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共感性の規定因構造(調査研究①)

ドキュメント内 描画法にみられる共感性についての研究 (ページ 37-51)

第3章  共感性の実証的研究

第1節  共感性の規定因構造(調査研究①)

Tab糞e 3−1−1調査対象者

男子  女子  二言 中学校   161

  (O/e) 53.8

138

46.2

9◎

◎り◎りる一

高等学校   i45   2◎8    〈%) 4i.1 58.9

3◎5◎

り01

大学   57   87

 (%) 39.6 60.4

4ハU

40

で一

合計   363  433

 (Ol,) 43.3 56.ZX

ハ◎バリ◎V◎ツ﹂壌

(2)調査時期:1999年5月であった。

(3)調査用紙

 申学生・高校生・大学生が実際に感じている共感性を把握するために,通常の文章完 成法で用いる質問に工夫を加えたものである。具体的には,次のような文章完成法であ

り,以下,これをSCTと略して記す。

$CT

1)記述事項:年齢,学年,性別

2)教示:次にあげる文章は途中で途切れています。文章を読んで思いついた      ことをつけたし,完成した文章を作ってください。

3)問(未完成文章等)

1 あてはまる記号に○をつけてください  1.私は,相手の気持ちがわかるほうだと   イ.いつも感じている

  ur.時々感じる

  ハ.まれにしか感じない   二、全く感じない

il 自由に文章を続けてください

 1.私が,共感する(相手の気持ちがわかる)と感じる時は  2.私にとって,共感する(相手の気持ちがわかる)とは  3,私は,共感する(相手の気持ちがわかる)ことを

m 私演,共感する(相手の気持ちがわかる)ことについて,自由に書いてください

IV 私にとって,共感する(相手の気持ちがわかる)とは,相手の   といった感情(気持ち)を連想します(思い浮かべます)。

〈4)手続き

①翼施方法:A4用紙1枚に前記の3)の未完成文章と自由記述スペースが5行程

 度ずつ書かれているSCTを調査対象者に渡す。回答にあたっては,「その文章につ  いて,思いつくままのことを自露に書き加えてください,なるべく多くの完成した  文章を作ってください。」と教示した。また,回答の所要時間は約3◎艶事とした。

 斗酒用紙には,年齢と学年,性別のみ記入させた。実施に際しては,ホームルーム  などの授業時間を利用してのクラス単位の集団法で実施した。なお,共感する(相  手の気持ちがわかる)については,本研究での共感性の定義より,「他人の体験を,

  自分もまったく同じように感じたり理解したりすること」と補足して説明した。

②回答整理の手続き

1)1の整理分析

  共感する者と共感しない者との割合の比較検討を行う。ここでは,指標として「イ.

 いつも感じている」及び「ロ.時々感じる」と回答した者を『共感している者』として,

 「ハ.まれに感じる」「二.全く感じない」と回答した者を『共感しない者』として扱っ

 た。

2)∬一1(共感する時)について

  回答の文章から,共感性の構造の特微として考えられる1◎の分類を仮定し,カテゴ  リーに入る割合を比較検討した。

3)E−2,3,および皿について

  得られた回答をすべて整理用紙に書き写し一一ee表とした。紙面の許す限り,例を多  く引き具体的に分類の内容を示すことにした。

4)欝の整理分析

  キーワード形式にして,書かれた感情を書きあげていき,類似した内容については  一一つにまとめた。

3 結果と考察

(1)共感する者の割舎についての整理分析

 共感する者の割合を,Table 3・1・2に示し,そのグラフを, Fig 3・1 1に示す。

       畢

男女金体男女全体男女金体

Ta ble 3−1 一2共感する者の割合の比較

 苧

共感している (O/o) (59) (7g) 〈$8) (6g) (75) (72) (63) (85) (76)

人95{◎72◎2991δ62553674 0

      人

共懲していない       (e/o)

合計  人

騨  67   3δ腰曜離.鞠§7 購吻騨頓導ぎ   1…i『   9S弾  21   13   34

(41) (22) (32) (32) (25) (28) (37) (15) 〈24>

 162 137 299 145 208 353 57 87 144

()内は%

{覧》

se S5 75

フo

S5 6e 55

串学生    烹校愛    次掌焦  Fi93−1・1共感する者の割含

 Table 3・1・2について,対数線形モデルによる分析を行った。その結果,校種(3水 準)と共感性の有無(2水準)の間に有意な関連はみられなかったが,性別(2水準)

