第 6 章 仕事への動機づけと能力向上につながる介護人材マネジメント
2. 仮説の構築
4.1 仮説検証の結果
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表 6-4 達成動機の因子分析結果
表 6-5 能力向上の因子分析結果
本調査で上司とは、直属の上司と定義することを示した。各質問への回答は、「1=まったくそう 思わない」から「5=とてもそう思う」までのリッカート5件法によって求められた。因子を構成する項 目の回答結果を単純平均することで各次元の得点とした。信頼性係数はいずれも0.8以上を示し 良好な数値であった。本稿の使用変数の平均値、標準偏差、相関係数を表 6-6に示す。
表 6-6 平均値、標準偏差、相関係数
4.結果
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図 6-5 パス図①(従属変数:達成動機)
図 6-6 パス図②(従属変数:能力向上)
従 属 変 数 を 達 成 動 機 と す る パ ス 図 ①(図 6-5)の 適 合 度 は CFI=1.000、GFI=1.000、 AGFI=.998、RMSEA=.000、P=.864、従属変数を能力向上とするパス図②(図 6-6)の適合度は、
CFI=1.000、GFI=.997、AGFI=.987、RMSEA=.000、P=.458 であり、いずれも十分な適合で
ある。
まず従属変数を達成動機とするパス図①(図 6-5)について結果を説明する。LMXの先行要因 は、影響の大きい順に関係・タスク志向の「育成的関わり」(β=.56,p<.001)、関係・変化志向の「創
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発的コミュニケーション」(β=.18,p<.001)、タスク志向の「タスク・マネジメント」(β=.12,p<.001)の 3
つで、R2(決定係数)は.61 であった。LMX から「達成動機」(β=.21,p<.001)への有意な影響が示
され、「達成動機」のR2は.21であった。また「創発的コミュニケーション」(β=.30,p<.001)は、LMX だけではなく「達成動機」にも直接的に強い正の影響を及ぼしていることが示された。
LMX の「達成動機」に対する媒介効果を、ブートストラップ法(5000 ブートストラップ、バイアス 修正済み信頼区間推定 95%)78を用いて検証した(表 6-7)。結果はすべての間接効果が有意と なり、独立変数と「達成動機」の正の関係をLMXが媒介することが確認された。
表 6-7 モデルにおける直接効果、間接効果、総合効果
※ N=390, *** p<.001, ** P<.01
※数値は標準化係数。ブートストラップ法(5000ブートストラップ)、
バイアス修正済み信頼区間推定95%
次に従属変数を能力向上とするパス図②(図 6-6)について結果を説明する。LMXの先行要因 は上述のとおりであるが、LMX から「能力向上」(n.s.)への有意な影響は示されなかった。「能力 向上」に対しては、「創発的コミュニケーション」(β=.37,p<.001)のみが強い影響を及ぼしていた。
以上より、LMXが仕事への動機づけ(達成動機)に有意な正の影響を与えていたため仮説1は 支持された。一方、LMXは能力向上に影響していなかったため仮説2は棄却された。
因子分析の結果、上司の関係志向(道具的サポート)とタスク志向(緊張醸成)が 1 因子となり、
職場の関係志向(相互支持性)と変化志向(革新指向性)が 1 因子となったため、仮説 3、4、6、7 は検証不能と判断した。LMXの先行要因に関しては、タスク志向(タスク・マネジメント)がLMXに 影響するという仮説5のみ支持された。
独立変数と仕事への動機づけ(達成動機)の間の間接効果が有意であったことから、仮説 8 は 支持された。独立変数と能力向上の関係をLMXが媒介していなかったことから、仮説 9 は棄却 された。
なお、緊張醸成は道具的サポートと1 因子となって抽出されLMX 形成に寄与していたため、
次の分析ステップとして想定していたモデレート要因の検討は不要となった。
78 ブートストラップ法の説明は、第4章の注73を参照のこと。
独立変数 達成動機
創発的コミュニケーション 直接効果 0.30 ***
間接効果 0.04 **
総合効果 0.34 ***
タスク・マネジメント 直接効果 0.00
間接効果 0.03 **
総合効果 0.03 **
育成的関わり 直接効果 0.00
間接効果 0.12 **
総合効果 0.12 **
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