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制度的観点

ドキュメント内 Public Key Infrastruc (ページ 136-156)

5.9 モバイル電子決済プリペイド

5.9.2 制度的観点

5.9.2.1 モバイル電子決済プリペイドと法制度

我が国では1982年にNTTから公衆電話機の通話用のプリペイドカード(通称テレカ)

が販売開始となり、またカードデザインの収集を巡って一世を風靡したことは記憶に新し い。このテレカの特徴はと言うと小銭が不要であること、薄いカード形状のため持ち運び が簡単であること、最低金額が 500 円と当時としての贈答用、ギフト用等の利用法がある こと等から非常に重宝がられた。

この後、鉄道系としてオレンジカード/イオカードが、交通系としては高速道路で利用 できるハイウエイカードが、第三者発行型としてユーカード社が発行している出光/マク ドナルド等で利用できるユーカード、日本カードセンタ社が発行しているコンビニ/ガソ リンスタンド等で利用できるクオカードが、一方レジャー用途としてパチンコカードもプ リペイドカードとして導入され、枚挙に暇がないくらい様々なプリペイドカードシステム が色々な方面に導入され、また導入に際しては利便性やプレミアム等により一般消費者か らも喜ばれている。

これらに使用される媒体としては殆どがPET(polyethylene terephthalate)材のプラ スチックカードを主流としたものであった。

これらPET式カードの場合は後述するICカード式とは異なり殆どのカードが使い捨 てであって、これらのプリペイドカードの法的根拠は平成2年10月に施行された『前払式 証票の規制等に関する法律』、通称プリカ法によるものである。

近年になってセキュリティ性が向上し安全にリチャージできるICカード媒体を使用し た新たなプリペイドカードが出現した。商業ベースでの代表的な接触ICプリペイドカー ドではMYDOカード/IDEMITSUカードが、非接触ICプリペイドカードではE dyカード等が見受けられる。この他、大型店舗の出店に対抗し顧客の囲い込み手段とし て地域的に密着した商店街では長野県駒ヶ根市の『つれてってカード』、北海道滝川市の

『げんきカード』等が有名であり、加えて渋谷、新宿、大宮での各電子マネー実験も記憶 に新しい。現在の状況からは地方自治体が発行する住民カードや行政カード化が1部では あるが進みつつあり、益々ICカードが身近になって来たといえるのではないだろうか。

特にこれらICカードに共通して言えることは、プリペイド機能の他にポイント機能や

図書館貸し出し機能等、様々な機能が 1 枚のカードに凝縮して利便性が高まったことに あると思われる。

また本来のプリペイド機能を 1 つ取っても従来のPET式のカードとは異なり、ICカ ードのハイセキュリティ性を背景に、プリペイド支払いを行い金額的価値あるいは回数的 価値等が減少した時に、発行者に対してその価値に相当する金額を再度支払うことにより 価値を追加して充填/加算できる特徴を持っている。

材質がプラスチックからICカードに替わったと言えども『電磁的方法』により記録が なされていること自体に変わりがなく、このICカードも前述のプリカ法の適用を受ける こととされている。

さらに時代が進むとモバイル(ここでは携帯電話を想像して頂く)の普及が目覚しく日 本では2人にひとりが保有する程発展の一途を辿っており、ならば『このモバイルにプリ ペイド機能を付加したらどうか』と言うアイデアが急浮上するのも自然な成り行きである。

今まで何種類ものカードを持ち歩く不便さや非接触ICカードであれば複数枚のカード を同じサイフに入れておくとカードをかざしても動作しない等の問題があった。そこでモ バイルにこれらプリペイドの機能を集約すればカードを別に持って歩く必要はないし、モ バイルを使って価値の充填を始め携帯電話でそのまま買い物も可能である。

モバイルにプリペイド機能を埋め込むと今までよりは更に利便性が高まり、セキュリテ ィもより向上するものと期待されている。

一方、モバイルにプリペイド機能を搭載すると言っても技術的には様々な方法があると 言われている。価値を入れて置く器を例に取ると、モバイルにはモバイルとしての機能を 果たすためのメモリが存在するのでその中のメモリの一部を間借りして価値を入れておく 方法、UIMと呼ばれる小型のICカードに価値を入れておきモバイルに装脱着する方法、

モバイルには一切の価値を置かずネットの先に存在する決済事業者の決済サーバの中に価 値を入れて置く方法等々がある。

これらの方法を一元的に現行のプリカ法で論じることが可能なのか、あるいは別途、何 らかの法制度が必要なのか、次項以後においてモバイルに焦点を当てて、消費者の保護を 最優先としその他の制度等について考察することとする。

5.9.2.2 消費者の保護

プリペイドの世界における法制度的な消費者保護と言えば、最初に思い浮かぶのはプリ カ法で言う所の供託制度である。しかしこれとても発行の未使用残高(1,000万円以上に限 る)の1/2以上を発行保証金として供託しておくと言うもので、数学的には半分しか保証さ れないと言うものであり、また返還手続きも容易ではない。

