• 検索結果がありません。

技術別課題の抽出

ドキュメント内 第1章 (ページ 128-134)

第 4 章 再生可能エネルギーの導入目標達成に向けた現状と課題

4.4. 再生可能エネルギー政策とその課題

4.4.3. 技術別課題の抽出

(1)水力発電

インドネシアの水力発電の潜在資源量は約75GWと推計されている47。カリマンタンや、

スマトラ、スラウェシ等大きい島では豊富な水力資源が分布される一方、電力需要が最も 大きなジャワ-バリ地域における水力資源は比較的に少ない。

表 4-12 インドネシアにおける水力資源の分布

出典:Asian Development Bank (2015) “Summary of Indonesia’s Energy Sector Assessment” より作成

46 総発電コストは約14¢/kWh

47 Ministry of Energy and Mineral Resources (2015)“Roadmap for Accelerated Development of New and Renewable Energy 2015-2025”

地域 資源量推計

(MW)

ジャワ-バリ 4,531

スマトラ 15,804

カリマンタン 21,611

スラウェシ 10,203

その他 23,475

全国 75,624

108

水力発電プロジェクトの開発に係る課題としては土地利用と開発権許可手続きの煩雑さ が挙げられる。インドネシアでは土地登録システムは整備されておらず、同一の土地に対 する所有権を主張する地権者が複数存在する場合もある。また、水力資源は森林地域に位 置する場合、資源開発許可が承認されるまで数年かかる可能性がある。

(2)地熱発電

インドネシアの地熱資源量は29,544MWと推計されるが、確認資源量は2,200MWに留ま る。このうち2015年末時点の地熱発電設備の導入量は1,438.5MW48である。

地熱資源はカリマンタン、マルク諸島とパプア州を除き、ほぼ全国各地に分布している が、特にポテンシャルが高いのは、スマトラ島とジャワ島である。国家地質庁のデータに よると、全国の地熱資源のポテンシャルはその半分近く12,912 MW(43.7%)がスマトラ島 に分布しており、ジャワ島では9,795 MW(33.2%)となっている。

表 4-13 インドネシアにおける地熱資源の分布

出典:Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) “Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016”より作成

インドネシアでは、森林地域における鉱業活動に対する規制が厳しく、地熱資源が鉱業 資源と位置付けられていたため、地熱鉱区が森林地域に位置する場合、開発の許可を取得 するために環境森林省の承認だけではなく、国会の承認が必要するケースもあった。また、

これまでは2003年の地熱法によって、地熱鉱区開発の入札は地方政府中心で行われること とされたが地方政府は入札を実施・運営する能力が十分に整えておらず、地熱開発の停滞 を招いた一因となった。こうした地熱資源開発の停滞状況を打開するための新地熱法(Law

No. 21 of 2014)は2014年に成立された。新地熱法では地熱開発を鉱業として捉えないよう

にしており、森林地区における地熱鉱区の開発に対して規制緩和された。さらに新地熱法 によって地熱発電を目的にした地熱鉱区開発入札の実施・運営が地方政府から中央政府に 移った49。また、入札管理を中央政府に移管することにより、地方政府が事業者から受け取

48 Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) “Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016”

49 地熱直接利用を目的にした地熱資源開発は地方政府の管轄

地域 資源量推計

(MW)

スマトラ 12,912

ジャワ 9,795

バリ-ヌサ・トゥンガラ 1,920

スラウェシ 3,208

マルク 1,451

カリマンタン 183

パプア 75

全国合計 29,544

109

るロイヤルティ収入の減少に伴う地方政府の抵抗を対応するために、Production Bonus制度 を導入することになった(Government Regulation No. 28/2016)。

ライフサイクルで見ると、地熱発電プロジェクトに係る事業リスクは地熱鉱区の探査・

開発段階に集中している。インドネシアでは、財政力と技術力の制約で、表層地熱資源の データしか整備されておらず、これは地熱開発の高リスクにも繋がる。2011年に財務省は、

地熱資源の上流開発を支援するために地熱ファンド(Geothermal Fund)を立ち上げた。し かし、ファンドの運用規則詳細は定まらず、同ファンドはまだ十分活用されていない状態 である。

(3)バイオマス・廃棄物

インドネシアにおけるバイオマス資源量は約32,654MWであると推計されている50。2014 年末時点、インドネシアにおけるバイオマス発電設備の導入量は 1,717.9MW、その内の大 半はパーム油の精製工場に設置されたオフグリッドの自家発設備である(1,626MW)。グリ ッドに接続した発電設備(91.9MW)の内、77.4MWがパーム生産廃棄物を原料とした設備、

残った14.5MWが都市ごみ発電設備である51

バイオマス発電に関する最も大きな懸念事項はバイオマス燃料の安定供給の確保である。

都市ごみ発電の場合、ごみ量の確保は地方自治体の責任範囲である。ただし、ごみの焼却 発電は事業として成り立つために、ごみの処理費用(ティッピングフィー)を処理事業者 に支給する必要があるが、都市ごみ処理の責任主体である地方自治体はティッピングフィ ーを負担する財政力がない。また、インドネシアでは2016年大統領令18号で指定された7 都市ではごみ発電プロジェクトが進められているものの、ごみ発電に関する技術規則や環 境規制はまだ整備段階である。

