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5.9 モバイル電子決済プリペイド

5.9.3 イメージ例

5.9.3.1 モバイル電子決済プリペイドのシステム構成

モバイル電子決済プリペイドサービスを実現するためのシステム構成について述べ る。サービスの内容に応じて種々のシステム構成が考えられるため、ここでは、シス テム構成の基本要件を示した後、いくつかの具体的な構成例を示す。

(1) モバイル電子決済プリペイドシステムの基本要件 

モバイル電子決済プリペイドシステムを構成するときの基本要件として以下がある。

a) 価値を発行・管理するセンター

利用者にプリペイドしておく価値を発行したり、発行した価値が回収されるまで 発行額、発行日時を管理したりするセンター設備が必要である。このセンターは b) の現金と連携するための仕組みと連動し、現金を収受すると価値を発行し、価値を 回収すると現金の支払い指示を出す。さらに、発行した価値が不正なく正しく利用 されたことのチェックも行う。

b) 現金と連携するための仕組み

プリペイドでは普通、利用者への価値の発行に合わせて、利用者の持つ現金が減 額される。また、商店が価値を預入するのに合わせて、価値に相当する現金が商店 の口座に振り込まれる。価値の発行では、利用者口座と連携する方法、利用者手持 ちの現金と直接連携する方法が採られている。さらに前者では、CAFISにより 即時に引き落とす方法、およびクレジットネットワークにより後日決済される方法 がある。後者では街頭の入金機により、現金を入金すると、これに相当する価値が 発行されるものである。一方、価値の預入では、振込みにより口座に入金する方法 がある。

c) ブラウザ機能の付いた携帯電話

携帯電話から価値の発行や価値を使った支払をするには、ブラウザによりGUI が実現され、簡単に発行依頼、支払指示が可能な必要がある。携帯電話上ではサイ ズの大きい専用アプリケーションを動作させるのは困難であるため、ブラウザによ りGUIのみを実現する実装が現実的である。このため a)の価値発行センターは価 値発行のためのホームページを持つ必要がある。

d) 価値を保管する利用者の財布

プリペイドでは利用者は発行された価値を支払するまで保管する必要がある。価 値の保管方法としては、価値発行センターに用意した利用者財布で保管する方法、

利用者の携帯電話の中のチップ、携帯電話と通信するICカードで保管する方法が ある。価値は偽造や不正コピーされないように、厳重に保管しておく必要がある。

ることにより、ICカードで保管する方法では、ICカードの耐タンパ性により保 管の安全性を高めている。

e) 価値を保管する商店の金庫

商店では利用者から支払われた価値を保管するための金庫が必要である。支払を受 ける都度、価値発行センターに入金するのでは通信コストがかかるため、通常 1 日の 売上を締めた後のバッチ処理により入金する。これまでに安全に支払われた価値を蓄 えておく必要がある。

(2) 代表的なシステム構成例 

モバイル電子決済プリペイドシステムの代表的な構成例を図 5-26に示す。また、こ こで利用する携帯電話のイメージを図 5-27に示す。プリペイドの利用シーンとしては、

どこでも電子価値(電子マネー)をチャージすることができ、この電子価値によりコ ンビニエンスストア、ファーストフード、改札機、自動販売機等で手軽に迅速に支払 うシーンを想定する。

図 5-26 モバイル電子決済プリペイドシステムの構成例 

電子価値の流れ

携帯電話網 

携帯電話回線による通信

SHO P

⑤支払

④移動

ローカル通信 利用者

価値蓄積

資金の流れ

自販機

POS 

改札機

Bank

A銀行

プリペイド決済会社

③チャージ 利用者口座

専用線網

①口座引き落とし指示

Bank

商店口座

商店 電子マネー用口座 B銀行

②資金移動

⑦クリアリング指示

⑧資金移動

⑥預入

CAFIS 

資金の流れ

                         

       

図 5-27 モバイル電子決済プリペイドで使用する携帯電話 

 

次に、図 5-26のシステムの動作を図 5-27の携帯電話を利用しながら説明する。説明は 電子価値をチャージするとき、電子価値を支払うとき、および精算方法に関するクリアリ ングに分けて行う。 

 

<チャージについて>

a)予め利用者はA銀行に預金口座を持ち、A銀行と提携するプリペイド決済会社の 利用登録を受けているものとする。まず利用者が携帯電話の利用可能な場所でプ リペイド決済会社のチャージページにアクセスし暗証番号、チャージ金額を携帯 電話に入力する。プリペイド決済会社では、利用者の認証が行われ、利用登録を された利用者であることが確認されると、A銀行にCAFIS経由でチャージ金 額の口座引き落とし指示を送る(①)。

