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中国の百貨店における聯営制の特徴

ドキュメント内 中国の流通システムに関する研究 (ページ 113-120)

第 4 章 中国の百貨店業界における聯営制の合理性

2 中国の百貨店における聯営制の特徴

本節では、現在、中国の百貨店の主要な 3 種の売場経営形態を比較し、それぞ れの特徴を説明した上で、聯営制の本質について考察する。

107 2-1 百貨店売場の経営形態

中国での売場経営は所有権移転の有無とその時期を基準として 自主経営、聯営 とカウンターの賃貸(出租柜台)の 3 つに分けられる。ここで、聯営を深く理解 するために、まずこの 3つの経営方式の特徴について述べる。

自主経営(自主運営)では、百貨店は製造業者や卸売業者等の供給業者から商 品を買い取り、自らの店舗で販売する。すべてのリスクとコスト(商品の流通費 用、税金、人件費、店舗運営費、広告費等)は百貨店側が負担し、利潤をすべて 自分で得る。自主経営の下では、百貨店は主に仕入と販売の利鞘を稼ぐことで利 潤を確保する。

聯営の下では、百貨店は「聯営控点」(控率とも呼ぶ)を通じて利益を得る。す なわち、百貨店は供給業者から賃貸料、管理費等の日常運営のための固定費のほ か、売上の何パーセントかを控除し、粗利益として供給業者から徴収する。この 金額は百貨店と供給業者の契約に沿って、売上に歩合を掛けて百貨店の利益とし て徴収されるものである。売上から受け取る金額の比率は具体的に 3 種がある。

一つ目は実際の売り上げから受け取る。二つ目は最低限度の売り上げから受け取 る。すなわち、供給業者が儲けるかどうかにかかわらず 、百貨店側が最低の保証 額を受け取ることができる。三つ目は総合方式である。すなわち 、最低限度の売 り上げを達していない場合、最低限度の売り上げから受け取り、最低限度の売り 上げを超えた場合、実際の比率から受け取ることになる。カウンターの賃貸とは 百貨店が所有または使用している売場を供給業者に貸し、一定の賃料と報酬金を 受け取ることである。この賃料は通常百貨店と供給業者 との交渉によって決めら れる。この賃料は一般的に売場面積とテナントの所在位置を基準として受け取る。

報酬金は百貨店が業績の良い供給業者から徴収する奨励金である。供給業者 は売 場の具体的な経営を行う。カウンターの賃貸と聯営の最大の違いは料金の徴収 方 式にある。聯営における料金の徴収は「固定費」と「聯営控点」の 2 部分から構 成され、「聯営控点」は売上により変わる。一方、カウンター賃貸の場合は売上に かかわらず、金額は一定である。以上、中国の百貨店の 3 種類経営形態について 説明した。ここでこの 3 つの経営形態を区別するため、百貨店側の権利と義務を 表4-1のようにまとめる。

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表4-1 売り場経営における百貨店の権利と義務

特徴 自営 聯営 カウンター賃貸

商品の所有権 百貨店 供給業者 供給業者 百貨店の主な収益源 仕入れと販売の鞘 「聯営控点」 賃貸料 百貨店の品揃え決定権 商品の選択 ブランド選択 供給業者の選択

価格コントロール権 百貨店 百貨店(一部) 供給業者 販売促進の管理権 百貨店 双方協力 供給業者 商品陳列への百貨店の関与 全部

(場所、規模、スタイル等) 部分(場所) 部分(場所)

統一レジ権 全部統一 大部分統一 半分 販売サービス執行権 百貨店 供給業者 供給業者 アフターサービス執行権 百貨店 百貨店と供給業者 供給業者

仕入れ 百貨店 供給業者 供給業者

配送 百貨店 供給業者 供給業者

店舗管理員 百貨店 百貨店 百貨店

販売員 百貨店 供給業者 供給業者

店舗の設備等 百貨店 百貨店 百貨店

営利の面

販売業務 の面

物流の面

資源の面

(注):供給業者は製造業者と卸売業者のことを指す

(出所):李飛(2010)、3頁をもとに筆者により修正作成。

表 4-1 からわかるように、自主経営では商品の所有権、価格設定権、物流面の 執行権等のすべての権利は、百貨店側が持っているのに対して、聯営の百貨店は 半分以上の権利を供給業者に委ねている。聯営とカウンター賃貸は表面的には区 分しにくいが、実質においては大きな違いがある。わかりやすく言うと 、カウン ター賃貸の百貨店は、単純な不動産の管理を中心業務とするにすぎない。聯営で は、百貨店は単なる売場貸しであるのみならず、百貨店全体の協調性維持とコン トロールの役割をも果たしている。聯営の百貨店は直接商品を仕入れないが、百

