• 検索結果がありません。

キリストの生涯

ドキュメント内 福音の原則 (ページ 56-64)

52

 ニーファイも救い主が将来降誕し,使命を果たされるのを示現で見ました。

ニーファイが美しいおとめを見たとき,天使は次のように説明しました。「見 よ,あなたが見ているおとめは,肉に関して神の御子の母である。」( 1 ニー ファイ 11:18)次にニーファイは,おとめが腕に幼おさなを抱いているのを見まし た。すると天使は告げて言いました。「神の小羊,まことに永遠の父なる神 の御子を見なさい。」( 1 ニーファイ 11:21 )

 イエスが降誕される約 124 年前に,ニーファイ人の預言者であるベニヤミ ン王も,救い主の生涯を予見しています。

 「見よ,現在世を統治しておられ,永遠から永遠にわたってまします全能の 主が,力をもって天から人の子らの中に降くだって来て,土の幕屋に宿り,人々の 中に出て行って大きな奇跡を行われる時が来る。しかもそれは遠い先のこと ではない。この御方はそのときに,病人を癒いやし,死者を生き返らせ,足の不自 由な者を歩けるようにし,目の見えない者を見えるようにし,耳の聞こえない 者を聞こえるようにし,すべての病気を癒される。

 またこの御方は,悪霊,すなわち人の子らの心の中にとどまる悪い霊ども を追い出される。

 見よ,この御方は数々の試練に耐え,肉体の苦痛や飢え,渇き,疲労に耐 えられるが,それは,人にとっては死ぬ以外に耐えようのないものである。見 よ,御自分の民の悪事と忌まわしい行いのためにこの御方が受けられる苦し みは非常に激しく,あらゆる毛穴から血が流れ出るほどだからである。

 そしてこの御方は,イエス・キリスト,神の御子,天地の父,時の初めからの 万物の創造主と呼ばれ,母はマリヤと呼ばれる。」(モーサヤ 3:5 - 8)

• イエス・キリストについて古代からどのような預言があったでしょうか。

主は御父の独り子であられた

• イエス・キリストは御父から何を受け継がれたでしょうか。母マリヤから何 を受け継がれたでしょうか。

 救い主の降誕と生涯の物語は,新約聖書のマタイ,マルコ,ルカ,ヨハネに よる各福音書に記されています。その記録から,イエスはマリヤという名の おとめから誕生されたことが分かります。マリヤはヨセフと婚約していたとき に主の使いの訪れを受け,神の御子の母親になるであろうと告げられました。

マリヤは,どうしてそんなことが起こるでしょうかと尋ねました(ルカ 1:34 参照)。すると天使は答えました。「聖霊があなたに臨み,いと高き者の力が あなたをおおうでしょう。それゆえに,生うまれ出る子は聖なるものであり,神の 第 11 章

子と,となえられるでしょう。」(ルカ 1:35)こうして,父なる神が文字どおり イエス・キリストの父になられたのです。

 イエスは死すべき人間の母と,不死不滅の御父との間に誕生された,この 地上でただ一人の御方です。イエスが「独り子」と呼ばれるのはこのためで す。主は御父から神聖な力を受け継がれました。母からは死すべき状態を 受け継がれ,飢えも渇きも,疲労も苦痛も,そして死も免れないこととなりまし た。イエス御自身が良しとされないかぎり,だれも救い主の命を取ることはで きません。イエスは御自分の命を捨てる力と,死後再び肉体を得る力を備え ておられたのです(ヨハネ 10:17 - 18 参照)。

イエスは完全な生涯を送られた

• 救い主の生涯はわたしたちにとってどのような意味があるでしょうか。

 幼いころから,イエスは天の御父に命じられたすべてのことに従われまし た。マリヤとヨセフの導きを受けて,ほかの子供たちとまったく同じように成 長されました。イエスは真理を愛し,真理に従われました。ルカは次のよう に述べています。「幼な子は,ますます成長して強くなり,知恵に満ち,そし て神の恵みがその上にあった。」(ルカ 2:40 。教義と聖約 93:12 - 14 も参 照)

 イエスは 12 歳のときすでに,御自分が御父の御こころ心を行うためにこの世に 送られてきたことを理解するまでに成長しておられました。イエスが両親とと もにエルサレムへ行かれたときのことです。家に帰る途中,両親はイエスが 一行の中にいないことに気づきました。二人はイエスを捜すためにエルサレ ムへ引き返しました。「そして三日の後に,イエスが神殿で教師たちの真ん 中に座っておられるのを見つけた。教師たちはイエスの話を聞いたり,またイ エスに質問したりしていた。」(ジョセフ・スミス訳ルカ 2:46)「聞く人々はみ な,イエスの賢さやその答こたえに驚嘆していた。」(ルカ 2:47 )

 ヨセフとマリヤはイエスを見つけて安心しましたが,「これを見て驚き,そし て母が彼に言った,『どうしてこんな事をしてくれたのです。ごらんなさい,お とう様もわたしも心配して,あなたを捜していたのです。』」イエスはこう答え られました。「わたしが自分の〔天の〕父の家にいるはずのことを,ご存じな かったのですか。」(ルカ 2:48 - 49 )

 イエスは御自分の使命を全まっとうするために,天の御父の御心を行わなければ なりませんでした。「わたしは自分からは何もせず,」とイエスは言われまし た。「ただ父が教えて下さったままを話し……いつも神のみこころにかなう ことをしている……。」(ヨハネ 8:28 - 29 )

