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各章の概要

ドキュメント内 ― 可能とモダリティ ― (ページ 30-33)

第一章 序

1.5. 各章の概要

本論文は全 7 章から構成されている。第一章の 1 節では、本研究の目的、及びその方法 を明らかにした。更に、中国語の可能補語における先行研究を概観する形で、可能補語の 位 置 づ け や そ の 分 類 に つ い て 論 じ た 。 ま た 、 本 論 文 で 扱 う 可 能 補 語 〈-得 了/-不 了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉及び〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉について、意味及び文法的、構文 的な諸特徴を明らかにした上で、典型的な可能補語との相違について記述した。

第 二 章 か ら第 四 章 まで は 、〈-得 了/-不 了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉 及 び 〈-得/-不 得: -DE/-NEG-DE〉の意味特徴に着目して、分析を行う。ここでは、当該形式が表す意味とし て、可能(能力可能, 心理的不可能)、義務的モダリティ(不必要, 不許可)及び認識的モ ダリティ(蓋然性, 推断)に分類して論じる。

まず、第二章では、可能の意味を表す〈-得了/-不了: -DE-LIAOpoten/ -NEG-LIAOpoten〉及び

〈-不得: -NEG-DEpoten〉について論じる。〈-得了/-不了: -DE-LIAOpoten/ -NEG-LIAOpoten〉は状 況可能を表し、〈-不得: -NEG-DEpoten〉は心理的不可能を表す。〈-得了/-不了: -DE-LIAOpoten/

-NEG-LIAOpoten〉の状況可能については、これまでも多く議論されており、本研究でも先行

研究を踏まえた形で議論を行う。それに対して、〈-不得: -NEG-DEpoten〉が表す心理的不可能 の分析は、管見の限りでは本研究での指摘がはじめてであると言える。具体的には、2.1節 で、研究の背景として問題とする議論のポイントをまとめた上で、2.3節では状況可能を表 す〈-得了/-不了: -DE-LIAOpoten / -NEG-LIAOpoten〉について、2.4節では心理的不可能を表す

〈-不得: -NEG-DEpoten〉について論じる。議論の中心は、両形式の意味的な特徴を明らかに することであるが、その中で、可能補語に先行する述語が有する意味素性の種類や、文法 的な特徴、更には文の構文的な特徴等を記述することで、意味の分析を行う。最後に、2.5

節で第二章の議論全体をまとめる。

次に、第三章では、義務的モダリティを表す〈-不得: -NEG-DEpermi〉及び〈-不了:

-NEG-LIAOnecess〉について論じる。〈-不得: -NEG-DEpermi〉は不許可の意味を表し、〈-不了:

-NEG-LIAOnecess〉は不必要の意味を表す。まず、3.1 節では、本研究が取るモダリティの立

場を明らかにする。続いて3.2節の研究の背景で第三章の議論の方向性を示し、3.3節では、

義務的モダリティと可能の意味の相違について論じる。従来からも指摘されてきたが、義 務的モダリティの不許可や不必要という意味は、可能とある種非常に類似している。そこ で、両意味範疇を明確に区別するために、まずは両者の相違について議論したのである。

その上で、3.4節では不許可を表す〈-不得: -NEG-DEpermi〉について、3.5節では不必要を表 す〈-不了: -NEG-LIAOnecess〉について、その意味的特徴、及び文法的、構文的特徴等を明ら かにする。最後に、3.6節で第三章の議論についてまとめる。

第四章では、認識的モダリティを表す〈-不了: -NEG-LIAOprob/deduc 〉について論じる。〈-不了: -NEG-LIAOprob/deduc〉は、蓋然性及び推断という意味を表す。4.1節で研究の背景を述 べた上で、4.2 節では、認識的モダリティについて論じる。その上で、4.3 節では蓋然性を 表す〈-不了: -NEG-LIAOprob〉について、更に4.4節では推断を表す〈-不了: -NEG-LIAOdeduc〉 について分析を行う。そして最後に、4.5節で第四章のまとめを行う。

以上述べたように、第二章から第四章で、〈-得了/-不了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉及び〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉が表す意味特徴や文法的、構文的特徴について議論を行った後、

第五章及び第六章では、各形式が表す中心的な意味、及びそれぞれの意味の関連性につい て考察する。

第五章では、〈-得了/-不了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉及び〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉が中 心的に有する意味を明らかにする。第二章から第三章で論じたように、〈-得了/-不了:

-DE-LIAO/-NEG-LIAO〉及び〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉は、可能、義務的モダリティ或い は認識的モダリティというように多義であることが分かる。この中心的な意味を特定する 基準として、その意味特徴が有する先行述語の多様性、その意味が成立するための文法的 及び構文的特徴における制限等を総合的に考察して判断を行う。そこで、5.1節で研究の方 向性を示し、5.2節では〈-得了/-不了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉について、5.3節では〈-不得:

-NEG-DE〉について論じる。そして最後に、5.4節で第五章の総括を行う。

第六章では、〈-得了/-不了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉及び〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉の両 形式について、状況可能の意味からモダリティの意味へとシフトした可能性があることを

論 じ る 。具 体 的に は 、6.1 節 で 研究 の 背景 を 述べ た 上 で、6.2 節 で は〈-得 了/-不 了:

-DE-LIAO/-NEG-LIAO〉における状況可能から認識的モダリティへの意味のシフト、6.3 節

では〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉における状況可能から義務的モダリティへの意味のシフト について分析を行う。更に、6.4節では、〈-得了/-不了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉が認識的モ ダリティを表すようになり、〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉が義務的モダリティを表すようにる が、どうしてその逆ではなかったのかという点について考察を行う。その結果として、〈-得了/-不了: -DE-LIAO/-NEG-LIAO〉及び〈-得/-不得: -DE/-NEG-DE〉の特徴が更に明らかと なるであろう。6.5節では第六章の議論をまとめる。

最後に第七章では、論文全体の総括として、再度論点を整理し、本研究で明らかになっ た点をまとめることで結論とする。

ドキュメント内 ― 可能とモダリティ ― (ページ 30-33)