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第 6 章 雇用者としての旅行会社の視点からみた中国観光ガイドの育成課題

第2節 調査の結果と分析

2 調査結果の分析

(1) 観光ガイド採用時に重視するもの,試験と性格適性検査の有無と性格の重要性に対す

る意見

正規雇用ガイド採用時に重視する事項を複数回答で尋ねたところ,「ガイドとしての接客 技能」と答えた旅行会社は最も多く,全体の

65%を占めていた.次いで,

「ガイドとしての 経験(55.0%)」,「性格(45.0%)」,「ガイドとしての職務知識(15.0%)」の順になる.しかし,

「容姿」と「体格」と回答した旅行会社はそれぞれ全体の

5.0%に過ぎなかった

(表6-11 照)

このことから,旅行会社が正規ガイドを採用するときに,ガイドの①接客技能,②経験,

③性格が特に重視されている反面,容姿と体格はさほど重視されていないことが分かる.

6-11 正規ガイド採用時の重視するもの (N=20,%)

容姿 体格 性格 職務知識 経験 接客技能

5.0 5.0 45.0 15.0 55.0 65.0

一方,正規雇用ガイド採用時の入社試験を,複数回答で尋ねたところ,「面接試験」と答 えた旅行会社は最も多く,全体の

95%を占めている.

「筆記試験」と答えた旅行会社は僅か

4

割であり,そして,「体力試験」と答えた旅行会社は

15%に過ぎなかった.

「その他」と答 えた旅行会社は

35%がある

(表6-12参照)

6-12 ガイドの入社試験の種類 (N=20,%)

筆記試験 面接試験 体力試験 その他

40.0 95.0 15.0 35.0

このことから,旅行会社の正規雇用カイドの入社試験は主に面接試験であり,筆記試験を

138

行う旅行会社はさほど多くないことがわかる.これに対して,体力がさほど重視されていな いためか,入社試験で体力試験を実施する旅行会社は極めて少ない.

一方,調査対象旅行会社に対して,「ガイド採用時の職業性格適性検査の有無」を質問し たところ,「ある」と答えた会社は全体の半分以上(6割)を占めていた(表6-13参照)

6-13 ガイド採用時,性格適性検査の有無 (N=20,%)

ある ない

60.0 40.0

さらに,ガイドの仕事にガイドの性格が及ぼす重要度について,調査対象旅行会社は「重 要(6割)」と「どちらといえば重要(4割)」と答えている(表6-14参照).このことから,

程度の差異はあるものの旅行会社はガイドの性格が重要と認識していることが理解できる.

6-14 ガイドの仕事へのガイドの性格の重要度 (N=20,%)

重要でない どちらといえば 重要でない

どちらとも

言えない どちらといえば 重要

0 0 0 40.0 60.0

この結果から,ガイドの性格の重要性は旅行会社に認識されているが,全ての会社がガイ ド採用時に,性格適性検査を実施しているわけでないことが分かる.

(2) 観光ガイドに対する満足度とイメージ

ガイド専攻と観光関係専攻新卒のガイドに対する満足度を尋ねたところ,「満足」と答え た旅行会社は僅か

5%に過ぎなかった.これに対して,

「どちらとも言えない」とあいまいな 答えの旅行会社は

4

割存在している.なお,「どちらかといえば不満」と「不満」の調査対 象旅行会社はいなかった.

この結果,旅行会社の観光ガイド専攻と観光関係専攻新卒のガイドに対する満足度は必 ずしも高くないことが推察できる(表6-15参照)

6-15 ガイド専攻と旅行関係専攻からの新卒のガイドに対する満足度 (N=20,%)

不満足 どちらかといえ ば不満

どちらとも 言えない

どちらかといえ

ば満足 満足

0 0 40.0 55.0 5.0

139

これに対して,現在の中国観光ガイドが有する知識と技能は,旅行会社が求めている水準 に達しているかどうかを尋ねたところ,「達している」と肯定的に答えた旅行会社はなかっ た.逆に,「達していない」と否定的に評価する会社もなかった.

