第 14 回
日本国憲法が施行されて 70 年、その間、制定時には予想もつかなかったさまざまな政治、
15. ケイパビリティ・アプローチ ~センとヌスバウムの「自由のための援助」
16. 現代国際関係における正義論の問題 ~応用編 17. 人道的介入・戦争の正義~武力行使の正当化問題 18. タックス・ヘイブンとグローバル・タックス 19. 国際人権保障 ~人権の普遍性・特殊性 20. 世界統治機構 ~グローバル・ガバナンス 21~23. ゼミ論構想発表1~3
24~26. ゼミ論中間発表1~3
27~29. ゼミ論最終発表1~3
30. ゼミ論集編集
(参考・発展文献:一例です)イメージのわかない人は下記の何冊かを図書館か書 店で手にとってみてください。
押村高『国際正義の論理』(講談社現代新書#1961,2008) 宇佐見誠(編)『グローバルな正義』 (勁草書房,2014)
伊藤恭彦『貧困の放置は罪なのか:グローバルな正義とコスモポリタニズム』(人文 書院 2010)
伊藤康彦『タックス・ジャスティスー税の政治哲学』(風行社、2017)
ラギー(東澤訳)『正しいビジネス―世界が取り組む多国籍企業と人権の課題』(岩波) ロールズ.J.(中山竜一訳)『万民の法』(岩波書店,2006)
押村高『国際政治思想:生存・秩序・正義』(勁草書房,2010)
<特集・国際社会における正義>『思想』岩波書店 No.993(2007 年1月号)
井上達夫「正義は国境を越えうるか」井上(編)『現代法哲学講義』(信山社,2009) J. S. ナイ、Jr.(土山訳) 『核戦略と倫理』(同文館,1988)
ワイス、E・B(岩間訳) 『将来世代に公正な地球環境を』(日本評論社,1992) 平井宜雄『法政策学:法制度設計の理論と技法(第2版)』(有斐閣,1995) 最上敏樹『人道的介入:正義の武力行使はあるか』(岩波新書,2001) ウォルツァー(荻原監訳)『正しい戦争と不正な戦争』(風行社,2008) 山内進(編)『「正しい戦争」という思想』(勁草書房,2006)
松元雅和『平和主義とは何か:政治哲学で考える戦争と平和』(中公新書,2014)
授 業 外 の 学 習 状 況
前期・各回のテキストの報告レジュメ準備(担当班)
夏期・ゼミ合宿でディベート予定
秋学期・各自ゼミ論の準備(構想・中間及び最終発表)
そ の 他 特 記 事 項
・国際法の基礎論については「国際法と正義論ゼミ」と「国際法と紛争解決ゼミ」で 合同で行ったり、ビデオをみて議論したりとフレキシブルなゼミ展開をしたい。希望 者(例年ほぼ全員)は両ゼミとも参加可能。
・これまでのゼミの雰囲気や内容を知りたい人は、6号館3F法学部図書室にある各
年版ゼミ論集をみて下さい(各年度版『宮野ゼミ合同論集(国際法 W ゼミ) 』)
担当者氏名・ゼミ名
宮 野 洋 一(紛争解決) 国際法と紛争解決ゼミ 2019
演 習 テ ー マ
国際法と紛争解決
募集年次・人員 募集学科 3年次 開講形態
4年ゼミへの
持ち上がりの可否 テーマの継続
3 年
の み 4 年
の み 3・4年 合 同
法律 国企 政治 可 不可
1年間で 完 結 4年ゼミ に継続3・4年次 10 名※1 ○ ○ ○ ○ ○ ※2 ○
[演習概要]
履 修 条 件
※1:4年生は、3年生と一緒に常時ゼミに参加できることを条件に応募可
※2:持ち上がり4年生は別個に開講。3・4年合同は3年生および新規4年生を対 象。
ゼミテーマに関する強い関心を有すること。春学期に開講される特殊講義「国際法 と紛争解決」も併行して履修することは必須条件です。厳しく、しかし末永くつきあ える楽しいゼミにしましょう。意欲のある諸君の応募を待っています。
科 目 目 的 到 達 目 標
最終的にゼミ論で自分なりに問題を設定しそれに対する説得力ある解決案を提示で きるようになることをめざす。
そのため国際法の基礎からはじめて、現実問題と理論枠組み双方を、幅広く議論す る中で検討してゆきたい。国際法の基礎論については「国際法と紛争解決ゼミ」 「国際 法と正義論ゼミ」合同で行ったり、ビデオをみて議論したりとフレキシブルなゼミ展 開をしたい。希望者(例年ほぼ全員)は両ゼミとも参加可能です。
年1~2回の合宿を行います。夏の合宿では導入ゼミの1年生から3・4年、両テ ーマゼミ等合同で数人のグループに分かれ恒例の対抗ディベート大会も行う予定。厳 しくしかし末永くつきあえる楽しいゼミにしましょう。意欲のある諸君の応募を待っ ています。
授 業 概 要
宮野国際法W(紛争解決)ゼミでは、国際法を出発点にしつつも、より広く(そして
深く)国際性をもった様々な諸問題にあるいは紛争「解決」的(単なる処理ではない!)
