第 8 章 普及計画案の策定
8.3. 普及に向けたアプローチ案
8.3.3. 普及モデルと導入シナリオ
12のモデルプロジェクト以外の普及について、普及に向けた案を示す。
事業終了後に、広く中小企業に普及をさせるためには、本事業の成果を最大限に 活用した計画を立てる必要がある。
EDI は、企業間データ連携である特性上、その導入に際しては個社ではなく取引 がある企業グループとして捉え取り組む必要があり、またそこには、その取り組み をリードし普及を促進する主導者(以下、普及ドライバーという。)が重要となって くる。今回の調査連携実証における各モデルプロジェクトのドライバーの属性、並 びに取引企業グループの特性を観点としたところ、12 のモデルプロジェクトを、3 つのサービスモデルにパターン化することができた(表13)。
これらパターンは、システム連携調査実証を行ったモデルプロジェクトを踏まえ たベストプラクティスと呼べるモデルである。これをここでは「普及モデル」とし て定め、この普及モデル毎に展開方策を探るものとする。
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表 13 サービスモデルの分類
(1) サプライチェーン系モデル
サプライチェーン系モデルは、サプライチェーン(業界)軸での展開を、ユー ザー系企業を普及ドライバーとして目指すモデルである。本事業のモデルプロジ ェクトの中では
05.業務品の卸・小売業界における共通EDI連携(花王株式会社)
09.自動車業界における共通EDI連携(トピックス株式会社)
11.水インフラ業界における共通EDI連携(メタウォーター株式会社)
を参考としてモデル化している。
このモデルでは、あるサプライチェーンに結び付き(影響力)の強い企業を基 点企業として定め、展開の基点とする。
EDI の導入は、一般に我が国における取引の商慣習から、発注企業に対する働 きかけが取引先を含めた普及に有効であると考えられる。しかし、サプライチェ ーン系モデルでは、受注企業が大手企業の場合など、受注企業側が大きな影響力 を持つケースもある。そのケースにおいては、受注企業が展開の基点になる。
サプライチェーン系モデルでは、サプライチェーンに着目するがゆえに、普 及基点の企業からの受注、発注両面に向けての普及の余地のある、砂時計型のモ デルとなる(図 38)。
また、展開においては、段階的に以下の2つのSTEPが想定される。
展開STEP1
基点企業、およびその取引先企業群に対し、グループとして展開する。
展開STEP2
サプライチェーンの階層的な構造から、取引先企業群から更に取引先企業に 向けて、グループとして展開する。
地域展開 業種・業界展開
取引企業グループ軸
ユー ザ ー
ベン ダ ー 普 及 ドラ イバ ー 軸
(2)中小ユーザー系モデル
(1)サプライチェーン系モデル
(3)ベンダー系モデル 05.業務品PJ
11.水インフラPJ
09.自動車PJ 06.豊田PJ
10.多摩PJ
07.碧南PJ 12.静岡PJ
01.水産PJ 02.北海道PJ 03.大阪PJ 04.貿易PJ
08.サービス業PJ
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図 38 サプライチェーン系モデル イメージ図
普及展開へのアプローチとして、中小企業共通EDIに関心を寄せている業界に 本事業の成果をPRし、業界内での普及プロジェクト立ち上げを検討する。業界団 体等と協力し、業界内で中小企業と多く取引があり、紙での受発注等に悩まされ ている企業を抽出し、その取引先を含め業界軸(サプライチェーン軸)でEDI利 用を普及させる。 また、このアプローチを通して、業界標準EDIとの連携協議 も模索する。
導入シナリオについて、対象としている業界が、EDI について業界標準を持っ ているか否かにより2つのケースに分けられる。これは、既存の業界EDIなどの 中小企業共通EDI以外の個別システムに対しては、ゲートウェイ経由での接続と する思想によるものである。
(ア) 導入シナリオ[ケース1:業界EDI標準が存在しない業界の場合]
1. 地域団体等の周知活動により、発注側企業は中小企業共通EDIを知る。
2. 発注側企業は、普及推進協議会(仮称)から提供されている普及用ツー ル(普及パンフレット、導入チェックシート、簡易ツールなど)を活用 し、受注側企業に導入を働きかける。
3. 受注側企業の了解が得られたら、EDI 導入時期を決め、開始時期までに 間に合うように、データ連携サービスプロバイダーとの接続手続きを行 い、試験運用を済ませる。必要に応じて普及推進協議会(仮称)に問い 合わせ、専門家紹介などの支援を受ける。
ある購買サプライチェーン ある販売サプライチェーン
発 注
発 注
