第 3 章 2030 年までの省エネルギーポテンシャルおよび費用対効果分析
3.1. 省エネルギーポテンシャルの試算方法
3.1.5. 家庭部門
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分析結果
出典:日本エネルギー経済研究所試算
図3-7 産業部門における政策効果の分析結果
日本の省エネルギー政策を導入した場合の政策効果を図3-7に示す。低炭素社会実行計画 やエネルギー管理制度、ベンチマーク制度等の日本の省エネルギー政策を総合的に導入し た場合、2030年時点で3.8Mtoeの省エネルギー効果が得られ、BaUケース比で14%の節減 となる。一方で、日本の省エネルギー政策の導入効果のみでは、1で試算された省エネルギ ーポテンシャルを満たすには不十分であるため、BaUケース比で約6%、経済インセンティ ブ措置が必要となる。
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1. 省エネルギーポテンシャル分析の枠組み及び前提条件
インドネシアの家庭部門における省エネルギーポテンシャルの分析の枠組みは前述の通 り、計量経済手法を用いBaUケースの将来の需要見通しを作成している。省エネルギーポ テンシャルは、機器の販売ならびに普及見通しを作成した上で、それぞれの機器が現状の 効率水準を維持した場合をBaUケースとする一方、2017年以降の新規販売機器が先進国並 みのエネルギー効率水準を達成した場合をALTケースとして、その差分を省エネルギーポ テンシャルとして分析を行った。
本分析で対象とした機器は、第 1 章の「課題を解決する技術」で指摘した将来的普及が 見込まれる機器であるエアコン、冷蔵庫、照明、洗濯機、給湯器、テレビを対象とした。
これらの2030年までの効率改善に関する前提は以下の通りである。なお、前提の設定に関 しては、LBNL (2008) ならびに日本エネルギー経済研究所(2016)を参照した。
表3-1 分析の前提
2013年の効率 BaU(2030年) ALT(2030年) エアコン(COP) 2.9 3.16 4.73 冷蔵庫(kWh/年) 548 462 374 洗濯機(kWh/年) 190 190 145 照明(kWh/年/個) 57 46 34 給湯器(kWh/年) 0.76 0.76 年率1.5%で改善 テレビ(kWh/年) 187 158 140 出典: 日本エネルギー経済研究所
2. エネルギー需要見通し
インドネシアの家庭部門におけるエネルギー需要は、非商業用バイオマスを含む場合、BaU ケースにおける年率1.5%で増加、2014年の61.4 Mtoeから2030年には78.5 Mtoeと25%増 加する見通しである。他方、非商業用バイオマスを除く家庭部門の商業用エネルギー需要 は、2030年まで年率3.4%で増加、とりわけ電力と天然ガスの需要は、同5.2%増、13.4%増 の見通しである。特に天然ガスは、現状ではガス供給インフラが形成されるジャカルタ周 辺に家庭部門での利用は限定されるが、供給網の拡大を見込み、予測期間のGDP成長率の 5.2%/年を上回る急速なペースで拡大する見通しである。
64 出典:日本エネルギー経済研究所
図3-8 家庭部門のエネルギー需要見通し(BaU)(Mtoe)
図3-9に2030年における機器別のインドネシアにおける省エネルギーポテンシャルを示 す。図が示す通り、2030年の世帯当たり保有台数を0.38台(2015年の世帯当たり保有台数 は0.20台)と見込むエアコンの省エネルギーポテンシャルが最も大きく、1.3 Mtoeに上る。
これに2030年の世帯当たり保有台数が0.89台(2015年の世帯あたり保有台数は0.58台)
に上り年間稼働時間の高い冷蔵庫が続く(0.38Mtoe)。普及率の高い照明の2030年における 省エネルギーポテンシャルも0.35 Mtoeに上る。このほか、洗濯機の省エネルギーポテンシ
ャルは0.21 Mtoe、これに給湯器の0.19 Mtoeが続く。
これらの省エネルギーポテンシャル合計は、2030年において2.6 Mtoeに上り、同年の家 庭部門における商業用エネルギー需要(非商業用バイオマスを除く)の10%を占める。
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
2000 2010 2015 2020 2030
石油 天然ガス 電力 非商業用バイオマス
Mtoe
実績 予測
65 出典:日本エネルギー経済研究所
図3-9 家庭部門の省エネルギーポテンシャル(2030年, Mtoe)
3. 省エネルギー政策の効果分析
本項では機器の効率基準改善以外の政策効果を検討する。具体的には、欧米諸国で実施 されるエネルギー供給者への省エネルギー義務制度の省エネルギー効果を試算する。エネ ルギー供給者義務制度 (EEO: Energy Efficiency Obligation) とは、電力やガス等のエネルギー 供給事業者に対して、年間販売エネルギーの特定割合を節減する目標を設定、原資を主に 消費者から徴収した資金を活用し、エネルギー供給事業者が需要サイドにおいて、様々な 省エネルギープログラムを実施するものである。
具体的には、消費者の電力・ガス料金に上乗せした費用を原資として活用し、家庭部門 の消費者が高効率機器を導入するにあたっての費用の一部を負担、高効率機器の導入を促 進するプログラムなどがある。インドネシアにおける省エネルギー機器導入にあたっては、
初期投資が高額となることが障壁として指摘できる。この点を踏まえ、エネルギー供給者 義務制度による効果を検討することとする。
2,569 1,329
375
351 207
193
114
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 テレビ
給湯器 洗濯機 照明 冷蔵庫 エアコン
ktoe
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図3-10 エネルギー供給者義務制度の概要
なお、同制度の導入にあたっては、欧米諸国では原資の消費者負担が一般的であるが、
インドネシアでは、電力や石油事業者に支払われる補助金の一部をこうした需要サイドで の省エネプログラム実施費用にシフトさせるといったことが検討される必要がある。また、
同制度の導入にあたっては、エネルギー供給事業者に対する省エネルギー目標の設定、プ ログラムの運営と達成した省エネ量の報告や検証といった様々な制度の構築が必要である 点には注意が必要である。他方、消費者への直接のコミュニケーションの窓口としてコン タクトを有するエネルギー供給事業者の省エネルギー推進における果たすべき役割を考慮 し、同制度の省エネルギーポテンシャルを検討する。
出典:日本エネルギー経済研究所作成
図3-11 家庭部門のエネルギー需要見通し(BaUケースとALTケース比較)
エネルギー
供給事業者 需要家
エネルギー供給
省エネルギー情報・アド バイスの提供
• 消費者が負担する原 資に基づく省エネプロ グラムの実施
• 目標達成に伴うイン センティブと株主への 還元
• 省エネルギーに伴う販 売減少分の補てん
料金支払い、省エネ機 器購入
• 省エネルギー にともなう電 力・ガス料金 の節減
費用対効果の高い省エネ技術導入による
① エネルギー安定供給の確保
② CO2削減への貢献 を達成。
実績 予測
Mtoe
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分析にあたっては、米国東海岸地域におけるエネルギー供給者義務制度で電力事業者が 達成する省エネルギーの電力販売に占める割合の平均値である1.3%を活用、2017年の導入 から2030年までの効果を検討した。
図3-11 が示す通り、エネルギー供給者義務制度の家庭部門における省エネルギーポテン シャルは、2.8 Mtoeであり、前項でのMEPS導入による省エネルギー効果とほぼ同水準の省 エネルギー効果に上る。