と共感性の有無の問には有意な関連がみられた(κ2瓢21.17,df=2, p<.◎91)。また,二 種・共感性の有無・性別の3つの要因に有意な関係はみられなかった。

 以上のことから,共感する者の割合は,男子に比べて女子の方が大きいと考えられ,

先行研究(MekrabiaR, A.1972:加藤・高木,1980)の結果と一致する。しかし,校種:によ る差が有意な水準になかったことから,共感する者の割合が年齢によって異なるとはい えなかった。

(2)共感する時について

1)SCTのR−1ヂ私が,梢手の気持ちがわかる(共感する)と感じる時は」という未  完成文章についての回答を,文章申のキーワV…一・・ドなどからカテゴリー分類し(1文か  ら2っ以上のカテゴリーに分類する重複を有する),結果をTable 3・1・3に示す。表  中の記号は,次のとおりである。

【共感する時の分類】

a 類似性(同じ経験,考え,体験等), b 同情, c 自己満足(利己的,自己指   向的),d 周囲への社会的態度(向社:会的行動,利他的行動,道徳的行為,立場),

e 罪悪感, f 心の交流(感情の共有  ア,肯定感情  イ.否定感情),

g 運命的傍観,漠然としたもの,雰囲気, h 人間関係(けんか,伸良し,信頼関係,

  相談), j 表情,態度,醤葉,行動等, k 思いやり,

丁舞b韮e34−3 共感する時の圏答人数とその割含

 男

2C 〈f3) 6〈3) 26 〈8)

 3 (2> 24 (1 3> 27 (8)

 o (e) g (e) G (o>

12 (g) 7 (4) 19 (6)

 e(o) e (g) o (B)

56 (36) 43 (24> 99 (2g)

3e (i 9) 4g 〈2?〉 78 (23)

 8(5>  壌3(フ)  21(6)

 2(1) 6(3) 8(2)

12 (g) 17 (9) 29 (9)

45 (29) 77 〈43) 122 (36)

 5 (3) 1 (1> 6 (2)

申子生         &父生 女  全体   舅   女  全体 a類似性

b剛膏

。鍛己満足 d社会的態慶

e羅悪感 f心の交流 f一ア樗定感情 f一 イ否定感情

9蓮命的傍観 h白雨関係 j籔情態度等

k思いやり

28 〈22) 66 (t 6) 94 〈28)

1 a) o (o) e (o)

o (e) o (o) e (o)

 (9) 22 (1 1) 33 (1 e)

e (o) o (e) o (o)

41 〈31) 52 〈26) 93 (28)

3K24> 37 (1 8> 68 (20)

肇0(8)   遷5(7)   2S(8)

 8(6)  4(2) 肇2(購)

 4(3)  8(4)  肇2(嬬>

32 (25) 46 (23) 78 (23)

5 (4) 4 (2) 9 (3)

155 18f 336 130 2e2 332

    大学生  男   :女  全体

14 (23) 39 (28> 53 (26)

 o (c) c (g) o (e)

 1 (2> 1 (1) 2(1)

 2 〈3) 13 〈9) 15 (8)

 e (o) c (o) c (e)

19 (32) 43 (31) 62 〈31)

14 (21> 23 (ig) 37 (2e)

12 (1 9) 13 (1 0) 25 (1 3)

 2 (3) 3(2) 5(3)

 O (g) 7 〈5> 7(4)

15 (25) 19 (1 4) 34 〈1 7)

 7 (1 2) 14 〈1 g) 21 (1 g)

 60 139 f99

()内は%

 Table 3・1・3では, J(表情,態度,行動等)とf(心の交流)の回答書が多い。まず

」(表情,態度,行動等)に圃思した者と回答しなかった者の人数を集計し対数線型モ デル(校種×性別×回答の有無)による分析を行った。その結果,3要因の交互作用が 有意な水準にあった(X2・9.76, df=・2, p〈.01)。こうした交互作用がみられたことな

どから,表情や態度に関する共感は,男子の場合には年齢が変化してもあまり変わらな いのに対して,女子の場合には,申学生から大学生へと年齢が上がるに伴って減少する ことが示唆された。

 事情が,申学生にのみloo/,前後みられ,特に中学女子は13%で最も高い。それに対し,

思いやりは中学,高校,大学と発達段階が進むにつれて,少しずつ高くなっている。年 齢の低い程,同情が高くなり思いやりが認識されるようになるとの見方もでき,

Hoffman(1984)の書う,「自己と他者における苦しみへの共生期は,共感的苦しみの同情 的苦しみへの変形において重要な要因になること」との関連も推察されるが,いずれも 回答数が少ないため,今後さらに調査が必要である。同情と思いやりの数値の低さは,

