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奈良の後発配置薬業の事例分析

第7章 産業転換への適応分析

第 4 節 奈良の後発配置薬業の事例分析

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三光丸は一人帳主が90%であり、平均年齢は68歳である。新規に参入してくる人よりも 年齢もあり、リタイヤする人が多い。現在、配置薬の販売は廻商をし、その後年1~2回使 われた三光丸等の薬代を集金し、残った薬を新しい薬にかえるという伝統の配置薬の販売 方法をとっている。

配置薬は人件費が多くかかり、コストがかかる。最近では配置薬より健康食品を主体とし て売る大阪の会社などもある。三光丸では社員が健康食品を売っても、給料が上がらないシ ステムである。現在ネット販売は行っていない。三光丸を取り扱う全国ネットは、約150~

160社である。都心の得意先から薬局で三光丸を扱ってほしいという希望があり、現在、東 京四谷などの薬局に三光丸を置いて試験的に販売を行っている。配置先は地方が多く都心 は少ない。東京はマンションが多くインターホン越しでは対面による販売が出来ず苦戦し ている。

三光丸の経営方針は「丁寧につくり、丁寧に売る」という言葉に凝縮されている。これは 三光丸の原料は天然由来であるため限りがあり、決して無限ではないという意識の表れで ある。「原料をよく吟味し、心をこめて製造する」ことを心がけている。それは、すなわち 付加価値が高く安売りはしないという方針にもつながる。また薬の良さを分かってもらっ た上で飲んでほしいため、ネット販売は行っていない。三光丸に特化し、「一粒一粒を大事 に、そして丁寧にお客様に選んでいただけるブランド」を目指しているのである。今後は、

薬局やドラッグストアへの展開で知名度のアップ、腹痛を起こす人の多い東南アジアへの 進出を計画している。

三光丸は採用において 14日間を試用期間として設けている。その後の退職者は 30~40 名前後であり、会社全体の離職率は 50%前後という高い離職率である。配置薬の行商をす る販売員の確保が難しい現状となっている。富山でも 3 年以上いるのは珍しいと言われて いるが、奈良でも同じである。一人前にするのは3年かかると言われているが、長く続く販 売員の育成が重要である。三光丸では、月間 80 万円の配置薬の販売高を目標としている。

大阪の配置薬の会社では月間 120 万円を目標とし、健康食品を主体で販売しているところ もある。健康食品が主体では配置薬の存在が薄れてしまうことから、三光丸では 700 年の 伝統を守り、「三光丸」を「丁寧に大切に守っていく方針」にゆるぎはない。

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た実情を持ち、他社に追随を許さない研究開発体制を構築している。1961 年に他社に無い 剤型の製剤を求め、社運をかけて手動の佐藤カプセル充填機を考案し、カプセル剤第1号で ある「アスビタン」カプセルの認可を得た。1964 年イタリアのザナシー社の全自動カプセ ル充填機を日本で初めて導入し、本格的な生産を開始した。設備の近代化と合理化を基本と する製薬業界の中で、本格的にカプセル製剤の販売体制を固めた。医薬品受託加工業界のリ ーディングカンパニーである(表7-20)。

表7-20 企業沿革 1947年

1951年 1960年 1964年 1966年 1968年 1977年 1994年 1996年 2001年 2004年 2009年 2010年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

御所市茅原で創業

法人組織、佐藤製薬工業株式会社を設立

カプセル製剤の生産開始。郡別顆粒をカプセルに充填する製剤化に成功 錠剤からカプセル化へ薬品生産に新時代の幕開けとなる

全自動カプセル充填機を初めて導入。本格的な生産を開始 球形顆粒製造ラインを設置。4ライン日産1,500kgの能力 受託製造開始。脳血流改善剤「シクランデレート」

橿原市に工場完成。同地に本社を移転

日本で第一号の内服固形剤の区分許可を受ける 3月、GMP基準適合新工場完成

FDA査察に合格(内服固形剤)。12月ISO14001認証取得 FDA定期査察に合格

FDA定期査察に合格。12月ISO14001認証取得。

橿原球場ネーミングライツ契約締結「佐藤薬品スタジアム」

4階棟増設、延床面積22.782㎡とする 事業所内託児所「Satoにこにこ園」開所 造粒棟増設。延床面積25,487㎡とする 高速包装ライン導入

野球部第20回西日本軟式野球選手権大会で優勝(3連覇)

立体自動倉庫の新設、延べ床面積を29,301㎡とする 出所:佐藤薬品工業企業資料に基づき表を筆者作成

②企業概要

佐藤薬品工業の事業内容については大きく二つに分けることができる。一つは委受託製 造の技術移管で、もう一つが自社製品の開発である。

委受託製造の技術移管は、委託先の製剤技術や試験方法に基づき、技術面やコスト面にお いて手順や製造機器の選択を的確にし、バリデーションから生産体制にし、迅速を目標とし 成功している。受託製造の歴史は、1968年脳血流改善剤「シクランデレート」より始まる。

2015年4月1日現在、自社医薬品製造承認許可品目数が157品目(医療用5品目、一般 用152品目)、委託製造品目は172品目(受託会社数63社)、売上79.11億円(2015年3月

162 31日)である。

受託品は全体の70.8%、自社製品は29.2%である。OTC用医薬品は全体の40.3%、小分 けが(バルク製品)4.7%、配置用は自社製品が1.5%、受託品が0.1%である。

2013年12月事業所内託児所「Satoにこにこ園」を開所し、女性の活躍できる働きやす い職場を目指している(表7-21、表7-22)。

表7-21 企業概要 従業員数 569名(2018年4月1日現在)

