準量 :a)× (倍量:b)と
い う言葉 の式 でま とめ られ た。bが
未知 の場 合 は次 の よ う な式 にな り,こ
の倍 量xを
割合 とみれ ば,こ
の式 は比 の第一用 法 を表 してい る こ とにな る。(求め る量:x)=(全
体量:c)÷
(基準 :a) 比 の第一用法 は,包
含 除 の拡張 として見 られ る。」(p.189) この よ うに,害
1合 (同種 の量)の
学習 にお いては,等
分 除的解釈 か ら包含 除的 解 釈へ と接続 させ るこ とが重要 で あ る。 したがつて,異
種 の量 で学習す る こと と同種 の量 で学習 す る こ との違 い を明 らか に し,系
統性 の あ る学習計画 を立 て てい くこ とが必要 で あ る と思 われ る。(5)児
童 の割 合 の見方 認 知 的 な側 面 か ら割 合 を見 てい く と,次
の よ うな指 摘 が あ る。整 数+整
数 で 純小数や 分数 が答 え とな る場合 に (大きい数)÷
(小 さい数)と
す る傾 向があ るこ とにつ いて 田端(2012)は
,以
下 の よ うに述べ てい る。 「平成20年
A□
の(1)と (2)を比較 してみ る。 この問題 は,あ
らか じめ3mの
赤色 のテー プ,6mの
青色 のテー プ,12mの
黄色 のテー プが図 とと もに示 され,次
の よ うに問われ てい る。 4 十 一 プ ●=3奉 あ 1'ま す ご 十 一 プ の 長 さ は,次の よ う に な っ て い ま す 。 ・ ホ 出 の デ ´・メけ 崚 さ は 3m ― ・ 青 色 の テ ー プ の 最 さ は 6憫 ・ 贄 色 の テ ー プ 楡 長 さ は 12鷺 (■)賞 邑 の テ ー プ0)鷺さ は"ホ 巴 け ‐r一デ め 畿 書 りfrJ倍 .く ・ す か 。 求 め ら 気 と 感 え 書 警 キ ま し よ う 。 (2,や 色 の ケ ー プ ‐ 長 さ は,貪 色 の テ ー プ の 長 督 の 何 権 で す か 。 求 め る 式 と 答 え を 書 き ま し ょ う。正答 率 は
,(1)が
83:1%,(2)が
55。7%で
ある。 比較 量,基
準量 は異 な るが,問
題 文 の構 造 は同 じで あ る。Aは
Bの
何 倍 かが 問 われ,A■
Bで
求 めれ ば よい か らで あ る。報告 書 によれ ば,(2)の
誤 答 で最 も多い のは,12■ 6の 24.0%で
あ る。 ク ロス集 計 の結果 (1)を 正 答 し(2)を 誤 答 した児童 の割合 は,30。3%で
あ る とい う。 この結果 か ら整数倍 を求 め る除法 において児童 の演算決 定 の根拠 が,(大
きい数 )÷ (ノ∫ヽさい数) で あ るこ とが予想 され るJ(p.47-48)(下
線筆者) この よ うに,誤
答分析 か ら,(大
きい数)■
(小 さい数)で
答 えを出す傾 向に あ るこ とが分 か り,全
て の問題 を (大きい数)十
(小 さい数)の
方略 で解 こ うと す る傾 向があ る と捉 え る こ とがで きる。 また,吉
田(2003)は
,割
合 の問題 の難 しさにつ いて以 下の よ うに述 べ てい る。 「子 どもは,
日常 の言語 で は,100%以
下の状況 で は,%や
割 を使 い,100%を
こえ る状況 で は,ほ
とん どの子 どもが倍 の表現 を使 つて い る のだ。 それ に対 し,教
科書 では,小
数倍 と%の
両方 とも どの よ うな状 況 で も適用 で き る と教 えてい る。 しか し,子
どもの論理 か らすれ ば,100%を
こえる問題 状況 を%で
考 えるこ とには,直
感 的 にか な り無理 が 生 じるだ ろ う。 さ らに,100%以