著者を含む大人たちが最近の子ども達におけるその低下を様々な場面で感じていること を裏付ける結果の一つである。罪悪感については,Koffman(1984)の共感的苦しみの原因 帰属による罪悪感形成を参考にカテゴリーとしたが,言葉の明記のみで判断したためか 回答はなかった。今後は,その内容から再検討したい。

 次に,fについては,感情を肯定感情(喜び,満足,楽しい,など)と,否定感情(苦 しい,疲労,失望,など)に分けて検討した。具体的には,肯定感情に共感した者と否 定感情に共感した者の人数を別々に集計し,対数線型モデル(校種×性別×感情の種類)

による分散分析を行った。その結果,3要因の交互作用や,性別と感情との関連は有意 な水準になかったが,校種と感情の種類との間に有意な関連がみられた(X2 ・6.8◎, df

== 2,p<.05)。こうした結果は,年齢が低い中学生の段階においては,肯定感情に共感し た者の割合が多いのに対して,年齢が高い大学生の段階では,年齢が低い段階にbkべて 否定感情に共感した者の割合が多いことを示唆するものである。

 このことは,澤田(1998)が,加齢に伴う感情認知能力の発達は,青年のきめ細かな 理解にたった共感を可能にするのかもしれないと述べていることや,二宮(1995)が,

共感性の情緒の種類の違いについて比較し,例えば喜びに対する共感性と悲しみに対す る共感性では,発達に違いがあると述べているように,この肯定感情か否定感情かによ

り,共感性に違いがみられる可能性がある,と述べていることと一致する。今後は,肯 定感情と否定感情に回する共感性を別々に捉えていくことが必要であると考えられた。

(3)共感の構造についての探索醜三尉

 共感の構造を理解するための手がかりとして,SCTのll・一2,3「私にとって,共 感する(相手の気持ちがわかる)とは」「私は,共感する(相手の気持ちがわかる)こと を」の圓答の文章を,共感性を「好む」か嫌う」か,他者との個別性の認識が「ある」

か「ない」か,さらには総合的に「理解する」か「理解しない」か,といった点に焦点 を当てて,主に文章中のキーワードから分類し,結果をTaめ三e 3・1・4に示す。表申の記 号は次のとおりである。A共感を「好むj, B共感を「嫌う」, A・B共感への「好きと 嫌いのゆれゴ,C「個別性あり」,DF個別性なし」,さらにはE共感を「理解する」,F

「理解しない」

Table 3−1−4共感性の構造を理解するためのカテゴリーの分類と回答人数とその割舎

¥生 一風

 女  全体 峯生

女  全体  男 女  全体

      数 A鳥C一調        回

6g〈34)

3e(15)

24(12)

1e(5)

 1(1)

53(26)

17(8)

204

1g3〈54)

19(lg)

35(18)

 3(2)

 4(2)

 15(8)

 11(6)

19e

1 72(44)

49(13)

59(絡)

 13(3)

 5(1)

68(1 7)

 28(7)

394

97(58)

21(1 3)

 7(4)

 2(1)

 o(o)

24(1 4)

17(10)

168

1 47(68)

24(11)

 19(9)

 2(1)

 望(1)

23(1 0)

 o(o)

216

244(63)

45(12)

 26〈7)

 4(1)

 1(1)

47(12)

 17(4)

384

42(49)

 4(5)

12(14)

 3(3)

 e(o)

12(14)

13〈15)

86

53(52)

 7(7)

 9(9)

 3(3)

 2(2)

19(19)

 8〈8)

書◎1

95(5D 瓢6)

21(1 1)

 6(3)

 2(1)

31(1 7)

21( 18フ

      ()内は%

 次に本項(2)でカテゴリー一分類した「感情の共有」および本項(3)の各分類の内 容について,SCTの文章から代表的なものの具体例を示す。

 ()内には,回答者の年齢又は発達段階と性別を記す。

1)感情の共有について

①肯定感情と否定感情の区別あり

・中学生

例1.友達の嬉しいことや楽しいことは聞いていて同じ気持ちになれるけれど,憂うつな気 分や腹が立っていることは,あまり岡じ気持ちになれないというか,なりたくないです。自 分も憂うつになってしまうから(2年女子)

例2.必要な時と必要でない時がある。誰かにいじめられている時とか,怒られてる時には 必要だけど,うまくいってる時には要らない(3年男子)(4)②「嬉きと嫌いのゆれ」(例

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