(5)太陽光発電

インドネシアの平均日射量は全国平均で 4.8 kWh/m2/日52であると推計されている。2015 年末まで、インドネシアにおける太陽光発電の導入量は14.2MW53に達している。

離島や遠隔地域では、太陽光発電がディーゼル発電より経済性があるものの、太陽光発 電の初期費用はディーゼル発電機より高額であり、それを負担できるような資金調達スキ ームを整える必要がある。また、離島や遠隔地域における送配電グリッドは独立した系統

50 Ministry of Energy and Mineral Resources (2015) “Roadmap for Accelerated Development of New and Renewable Energy 2015-2025”

51 エネルギー鉱物資源省発表資料

(http://biooekonomierat.de/fileadmin/international/Indonesia__Bioenergy_Policies_and_regulations.pdf)

52 International Energy Agency (2008) “Energy Policy Review of Indonesia”

53 Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) “Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016”

110

であるため、安定な電力供給を維持するために、太陽光発電設備と合わせて調整電源の併 設は必要となる。

ジャワ-バリ地域では、平均発電コストは約6¢/kWhであり、全国平均水準よりも安い。

従って、4.4.1 で述べた新たな再生可能エネルギー買取規則によると、この地域において太 陽光発電に対する買取の上限価格は平均発電コストの6¢/kWhとなる。2016年に公表した ジャワ-バリ地域における太陽光発電に対する固定買取価格(14.5¢/kWh)と比較すると、

新たな買取メカニズムのもとで、ジャワ-バリ地域では太陽光発電の導入拡大が当面困難 であることは予想される。

(5)風力発電

インドネシア全土の詳細な風力資源量評価データはまだ整備されていない。エネルギー 鉱物資源省は、インドネシアの風力エネルギーポテンシャルは約9GWと推定しており、主 に東部地域に分布している54

2015年時点では、稼働している風力発電設備は小規模のパイロットシステムのみで、設 備容量が計0.6MWである55。風力発電は固定価格買取制度の対象外であったが、2017年に 発表された新規則では風力発電が調達対象に含まれるようになった。調達価格の決定方式 は太陽光発電と同様になっている。

54 Asian Development Bank (2015) “Summary of Indonesia’s Energy Sector Assessment”

55 Ministry of Energy and Mineral Resources (2016) “Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2016”

111 [参考文献]

• Asian Development Bank (prepared by Castlrock consulting) (2014) “Scaling Up Renewable Energy Access in Eastern Indonesia – Delierable B: Energy Resources for Grid Supply &

Electricity Demand Analysis for Sumba”

• Asian Development Bank (2015a) “Summary of Indonesia’s Energy Sector Assessment”

• Asian Development Bank (2015b) “MEMR Decree No. 556 K/73/DJE/2015” (in Indonesian)

• Dewan Energi Nasional (DEN) (2016) “Outlook Energi Indonesia 2016”

• International Energy Agency “Policies and Measures Database-Indonesia”

http://www.iea.org/policiesandmeasures/renewableenergy/?country=Indonesia

• International Energy Agency (2008) “Energy Policy Review of Indonesia”

• International Energy Agency (2016) “World Energy Statistics and Balances 2016”

• Kema and Hivos (2011) “Grid Connected Electricity Generation – Final Report”

• Ministry of Energy and Mineral Resources (2014)

http://biooekonomierat.de/fileadmin/international/Indonesia__Bioenergy_Policies_and_regulati ons.pdf

• Ministry of Energy and Mineral Resources and Asian Development Bank (2015) “Achieving Universal Electricity Access in Indonesia”

• Ministry of Energy and Mineral Resources (2015a) “Roadmap for Accelerated Development of New and Renewable Energy 2015-2025”

• Ministry of Energy and Mineral Resources (2015b) “Regulation No. 44/2015” (in Indonesian)

• Ministry of Energy and Mineral Resources (MEMR) (2016a) “Handbook of Energy &

Economic Statistics of Indonesia 2016”

• Ministry of Energy and Mineral Resources (2016b) “Regulation No. 19/2016” (in Indonesian)

• Ministry of Energy and Mineral Resources (2016c) “Regulation No. 38/2016”

• Ministry of Energy and Mineral Resources (2017) “Regulation No. 12/2017” (in Indonesian)

• Nah’R Murdono Law Office (2015)

http://murdonolaw.com/feed-in-tariff-for-mini-hydro-power-projects-has-been-denominated-in-us-dollar-per-kwh/

• National Renewable Energy Laboratory (NREL) (2015) “Sustainable Energy in Remote Indonesian Grids: Accelerating Project Development”

• PLN (2016a) “RUPTL2016-2025” (in Indonesian)

• PLN (2016b) “Statistik PLN 2015”

• Sumba Iconic Island HP http://en.Sumbaiconicisland.org/program/

• United State Department of Agriculture Foreign Agricultural Service (2015) “Indonesia Biofuels Annual Report 2015”

112

http://gain.fas.usda.gov/Recent%20GAIN%20Publications/Biofuels%20Annual_Jakarta_Indon esia_7-31-2015.pdf

113

52050 年までの再生可能エネルギー導入ポテンシャルと導入促

ドキュメント内 第1章 (ページ 128-134)