下 の状況 を小数倍 で考 え よ うとす れ ば, これ らも彼 らの論理 と合 わない とい うこ とにな る。」 (p.160-161)(下線筆者) 子 どもの論理 と教科 書 に書 かれ て い るこ とに矛盾 が生 じて い るの で,割
合 の 見方 を拡 張す る こ とが で きず,学
習 した公式 を利用 して問題 を解 くこ とをあ ま りしない とい う結 果 につ なが る。 した が つて,子
どもの論理 を考慮 に入れ なが ら,概
念 を拡 張 し,割
合 に対 す る見方 を拡 げ られ るよ うに して い くこ とが,割
合の指 導 にお いて必要 にな って くる と考 え られ る。 ‐16‐(6)割
合 の活 用 儀部(2011)は
,平
成19年
∼22年
の全 国学力・学習状況調 査 の結 果 を も と に,割
合指導 の課題 につい て表1-4の
よ うに述べ て い る。 課題 として挙 げ られ てい るものには,ま
ず,意
n/kについて の理解 が あ る。 割 合学習 は難 しい と教 師 も考 え,で
きる よ うに させ るた めに比 の3用
法 を用いて 計算 で き る こ とを 目指 し,意
味理解 が不十分 になって い る と考 える。 また,示
され た考 えが正 しいか ど うか を割合 の考 えを用 いて評価 し,そ
の理 由 を数学的 に説 明す るこ ととあ るよ うに,こ
れ までのグ ラフ指導 では,数
値 を読 み取 る こ とや か くこ とに重点 が置 かれ て きた こ とへの指摘 で あ る と考 え る。 さらに,全
国・学力学習状況調査 にお ける,割
合 に関す る調 査 問題 及 びそ の 結果 は,磯
部 (2011)の 結果 を も とに,平
成23年
度以 降 の もの も含 め る と表15
の よ うにな る。 表1-4
害1合指導 の課題 (磯部,20H,p.29)
(1)割
合 に関す る課題 か ら指導 の課題′ ○ 百分率 の意 味 につ いて理解 す るこ と ○ 百分率 を用 いて 問題 を解決 す るこ と ○ 示 され た考 え方 が正 しいか ど うか を割合 の考 えを用 いて評 価 し
,そ
の 理 由を数学 的 に表現 す るこ と(2)学
習指導 にあた つて大切 に したい事項 〇 百分 率 の意 味 を理解 し,数
量 の関係 を とらえて立式 で きる よ うにす る こ と ○ 日常生活 の場面 で百分率 を用 いて問題 を解 決 す る活動 を通 して,百
分 率 の意 味理解 を深 め るこ と ○ 割合 の学習 で は,比
較 量 が,基
準量 と割合 の積 で決 ま る こ とを理解 で き るよ うにす る こ と ○ 比較 量 の大小 は,割
合 だ けで決 ま るのでは な く,基
準量 と割合 の2つ
に よつて決 ま る とい う見方 がで きる よ うにす るこ と表
1-5
全国学力学習状況調査 における割合の問題(儀
部,20H改
) 年度 問題番号 問題 形 式 正答率 備 考 19B3(3)
選択 式 54。1%
棒 グラフの読 み と りB4(1)
言己述式(方法=理由)29.5%
第2用
法 値 引 き 20A9(1)
短答 式91.5%
円グラフの読 み と りA9(2)
短答式55,1%
第2用
法 B 2 (2) 選 択 式58.5%
第2用
法 を求 め るための条件 B 2 (3) 記 述 式 (理由)17.6%
第2用
法 9 “ A7 選 択 式57.1%
第 1用法,図
無 し B 5 (3) 記述式 (理由)17.9%
第 1用法 9 ″ 0 4 A9 短答式 578%
第 1用法B3(3)
選 択 式40.2%
第 1用 法 円グラフと表の読みとり B 5 選 択 式69,2%
