第3章 富山の医薬品産業の動向
第 1 節 富山の地域特性
富山県はほぼ本州の中央に位置し、日本海に面した北陸三県の一つである。東側は新潟県 と長野県に接し、東の新潟県との境は山が海まで迫る「親知らず」があり、西の石川県との 境には険しい倶利伽羅峠、南には日本アルプスと、三方を山に囲まれた地形である。三方の 山々の間から富山湾まで直線で40km~50kmの、いずれも急流な河川が富山平野に密集し て富山湾へと注がれ、世界有数の急流河川となっている。黒部川、片貝川、早月川、常願寺 川、神通川、庄川、小矢部川があり、一般に7大河川と呼ばれている。そのうち 4 河川は
1,000mの高度差に達するような急流河川である。北には富山湾が広がり、古くから大陸と
の交易、北前船の中継地として重宝され発展した。このような独特な地理的特徴があり、富 山平野の中央に富山市を配し、10市4町1村で富山県を形成している。
富山県医薬品産業の代表的な産地である市町村の現状を整理したものが表3-1である。
表3-1 市町村別事業所数、従業者数、製造出荷額等(従業者4人以上の事業所)
市町村 人口 世帯数 市町村別 事業所数
市町村別 従業者数
市町村別 製造品出荷額等
(万円)
富山県 1,061,393 395,612 2,717 124,328 367,704,902
富山市 418,142 165,746 793 42,109 125,504,444
高岡市 171,588 64,642 505 15,541 40,714,895
魚津市 42,556 15,889 106 4,051 13,834,562
氷見市 47,293 16,276 119 3,914 8,052,062
滑川市 32,642 11,905 114 6,870 33,633,234
黒部市 40,823 14,918 113 10,448 19,996,061
砺波市 48,761 16,448 151 5,517 20,374,263
小矢部市 30,043 9,554 134 4,948 7,420,005
南砺市 50,660 16,765 213 7,975 22,084,710
射水市 91,999 32,540 251 12,481 49,352,233
舟橋村 2,973 918 5 185 344,946
上市町 20,705 7,489 56 3,090 8,052,474
立山町 26,161 9,277 75 3,224 7,481,307
入善町 25,111 8,705 63 3,264 9,460,967
朝日町 11,936 4,540 19 711 1,398,739
出所:人口,世帯数は総務省(2015年)「平成27年 国勢調査人口速報集計結果」より 製造業事業者数、従業者数、製造品出荷額等は富山県(2016年)「工業統計調査 平成28年 富山県の工業【統計表2(市町村別集計表)】」の数値データに基づき表 を筆者作成
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富山県の製造品出荷額は1位が医薬品製剤製造業、2位は金属製サッシ・ドア製造業、3 位がその他の電子部品・デバイス・電子回路製造業となっており、産業細分類の上位5産業
で全体の28%を超えている(表3-2)。
表3-2 主な産業細分類の状況(製造品出荷額等上位5位)従業者4人以上の事業所 細分類
番号 産業名称 事業所数 従業者数
(人)
製造品出荷額等
(万円)
構成比 (%)
富山県(2016年) 2,717 124,328 367,704,902
1652 医薬品製剤製造業 54 8,758 45,961,619 12.5%
2443 金属製サッシ・ドア製造業 105 8,663 19,856,975 5.4%
2899 その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業 30 4,095 14,032,421 3.8%
3113 自動車部分品・付属品製造業 59 4,605 12,962,143 3.5%
2664 機械工具製造業(粉末や金業を除く) 10 2,817 11,762,087 3.2%
出所:富山県(2016)「工業統計調査 平成28年 富山県の工業11.産業・品目別の状況
(従業者4人以上の事業所)」の数値データに基づき表を筆者作成 注:事業所数が1または2の産業、関連秘匿値の産業は除外している
富山県における若年者(15~34歳)の正規雇用率は79.2%で全国1位(全国平均64.7%)、
全世代の正規雇用率は61.7%で全国2位(全国平均61.8%)である。2016年3月大学新卒 の就職率は98.2%と、前年度の97.2%より着実に伸びている。
県庁所在地である富山市の家計実収入は629,591円と全国2位、その内、可処分所得は
530,185円と全国1位となっている(二人以上の労働者世帯の1か月の実収入)。富山県の
物価は東京の約9割であることからも、富山県の暮らしは豊かであるといえよう。(富山県 商工労働部,2016,総務省,2012,総務省,2014,総務省,2015,富山労働局,2016)
富山県では建設用・建築用金属製造業に従事する者が11,429人と一番多く、全体の9.6%
を占めている。次いで多いのは医薬品製造業で 10,510人である。これは全体の8.8%であ り、この2つの産業が突出していることがわかる。なお、全従業員数は119,663人である ことから、富山県において医薬品製造業に従事する人口が多いことが分かる(図3-1)。
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単位:人
図3-1 富山県産業中分類別従業員数
出所:富山県 (2014)「工業統計調査 平成26年」の数値データに基づきグラフを筆者作成
富山県の産業分類別製造品出荷額は、化学製品が 19.7%と一番多い。その内、医薬品は
15.2%を占めている。その他、非鉄金属、金属製品と金属関係が占めている(図3-2)。富山
県における産業の中で、医薬品産業がいかに主要な産業であるかがわかる。
図3-2 富山県産業分類別製造品出荷額
出所:経済産業省(2017)「工業統計調査 平成29年」の数値データに基づきグラフを筆 者作成
11,429 10,510 4,786
4,732 4,459 4,271 4,231 3,738 3,642 3,555
0 5,000 10,000 15,000
建設用・建築用金属製品製造業 医薬品製造業 自動車・同付属品製造業 金属加工機械製造業 その他の食品製造業 装身具・装飾品・ボタン・同関連品製造業 その他の汎用機械・同部分品製造業 その他の生産用機械・同部分品製造業 非鉄金属素形材製造業 工業用プラスチック製品製造業
富山県産業中分類別従業員数 単位:人
化学 19.7%
非鉄金属 11.8%
金属製品 10.9%
生産用 機械 9.7%
電子部品 プラスチック 8.8%
5.0%
鉄鋼 4.4%
はん用機械 4.2%
食料品 4.2%
輸送機械 4.2%
その他
17.0% うち医薬品は
15.2%
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