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貨店で販売される商品について選別することができる。また 、財務管理を通じて すべてのカウンターの営業状況を把握することもできる。

中国では、大型百貨店は商品の種類に応じて 3 つの経営形態を同時に採用する 場合が多い。それゆえに、3 つの経営形態の売上総額の比率によって百貨店がどの 売場形態を採用しているかを判断する。近年、中国では大型百貨店の聯営比率は 80%に達し、主要な売場経営形態になっている。

2-2 聯営百貨店の運営方式

聯営百貨店の運営の方式を「商品の仕入れ」、「財務の管理」及び「利益の獲得」

の面から、自主経営の方式と比べながら検討したい。

商品の仕入れの面では、自主経営の百貨店は商品の仕入れを通じて経営の自主 権を獲得することができる。百貨店は自身の財務状況と市場の中での位置に基づ いて商品品目を選別し、さらには売上と在庫の回転率の予測を踏まえて商品の仕 入れ計画を立てる。このように、自店に適合する供給業者を見つけ、適切な価格 で仕入れることができる。聯営百貨店は企業誘致の方式を通じて商品を仕入れる。

百貨店は自身のポジショニングに基づいて売場の面積とテナントの位置について 総合的な計画を立てた後、公開の企業誘致を通じて商品を百貨店に導入する。

財務管理の面では、自主経営の百貨店の財務管理はすべて自社の社員が行い、

全体の売上を把握する。同様に聯営百貨店の会計は主に「統一会計」である。具 体的には、売上数字をコンピュータ上に保存し、毎日の売上状況を正確に把握で きる。そして、各テナントの状況及び全体の販売状況を 百貨店側が把握すること ができる。百貨店はすばやく有効な販売促進を行い 、あるいは経営状況が悪いテ ナントを取り除くことができる。聯営の「統一会計」によって正確に「聯営控点」

を徴収することができる。

利潤の獲得の面では自主経営の百貨店の主要な収入源は利鞘を稼ぐことである。

百貨店は自由にマークアップ率を設定できる。したがって、百貨店は高利潤の実 現も可能である。聯営の百貨店の主要な収入は供給業者から徴収する。その金額 は具体的に二つある。①百貨店が正常運営するための最低限度の賃貸料 、管理費 等固定費、②売上の一定比率を粗利益として控除することで得られる「聯営控点」

である。表面上は、聯営において百貨店は売れ残り等のリスクも負わず、利益を

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享受することができるが、この「控率」はすべての百貨店にとって一般の範囲の 平均数値となるので、高い粗利益を期待できない。

以上、百貨店の運営方式について分析した。伝統的な百貨店の自主経営と違っ て、聯営は商品仕入れと販売の権利を供給業者に譲り渡し、ブランドの選定と供 給業者との交渉が百貨店の主要な業務内容となった。聯営の運営方式の特徴を要 約すると、百貨店による「統一管理」、「売場の統一企画」、「統一会計」である。

聯営の百貨店は売れ残り等の経営上のリスクを回避できるし 、管理費や人件費等 の経営上のコストも節約できる。しかし、百貨店は売れ残り等の経営リスクを回 避すると同時に経営機能も変化してくる。次は聯営制の リスク回避の形成につい て分析することで、聯営が百貨店の経営機能にどのような影響を与えるかについ て検討する。

2-3 聯営リスク回避の形成メカニズム

2-3-1 百貨店経営リスクの回避と業務範囲の変化

(1)百貨店経営リスクの回避

本来、小売業者は顧客の購買代理の役割を果たし、商品の流通を通じて利益を 獲得すると同時に、様々な経営上のリスクを負わなければならない。しかし、近 年、このリスクを回避するために、多数の中国の大型百貨店は自主経営から聯営 へと変わった。実は、百貨店の経営リスクを供給業者に転嫁 する過程は、言い換 えれば、百貨店が経営機能を供給業者に移譲する過程である。このように、百貨 店が自ら経営リスクを負わないようになると 、経営の機能も自主経営の部門別管 理における仕入れ・販売・在庫管理等から徐々に変化している(図 4-1)。聯営制 を採用した供給業者と百貨店の間では、このようなリスクの回避の仕組みが百貨 店の低収益性を招く大きな原因でもある。

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