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ネットワークおよびシステムに求められる要件

ドキュメント内 Public Key Infrastruc (ページ 183-194)

5.10 モバイル電子決済における技術的要件

5.10.3 ネットワークおよびシステムに求められる要件

接触ICカード対応のカード決済端末に求められる要件は「ICカード対応端末機 能仕様書」で明確となっていると思われるので、ここでは、先の 2点を考慮した要件 のみについて触れる。

(2) 電子決済端末に求められる要件

電子決済端末に求められる要件は、下記の3点に集約できると考える。

・携帯電話の形態に対応した非接触ICカード・インタフェース機能

・カード型との共存

・仕様の標準化  

「携帯電話の形態に対応した非接触ICカード・インタフェース機能」とは、現在 のカード・スロットの代わりに、携帯電話をかざして利用できるようなハードウェア 構造と、非接触ICカード・インタフェースを処理するソフトウェアを意味する。

「カード型との共存」を挙げたのは、過去の投資活用の観点から、100 万台を優に 越える既存のカード決済端末に電子決済端末の機能を追加する方式が妥当だと思われ るからである。例えば、韓国Harex InfoTech社のZOOPは、赤外線インタフェース を搭載した携帯電話による決済方式だが、既存の磁気式クレジットカード用のカー ド・スロットに差し込めるZOOP用アダプタを提供している。このようなアプロー チも一案と考える。

「仕様の標準化」については、然るべき団体において「非接触ICカード・インタ フェース搭載携帯電話対応端末機能仕様書」とでも言うべき仕様を策定し、端末メー カーへ提供することが必要と考える。

このCAT端末は、携帯電話との間でローカル通信機能によりデータ送受が行える付 加機能を搭載しているものとする。一方、CAT端末とCAFIS(Credit And

Finance Information System)に代表される情報処理センターとのデータ送受信では、

あくまでも既存の電文が用いられ、また、情報処理センターからクレジットカード会 社までの処理には既存のクレジットの仕組みが利用されることとする。

図 5-29 クレジットによるモバイル電子決済システム

b) 情報処理センターとの接続方法

与信照会処理を行うオーソリゼーションサービスを捉えると、電話回線を使用して 接続する端末接続の場合と、データ回線を使用して直接センターに接続するセンター 接続の場合に区分される。ここでは、情報処理センターについて処理件数や規模で最 大のカード決済ネットワークCAFIS(NTTデータ社運営)を例として取り上げ、

接続するときのスペックを記すこととする。

・端末接続の場合 : 適用回線は、電話回線(電話網・ISDN)

・センター接続の場合: 表 5-14に示す。

 

表 5-14 センター接続の場合の回線スペック 

〈回線種類〉 〈回線速度〉  〈伝送制御手段〉 

専用線 2400、4800bps  CAFIS手順  専用線 9600bps  CAFIS−Hi手順  パケット交換網(DDX−P) 9600bps  CAFIS手順 

パケット交換網(DDX−P) 9600bps  CAFIS  DDX−PS手順

   

情報処理センタ

(CAFIS) 

Bank

銀行

ク レ ジ ッ ト 会

SHOP

携帯電話 店舗

C A T 端

ローカル通信

Bank

Bank

但し、今後、携帯電話に搭載の非接触ICがEMV仕様に準拠する際には、伝送 制御手段としてはCAFIS−IC手順が適用されることとなる。 

c) その他の実現例

CAFISに代わる情報処理センター的な機能を有するEC向けのサービスも出現 している。例えば、ソニーファイナンスインターナショナル社が運営する「Dire ct e−SCOTT」は、OBN網上でTCP/IPプロトコルを用いた伝送によ り高速な与信照会処理が行える。今後、店頭販売とWeb上でのネット販売の併存など で処理件数が大量となる場合などでは、このようなサービスを利用して店頭のCAT 端末を接続することも考えられる。なお、本サービスを利用する場合、接続用の回線 として専用線によるOBN網への接続が必要となる。

CAT端末の設置場所が屋外であったり、移動したりする場合においては、情報処理セ ンターとの接続には無線ネットワークの利用が想定される。この場合でも、CAT端末と 情報処理センターとのデータ送受信では、あくまでも既存の電文が用いられ、また、情報 処理センターからクレジットカード会社までの間の処理は既存のクレジットの仕組みが利 用されることとする。与信照会処理に関して、CAFISへの接続を前提とした場合、C AFISのゲートウェイ的な情報処理センターINFOX−NET(NTTデータ社運営)

に対して無線ネットワークを介して接続することが可能である。このときの無線ネットワ ークとして、NTTドコモ社が提供するDoPaを使用すると、通信速度9,600bpsでIN FOX−NETに接続することができる。

 

