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第8章 考察

第 4 節 政策提言

中小の医薬品企業は一般用医薬品や、ニッチな市場をターゲットにして成功を収めてい る企業も多く、「薬事法」改正や医療制度改革の環境変化への対応をし、受託製造やジェネ リック医薬品分野において拡大する好機をのがしてはならない。

東日本大震災の教訓を活かし、単独生産拠点から複数生産拠点への危機管理が必要とさ れ、数社に製造委託を行う例が増加している。今後も拡大基調が続き、医薬品受託製造の中 小製薬企業にとってはビジネスチャンスである。先見性のあるリーダーシップが重要であ る。

先発大手メーカーはバイオ医薬品の新薬開発に資金を集中し、低分子製剤である既存の 錠剤やカプセル剤等や長期収載品の製造委託は拡大している。政府による後発医薬品の促 進対策により、ジェネリック医薬品や長期収載品の更なる薬価の引き下げや、2年に一回の 薬価改正が2021年度より毎年行われ、ジェネリック医薬品は3段階の評価となる。

受託製造をしている委託先から製造コストの引き下げ圧力が強まっていることが、本研 究のヒアリング調査により判明した。高品質や高付加価値のついた医薬品製造が必要とさ れている。医薬品の100錠・500錠・1000錠などの包装形態ではなく、患者1人分の無駄 のない医薬品包装が、医療業界から求められているのである。医療機関や薬局においての医 薬品の在庫の要因となっている。

医薬品に対する品質の保証と医療機関からの薬に対する学術等の質問に、明確に答える ことが出来る人材の育成が必要である。 医療機関に対してのMR(医薬情報担当者)の育 成も必要である。薬品について説明のできる専門家の養成が急務である。

行政は、産官学連携プロジェクトで特許の「薬事法」対策を支援し、「薬事法」精通者を 配置する必要に迫られている。富山県の医薬品製造業者は中小企業が多い。このため、この

「薬事法」に精通する人材の育成が重要であり、中小企業への行政によるバックアップが必

190 要不可欠である。

消費者ニーズに対応した製品開発による高付加価値1化が重要である。例として、小型化、

1日1錠化、OD錠2化、割線錠化などの利便性を高めることである。新薬開発については、

研究開発の充実・強化が必要である。また、生産の集約化による生産性の向上と効率化が要 であり、各製薬企業の製造と品質管理、特に責任を持った持続する生産を確立することが重 要である。受託医薬品メーカーは大手医薬品メーカーの下請けであり、また医薬品市場にお いても、今後の伸びはあまり期待できない。したがって価格競争となり、「高品質」と「低 価格」を要求されることになる。このため受託医薬品メーカーはさらなる「高付加価値化」

が必要となる。大手製薬メーカーが受託先を選択するポイントは、低コスト、高品質、安定 供給、技術力、品質管理能力、提案力、危機管理による生産拠点の分散化の7つである。こ れらを強化する設備と体制が求められる。

今後は日本市場だけではなく、医薬品産業はジェネリック市場の成熟化等転換期が予想 され、海外に向けグローバルな戦略と高品質で効果のある、真似のできない医薬品を製造し、

富山ブランドの名前を高め、「ジャパンブランド」としての地位を確立しなければならない。

病気に対する特効薬であれば、市場は世界各国にある。多くの患者が待っている特効薬であ れば、貿易摩擦はないと考えられる。

1内服薬を貼付剤にしたり、水なしでも口腔内で解けるOD錠や錠剤の縮小化したり、二分 の一錠の割線化、錠剤やカプセルの小型化、長時間持続型の薬など。

2口腔内崩壊錠。唾液で崩壊する錠剤。水なしでも服用できる。

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資料 本論文で用いる医療用語

(1)生産金額

各製造所において調査期間に製造された最終製品(衛生材料の脱脂綿及びガーゼにあ っては大判製品)の生産金額。この金額は生産数量を事業所販売価格で評価した価格に消 費税を加えた価格。

(2)生産数量

各製造所において調査期間に製造された最終製品(衛生材料の脱脂綿およびガーゼに あっては大判製品)の生産数量。この場合において国家検定品はその合格数量をもって生 産数量とする。

(3)出荷金額

調査期間において自製造所(自製造所で管理している倉庫を含む)以外の他の場所への 出荷(販売による出荷、同一企業体内の他の製造所、営業所、他の場所にある倉庫への出 荷等)がなされた金額。この金額は生産金額の評価方法に準じ評価した金額。

(4)製造所数(製造販売事務所数)

調査期間において最終製品(衛生材料の脱脂綿およびガーゼにあっては大判製品)の生 産(輸入)、出荷又は月末在庫に異動があった製造所(製造販売事務所)の数。

(5)配置用家庭薬(配置薬)

