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再生可能エネルギー

ドキュメント内 第1章 (ページ 155-159)

第 6 章 日本企業の事業機会とリスクを含めた示唆・日本政府のインドネシアに向けた政策

7.2. 再生可能エネルギー

インドネシアの再生可能エネルギー導入拡大においては、地域差を考慮した促進策を検 討する必要がある。離島や遠隔地域においてはライフサイクルで見ると再生可能エネルギ ー電源は経済性があるものの、高額な初期費用と、限られた導入実績は障壁である。他方、

ジャワ―バリ地域では、競合技術が安価な石炭火力発電であるため、再生可能エネルギー プロジェクトの事業性を向上させるためには買取の保証や初期投資の低減に繋がる政策措 置が求められる。

7.2.1. 地方電力供給における再生可能エネルギーの導入拡大

5.2に示した分析結果によると、地方の電力供給に再生可能エネルギー発電技術を活用す ると、ライフサイクル総発電コストの低減が期待できる。2016年12月に発表された地方電 化に関する新たな規則61でも、地元の再生可能エネルギー資源の活用が推奨されている。本 規則の実施では、地方電化における一定比率の再生可能エネルギーの導入を義務化するこ とや、事業者への補助金(一定の利益率を保証するような発電コストと電気料金の差額)

を算出する際に利益率を再生可能エネルギーの利用と連動させるなどの再生可能エネルギ ー利用促進の措置が考えられる。

本規則(MEMR Regulation No.38/2016)によると、マイクログリッド(1カ所50MW以下)

による電力供給事業者には国営電力会社PLN社以外でも、他の事業団体が参入することが できる。特に市民共同組合(cooperative)も地方の電力供給事業者として認められる。これ は地元住民の協力を得る上で重要である。すなわち、電力供給システムの整備と持続可能 な電力供給事業の運営を維持するために、発電施設や送配電施設用の土地確保や、電気料 金徴収体制の立ち上げ等の課題を解決しなければならない。この意味で、地域に密着した 市民共同組合に電力供給事業に参入させることは、地方電化事業の円滑な推進に繋がると 考えられる。更に、地元のコミュニティで立ち上げられた共同組合が現地の電化事業を実 施することによって、地方の雇用創出効果も期待できる。

他方、電力供給事業を運営するために、専門知識が求められる。従って、地元の市民共 同組合が地方電化事業への参入を促進するために、技術面での政府サポートは不可欠であ る。市民共同組合での電力供給事業の関係者を集めて、地方電化事業に係る技術や、金融、

プロジェクト企画管理、行政手続き等様々な課題をテーマにしたセミナの定期的な開催、

施設の運営管理を担当する技術者の専門家養成プログラムや、定期的な専門家の派遣など 支援措置が考えられる。

地方の電力供給における再生可能エネルギー利用拡大には、地方電化のみならず、既存 の地方電力供給におけるディーゼル発電の置き換えも推進すべきである。特に、近年太陽

61 MEMR Regulation No.38/2016

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光発電の設備コストが急速に低減しており、太陽光発電施設の設置も他の再生可能エネル ギー発電技術より簡易であり、短期間で導入することができる。

前述(4.4.2)したように、限られた予算で電化を急ぐあまり、「安かろう、悪かろう」な 技術、例えば長期的に見れば安価な再生可能エネルギーよりも短期的に安価に購入できる ディーゼル発電を選択してしまうかもしれない。第5章での試算によると、太陽光発電に よる既存のディーゼル発電を置き換えるための初期投資は、設備導入後の8~9年目で回収 できると見込んでいる。従って、現在ディーゼル発電設備を所有している事業者に対して、

設備置き換えのための初期投資の回収年数をカバーするような長期融資スキームや、太陽 光発電設備費用の分割払いメカニズム等の支援措置を検討する価値がある。

7.2.2. 再生可能エネルギーのコスト競争力の向上について

再生可能エネルギー買取の新規則(MEMR Regulation No.12/2017)の実施に当たって、既 存電源の発電コストが安いジャワ―バリ地域における再生可能エネルギーの買取価格が大 幅に低下することが予想される。この地域においての再生可能エネルギーの利用拡大を促 進するためには、プロジェクトの事業性を向上させるための政策措置を導入する必要があ る。買取価格が安くなっていくことに従って、更にプロジェクトのコスト低減に繋がる措 置が必要である。例えば、再生可能エネルギー事業者の資金調達コストを減らせるための 融資保証や5.3.1の分析対象でもある低金利融資等の制度化は一策として挙げられる。

他方、再生可能エネルギー買取の新規則が打ち出されても、これまでの固定価格買取(FIT)

制度は廃止されることとなっていない。FIT制度は再生可能エネルギーの投資を促進するた めの有効な政策措置である。なお、FIT制度の円滑な施行を保証するために、off-takerであ る国営電力会社PLN社に対し、FIT による発生した追加費用を回収できるような仕組みの 導入が必要である。ドイツや日本等では、FITの追加費用を電気料金に上乗せし、一般電力 消費者がこれを負担する。インドネシアでは、電気料金が政府により設定され、消費者が 負担する仕組みになってはいない。しかしながら電気料金体制改革に伴い、PLN 社が非補 助対象62である消費者に課す電気料金を調整できるようになっている63。すなわち、石油価 格、ルピア対米ドルの為替レート、及び国内インフレ水準を変数にし、電気料金の調整額 を算定している。この調整メカニズムを活用し、例えば、電気料金調整の算定式に再生可 能エネルギーの買取費用を織り込まれることによって、新たな体制を作らなくてもPLN社 の費用回収が整えるような仕組みも考えられる。

62 非補助対象の消費者による電力需要は国営電力会社PLN社の全販売量の66%前後占めている

63 http://energy-indonesia.com/04newarticle/0141205denki.pdf

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