第2用
法 百分率の量 としての概念B5(2)
記 述 式17.4%
第2用
法 23B4(2)
選択 式 第 1用法B4(3)
記述 式 「部分と部分」と「部分と全体」の関係 24A□
短答式58.7%
第3用
法B□
(3) 記 述 式23.8%
第1用法 25A□
(1) 選 択 式76.9%
第2用
法 A回
“9 選 択 式77.1%
第2用
法 比較量と基準量の大小関係Ё□
(2) 選択,記
述 式 44.70/0 第2用
法 これ らの結果 か ら,磯
部 (2011)に お いて述 べ られ て い るよ うに,(1)割
合 に関 す る課題 か ら指導 の課題 において述べ られ てい る,「示 され た考 え方 だ正 しい か ど うか を害1合の考 え を用 いて評価 し,そ
の理 由を数 学 的 に表 現 す る」 こ とが 困 難 であ るこ とが,表
1-5か
らも読み取れ た。 また,(2)学
習 指 導 にお いて大切 に したい事項 の4点
は,意
識 して指導 してい くことが今後 の課題 で あ る と思 わ れ るιl
18‐第
3節
割合学習の困難性に対する改善策
本節 において は,前
節 で整 理 した割合 学習 の困難性 に対 して,そ
の改善 を 目指 して行 われ た と捉 え られ る先行研 究 を概観 し,整
理す る。(1)割
合の概念形成 早 川(2003)は
,同
種 の割 合 の導 入 につ い て 以 下 の よ うに述 べ て い る。 「これ ま で の害1合の 実 践研 究 で は,複
数 の数 量 関係 を比 較 す る場 面 か ら導入す る こ とが多 か った. シュー ト問題 では 「どち らが うまいか」, ゴムの問題 では 「どち らが伸び るか」 を追求 し,割
合 の違 い を比較 し て考察 して きた と言 える。それ に対 し,本
研 究 で は,シ
ュー トの 「同 じ割合 」 を考察 してい くので あ る.(中
略)2つ
の数 対 (10,20),(12,24) は一 見,異
な る数値 のペ アであ る。 この違 う数対 を 「同 じ」 と見 よ う とす る観 点 が必要 にな る。 その観 点が 「割合」 なので あ る.授
業 では, 数対 (10,20), と(12,24)は
「何 が同 じなのか」「なぜ 同 じなのか」 を問 うた。 そ して,倍
で考 えるこ とによつて割合 が 同 じで あ る こ とに 気づ いた。倍 で考 え るよ さを見いだす こ とがで きた ので あ る。」 (pp.23-30)(下線筆者) この よ うに,「 何 が 同 じなのか」「なぜ 同 じなのか」 を追究 す る こ とで,数
対 が比例 関係 にあ る こ とに気 づ き,倍
で考 える こ とで割 合 が 同 じで あ る こ とに気 づ くこ とがで き る と示 してい る。(2)割
合 以外 に よる くらべ方 と割合 に よる くらべ 方 平 山(2003)は
,加
法方略 の克服 について下記 の よ うに述が てい る。 「児童 が加 法方略 を克服す るためには,児
童 に とつて,
どの よ うな経 験 が必要 で あ ろ うか。筆者 は,割
合 の文脈 におい て,加
法方 略 の不適 切 さを認識 す るだ けではな く,「 差│と
「倍Jの
観 点の適 切 な用 い方 に, それ ぞれ整理 をつ け るこ とが必要 で ある と考 える。 そ して,整
理 をつ け るた めには,害
1合の文脈 におい て,「倍 」 の観 点 に 目を向 け るだ けではな く,「 差 」 の観 ′点につ いての吟 味 も
,十
分 に行 われ る こ とが欠 かせ ない よ うに思 われ る。 あ る概 念 を深 く理解 す るた めには,そ
の対 立概 念 へ の理解 も深 め,両