むしろ,むしろ調査対象旅行会社は,「どちらかといえば達している」と「どちらとも言 えない」とのあいまいな評価をしていることがわかる(表6-16参照)

6-16 観光ガイドの知識と技能が旅行会社の求めているものとの関係 (N=20,%)

達していない どちらかといえ ば達していない

どちらとも いえない

どちらかといえ

ば達している 達している

0 0 55.0 45.0 0

このことから,観光ガイドを雇用している旅行会社は,現在のガイドの知識と技能を必ず しも高く評価していないことが理解できる.

一方,ガイドの知識とサービス技能を高めるための定期的なトレーニングがあるかどう かを尋ねたところ,「ある」と答えた旅行会社は

8

割あった反面,「ない」と答えた旅行会社 も

2

割存在していた(表6-17参照)

6-17 ガイドに対する定期的なトレーニングの有無 (N=20,%)

ある ない

80.0 20.0

以上の結果から,旅行会社が観光ガイドに対するトレーニングを十分実施しているとは いえないと察知できる.

(3) 観光ガイドの離職問題と離職の原因

正規雇用ガイドの年間離職率を,「20%以上」と答えた旅行会社は

6

割あり.過半を占め ていた.これに対して,「20%以下」と答えた旅行会社は

4

割に過ぎなかった.このことか ら,観光ガイドの定着率はさほど高くないことが察知できる(表6-18参照)

6-18 正規雇用ガイドの年間離職率 (N=20,%)

20%以下 20%以上30%未満 30%以上

40.0 30.0 30.0

140

ガイド離職の主な原因を複数回答で尋ねたところ,「収入に不満があるから」,「仕事と家 庭との両立が困難だから」と「社会保障が整っていないから」を選んだ調査対象企業がそれ

ぞれ

45%あり,これが最も多く指摘された原因であった.

次いで,「性格的に向かない仕事だから」と答えたのが

3

割あり,4分の

1

の旅行会社は

「ガイドの社会的な評価が低いから(25%)」と「体力不足のため(25.0%)」であった.

だが,上述した理由以外,例えば,「知識・技能不足のため(20.0%)」,「昇進の可能性が ないため(20.0%)」,「職場の人間関係(15.0%)」と「その他(15.0%)」を指摘した旅行会 社は少なかった(表6-19参照)

このことから,旅行会社が考えている観光ガイドがガイドを辞める主な理由として,①収 入に不満があるから,②仕事と家庭との両立が困難だったから,③社会保障が整っていない から,④性格的に向かない仕事だから,が考えられる.

6-19 ガイドの離職理由 (N=20,%)

性格的に向かない仕事だから 30.0 職場の人間関係が悪いため 15.0 知識・技能不足のため 20.0 昇進の可能性がないため 20.0 体力不足のため 25.0 ガイドの社会的な評価が低いから 25.0 収入に不満があるから 45.0 社会保障が整っていないから 45.0 仕事と家庭との両立が困難だったから 45.0 その他 15.0

(4) 旅行会社が抱える観光ガイドの問題点

調査対象旅行会社に対して,「一般的にいって,旅行会社が考える観光ガイドの問題は何 だと思いますか」と複数回答で尋ねたところ,「サービスの意識が足りないこと」と答えた 会社が最も多く,全体の

65.0%を占めていた.

次いで,「職業倫理に違反する事例が多いこと(45.0%)」,「ガイドに要求されている知識 を満たしていないこと(40.0%)」,「離職率が高いこと(40.0%)」が相対的に高い回答率を 示していた.これに対して,「学歴が低いこと(25.0%)」や「その他の問題(10.0%)」を指 摘する会社は,少数派であった(表6-20参照)

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6-20 旅行会社が抱えるガイド人材の問題 (N=20,%)

学歴が低いこと 25.0 職業倫理に違反する事例が多いこと 45.0

ガイドに要求されている知識を満た

していないこと 40.0 離職率が高いこと 40.0

サービスの意識が足りないこと 65.0 その他 10.0

このことから,旅行会社からみた観光ガイドが直面している問題として,①サービスの意 識が足りない,②職業倫理に違反する事例が多い,③知識不足,④定着率が低いであること が理解できる.