電子キャッシュ EZキャッシュ  バスペイメント モールマネー

携帯電話網通信機能

プリペイドブランド選択

ローカル通信機能

ディスプレイ・ブラウザ機能

カーソルキー・OKボタン

ICカードあるいは内蔵ICチップ

■カードの持ち方 

(1)モバイル機器本体に挿入する 

(2)携帯機器と通信するICカード格納機器に挿入する 

(3)携帯機器の中にチップを格納する 

b)A銀行では、利用者の預金口座から、チャージ金額に相当する資金を減額し、こ れを電子マネー用の口座に移す(②)。

c)口座引き落としが完了すると、プリペイド決済会社はチャージ金額に相当する電 子マネーを利用者に発行する。電子マネーは携帯電話網を経由して利用者の携帯 電話に取り込まれる。電子マネーは図 5-27に示すように耐タンパ性を持つ携帯電 話内蔵のICチップ、携帯電話のスロットに挿入されたICカード、あるいは携 帯電話と無線通信するICカードリーダ内のICカードに格納される(③)。

図 5-26の例では利用者が利用登録しているプリペイド決済会社は1社、利用する電子価 値は1種類であるが、複数のプリペイド決済会社の異なる種類の電子価値を利用すること も可能である。複数のプリペイド決済会社に利用登録し、異なる種類の電子マネー等の価 値発行を受ける場合には、図 5-27に示すように、携帯電話のディスプレイ上でプリペイド 発行会社を選択し、アクセスするプリペイド決済会社を変えることにより、チャージした い電子価値を選択することができる。

<支払について>

a)利用者は電子マネーを格納した携帯電話を支払手段として持ち歩くことができる

(④)。

b)商店で支払をするときには、商店のPOS端末や自動販売機と、ブルートゥース、

IrDA、非接触インタフェース(ISO14443)などのローカル通信機能を利用す ることにより電子価値を授受する。まず、商店から受信した請求額を携帯電話の ディスプレイに表示し、支払OKボタンを押すことにより、請求額に相当する電 子マネーを商店に送信する(⑤)。

c)商店では利用者から集めた電子価値を安全な記憶媒体に格納する。1日の売上が確

定したとき等、定期的に電子価値をプリペイド決済会社に送信する(⑥)。この ときの通信回線としては安全性やコストの観点から適切なものを選ぶ。

<クリアリングについて>

a)プリペイド決済会社では、戻ってきた電子価値について、銀行間の資金移動方法 を計算する。例えば図 5-26の場合では、A銀行の電子マネー口座からB銀行の商 店預金口座に売上金を移動する必要があるので、資金移動の指示を送信する(⑦)。

b)資金移動の指示を受けて、A銀行では、電子マネー用口座からB銀行の商店預金 口座に売上金に相当する資金を移動する(⑧)。

 

非接触ICカードでは非接触インタフェースを利用した支払のみ可能であるが、携帯電 話では複数のローカル支払機能を搭載することが可能である。このため、ある電子価値の

支払において、利用シーンに合わせて自動販売機では非接触インタフェースを使用するが、

ドライブスルーではブルートゥースを使用するように支払インタフェースが異なっていて も、携帯電話が商店に合ったローカル支払機能を自動的に選択することができる。このた め、電子価値の流通範囲を広げることができる。

(3) その他のシステム構成例 

モバイル電子決済プリペイドのその他のシステム構成例を示す。5.9.3.1(2)「代表的 なシステム構成例」では電子価値を利用者が保持するICカード等に格納したが、こ こではプリペイド決済会社のセンターで管理する。また、電子価値の発行において 5.9.3.1(2)「代表的なシステム構成例」では発行した電子価値をデビットにより決済し たが、ここではクレジットにより決済する。

 

図 5-28 モバイル電子決済プリペイドのその他の構成例

図 5-28の動作について説明する。説明は電子価値をチャージするとき、電子価値を支払

うとき、および精算方法に関するクリアリングに分けて行う。

<チャージについて>

a)予め利用者はクレジット会社にクレジットサービスの利用登録、プリペイド決済 会社にプリペイドサービスの利用登録をしておく。利用者は携帯電話でプリペイ ド決済会社のチャージページにアクセスし、会員番号とパスワードを使ってログ インする。次に、発行金額を指定して電子価値の発行を依頼する(①)。すると、

Bank

A銀行

CAFIS 

プリペイド決済会社

携帯電話網 

①発行依頼 利用者口座

携帯電話回線による通信

SHOP

⑤支払照会

専用線網

ローカル通信

Bank

商店口座

利用者

商店 C 銀行 

③電子価値発行

⑦資金移動

⑥価値移動

⑧資金移動

電子価値の流れ 資金の流れ 指示 利用者電子価値財布

②与信照会

クレジット会社

商店電子価値財布

プリペイド決済会社口座

指示

④支払指示

Bank

B 銀行 

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