概念 を対比 し,関
連付 け る作業 が必 要 で あ る。 す なわ ち,「 倍 」 の概 念 が必要 とされ る割合 の問題 場 面 にお いて,「 差」 の観 点の適 用 につ いて吟 味 し,互
い を対比 させ,関
連付 け る活動 は,児
童 が適用 され るべ き観 点 を整理 し,自
信 を持 って 「倍 」及 び 「差 」 の観 点 の適用 を行 うた めの糧 とな るこ とが期待 され る。 そ して,そ
の こ とは 割合 に対す る深 い理解 と同義 で あ る と言 えるだ ろ う。」 (p.15-16)(下線筆者) 上記 の こ とを踏 ま えて,図
1-1の
問題 を提示 して,実
態調 査 を行 つた。 そ の 後,こ
の問題 について考 える授 業 を行 つた。1時
間 日の授 業 にお いて児 童が選 ん だ選択 肢 か らは,多
くの児童 が,害
1合 の文脈 において割 合 の観 点 を適 用 しつ つ も,害1合以外 の観 点 は未整理 のままに して しま ってい るこ とが明 らか になった。 I力Ocn■ │.た Iて鍬 m横 12鞣mの ス ク リ ー ン を,同 じ 形 の ま ま ■大 き く し よ う と 思 い ま →‐, そ こ で_Lr/)LョJ)よ う:こ. I‐‐Jじ ■はI議ル紙を,ス
ク リー ンのたて と横につ け くわえる ■と ■11こ│しま し 責■ ■│‐ ‐三あ方法で,同
じ形のスクリーンは作オτるでt´ ようめ、1決
の中 "│らあなたの考えをひとつだけえらんで,九
をつ │■ナてくださ│ヽ 図1■1
加法方略(平山,2003,p.17) この実践 は,対
象学年 が第6学
年 であ り,比
の学習 を終 えた後の 発 展学習 と して位 置づ け られ て い るた め,現
行 の指導要領 では,第 6学
年 にお け る「縮 図 や拡大 図」が この内容 を補 ってい る と言 え る。また,害1合の学習 を第5学
年 で 完結 させ る とい う捉 え方 で はな く,第
6学
年 にお け る,「速 さ」の学習や「比 」, 「比例」等 も含 めた6年
間 にお ける概 念形成 と捉 え る こ との必 要性 を示唆 して い る と言 え る。 ・20・(3)比
較量 と基準量の同定 割合 の文章問題 に絞 った研 究 もな されてい る。小林(1986)は ,害
1合の問題 を考 える時の手 順 として,「メモの○ を書 く」,「短い文 に書 き直す (基準量の見 つけ方)」 「メモ に書 きこむ」「仲 よし を調べる」「計算 を決 める」「式 と答えを書 く」を示 した。 この こ とによ り,“仲 よし"の
関係 を調 べ るこ とによる正答率 が 高い とは断定できない と思われ るが,こ
うした実験 。確 かめ を繰 り返 した結 果 は,や
は り高い正答率べ とつながる と述べてい る。(p.4) 図1-2
仲よしを見つけるメモ(小林,1986,p.4) 文章題 の指導 は,学
校 現場 において も,数
多 く実践 され てい るが,小
林(1986) の実践 も含 めて,手
続 き的 に課題 を解 決 させ よ うとす るもので ある。 例 えば, 「“の"“∼に対す る"が
あるときは,」 といつた方法 では,全
ての課題 に対 して 対応す るこ とができない。 この ことに関 して,小
林(1986)で
は,次
のよ う に述べてい る。 「現行の教科書の問題 はほ とん ど,“の"“∼に対す る"が
書いて ある ので,こ
の手順 によつて確実に正答 を得 ることができる。」(p.3) 【問題】「米は6%の
たんぱく質を含んでいます。140gの米には,た
んぱく質が何g含 ま れていますか。」 くらべ るO
o
米の量 たんぼ くしつの割合 たんぼ くl´つの豊 たんば くしつの害1合 「仲よしを調べる」とは,割
