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基板構造設計

ドキュメント内 学位論文要旨(修士(工学)) (ページ 83-90)

3.2 発振器構造設計

3.2.3 基板構造設計

実際のデバイスは,半絶縁性InP基板上に作製される.ここまでの議論では,主にRTD発振器の 構成要素,集積構造を決定することを目的としていたため,基板上のみに焦点を置き解析を行って きた.

本節では,3.2.2節で決定されたRTD発振器構造に基板が与える影響を明らかにし,基板厚さの 設計を行う.先行研究[58]では,基板厚さを60µm固定し,異なる基板材料における特性の違いに ついて検討されている.本研究では基板材料は表3.5の電気定数の半絶縁性InPとし,厚さを変え た場合の特性に注目する.

通常,InP基板は300700µmの厚さで作製される.エッチングにより薄くすることは可能であ るが,その分基板が割れてしまうリスクが大きくなる,従って本研究においては100µmを下限厚さ と設定する.

図3.85 -図3.111に,基板厚さ100 , 200 , 300µmにおける300GHz , 900GHz , 1.5THzの近傍/ 遠方界の電磁界分布を示す.300GHzにおいては厚さによらず同様の遠方界パターンが形成されて いるが,高周波化に伴い異なるパターンとなる.波長が短くなったことによって,基板内で反射が 生じた結果であると考えられる.また,900GHzの磁界パターンを見ると,基板方向に対して磁界が 曲がっている状態が確認される.この特性と多重反射によって放射パターンの乱れが生じている.

3.84 基板付与発振器モデル

3.5 基板材料定数表

材料 導電率σ[S/m] 比誘電率εr 比透磁率µr

Semi-Insulated InP 1.0×1010 9.52 1

3.85 基板厚さ100µm遠方 界パターン300GHz

3.86 基板厚さ200µm遠方 界パターン300GHz

3.87 基板厚さ300µm遠方 界パターン300GHz

3.88 基板厚さ100µm電界 分布300GHz

3.89 基板厚さ200µm電界 分布300GHz

3.90 基板厚さ300µm電界 分布300GHz

3.91 基板厚さ100µm磁界 分布300GHz

3.92 基板厚さ200µm磁界 分布300GHz

3.93 基板厚さ300µm磁界 分布300GHz

3.94 基板厚さ100µm遠方 界パターン900GHz

3.95 基板厚さ200µm遠方 界パターン900GHz

3.96 基板厚さ300µm遠方 界パターン900GHz

3.97 基板厚さ100µm電界 分布900GHz

3.98 基板厚さ200µm電界 分布900GHz

3.99 基板厚さ300µm電界 分布900GHz

3.100 基板厚さ100µm磁界 分布900GHz

3.101 基板厚さ200µm磁界 分布900GHz

3.102 基板厚さ300µm磁界 分布900GHz

3.103 基板厚さ100µm遠方 界パターン1.5THz

3.104 基板厚さ200µm遠方 界パターン1.5THz

3.105 基板厚さ300µm遠方 界パターン1.5THz

3.106 基板厚さ100µm電界 分布1.5THz

3.107 基板厚さ200µm電界 分布1.5THz

3.108 基板厚さ300µm電界 分布1.5THz

3.109 基板厚さ100µm磁界 分布1.5THz

3.110 基板厚さ200µm磁界 分布1.5THz

3.111 基板厚さ300µm磁界 分布1.5THz

以下では,磁界パターンが曲がる原因の特定を試みる.磁界パターンは-y方向に引っ張られてい る.-y方向には,バイアス供給の配線があり,配線あるいはその下部の基板が原因となっていると 予想し,(a)配線のみを除去(図3.112)(b)配線と基板を除去(図3.113)の2パターンの磁界パター ンを比較した.

配線をなくしただけでは磁界パターンの曲がりは抑制されなかったが,基板も除去することで抑 制が可能であることが分かった.これより,磁界パターンが屈折した原因は,アンテナ中心部から 見て-y方向の基板が長いため,基板体積の大きい方向へ磁界が引っ張られてしまうためである.

放射パターンの屈折を防ぐためにはアンテナ中心部から見て基板の長さを対称に設計すればいい と考えられるが,図3.113の設計ではバイアス配線のラインも除去してしまうためデバイスの動作 が不可能となる.

そこで,配線部を残し,+y方向の基板長さを増やした(c)y方向基板長さ対称(図3.114)を解析 した.すると,-z方向への直線状の放射パターンが得られたが(a),(b)に比べてy軸方向への放射 の広がりが生じてしまう.

以上のことから,放射指向性は基板面積から受ける影響が大きいため,適切な基板面積設計をす る必要がある.

3.112 配 線 除 去 磁 界 分 布 900GHz

3.113 配線,基板除去磁界分 900GHz

3.114 y 方向基板長さ対称 磁界分布900GHz

3.115 比較解析を行う基板形状(a)発振器直下(b)余白50µm直方体(c)余白50µm円柱

図3.115の異なる基板形状における 300GHzから1.5THzまでの遠方界放射パターンを図3.116 に示す.ターゲットとしている基本波成分300GHzにおいて発振器直下のみに基板を配置した(a) の構造は余白のある他の構造に比べて出力が小さくなってしまうことが分かった.出力が大きく,-z 方向への指向性の保持が全ての成分において達成されている余白あり直方体構造が最適である.ま た,直方体基板構造においては余白を(b)よりも大きくした場合においてもxy方向それぞれの余白 長さが等しい限り同様の結果が得られた.

3.116 基板形状違いによる遠方界放射パターン

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