にせまります。たとえば 以下のような問題に関心をもったあなた。ウェルカム・ト ゥ・ミヤノゼミです。(a)紛争や問題の解決って、裁判のように単に白黒をつけて、そ の判断に従わなければ制裁・強制するだけのことなのだろうか?→平和研究でしられ る ガ ル ト ゥ ン グ の ト ラ ン セ ン ド 法 や 、 オ ゾ ン 層 保 護 の 分 野 の 不 遵 守 手 続 (Non Compliance Procedure)に代表される「国際法遵守の管理モデル」を検討してみよう。
(b)地球温暖化で国自体が水没の危機にあり、全国民国外移住をせまられるツヴァルに
同情するあなた→地球環境問題の解決を考える。京都議定書アプローチを批判的に検
討しますか。ついでに小説『日本沈没』と『日本沈没第二部』 (小松左京)も読んでみ
よう。(c).内戦で民族浄化やジェノサイドが横行。しかし国連は動かない。空爆でこ
れを止める?→人道的介入論あるいは保護する責任論へ。(d).パレスチナにイスラエ
ルが建設した分離壁。合法違法が気になる?→国際司法裁判所の壁建設に関する勧告
的意見へ、or いやいや自爆テロと軍事的報復の2年間を経験したイスラエルとパレ
スチナが必要とするのは完全な分離壁を通じた冷却期間だ→フォーリン・アフェーア
ーズ論文へ。(e)BSE 問題や遺伝子組み換え食品、はたまた漁獲を制限される日本のミ
ナミマグロ漁(トロ!) 。食の安全や、グルメが心配というあなた→WTO による紛争の
処理・解決、海洋法や、持続的開発の議論へ。 以上の例はあくまで一例。みなさん
の関心に応じて色々なテーマを検討します。
つなぐ分析視角と思考法』(大学教育出版,2016)などによりつつさらに深い知見を取得す る。
夏期 III 合宿にてディベート大会(1、3、4年合同) 後期 IV <国際法と紛争解決>の応用検討~ゼミ論の執筆
前期の学習を踏まえ、さらに共通文献の検討を続けつつ、同時に各自の問題意識に応じ たテーマを設定してもらい、それをゼミ論構想発表、中間発表、最終発表という形で全員 で検討し、最終的にはゼミ論集に掲載する論文を完成させる。(→ゼミ論集)
※文科省絶賛30回分割表示方式であらわせば以下のようなイメージです。
(『国際法で世界がわかる』を使用した場合の例)
1.イントロダクション:分権的社会の法としての国際法の特徴
2.・TPP協定は主権を目減りさせるか?―国際条約を結ぶ意義とその民主的統制
・日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)は条約ではない?-非拘束的な合意を 結ぶ意義
3.・IS(イスラーム国)は国か?―国際法上の「国家」
・沖縄が日本から独立するかもしれない?―自決権の意義
4.・北朝鮮に対しては国際法を守らなくてもよい?-未承認国家の法的地位
・日本・韓国・中国がともに主張する「固有の領土」とは?―領域権原
5.・中国政府船舶による尖閣周辺海域での高校は「領海侵犯」?-無害通航権
・実効的支配とは何か?-国家主権との関係
6.・靖国神社参拝批判は内政干渉?-不干渉原則と違法な干渉行為
・日本の裁判所で外国国家を訴える?-裁判権免除
7.・在日米軍には日本の法律は及ばない?-外国軍の駐留に関する地位協定
・大使館は「治外法権」か?
8.・日本のサラリーマンが国際カルテル容疑で米国に処罰される?-国家管轄権の域外適 用
・犯罪者は逃げ得?-逃亡犯罪人の引き渡し
9.・日本は難民鎖国?-難民の権利と難民認定制度
・ヘイトスピーチも自由な表現のうち?-差別の禁止と表現の自由をめぐる国際基準 10. ・中国による南沙諸島の埋め立ては違法?-海と環境に関する国際法の観点から 11.・大陸棚の延伸で領土が拡大する?-大陸棚に対する主権的権利とその延伸
・中国による防空識別圏の設定は違法?-EEZ及び公海上空における飛行の自由 12.・世界貿易機関(WTO)とは何か?―WTOによる貿易の拡大
・外国からの投資が日本の公秩序を脅かす?―外資規制と国際投資協定
13.・日本の捕鯨活動の何が問題だったのか?-南極海捕鯨事件ICJ判決からの教訓 14.・「ポスト京都議定書」構想の場としてのCOP21とは?―環境保護のための枠組条約体
制
15.・竹島紛争は国際司法裁判所に持ち込めない?
-国際紛争処理における国際裁判の役割1・国際裁判には従わなくてもよい?
-国際紛争処理における裁判の役割216.・イラク「戦争」・対テロ「戦争」:戦争とは?-国際法上の戦争と武力紛争 17.・自衛隊による「武器の使用」は「武力の行使」とは違う?
-国際法上禁止される「武力の行使」と憲法の制約
18.・集団的自衛権とは?-平和安全法制と国際法上の集団的自衛権 19.・北朝鮮に対する経済「制裁」?-経済制裁の意義と役割
・「侵略」の定義は存在しない?
20.・日本に求められる「戦後補償」とは?-「慰安婦」問題における「法的責任」をめぐ る難しさ。
21~23. ゼミ論「構想」発表1~3
24~26. ゼミ論「中間」発表1~3
27~29. ゼミ論「最終」発表1~3 30. ゼミ論集編集
評 価 方 法
毎回のゼミ及びゼミ合宿(ディベート)への出席、報告、発言その他のゼミへの貢
献、及びゼミ論により総合的に評価する。
テ キ ス ト 参考文献等