• 検索結果がありません。

ソースフォロワを利用した消費電力低減の検討

ドキュメント内 sugi doctor final0313 (ページ 128-132)

第 6 章 確率的フラッシュ AD 変換器に適した比較器と参照電圧発生回路の設計 101

6.7 確率的フラッシュ AD 変換器向け参照電圧発生器の設計

6.7.4 ソースフォロワを利用した消費電力低減の検討

参照電圧発生回路の消費電力を低減するためには,電源電圧は任意に変更することはできな いので,回路に流れる全電流を低減する必要がある.

回路の動作速度は時定数で決まるから,消費電力を下げるためには時定数を一定にしたま ま,消費電流を下げる必要がある.検討している参照電圧回路は負荷容量が大きく,参照電圧 発生器のリファレンス抵抗を小さくしなければならないことから消費電流が増加している.そ

-500 500

-350 650

50 1050

115

100 103 106 109 112

Time [ns]

CLK

(a) random shuffling

(b) barrel shifting

(c) DAC

Vref [mV] Vref [mV] Vref [mV]

6.15 参照電圧発生器の過渡応答(ソースフォロワなし)

こで,寄生容量を減らす方法として,ソースフォロワを付加することを検討する.ソースフォ ロワの寄生容量は比較器グループよりも遥かに小さいため,負荷容量が減った分だけ参照電圧 発生回路の抵抗値を大きくすることができるため,消費電流を減らせる.ソースフォロワの追 加により増えた消費電流が,参照電圧発生回路の減少した消費電流を下回れば全体として消費 電力を改善できる可能性がある.そこで,本節では消費電力の低減の目的でソースフォロワを 付加する場合を検討する.

消費電力を見積もるために,負荷容量が100 fFで,1 GHzまで動作するソースフォロワを 設計しシミュレーションを行った.

上記の条件より,gm≈ 0.5 mSが必要である.実際には,gmを増やすと寄生容量の増加を伴

-800 200 250

-750

-650 350

Vref [mV]

115

100 103 106 109 112

Time [ns]

CLK

(a) random shuffling

(b) barrel shifting

(c) DAC Vref [mV] Vref [mV]

6.16 参照電圧発生器の過渡応答(ソースフォロワあり)

うので,シミュレーションで微調整を行った.シミュレーション結果より,ソースフォロワは,

1つあたり435µAの消費電流が必要とわかり,その消費電流の総量は,435µA×8≈3.5 mA と計算される.したがって,全消費電力の合計は,6.3 mWと試算できる.

以上の議論に基づいて,ソースフォロワの寄生容量は比較器群1組あたりの約1/10程度に 抑圧できることがわかった.実際の消費電力については,他の過渡的な応答にも依存するので シミュレーションで見積もった.

図6.15は,ソースフォロワのない基準電圧発生器の 1 GHz動作に対する過渡シミュレー ション結果を示している.同図は8つの参照電圧を色分けして表示しており,それぞれの参照 電圧はCLKが立ち上がるタイミングで次の状態へ遷移する.

バレルシフト型および DA 変換器型は,循環シフトするシフト量をランダムにする方 法で DEM を適用した.ランダムシャフリング型は,完全ランダムな DEM を適用した.

109 ns∼111 nsを除いて,8つの基準電圧は1 nsごとに入れ替わり,2 nsの間は変化しないこ とがわかる.また図から,ランダムシャフリングタイプは1 ns以内にセトリングせず,他のタ イプは1 ns以内にセトリングしていることを示している.バレルシフト型が最も良い結果を 得られているが,電圧の遷移幅が大きいと応答が遅くなる様子も観測できる.

図6.16 は,ソースフォロワを付加した場合の同様の結果を示している.完全ランダムタイ プはソースフォロワの追加によって負荷容量を低減できたため,動作速度が改善し,立ち上が り時間が明確に速くなっている.その結果,1周期以内で十分にセトリングするため,1 GHz で動作可能である.

しかし,全てのパターンで立ち下がり時間はソースフォロワがない場合よりも遅くなってい る.これは,電荷の引き抜き速度がソースフォロワの電流源に依存するためであり,消費電力 をできる限り減らすために電流量を少なくしていることが原因である.したがってさらに高速 化するためには電流源の電流量を増やせば可能であるが,消費電力は逆に増える.立ち下が りは遅くなっているものの,全てのパターンで1 ns以内にセットリングしており動作は問題 ない.

以上の全てのシミュレーション結果を表6.1にまとめて示す. 最も消費電力が低くなるのは,

ソースフォロワのないバレルシフト型であることがわかった.また,このタイプと完全ランダ ムシャフリングタイプは,ソースフォロワを導入しても消費電力は削減されないこともシミュ レーションからわかった.しかし,ソースフォロワを導入することにより完全ランダムシャフ リングタイプは動作速度を向上させることが可能となり1 GHzまで動作可能になるため,さ らなる相関の低減などの事情で完全ランダム化が必要な場合は,ソースフォロワを高速化の手 法として利用できる.しかし,同表の消費電力を比較すると,この製造プロセスでは完全ラン ダムシャッフルを実現する必要がある場合,DA変換器を使用する方がベターな選択であるこ とがわかり,単純な完全ランダムシャッフルを設計するメリットはほぼ無いことがわかる.さ らに,DA変換器タイプはソースフォロワを追加することにより消費電力を削減できることも わかった.

以上の解析結果より,バレルシフトタイプのソースフォロワを追加しない単純な手法が最も 低消費電力で動作することから,確率的フラッシュ AD変換器に適した参照電圧発生器であ る.また,完全ランダム化やDA変換器の例から,ソースフォロワを追加する手法は意図した 通りに寄生容量を減らす方法としては有効であることがわかる.その結果として,DA変換器 では消費電力の削減,完全ランダム化では高速化の方法として有効に働いている.

ドキュメント内 sugi doctor final0313 (ページ 128-132)