離職率 2%

資本金 3億円

売上高 98.49億円(2018年3月)

事業比率 受託加工61%、OTC用医薬品22.5%、小分け(バルク製品)4.7%

出所: 執行役員ヒアリング(2016年2月)に基づき表を筆者作成(従業員数、売上高を最 新データに更新した)

表7-22 売上構成

自社品 受託品 計

医療用 2.9% 50.5% 53.4%

OTC 23.2% 17.1% 40.3%

配置用 1.5% 0.1% 1.6%

その他 1.6% 3.1% 4.7%

29.2% 70.8% 100.0%

出所:佐藤薬品工業企業資料に基づき表を筆者作成

③事業内容の特色

医薬品の受託生産がメインで、各種医薬品の研究開発や品質管理、生産・パッケージング を行っている。受託加工を小分け(バルク製品)、OTC医薬品の占める受託の割合は約70.8%、

ジェネリックは製造していない(図7-16)。

製造可能な工程は、粉砕、秤量、混合、溶解、練合、造粒工程、カプセル充填、打錠、コ ーティング、ろ過、乾燥、重点、塗栓、包装、表示である。

自社医薬品製造販売承認許可品目数は、169 品目(医療用:5品目、一般用:164 品目)

である。内訳は、アスビタン、ユンケル皇帝液、アセス、ストナ、サロメチール、サトラッ クス、ジーフォー等である。

受託製造品目数は、180品目(受託会社数:63社)で年々増加しており、医薬品受託加 工のリーディングカンパニーである。今後、佐藤薬品工業は製剤設計支援・独自技術の活用

163 による製剤開発に力を入れていく方針である。

2018年3月、長年にわたる製剤技術で顧客から高い信頼を得て、大手製薬企業を中心 に63社から約180品目の医薬品を受託製造している。さらに大手製薬企業の製品も製造 し、OTC薬や配置薬の製造も行い約164品目である。技術力向上と生産能力を充実し、

医薬品の受託製造やOTC薬の共同開発、顧客からのニーズに対応できる日本屈指の受託 メーカーといえる。信頼の品質技術力を強みとし、コーティング技術と設備の優位性によ り、口腔内崩壊錠の苦み成分の安定化を図る技術の向上があげられる。設備面においても 多種多様の設備が充実している。

図7-16 佐藤薬品工業の受託製造のプロセス

出所:佐藤薬品工業企業資料に基づき図を筆者作成(機密保持契約書の締結を強調)

(2)田村薬品工業株式会社

①企業沿革

田村薬品工業株式会社(以下、田村薬品工業)は、1934年創業の配置薬業の会社である。

企業沿革は、表7-23の通りである。

表7-23 企業沿革

1934年 亜細亜薬品商行を田村信一が個人創業亜細亜薬品商行を田村信一が個人創業 1938年 散薬「ツーシン」の製造開始散薬「ツーシン」の製造開始

1941年 株式会社亜細亜薬品商行を創立 1948年 田村薬品工業株式会社を設立

1954年 配置業界初の錠剤「六光」及び糖衣錠「プリドミン」を発売 1955年 「赤セメン菓子S」「緑のツーシン」を発売

1962年 業界初の合成樹脂アンプルを開発し、「イソビタン内服液」を発売 1963年 本社を大阪市中央区道修町に移転 大阪営業所開設

1967年 ドリンク剤「イソビタンD」「力精」を発売

調

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1968年 フランチャイズ組織を確立し、第1号九州田村薬品株式会社が誕生 1969年 奈良工場が御所市西寺田に完成

1970年 栄養剤「タフボン」を製造、OTC市場への進出開始 1975年 OEM製品として「セパホルンZ」を受託製造 1979年 GMP工場完成

1980年 田村薬草園を開園、各種薬草薬木の栽培を開始 1986年 GMP工場 第2期工事完成GMP工場第2期工事完成

1987年 富山営業所開設、田村信一厚生大臣(現 厚生労働大臣)表彰受賞 1988年 三共株式会社「リゲイン」をOEM受託製造

1989年 田村恵昭社長、田村信一会長就任、田村信一会長逝去、勲六等単光旭日章を授与 1990年 厚生省(現 厚生労働省)認可 ティー・エム配置協同組合を設立

1992年 東京営業所開設

1994年 自動倉庫、多目的ホール完成

1995年 大阪東税務署より優良申告法人表敬状、以降現在まで優良申告法人継続 2004年 GMP工場第3期工事完成

2007年 株式会社植物ハイテック研究所との業務提携の基本合意を締結 2008年 「農商工連携」第1号認定を受ける

2009年 オーストラリア保健省 薬品・医薬品行政局GMP認定(TGA)取得

2010年 鳩山内閣総理大臣 奈良工場見学、食品衛生優良施設 厚生労働大臣表彰を受賞 2013年 ホシエヌ製薬株式会社 100%子会社としてグループ企業化

2015年 田村恵昭会長就任、田村大作社長就任 出所:田村薬品工業企業資料に基づき表を筆者作成

②企業概要

配置薬業界初の錠剤「六光」と糖衣錠「プリドミン」を発売した。自社ブランド製品の開 発・製造を礎に受託事業の拡充を図るため、GMP基準に則した生産システムの導入をしてい る。産官学の共同開発や顧客とともに製品の開発・製造に携わっている。ドリンク剤、顆粒 剤、錠剤、カプセル剤と多種多様なニーズに対応している(表7-24)。