主として配置用家庭薬に用いることを目的として供給される医薬品。

(6)輸入

主として輸入された医薬品(原末、原液及び製剤原料を含む)から製造された医薬品。

(7)輸入品

最終製品として輸入された医薬品、衛生材料、医療機器及び医薬部外品並びに製剤で輸 入され、国内で小分け製造された医薬品及び医薬部外品。

(8)委託製造

製造販売事務所が、委受託工程が製造工程のすべて又は一部にかかわらず最終製品と なる製造工程を他社の製造所に委託すること。ただし、当該調査においては、包装、表示 又は保管のみを行うものは除く。

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(9)受託

製造所が、委受託工程が製造工程のすべて又は一部にかかわらず最終製品となる製造 工程を他社の製造販売事務所から受託すること。ただし、当該調査においては、包装、表 示又は保管のみを行うものは除く。

(10)医薬品とは

「薬機法(旧薬事法)」第一章第二条で挙げられる医薬品の定義は次のものである。

第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

一 日本薬局方に収められている物

二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物 であって、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電 子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたも のをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医 薬部外品及び再生医療等製品を除く。)

三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であ って、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

(11)医療用医薬品

医療用医薬品とは、医師若しくは歯科医師によって使用され又はこれらの者の処方せ ん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品をいう。

(12)一般用医薬品(OTC医薬品)

一般用医薬品とは、医療用医薬品として取扱われる医薬品以外の医薬品をいう。すなわ ち、一般の人が薬局等で購入し、自らの判断で使用する医薬品であって、通常、安全性が 確保できる成分の配合によるものが多い。

(13)薬局

薬機法(旧薬事法)第一章第二条12で挙げられる薬局の定義は次のものである。

この法律で「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その 開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。

ただし、病院若しくは治療所又は飼育動物診療施設の調剤所を除く。

出所:厚生労働省(1969)「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関 する法律」(薬機法)(2014年一部改正)、厚生労働省(2004)「医療用医薬品と一 般用医薬品の比較について」、厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」、日本ジェ ネリック製薬協会「ジェネリック医薬品を知りたい方へ」

193 謝辞

本論文の執筆にあたっては、多くの方々にご指導及び激励をいただいた。

坂本光司元法政大学大学院教授(人を大切にする経営学会会長)には、修士課程から博士 後期課程まで指導教員として、誰にでも理解しやすく共感を得られる客観的なデータの上 に立ち、深く考えることの重要性を説いていただいた。感謝し、御礼を申し上げたい。坂本 先生の後任となられた井上善海教授には、研究者としての心構えや幅広く深い専門知識を 基にした丁寧で的確なご指導をいただいた。先生の親身なご指導のおかげで、本研究を着実 に進めることが出来た。言葉では言い尽くせぬ程のご厚情を賜った。感謝し、御礼を申し上 げたい。

大学院修士課程での副査や博士後期課程での博士論文審査の主査をお務めいただいた樋 口一清教授には、説得力のある答えの見つけ方など的確なご指摘や貴重なご意見をいただ いた。感謝し、御礼を申し上げたい。博士論文審査の外部委員を担当していただいた東洋大 学の幸田浩文教授には、より専門的な論文にするために、ご自身の専門の立場から適切かつ 厳しくも暖かいご指導を賜った。感謝し、御礼を申し上げたい。上山肇研究科長をはじめと した政策創造研究科の諸先生方にも多大なご指導いただいた。感謝し、御礼を申し上げたい。

富山県厚生部くすり政策課や富山県薬業連合会の皆様には、配置薬の現況データなど手 に入り難い資料を提供いただいた。心より感謝申し上げたい。また、訪問ヒヤリング調査に 快く応じ貴重な企業資料を提供いただいた、富山県の株式会社広貫堂、株式会社ダイト、テ イカ製薬株式会社、第一薬品工業株式会社、日医工株式会社、内外薬品株式会社、奈良県の 佐藤薬品工業株式会社、田村薬品工業株式会社、株式会社三光丸の方々のご厚情にも深く御 礼申し上げたい。

最後に、本研究に取り組むにあたって理解を示してくれた夫や家族、また職場の温かい協 力、そして周りのすべての方々の温かい協力なくしては、研究を成し遂げることはできなか った。多くの皆様のお力添えをいただいたおかげで、300余年の長い歴史を持つ富山の配置 薬の変革と発展について興味を持ち、わくわくしながらかつ楽しみながら本研究に取り組 むことができた。今後は、本研究の成果を学術・実務の両面から社会に役立てたいと考えて いる。

2019年2月