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使用変数と測定尺度

ドキュメント内 著者別名 SUGANO Masako (ページ 168-171)

第 6 章 仕事への動機づけと能力向上につながる介護人材マネジメント

2. 仮説の構築

3.2 使用変数と測定尺度

使用変数は、上司の関係志向として「ソーシャル・サポート」の下位概念である「道具的サポート」

を厨子ほか(2012)より 4 項目で構成した。「道具的サポート」とは課題解決に必要な知識や情報 等の資源を提供する支援である。職場の関係志向として「相互支持性(オープン・コミュニケーショ ン)」を金井(1991)より3項目で構成した。

職場のタスク志向としてYuklら(Yukl,2013; Yukl et al.,2009; O'Donnell et al.,2012)が扱 う「タスク志向」を参考に職場要因に置き換えて、職場レベルの「タスク・マネジメント」として3 項目 を作成した。上司のタスク志向として「緊張醸成」を、金井(1991)の「緊張醸成」尺度と第5章で得 られた「緊張醸成」の概念定義を検討し4項目作成した。

職場の変化志向として「革新指向性」を金井(1991)より3項目で構成した。

探索的因子分析(プロマックス回転、主因子法、因子負荷量が.40 以上を採択)の結果、3 つの

人数 (%)

性別 男性 180 (46.2)

女性 210 (53.8)

年齢 平均(標準偏差) 46.8歳 (10.1)

職種 訪問介護員 54 (13.8)

訪問介護員以外の介護職員 336 (86.2)

就業形態 正規職員 306 (78.5)

非正規職員 84 (21.5)

介護福祉士資格 あり 258 (66.2)

なし 132 (33.8)

介護経験年数 平均(標準偏差) 8.8年 (5.9) n=390

項 目

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因子が抽出された(表 6-2)。第1因子は「道具的サポート」と「緊張醸成」が1因子として抽出され たため「育成的関わり」と命名した。関係志向とタスク志向が1因子となったため「関係・タスク志向」

の要因が抽出されたと解釈した。Yukl et al.(2002)の実証研究で「育成(developing)」は関係志 向とタスク志向の双方に負荷していたこと、金井(1991)が教育者としてのリーダー行動は人間指 向の「育成」とタスク指向の「モデリング促進」の 2 つを想定していたことを踏まえると、本調査の分 析で関係・タスク志向という 1 因子として抽出された概念を、上司の「育成的関わり」と解釈するの は妥当であると考えられる。

第2因子は「相互支持性」と「革新指向性」が1因子として抽出されたため「創発的コミュニケー ション」と命名し、新たな「関係・変化志向」の要因が抽出されたと解釈した。金井(1991)によれば

「相互支持性」と「革新指向性」は相関が強く、変革には自由な情報フローが不可欠であるとされ ている。両者が 1 因子として抽出されたのは、介護現場ではそれが一体的に行使されているとい うことであり、それを「創発的コミュニケーション」と解釈するのは妥当であると考えられる。

第3因子は想定したタスク・マネジメントの概念が抽出されたため、「タスク・マネジメント」と命名 した。

表 6-2 独立変数の因子分析結果

第1因子 第2因子 第3因子 育成的

関わり

創発的コミュ ニケーション

タスク・

マネジメント 私の上司は、私がスキル・アップできるように手助けをしてくれる .897 .552 .633 私の上司は、私が仕事における課題を克服できるように助言する .886 .537 .622 私の上司は、私が新しい知識を吸収するのを援助してくれる .876 .539 .609 私の上司は、私が技能を獲得することに力を貸してくれる .852 .563 .627 私の上司は、より良い介護のための課題や目標に対して最後まであきらめないよう私に求め

.780 .442 .443

私の上司は、専門職として「ダメなことはダメ」という態度をはっきりさせる .756 .424 .478 私の上司は、ときに不可能と思わせるようなことでも「できるようにするためにはどうしたらよい

か」を考えるよう私に求める .723 .365 .362

私の上司は、私にときに困難なケースや仕事に挑戦させる .573 .321 .280 私の職場では、仕事上の意見の違いがあると、オープンに議論や対話がなされている .539 .889 .637 私の職場のメンバーは、上司や同僚と遠慮や気がねなく率直な話し合いをしている .541 .860 .583 私の職場では、旧来のやり方にとらわれず、現場からの新たな提案を取り入れようとしている .584 .839 .737 私の職場では、メンバーの意見を取り入れて仕事のやり方を改善する努力をしている .552 .831 .689 私の職場では、メンバーの新しいアイデアや工夫を批判する前にまず試してみようとする .524 .796 .671

