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描画から被験者の共感性を分析する(調査研究⑧)

ドキュメント内 描画法にみられる共感性についての研究 (ページ 96-107)

第6章  臨床場面における共感性

第2節  描画から被験者の共感性を分析する(調査研究⑧)

とに,各下位尺度得点高群の描画から5枚,低群の描画から5枚の計10枚を選ぶ。なお,

選定にあたって,描画を描いていない被験者については次点者の描画とし,さらに同点 者が5名を越える場合については,間点者の描画から無作為に抽出した。選んだ描画は,

KFD4◎枚とKSD4◎枚の合計8◎枚である。3名の学生には,調査に先立ち3◎分程度の 説明を行った。内容は,共感性の定義やこれまでの共感研究等から得られている共感性 に関する概要であった。

②調査方法

 カウンセラー(以下,専門家と記す)3名と,学生(以下,非専門家と記す)3名と に,選んだ描画を別々に見せ,それぞれの描画を描いた者の共感性を評価させた。

 具体的には,まず口頭で,「これから配布する1◎枚の絵を見て,それぞれの絵を描い た人の共感性がどのようなタイプのもので,どの程度なのかを想像してください。そし て,どの絵の描き手とどの絵の描き手の共感性のレベルや共感性のタイプが似ているか を以下の基準で想定してください。」と教示した。評定基準は,「1:ほとんど同じ」「2:

おおむね同じ」「3:少し似ているところもある」「4:どちらともいえない」「5:あま り似ていない」「6:かなり異なる」「7:まったく異なるjの7段階とした。結果は,

評定用紙(類似度距離行列シート)に記入し,項螢間の類似度距離行列を作成した。類 似度の距離は,被験者が描画と描画を比較して,「似ている」「似ていない」と感じた程

度を数値化したものである。同様の方法を,共感性の4下位尺度ごとにKFDとKSD

について計8回実施した。

 なお,非専門家の実施時には著者が同席し,分類にあたっての根拠を記録した。さら に,専門家の実施時には,著者が記録を行った。被験者(專門家と非専門家)には,あ とで描画の分類の根拠を確認するために,分類にあたっての会話を録音テープに記録す ることを説明し,承諾を得た。

 なお,評定用紙(類似度距離行列シート)は,巻末のAρpendix 5に示されている。

なお,この評定用紙は,本共感性尺度の各下位尺度(F1〜F4)の高低群ごと,専門

家と非専門家ごと,KFDとKSDごとの,計16枚を用いた。

4 結果

 以上のような手順で得た類似度距離行列のクラスター一分析(ウォード法)を行った。

その結果をデンドログラムとして出力し,Fig 6・2・1〜F嬉6・2・16 に示す。その申か ら,F嬉6・2・1(否定感惜共有下位尺度得点高低群のKFD描画), Fig 6・2・2(肯定感情

共有下位尺度得点高低群のKSD描画), Fig 6・2・3(否定感情共有下位尺度得点高低群 のKSD描画)について,次のように解釈を行った。さらに,その他のデンドログラム

については,Fi蓼6−1・4〜Fig 6・1・16 に示す。

謝5H s2棚

S20$H S2e8H S207H s2g$L

s2鷹

S203L S2e2L

S劉L

 o,e

e.c 5.3 10,6

13 ,2

ワー .ド怯

標準ユータリッド

F藍g6−2−1肯定感情共有下位尺度得点高低群のデンドログラム(KSD)

S308H       ワー・ド法

s3鰯      標準一タジッド

s3⑪$狂

s3ieH

$3esff

S303L S301L S397L s3◎軋 S303L  e,o

  g.e 6,e 12,1

Fig 6−2・2否定感情共有下位尺度得点高低群のデンド日グラム(KSD)

F3e7ff      ワー・ド法

F310H      標準砂リッド F30eH

F399ff F3◎畷 F304L F3e3L ド鋤L F305L F392L

 ep       2i7   81g   13.4

  0,0 5,4 lg,7

Fig 6−2−3否定感情共有下位尺度得点高低群のデンド翔グラム(KFD)

羅臓戯鯛噸鯛鰹戦醗酬鱒隣鱒霞黙隣昌跨職霞霞鱒臼

e.e 2,3

4,5 e:s

g,1 1IL4

Flg 6.2崎欝定感燵共欝不金下蝕闇闇褐点烹偲群のヂンドmグラム(KFD}

      {導薦家}

?m{既

絹鰹P飛0綴 P縫e闘 P飛凱 騰鰍擢緯綴 P毘08L 診澱〔陽 P践G闘  e.e

毒.6 2:7

5.4 g:1

1e.7 13L4

Fi96・2・5卜定慈情典膚不金下佼尺度得点;薪低韓のデンドnグラム(KFO)