合の○に書いてある名前と,比
較量の○に書いてある名前 が 同 じか ど うか を調 べ る とい うこ とで あ る。 仲 よ しで な い ので… くらべ る 米の量 … の量この よ うに
,限
定的 な課題解 決 の方略 を与 えて も,害
1合の意 味 を よ く理解 した 上 で課題解決 してい る とは言 い難 く,概
念形成 を促 す こ とへ はつ なが らない ど 考 える。 岡崎 (2008)は,5年
生 の小数 除法 の単元 にお いて,割
合概 念や 中学校 の関数 の グラフの認識 の 向上 へ 向 けたデ ザイ ン実験 を実施 した。 崖 の傾 斜 を小数 除法 と して捉 え る様相 につ いて純小数倍 が操 作教具(図1-3)と
二重数 直線 に よつて ど の よ うに認 識 され るか を分析 した。 二重数 直線 へ の変換 と活動 の成 果 と して, 以下の よ うに述 べ てい る。 「操作教具での純小数倍 の沢1定や その意 味 を理解 していれ ば,二
重数 直線 に比較 的容 易 に移 れ るこ とも,分
析 か ら示唆 され た。 この学習 に よつて,子
どもた ちは 「1つ
分 を1と して見 る と分 か りやす い」 と述 べ た り,下
線 の数 に常 に 「倍 」 とい う言葉 をつ けて述 べ てお り,こ
れ は一つ の成果 と考 え る。」(p.274) 鶴 ﹁ , 一 図1-3
操作教具(岡崎,2008,p.274) この よ うに,二
重数 直線 を導入す る こ とに よ り,「1つ
分 を1 とがで き るよ うにな った こ とを実験 的 に示 してい る。 また,寺
内 (2011)は,倍
関係 の理解 を促す指導 の工夫 と して, 用す る こ ととした。 と して見 る」 こ 「信 号棒」 を活 図1-4
信号棒(寺内,2011,p.3) ‐22‐「信号棒 は
,新
算 数教 育研 究会姫 路支部 が作成 し,活
用 して きた もの で,赤 ,青 ,黄
の長 さの異 な る3本
の色棒(赤:青
:黄=7:4:3)
か らな る。2量
間の倍 関係 を調 べ る学習 では,中
間 の長 さの青棒 を基 準量 に固定 し,比
較 量 と基準量 よ り大 きい場合 は赤棒 を,小
さい場合 には黄棒 を選 んで用 い る。各色棒 には,□
と○ の記入欄 が あ り,
□ 欄 には量 を,○
欄 には割 合 を記 入す る。青棒 の○欄 には基 準量 を表す 「1」 を予 め記入 してお くので,基
準量 を1とす るこ とを強 く意 識 づ ける こ とがで き る。」(p.3) 上記 の信 号棒 を用 いて比較 量,基
準 量 を同定 させ る こ とか ら,量
感 を持 たせ なが ら倍 関係 の把握 が で き,図
を描 く技能 を要 しない こ とに よ り,児
童 が課題 解 決 をす る上 での負担 を減 らす こ との よ さを実験的 に実 証 して い る。(4)同
種 の量 と異種 の量 の接続 平成10午
度告示 の学習指導 要領 において は,異
種 の量 の割 合 が第6学
年 に配 置 され ていたが,平
成20年
度告示 の学習指導 要領 にお いては,第
5学
年 に配 置 し直 され た。 この こ とに よ り,田
端(2002,2003)に
お いて指摘,提
案 され て いた同種 の量 と異種 の量 の接続 につ い ては解 決 され た と言 え る。 しか し,異
種 の量の配置 が変 更 にな つた こ とに よ り,異
種 の量 におい ては,「 ①一 方 の数量 を そ ろえて他方 で比較す る。」「②上方 を単位量 として他方 で数値化す る。Jと
い う こ とに重 点 を置 き,同