この供託制度は消費者の保護の 1 つの方法として評価するものの、消費者保護の観点か らは万全ではない。

特に現行の対面式の物販であれば過去の経験から解決方法はそれなりにあるが、モバイ

ルの世界においては必ずしも対面式販売とは限らないことから『注文したのに商品が来な い』、『注文と異なる商品が来た』、『商品は到着したけれど中身が破損していた』等々 が考えられる。

プリペイドの性格上先に代金の引き落としが行なわれてしまうことによる新らたな対応 の仕方や消費者の保護/救済方法等、事前に検討論議しておく必要があり、以下にこれら を解決する糸口としての様々な方向から見た推定事例を紹介する。

(1) 最低決済金額

従来のテレホンカードを始めイオカードやパスネット等、利用目的が限定されてい るシステムの傾向としては最低決済金額10円の例が多いが、現在導入されている消費 税では1円単位の端数が生じる。

従って、一般の汎用型プリペイドカードでは通常考えられる範囲おいても最低決済 金額は1円が妥当と考える。

なお、電子決済される対象としては物品の購入以外にもサービスが考えられ、決済 の単位は金額以外の場合も考慮しておく必要がある。代表的な単位の例としては『度 数』、『回数』等であろう。

また単位が金額以外の単位であっても現行のプリカ法では、証票即ちプリペイド法 の範疇にふくまれる。

(2) 最高預入金額

クレジットカードの世界では、カードで家を購入すると言った事も現実には発生し ているそうだが、プリペイドの世界では、最初に何のためにプリペイド、即ち預けて おいて利用するのかが問われることとなる。長い時間にわたり金銭的な価値を預けて おいても利息が付く訳ではない。

従って、家を買う程の高額な価値をプリペイドしておく必要はないことは、自ずか ら明白であろう。では消費者にとって最大預入金額はどの程度が望ましいのか、盗難、

紛失、決済会社の倒産にかかわる消費者保護救済、他決済方式との関連等々、様々な 観点から預け入れ金額の最高値とはいくらが妥当なのかを考えて見よう。

まずプリペイドカード分野における最高預入金額の現状について、PET式カード によるプリペイドカードでは『ハイウエイカード』の 5 万円、ICカードによるプリ ペイドカードでは『Edy』の5万円、『出光MYDOカード』の99,999円、地域住 民のための駒ヶ根市の『つれてってカード』の10万円、伊那市の『い〜なちゃんカー ド』では何と50万円である。

ここに面白いデータがあるので紹介しよう。出光のガソリン給油を主目的としたI Cカードを使用したプリペイドカード『出光MYDOカード』において、平成14年1

100

高の調査を行った所、6万円未満のカードが全体の98%を占めていたと言うことであ る。

反復利用性の強いカードでさえ 6万円未満の預け入れ状況であるのならば、一般汎 用型モバイル電子決済と言えども、そう大差はないと考えるのが自然であろう。する と切りの良い10万円が1つの目安となり、この点を足掛かりとして考察を進めること にする。

まず盗難、紛失であるが、これはプリペイドのシステムによって預入金が保証され ているか否かが分かれ道となる。正確な身分証明を行った後にプリペイドの再発行を 行うシステムであれば全く問題ない。一方、約款等で預入金の保証が約束されていな いのであれば、プリペイドの保管責任はその所持者であり、通常の場合は自己責任と なってしまう。この時に見つかれば良いけれど見つからなかったことを考えると、一 応諦めが付く金額ラインの限度を想定すべきである。

次に決済会社の倒産の例であるが、万一の場合を考慮し、消費者保護の観点からプ リカ法(詳細条件は割愛)では、基準日未使用残高の 1/2 を発行保証金として供託す ることになっている。もしもの時はこれを切り崩して消費者に返還するもので、法的 には消費者が返還請求の手続きを行うことにより、保有するプリペイド金額の半額を 返還するものと定められている。従って、もしものことを考えながらプリペイドを利 用する消費者も少ないであろうが、計算的には半額しか返還されなくても諦めの付く 限度の金額と言うことになる。

最後に他のモバイル決済との関連について考察してみる。

 

(3) 盗難対策

モバイルに組み込まれたプリペイドのバリューの盗難対策については、まずそのバ リユーの管理者が誰かと言うことを考えなくてはならない。

この管理者を大きく分けると2つある。1つはモバイルの所有者にある場合である。

従来のカード式プリペイドと同様に、その媒体に直接的に価値が埋め込まれており、

券売機等で誰でもが現金と引き換えに購入できるものである。利用者データの登録手 続き等の面倒臭さがなく、利便性はあるものの紛失、盗難に対しては自己責任である。

従って、支払い等の場面においては、モバイルによる決済を希望する人とそのモバイ ルの所持者が同一人かの本人確認のための仕組みを持たせなくてはならない。モバイ ルと相性の良い本人確認の仕組みと言えば、パスワード、指紋認証がある。あるいは これからのモバイルの必需品となるであろう、デジタル式の小型モバイルカメラによ る画像認識、更にはモバイルに向かって予め登録しておいた特定の言葉を話しかける 音声認識も考えられる。

しかしながら、紛失、盗難が発生すると他人によるなりすまし利用が懸念され、そ

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