第3章 共感性の実証的研究
第2節 共感性尺度の構成(調査研究②)
1 問題と圏的
共感性に関する従来の実証的研究には,次のような問題点があるとされてきた(落合,
1999)。①記述的・探索的研究から出発していない。②共感性の定義の論争が続き,明 確にされない。③共感性が一面的に研究されてきた。これらのうち,①についは,本章 第1節(調査研究①)で検討した。②については,第1章第1節において既に述べた。
③については,近年の動向として,共感性を多次元的にとらえる見方が定着しっっあり,
多次元的視点によるこれまでの研究には,Davis(1980)の4次元尺度などがある(登張,
2000) .
本論文での共感性の定義や捉え方については,第1章第2節で既に述べた。本研究(調 査研究②)では,第2章第3節で述べたように,描画法にみられる共感性が客観的に把 握できる尺度の構成を試みる。そのために,感情の種類(肯定感情と否定感情)の違い による共感性が測定できる尺度の作成を目的とする。
角田(1994)は,因子分析の結果から,共感性が共有経験因子と共有不全経験因子の 2因子構造をもつとした。しかし,共感性を考える場合には,感情の肯定的な側面に共 感するのか,否定的な側面に共感するのかといった要因も重要と考えられる。こうした 考えに立てば,共感性は,肯定的な感情に対する共有・否定的な感情に対する共有・肯 定的な感情に対する共膚不全・否定的な感情に対する共有不全という4因子構造をもっ ていると考えることもできる。実際,角田(1994)は,検証的因子分析を行った結果2因 子解を採用したわけではなく,共感性が2因子構造をもつとした根拠はあきらかではな
い。
そこで,本研究(調査研究②)においては,共感性に関する質問項目を因子分析し,
どのような因子構造を仮定した方が,デーータに対する当てはまりがよいのかを,検証的 因子分析を行って検討する。研究の手順としては,(1)因子分析を行う。(2)内的整 合性による信頼性を検討する。(3)再検査による信頼性を検討する。
2 研究方法
調査対象者(1)(2)については,A県及びB県内の大学生,短大生,専門学校生,(男子193 名,女子273名),B県内の中高校生(男子184名,女子220名)の計87◎名を対象に
調査した結果を用いた。(3)については,(1)(2)の調査対象・者のうち223名(男性 8◎名,女性143名)を対象に調査した結果を用いた。
調査時期:(1)(2)については,200◎年4月〜δ月であった。
(3)については,20◎◎年5鍔であった。
調萱項目の選定
共感性尺度項霞の選定にあたっては,調査研究①で収集された共感性に関する項目を 参考に55項目を選び,さらに3名の心理系大学教員により,内容の妥当性を検討した。
まず,3名が別々に評価した後協議し,類似した表現をまとめるなどして,3名の判定 が一致した項目を選定し,3◎項欝からなる共感性質問紙を作成した。
調査用紙
考案された30項目の共感性質問紙:「いつもそうだ(5点)戸たいていそうだ(4点)」
「どちらともいえない(3点)」「たいていそうでない(2点)」「いつもそうでない(1 点)」の5件法の團答形式とした。
手続き
調査は,隅頃の意識を調べるための調査という説明で,授業時間中に集団法により実 施した。質問紙の所要時間は約2◎分であった。
3 結果
(1)因子分析
共感性の構造を明らかにするために,共感性に関する30項目について,探索的因子分 析(主成分法,プurマックス回転)を行い,それぞれの因子に対する負荷量が0.4以上 である項目をもとに,2つ以上の項目に負荷の高いものを除き,残りの26項冒を用いて,
再度探索的因子分析(主成分法,プロマックス回転)を行い,解釈可能な2因子解と4 因子解を求めた。
その結果,2因子解では,共有因子と共有不全因子が抽出され,4因子解では,肯定 的な感情に対する共有・否定的な感情に対する共有・肯定的な感情に対する共有不全・
否定的な感情に対する共有不全という4つの因子が抽出された(Table 3・2・1)。
そこで,それぞれの因子に対する負荷量が◎.4以上ある項目をもとに,2因子解と4 因子解で検証的因子分析を行うためのモデルを作成した。
どちらの因子構造が,データに対する当てはまりがよいのかを比較するために,検証 的因子分析(Arbuckle,1997)を行い,2つのモデルの適合度指標(GFI, AGFI,
RMSEA, CFL AIC)を比較し(注1),当てはまりのよいモデルを採粥することにした。2つ のモデルの適合度指標をTable 3・2・2に示す。
GFI, AGH, RMSEA, CFIなどの値から検討した結果,2因子構造をもとにしたモデル 1(Fi霧3−2・1)は,デーータに対する当てはまりが悪く,AFGI,RMSEAなどの数値から検討し た結果,2因子モデルは受容できるモデルとは言い難いものであった。それに比べて4 因子構造をもとにしたモデル2(Fig 3・2・2)は, GFI, AGFI, RMsEA, cFIなどの数値か
ら,受容可能なモデルと考えられた。
なお,校種ごとに因子数を4因子に指定し探索的因子分析を行った結果,類似した因 子構造が得られた。また,男女間の因子構造も類似していた。そこで,すべてのデー・・タ をまとめて因子分析を行った。結果をもとに,それぞれの因子解釈を行うことにした。
第1因子は,相手が喜んでいても,自分はうれしい気持ちにならなかったことがある など,〈相手の肯定的感情を共有できない経験〉項羅から成り, 肯定感情共有不全因子
と命名した。第2因子については相手があることに満足していると語るとき,その人の 体験している満足を感じとったことがあるなど,〈相手の肯定的感情の共有経験〉に関 連した項鼠から成り, 肯定感情共有因子 と命名した。第3因子については,何かに失 望している相手の気持ちを感じとろうとして,自分も同じような気持ちになったことが あるなど,〈相手の否定的な感情の共有経験〉項爵から成り, 否定感情共有因子 と命 名した。第4因子は,相手があることに失望していると語ってもどうしてそんなに失望 するのか,同じような気持ちにならなかったことがあるなどのように,<相手の否定的 感情を共有できない経験〉項目から成り, 否定感情共有不全因子 と命名した。なお,
共感性を構成する4つの因子をそれぞれ共感性の下位尺度と考え,4つの因子に◎.4 以上の負荷量をもつ項目で4つの下位尺度を構成し,各下位尺度項欝の平均値を下位尺 度得点とした。
丁醐e3−24共感性に関する26項羅の闘早分析結果
(童成分法・プmマックス麟嚢による2霞墨解と轟霞子解)
嚢腸 内 容 ¢函子解 4因子解
ダア ダ2 F1 F2 F 3
F4
V櫓霊大な気分の相手の気持ちにならなかったことがある u17満建して:いる稠承の気持ちにならなかったことがある u15相導が興奮しでいても隅じようにはドキドキしなかったことがある u21爽快な気鈴でいる籟箏と間じように爽煉にならなかったことがある u総相苧が何かに期待していても醗じ㌫うに綜わくわくしなかったことがある uI8繊手が喜んでいても霞分は嬉しい気持ち紅ならなかったことがある DV20網手がぴっく琴していても謹多封ま蜀じような気持ち駕ならなかったことがある
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D73 D59 D73 D68 D78 D75
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Fl:日建感情共有不全因子 ド変:肯驚感情共蒋因子 Pt3:否定感情共糞因畢、
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