種 の量 において は,「③一方 (全体)を
1と み て他方 を根1 定 して数値化す る。」 とい うこ とに重 点 を置 く必要 が あ るこ とが明確 に なった と 言 える。(5)割
合 の見 方 を生か した指導 吉 田(2003)で
は公 式 を害J合指導 の 中心 にす えるの ではな く,割
合 を量 と し て とらえ,理解 を促進 す るた めに,図1-5の
割 合モデル を教材 と して導 入 した。 また,割
合 に対 す るお よそ の見積 も り能力 を獲 得 させ るた め に,割
合 モデル を 使 つてお よそ どれ くらいの割 合 にな るか を見積 も らせ る とい う介入 をお こな つ た。次 に;月 ヽ数倍 か ら教 えるのではな く,%か
ら導入 を し,「 第一用 法→第二用 法→ 第二用法 」 か ら 「第 二用法→第 一用法→ 第 二用法 」へ と教 える順 序 を変 更 して,指
導 を行 った。 実験 的 なカ リキ ュ ラム を与 え られ た子 どもは,計
算 を利用 した子 どもも
6割
い たが,4害
1弱の子 どもは見積 り方 略 を採 用 して いた。公 式 を適 用す る とい う解決 に加 えて,別
の解決 方 略 を手 に入 れ る こ とで,正
答率 が 高 まった こ とを示 してい る。 (pp.162-163) 外側 が基 にす る量 を,内
側 が比べ る量 を 示す図であ り,こ
れ を割合 モデル と呼ぶ。 Lヒ′ヾそう奮琶 図1-5
割合モデル(吉田,2003,p162) 12 096 図1-6割合モデルのいろいろ(吉田,2003,p.163) 指導す る順 序 を変更 す る こ とで,第
2用
法 を も とにす べ て の用法 につ いて考 えてい こ うとす る方針 を明確 にす る こ とはで き るが,課
題 を角翠決 で きたか ら と い って害1合の概 念形成 が促 さ,れる とは言 えない のでは ないだ ろ うか。 岡 田 (2009)は ,学校 で は公式 を用 いた解 き方 を教 わ ってい るに もか か わ らず: 公式 を用 いず に,他
のや り方 で問題 を解 いてい る児童 が多 くい るこ とを指摘 し, 「もとにす る量」 に対応す る 「100%の
量」 とい う言葉 を用 い,害
1合を分数 で表 示す る 「分数表示方略」 を導入 した。 第1用
法 か ら第3用
法 まです べ ての用 法 で事後 テ ス トの正答率 が高か った。最 も困難 で ある と言 われ る第3用
法 にお い て も85%以
上 の正答 率 が得 られ,介
入授業2週
間後 に実施 した追加 調 査 にお い て も,事
前テ ス トに比べ て高 い正答 率 を保 つていた と述べ て い る。(P,34) 【問題 】 6年生全体の人数は 120人 です。今 日は欠席者が 6人 いま した。6年生全体の人数120 人を 100%と す ると,欠
席者は何%で
しようか。 : 八 5 il ギ
寿
=千
も一ま
き券
=f詐
一券
=千
蓋一口=5答 え
=上│
: マ 5 1 1___´_____‐^‐ ‐ ‐‐‐‐´ヽ‐´ヽ‐‐‐‐∼‐‐^ヽ´・ ‐‐‐‐‐――‐‐―"― ^― ―――´●‐‐‐‐´“^― ‐―‐‐――――・ ‐‐―‐‐‐‐‐―――――‐‐―J 図1-7
分数表示方略(岡田,2009,p.36) 分数表示方略 は,C社
の教科書 に も扱 われ てお り,比
較量・ 基準量 の 同定 を行 うことがで きる児童 に とつては,式
化 す る有効 な方略 で ある と考 え る。 ‐24‐第
4節
割合学習の課題
本章 で は,先 行研 究 を も とに害1合学習 の困難性 お よび その改 善策 を概観 して き た。害1合 学習 の困難性 に関す る先行研 究 の分析結果 か ら,①