       《葬導門獄》

猟鱒職翻酬難織鷹徽徽舗FF罫罫FFFジ﹃r

4.S g.3

Flg 6・2・6拷定感情拠膚麹子高低群のデンド躊グラム(KFD)

       (幽門家)

擢21儀 響郷慧

響灘P鶴桝E PF2ceL P鷺鱗 欝診職 PF職L

PFIsら謎  o.o e.e

2:8 s.g

8:4 11.2

14Le

Fi96・2・7肯定感鱗共有麗子高低群のデンドmグラム(KFD》

      (講:専門獄}

 鍵糠灘  躍3載  納織  PF織し  昨36$縫

 擢観  欝鵠闘  鯉繊

 鯉3¢3L  障鵠2L

癖.oo£◆ee

     2.三4 ウ00      6,43 ←00       Σ露e7 φ◎1   Φ.鰐ゆ◎e     4.2S£+OO      8.57Eや鱒

Fig 6・2・8否定感燐共符臨苧高低群のデンド鷹グラム(1くF◎}

      (葬幽門家)

剛㈱鰹翻眼鱗磁織帆田幡麟露轟鎚蹴露欝欝麗一附

。.e 診;s

4.s 6:g

s.z 1圭L5

Fig 6・2・9鴨脚感情国賓不金因子高懸群のヂンドllグうムCKFD}

      {膨門家}

 PF40棚  PF4e鈍  剛02」

 解401L  麟玉簾  ff40gR  欝4鍬  rs4{Sll  拶栂綴  鍵4鍛

e.cx)E+oo

  e.cmε+駐¢ 4,39£+3摩 霧.75E+eo

Fig 6・2・10蒼定惑憤共有不全麹墨寓低群のデンF Pグラム(KFD)

      (葬幽門家}

鳳幡臓織棚鯨囎晩節棚鱒

: 1  1 一  ユ  一 一  工  一 

SSSSSSSSSS

e,o 2:3

4.S 奪.$

馨.1

il.4

Flg 6・2・ll肯窺感情共有不全下佼尺度得点蕩{種鮮のデンドログラム(KSD)

       《専門家)

器:繊

織簾

器:鰍 碧s玉磯 蹴Σ{乱 圏解L 織。鉱 織。:B 殆:o駆 織。認  e.e e.e

2,ら 4,s

7:4 g.g

12L4

Fig $2・韮2卜定懸媛共讐不全軍佼尺度得点高低群のデンドmグラム(KSD)

      (葬奪門家)

騰躍聾 職縦,

鰺303L ps諺。紘 器〜鯛 齢2鯉

齢201し 箆〜02L

蔦㎜器20鰭  e.e o.e

g:s s.e

71S le.e

12.5

Fig 6・2・13鴬窟感鱗共宥鐘平寵低群⑳デンド織グラム{KSO)

       《葬専門家》

灘騰 蛹崧 灘灘 蜩蝟

ヤ綱

.e

:4 s 13 .s 2L2

i86・244歪驚感情共宥囲畢高低群のデンド翻グSム(K$V)

      《曲輪門家)

割16臓 馴。§匪

脚2L鋼1L

鋸04鷺

s4鳳欝鰹 簾翻 説e7LstesL

.ooE+ee

 o.eoε鵬 .10ε噸 ,2鯨{矯

ig 62・IS否定感構共狩不金因吊高低群のヂンドmグラム(KS◎》

      (専門蜜)

PS408舞 剛06巨 臨GIL 鋤ユ腿 PS4{EL 臨09琶 拙02L 臨0礼 臨帆

剛。掘  導.e

  導.6 s.三 IO.2

罫ig 6・2・16否定感憎共蕎不金圏子諾低群のヂンド澱グラム(KS◎)

      (夢影聯門家)

 クラスターの解釈は,Fig 6・2・1, Fig 6・2・・2, Fi琶6・2・3それぞれに基づいて,上から順 番に各クラスターの描画を見て,それらの描画を似ていると判断した理由を検討した。

理由の判断については,調査時の記録と録音テープの会話等を用いた。クラスターの解 釈にあったては,まず,いくつのクラスタ・一一・にまとめられるかということであるが,結 果から,次のように,Fig 6・2・1については2つのクラスター, Fig 6・2・2については2 つのクラスター,F塘6・2・3については3つのクラスターにまとまるのではないかと考え

た。

(1)KS◎における肯定感情共有下位尺度得点高低群のクラスター分析   (専門家評定)