私の職場では、お互いに自由にものを言っている .355 .777 .420

私の職場では、目標や計画に対する到達度や成果を確認しながら業務運営がなされている .555 .606 .861 私の職場では、指示命令系統が明確になっており、混乱することはない .471 .547 .848 私の職場では、役割分担や責任の所在が明確になっている .473 .568 .785 信頼性係数(Cronbach α) .932 .931 .878

因子間相関 育成的関わり

-         創発的コミュニケーション .587

-         タスク・マネジメント .636 .701

-163

LMX は、Liden & Maslyn(1998)の LMX-MDM(Multidimensional Measure)の邦訳版 12項目(松浦・野村,2009)を用いた。LMX-MDMは、人としての好感、仕事における尊敬、擁護 に対する信頼、上司に対する貢献という4つの下位次元で構成されるが、因子分析の結果、下位 次元は抽出されず1因子となった(表 6-3)。

仕事への動機づけは、「達成動機」の下位概念である「自己充実的達成動機」を堀野・森

(1991)より 5 項目で構成した。「自己充実的達成動機」とは他者・社会の評価にはとらわれず、自

分なりの達成基準への到達をめざす動機づけである(堀野・森,1991)。わが国の介護分野の研究 で、「自己充実的達成動機」に対して、「仕事に対する肯定的なイメージ」、「有能感」、「専門職と してのアイデンティティ」が直接的な影響を与えることが確認されており(堀田・奥野・戸村,2009)、

介護職員の仕事への動機づけを特徴づける概念であり、上司要因や職場要因との関連を検討す る意義は大きいと言える。因子分析の結果、1因子構造であることを確認し「達成動機」と命名した (表 6-4)。

能力向上は、中原(2010)による1次元の「能力向上」尺度5項目を採用し1因子構造であるこ とを確認した(表 6-5)。中原(2010)の能力向上尺度は一般企業向けに作成されたものである が、介護分野において白石ほか(2012)により、重要な介護実践(自然排泄、生活時間の個別 化、行動制限しない、外泊・在宅復帰)を高める効果があることが確認されており、介護職 の専門能力向上を検討する上でも意味のあるものと判断した。

表 6-3 LMX の因子分析結果

因子負荷量

1 私は、上司を人としてとても好きである .902

2 私の上司は、たとえ問題となっている争点についての完全な知識がなくても、私の仕 事を上役(上司にとっての、上司にあたる人)に対し擁護してくれる(擁護してくれるだ ろう)

.897

3 私の上司は、一緒に働くのに楽しい人だ .892

4 私は、上司の介護の仕事に関する知識や能力を尊敬している .884 5 私は、上司のために一生懸命働くのを嫌だと思わない .872 6 私は、上司の介護の仕事に関する知識に感銘を受けている .871 7 私の上司は、もしも私がミスをしてしまったとしたら、組織の中で私を守ってくれる

だろう

.869 8 私の上司は、もしも私が他の人から仕事のことで「攻撃」されたら、守ってくれるだろう .864

9 私の上司は、友人としてもちたい感じの人だ .850

10 私は、上司の介護に関する職業上のスキルに感心している .847 11 私は、上司の仕事の目標を達成するために、通常求められているもの以上に特別な労

力を進んで提供する

.824 12 私は、上司のために私の仕事で定められていることを超える仕事を行っている .492 信頼性係数(Cronbach α) .966

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表 6-4 達成動機の因子分析結果

表 6-5 能力向上の因子分析結果

本調査で上司とは、直属の上司と定義することを示した。各質問への回答は、「1=まったくそう 思わない」から「5=とてもそう思う」までのリッカート5件法によって求められた。因子を構成する項 目の回答結果を単純平均することで各次元の得点とした。信頼性係数はいずれも0.8以上を示し 良好な数値であった。本稿の使用変数の平均値、標準偏差、相関係数を表 6-6に示す。

表 6-6 平均値、標準偏差、相関係数

4.結果

ドキュメント内 著者別名 SUGANO Masako (ページ 168-171)