(2) デビット電子決済システム

a) デビット電子決済システムの実現例

デビットによるモバイル電子決済システムの例を図 5-30に示す。図において、利用 者は携帯電話からブルートゥース、IrDA、非接触インタフェース(ISO14443)等 のローカル通信機能を利用し、認証情報を店舗のPOS端末に送信する。POS端末 においてもローカル通信機能を備えており、これにより携帯電話とデビット利用に関 する交信を行う。一方、POS端末は既存のデビットネットワークに接続されており、

POS端末と情報処理センターを経由した金融機関とのデータ送受信では、あくまで も既存のデビットの仕組みが利用されることを前提とする。従来と同様のデビットシ ステムにより決済される。 

   

図 5-30 デビットによるモバイル電子決済システム

b) 情報処理センターとの接続方法

情報処理センターとの接続方法は店舗が金融機関の直接加盟店である場合と間接加 盟店である場合とで異なる。CAFISを例として考えると、CAFISを介して加 盟店と金融機関のホストコンピュータ同士が直接接続されるのが直接加盟店である。

この場合の接続のためのスペックを以下に記することとする。

・加盟店ホストコンピュータとの接続であること。

・電文中継に関する回線種別・速度等を表 5-15に示す。

 

表 5-15 直接加盟店の接続スペック 

〈回線種類〉 〈回線速度〉  〈伝送制御手段〉 

専用線 2400、4800bps  CAFIS手順  専用線 9600bps  CAFIS−Hi手順  パケット交換網(DDX−P) 9600bps  CAFIS手順 

パケット交換網(DDX−P) 9600bps  CAFIS  DDX−PS手順

店舗が金融機関の間接加盟店である場合は、直接加盟店(クレジットカード会社等)

と金融機関との間では情報処理センターを介した既存のデビットの仕組みが構築され ているので、間接加盟店は直接加盟店との間の接続のみ考慮すればよい。この場合、

直接加盟店との接続に関しては、各々、インターネット経由を含む簡易な接続方法・

処理手順が利用可能である。これはリアル店舗ではなく、むしろバーチャル店舗にお ける利用に適しているともいえる。

c) その他の実現例

Bank

銀行

クリアリングセンタ

SHOP

携帯電話 店舗

POS端末

Bank Bank

ローカル通信

情報処理センタ

(CAFIS) 

の接続に無線ネットワークの利用が想定される。なお、POS端末と情報処理センタ ーとのデータ送受信では、あくまでも既存の電文が用いられるものとする。

情報処理センターとしてCAFISを使用する場合、CAFISへのゲートウェイ 的な情報処理センターINFOX−NET(NTTデータ社運営)に対して無線ネッ トワークを介して接続することが可能である。このときの無線ネットワークとして、

NTTドコモ社が提供するDoPa(通信速度9,600bps)などが利用可能である。

(3) プリペイド電子決済システム

プリペイドによるモバイル電子決済システムの例を図 5-31 に示す。プリペイドは (1)のクレジット、(2)のデビットの場合とは異なり、電子マネーに代表される電子的な 価値(以降、電子価値)を携帯電話に配布するチャージの仕組みが必要になる。さら に、支払われた電子価値を店舗から回収する預入れの仕組みも必要になる。このため、

(1)のクレジットにおける通信ネットワーク、(2)のデビットにおける通信ネットワーク

に加え、電子価値を配布、回収するための通信ネットワークが必要になる。この通信 ネットワーク上で授受される情報は、クレジットやデビットの場合のように資金移動 を指示する情報ではなく、価値そのものを表す電子価値情報であることがクレジット やデビットの場合との大きな違いである。

図 5-31において、まず、電子価値を発行するプリペイド決済会社と、利用者や店舗 の預金口座のある銀行との間には、資金移動の指示を伝える専用ネットワーク(例え ばCAFIS)がある。これに加え、プリペイド決済会社が発行した電子価値を利用 者に配布するための無線ネットワーク(例えば携帯電話網)や、店舗が支払を受けた 電子価値を預入するための有線ネットワーク(例えばインターネット)がある。

       

図 5-31 プリペイドによるモバイル電子決済システム

(4) 通信ネットワークの種類

ここではモバイル電子決済で使用する各種の通信ネットワークの特徴を整理し、こ れを基に通信ネットワークに対する要件を示す。

まず、通信ネットワークの大きな特徴として、無線通信によるものと、有線通信に よるものがある。また、他の大きな特徴として、専用回線によるものと公衆回線によ るものとがある。この2つの視点により 5.10.3.1「電子決済端末とネットワーク」で とりあげた通信ネットワークの位置付けを示すと図 5-32のようになる。

図 5-32 通信ネットワークの特徴

Bank Bank

Bank

CAFI

有線ネットワーク

携帯電話会社

無線ネットワー

SHOP SHOP SHOP

店舗

支払 チ ャ ー

預入

利用者 携帯電話

専用回線

公衆回線

無線通信 有線通信

CAFIS 

携帯電話網  インターネット 

通信ネットワークの特徴:

 安全性:大  コスト:大  機動性:小

通信ネットワークの特徴:

 安全性:小  コスト:小  機動性:大

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