害J合の概 念形成, ②害J合以外 に よる く らべ方 と割 合 に よる くらべ方,③
比較 量 と基 準量 の同定, ④ 同種 の量 と異種 の量 の接続,⑤
児童 の割合 の見方,⑥
割合 の活 用 の6点
が指 摘 で きた。 この よ うに多様 な困難性 が指摘 され てい るが,特
に本研 究 では,割
合学習 の導入 にお い て,害
J合に よる く らべ方 を理解 す る過程 に焦 点化 し割合 の 概念形成 を促 す授 業 づ く りを考 察す る こ ととす る6平
山 (2003)に よ る と,割
合 以外 に よる く らべ方 を整 理 しない まま,割
合 に よる く らべ方 を適 用す ることで, 新 たな場 面 にお い て割 合 以外 に よる く らべ方 を適用 しよ うとす る こ とが述 べ ら れ てい る。 この こ とか らも,害
J合学習 の導入段 階 にお いて,害
1合に よ る くらべ 方 を理解 す る こ とは,割
合 以外 に よる くらべ方 と割合 に よる く らべ 方 を吟味す る こ とで,割
合 に よる く らべ方 を深 く理解 す る こ とに繋 が る と考 え るか らで あ る。、 したが つて
,本
研 究 にお い て は,割
合 学習 の導入 時 に害J合 以外 に よる く らべ 方 と割合 に よる くらべ 方 の吟 味 を行 うこ とで,割
合概 念 の形 成 を促 す 単元構 想 を してい く。第
2章
割合の教材研究
本章 では,「 くらべ る こと」 につ いて整理 し,割
合 学習 にお ける児童が数 量 を くらべ る視点 を明 らかにす る。 さらに,教
科書分析 を行 い,割
合 学習にお け′ る導入問題 について検討す る。
.
第
1節
割合学習において児童が数量をくらべる視点
第
2節
問題 を分析す る視点
第
3節
教科書 における導入題材の分析
第
4節
割合の導入授業の提案
‐26‐第
1節
割合学習において児童が数量を くらべ る視点
本節 では,児
童 が数 量 を割合 に よつて くらべ るこ とを学ぶ た めに設 定 され た 問題解決場面 において,想
定 され る児童 の考 え方 を整 理 し考 察 す る:そ
の こ と を通 して,児
童 の割 合 の概 念形成 を 目指 した授 業づ く りへ の示 唆 を得 たい。 そ こでまず,割
合 学習(同種 の量 の割合)と類似 した特徴 を多 く有す る学習 内 容 で あ る単位 量 当た りの大 き さの学習(異種 の量 の割合 )に 関す る先行研 究 と し て,中
原 ほか(印刷 中)を 検討 す る。 中原 ほか(印刷 中)は,算
数 の授 業 にお ける話 し合 い 。学び合 い活動 を算数教 育 の 日標 達成 にう なが る もの にす る こ とをね らい と し,授
業 づ く りの規範 的モ デル を提 案 してい る。 さ らに,検
証授 業 を通 してそのモデル づ く りの有効性 や 課題 につ いて考 察 して い る。 その際,教
材 の1つ
として 「単位 量 当た りの大 き さ」 を取 り上 げ,そ
こで想 定 され る児童 の考 え方 を整 理 して い る。 中原 ほか (印刷 中)の 「単位 量 当た りの大 き さ」 にお ける想定 され る児 童 の考 え方 をも と に,割
合 学習 において児童 が数量 を考察す る考 え方 を表21の
よ うに整理 した。 表2-1
割合 学習 におい て児童 が数量 を く らべ る視 点I
直観 的 に判 断I-1
分布 で判 断I-2 1つ
の数量だ けで判 断 Ⅱ 差 で判 断 Ⅱ2つ
の数 量の差 で判 断 そ ろえて判 断 Ⅲ-11つ
の数 量で判 断(一方 の量 が そ ろつてい る) Ⅲ-2 2つ