凡例 :展開の基点となる企業 :展開対象となり得る企業
発 注
発 注
STEP1
STEP2
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4. 開始日時から中小企業共通EDIを用いた受発注を開始する。
(イ) 導入シナリオ[ケース2:業界EDI標準が存在する業界の場合]
1. 業界団体による広報・EDI導入の申し合わせ、取引先からのEDI導入要 請、普及推進協議会(仮称)などの周知活動により、発注側企業は中小 企業共通EDIのことを知る。
2. 発注側企業は、当該業界EDI標準仕様と中小企業共通EDI標準仕様との 変換をサポートしているデータ連携サービスプロバイダーを普及推進協 議会(仮称)に相談して探す。
3. 発注側企業は、普及推進協議会(仮称)から提供されている普及用ツー ル(普及パンフレット、導入チェックシートなど)を活用し、受注側企 業に導入を働きかける。
4. 受注側企業の了解が得られたら、EDI 導入時期を決め、開始時期までに 間に合うように、EDI サービスプロバイダーとの接続手続きを行い、試 験運用を済ませる。必要に応じて普及推進協議会(仮称)に問い合わせ、
専門家紹介などの支援を受ける。
5. 開始日時から中小企業共通EDIを用いた受発注を開始する。
(2) 中小ユーザー系モデル
中小ユーザー系モデルは、地域軸での展開を、ユーザー系企業を普及ドライバ ーとして目指すモデルである。
本事業のモデルプロジェクトの中では
06.豊田商工会議所における商工会議所モデル共通EDI連携
07.碧南商工会議所における中小企業共通EDI連携
10.多摩地域活性化のためのビジネス情報共通EDI連携
12.静岡発エンジニアリングチェーンにおける共通EDI連携
を参考としてモデル化している。
このモデルでは、地域の支援団体等からのアプローチにより、その地域におけ る商取引波及効果の大きい発注ユーザー企業を見出し、展開の基点とする(図 39)。
展開においては、段階的に以下の2つのSTEPが想定される。
展開STEP1
基点となる発注ユーザー企業および、その取引グループ企業群に対して展開 する。
展開STEP2
STEP1にて展開した企業の中から発注の立場を持つユーザー企業を抽出し、
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それら企業の取引グループ企業群に対して展開する。
図 39 中小ユーザー系モデル イメージ図
普及展開アプローチとして、地域の支援団体に本事業の成果をPRし、地域での 普及プロジェクト立ち上げを検討する。地域の支援団体と協力し、当該地域で取 引が多く、先進的な取り組みに興味が強い企業を抽出し、その取引先を含め地域 軸でEDI利用を普及させる。
中小ユーザー系モデルの導入シナリオは、地域団体を啓発の基点として次のよ うに考えている。
(ア) 導入シナリオ
1. 発注側企業が、地域団体の周知活動により中小企業共通EDIのことを知 る。
2. 発注側企業は、普及推進協議会(仮称)から提供されている普及用ツー ル(普及パンフレット、導入チェックシートなど)を活用し、受注側企 業に導入を働きかける。
3. 受注側企業の了解が得られたら、EDI 導入時期を決め、開始時期までに 間に合うように、EDI サービスプロバイダーとの接続手続きを行い、試 験運用を済ませる。必要に応じて普及推進協議会(仮称)に問い合わせ、
専門家紹介などの支援を受ける。
4. 開始日時からEDIでの受発注を開始する。
ある地域
発注
発 注
地域の支援団体
凡例 :展開の基点となる企業 :展開対象となり得る企業
STEP1 STEP2
103 (3) ベンダー系モデル
ベンダー系モデルは、ベンダー系企業を普及ドライバーとして目指すモデルで ある。ベンダー製品利用顧客(既存/新規)を基点として、その取引先へ普及拡大 を行なう。
本事業のモデルプロジェクトの中では
01.農林水産業界(鮮魚)における日本とインドネシア間の共通EDI連
携
02.北海道の中小企業における次世代共通EDI連携
03.大阪発の中小製造業におけるビジネス情報共通EDI連携
04.貿易手続に係る輸出業界の共通EDI連携
08.中小サービス業界におけるクラウド型共通EDI連携
を参考としてモデル化している。
このモデルでは、まず、ベンダー企業の持つ業務パッケージアプリケーション に、本事業にて定めたデータ連携システム仕様に準拠した機能を開発・実装して もらう。そのベンダーの既存・新規顧客を対象にバージョンアップ等による展開 を図る(図 40)。
展開においては、段階的に以下の2つのSTEPが想定される。
展開STEP1
既存顧客を中心に新規顧客も含めた発注企業が、その取引先とEDI取引を開 始する。
展開STEP2
更にその取引先へのEDI導入・利用促進を図る。