 2つのクラスターにまとまるのではないかと考えられる(:Fig 6・2・1)。

 クラスタ・一一 1は,S2◎5KからS2◎7Hであり,区分・包囲などの障壁がなく,描画申の 人物像のうち生徒同士は顔の方向が正面または横向きであり,岡じ行為をしている描画

と解釈できる。これは,生徒同士が正面または横向きの顔の方向であり,包囲・区分な どによる人物感恩の障壁のない描画(S2◎5KからS204賢)と,人物像間の障壁がなく,

人物像のうち生徒同士は正面または横向きの顔の方向であり,全員が同じ行為をしてお り,描画全体の人物の力動などからも,心の交流の感じられる描画(S・206HからS2◎71i)

という二つの下位クラスターからなっており,すべてが肯定感情共有下位尺度得点高群 の描画である。

 クラスター2は,S209しからS2◎1しであり,人物像間に,区分・包囲などの障壁があ り,単独行為が申心で,入物像のうち生徒同士は背面または輪郭のみの顔の方向であり,

こうした人物の行為や描画全体の人物の力動などからも,心の交流の感じられない描画 と解釈ができる。これは,すべてが肯定感情共有因子の下位尺度得点魚群の描画であっ

た。

(2)KSDにおける否定感情共有下位尺度得点高低群のクラスター分析   (専門家評定)

 2つのクラスターにまとまるのではないかと考えられる(Fig 6・2・2)。

 クラスター1は,S・39S9からS3◎5Hであり,人物像間の障壁がほとんどなく,「先生」

もf友達」も同じ行為をしている描画と解釈できる。掃除など共同作業している描画(S 308HからS 396H)と,人物像間に包囲・区分など障壁がなく,描画中の人物が同じ行為 で心の交流がみられる描画(S3◎9KからS3◎5H)という二つの下位クラスターからなっ ており,すべてが否定感情共有下位尺度得点高群の描画である。

 クラスター一 2は,S3◎2しからS3◎3しであり,描画中の人物像の顔の方向が背面や輸郭 のみが多く,単独の行為をし,人物間に障壁の多く見られる描画と解釈できる。これは,

机や椅子が障壁となり,あるいはそれらによる「包囲」や「区分」がみられ,「先生」の 授業を「生徒」が聞いている描画(S 302HからS3◎m)と,「包囲」やギ区分」などの様 式が用いられ,障壁が多く,障壁ごとの人物がバラバラに単独行為をしている描画くS 397HからS303H)という二つの下位クラスターmからなっており,障壁が用いられ,単独 行為が中心で,描画全体の人物の力動などからも,心の交流の少ない描画と解釈ができ

る。これは,すべてが否定感情共有下位尺度得点低群の描画であった。

(3)KF◎における否定感情共有下位尺度得点高低群のクラスター分析   (奪門家評定)

  3つのクラスタ…一一にまとまるのではないかと考えられる(Fig 6・2・3)。

 クラスターユは,F3◎7HからF308Hであり,ほとんどの人物像の顔の方向が正面で,

全員で食事をしている描画と解釈できる。全員が正面向きで食事をしている描画(S 307K)と,ほとんど全員が正面向きで食事をしており,自分は正面向きの描画(S310H からS3◎8H)という二つの下位クラスターからなっており,すべてが否定感情共有下位 尺度得点の高群の描画である。

 クラスタ・一・一 2は,F3◎9KとF・3e6Hであり,人物像の行為などからみて,人物間の交流 は少ないが,全員が正面向きで描かれている描画と解釈できる。これは,すべてが否定 感情共有因子の下位尺度得点の高群の描画である。

 クラスター3は,F3◎4しからF3◎2しであり,自分が単独行為をしており,人物像の全 てが背面あるいは輪郭のみの顔の方向で描かれており,なおかっ自動車や地平線などに よる「包囲」や「区分」が用いられている描画と解釈できる。これは,人物像の全てが 背面あるいは輪郭のみで描かれ,なおかつ「包囲」や「区分」の用いられている描画(F 304しとF303L)と,人物像の全てが背面で,なおかつデーブルやこたつなどによる「包 囲」や「区分」が用いられ,自分は単独行為である描画(F301しからF302L)という二 つの下位クラスターからなっている。これは,すべてが否定感情共有下位尺度得点低毒 の描画であった。

(4)KFDとKSDにおけるその他の因子高低群のクラスター分析(西門家評定と非

  専門家評定)

 KFDの肯定感情共有不全因子,肯定感情共有因子,否定感情共有不全因子,ならび に,KSDの肯定感情共有不全因子,否定感情共有不全転子の下位尺度得点の高低群の

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