の数 量 を加減 でそ ろえて判 断 Ⅲ-3 2つ
の数 量 を乗 除でそ ろえて判 断(公倍 数) Ⅳ 害1合で判 断 Ⅳ2つ
の数量 を害1合で判 断バスケ ッ トボールの試合 を しま した。下の表は
,か
ずお さんたちの,試
合でのシュー トの記録です。いろいろな くらべ方を考え,話
し合つてみま しょう。 表2-2
バスケッ トボールのシュー トの成績かずお
OXOXOO‐
X◎
みゆ き
○
O X X O XttX× 9
.ひろし
XO◎ OXX00X9
害1合学習 において児童 が数量 を くらべ る視点 について,以
下の問題 を例 に検 討す る。(1‐
1)「分布で判断」(I-1)は
,シ
ュー トの成功が連続す るほど成績 が良いもしくは,連
続 して 失敗す ると成績 が良 くない と判断す る考 え方である。表2‐3の
太枠部分 に示 し た よ うに,ひ
ろ しさんは3回
連続成功 し,他
の2人
は,2連
続成功 しかない こと が判 断基準 とな り,ひ
ろ しさんの方がシュー トの成績 がよい と判断す る。 表2-3
「I■1
分布 で判 断」かずお
嚇 菫
OXの
OX◎
みゆき
〇 〇瑠
XOXOXXΦ
ひろし
XO③ C
XXOOXф
(I_a「
1っ
の数量だ けで判断」(I-2)は
,成
功数 の多 さや失敗数 の少 な さといつた,一
方 の量 だけに注 目し て判断す る考 え方 である。例 えば表2-4の
太枠部分 に示 した よ うに,か
ずお さ んは,失
敗数 が3回
で他 の2人
よ り少 ないので成績が よい と判 断す る。 また は, ひ ろ しさんは成功数 が6回
で他 の2人
よ り多いので成績 が よい と判断す ること である。 表2-4
「I-2 1ち
の数量で判断」 成功数 失敗数 シュー ト数かずお
5 3 8 み ゆき 5 5 10 ひ ろ し 6 4 10 ‐28・(I)
「2つ
の数量 の差 で判 断」 (Ⅱ)は ,「 成 功数 ―失敗数 」 の よ うに, 2対
の数量 に着 日して い るが, 2対
の 数量 関係 を相 対 的 に見 て判 断 していない考 え方 である。 例 えば,表
2-5の
太枠 部 分 に示 した よ うに,か
ず お さんは,成
功数 が5回
,失
敗 数 が3回
で ある。 し たが つて,「 成 功数 ―失敗 数 」 は,「5-3=2」
とな る。 同様 に,ひ
ろ しさんは, 「6-4=2」
とな り,こ
れ らの結果 で シ ュー トの成績 を判 断 しよ うとす る考 え方 であ る。、 表
2-5
「Ⅱ2つ
の量の差で判断」 成功数 失敗数 シュー ト数かずお
5 3 8 みゆき 5 5 10 ひ ろ し 6 4 10 (Ⅲ-1)「 1つ
の数量 で判 断(一方の量 がそ ろ つて いる)」 (Ⅲ-1)は
,一
方 の量 がそ ろつてい る場合 に,も
う1つ
の量 で半J断 をす るこ と であ る。 例 えば,表
2-6の
太枠部分 に示 した よ うに,か
ず お さん とみ ゆき さん の成 功数 は,同
じ5回
で あ る。 そ こで,シ
ュー ト数 を くらべ る と,か
ずお さん は,8回
でみ ゆき さん よ り少 ない。少 ないシ ュー ト数 で 同 じ回数 成功 してい る のでかずお さんの方が成績がよい とい うことになる。別 の数 に着 目す ると,み
ゆきさん とひ ろ しさんのシュー ト回数 が同 じである。 そ こで,成
功数 を くらべ るとひ ろ しさんの方が多い。 したがって,ひ
ろ しさんの方が成績が よい とい う ことになる。` 表
2-6
「Ⅲ-1 1っ
の量で判断(一方の量がそろつている)」 成 功数 失敗数 シュー ト数かずお
5 3 8 み ゆき 5 5 10 ひ ろ し 6 4 10(Ⅲ