第 11 章

54

 イエスは 30 歳になると,ヨルダン川でバプテスマを受けるために,バプテ スマのヨハネのもとにおいでになりました。ヨハネはイエスにバプテスマを施 すのをためらいました。イエスが自分より偉大な御方であることを知ってい たからです。するとイエスは,「すべての正しいことを成就する」ためにバプテ スマを施すよう,ヨハネに言われました。ヨハネはイエスの全身を水に沈めて バプテスマを施しました。イエスがバプテスマを受けられると,天から御父の 声が聞こえてきました。「これはわたしの愛する子,わたしの心にかなう者 である。」聖霊が鳩はとのしるしをもって天から降くだって来られました。(マタイ 3:

13 - 17 参照)

 イエスはバプテスマをお受けになると間もなく,神とともにあるために,40 日 40 夜断食されました。その後,サタンがイエスを試みようとやって来まし た。イエスはサタンの誘惑に断固として抵抗し,サタンに退くよう命じられま した。(マタイ 4:1 - 11 参照。 ジョセフ・スミス訳マタイ 4:1, 5 - 6, 8 - 9, 11 も参照) イエス・キリストは罪のない状態にとどまり,地上を歩んだ唯一の 完全な者となられました (ヘブル 4:15; 1 ペテロ 2:21 - 22 参照)。

• イエスの生涯のどの話が,あなたにとって特に意義深いでしょうか。

イエスはどのようにして互いに愛し仕え合うべきかを教えられた

• わたしたちがどのように愛し合い,仕え合うべきかを,救い主はどのような 方法で教えてくださったでしょうか。

 断食を終え,サタンに立ち向かった後に,イエスは公に教えを説き始められ ました。イエスがこの世に来られた目的は,人類のために命を捨てることの ほかに,どのように生きればよいかを教えるためでもありました。イエスは大 切な戒めが二つあることを教えられました。すなわち,第 1 に,心と思いと力 を尽くして神を愛することであり,第 2 に,自分自身を愛するようにほかの人 を愛することです(マタイ 22:36 - 39 参照)。イエスの生涯は,この二つの 戒めにどのように従うかを示す模範です。神を愛するならば,わたしたちはイ エスと同じように神を信じて従うでしょう。人を愛するならば,物心両面で必 要を満たせるように援助するでしょう。

 イエスは生涯を人々に仕えることにささげられました。病人を癒いやし,盲人の 目を開き,耳や足の不自由な人を治されました。あるとき,イエスが病人を癒 しておられたところ夕方になり,人々は空腹になりました。イエスは群衆をそ のまま残らせ,5 つのパンと 2 匹の魚を祝福し,奇跡的に 5,000 人を満腹にさ れたのです(マタイ 14:14 - 21 参照)。飢えた人,凍えた人,裸でいる人,

孤独な人を見たら,いつでもできる限りのことをして助けるべきである,とイエ スは教えられました。わたしたちは人を助けるとき,主に仕えていることにな 第 11 章

るのです(マタイ 25:35 - 46 参照)。

 イエスは心を尽くして人々を愛されました。心から同情して涙を流されるこ ともしばしばでした。幼おさなや老いた人,御自身を信じる謙けんそんで 純じゅんぼくな人を 愛されました。罪人を愛し,悔い改めてバプテスマを受けるように深い思いや りをもって教え,次のように言われました。「わたしは道であり,真理であり,

命である。」(ヨハネ 14:6)

 イエスは,御自分に対して罪を犯し,悔い改めなかった人をも愛されまし た。十字架にかけられ,生涯の最期を迎えられたときには,御自分を十字架 につけた兵士たちのために神に祈り,こう嘆たんがんされました。「父よ,彼らを おゆるしください。彼らは何をしているのか,わからずにいるのです。」(ルカ 23:34 )イエスは次のように教えられました。「わたしのいましめは,これで ある。わたしがあなたがたを愛したように,あなたがたも互たがいに愛し合いなさ い。」(ヨハネ 15:12 )

• 主を愛していることを主に示す方法として,どのようなことができるでしょ うか。

イエスは唯一まことの教会を組織された

• なぜ救い主は御自分の教会を組織し,使徒を聖任されたのでしょうか。

 イエスは世界中の人が福音を学ぶことを望み,御自身を証する 12 人の使徒 をお選びになりました。使徒は主の教会における最初の指導者です。イエス の名により働く権能を受け,イエスがなされたのを見たその同じ業を行う権能 を受けました。使徒から権能を受けた人々もイエスの名により教え,バプテ スマを施し,その他の儀式を執行することができました。イエスの死後も,使 徒は主の業を引き続き行いましたが,やがて世の人はひどく邪悪になり,使徒 たちを殺してしまいました。

イエスはわたしたちの罪を贖あがない,死から救ってくださった

• 本項を研究するに当たって,時間を取って,贖しょくざいにおける様々な出来事に ついて深く考えてください。

教師へ― 深く考えることによって御霊を招くことができます。生徒や家族に,救い 主に対する自分の気持ちについて考えながら,本章の最後の2項を静かに読んでもら うとよいでしょう。その後,思いをクラスの人たちに話してもよいという人に発表して もらってください。

第 11 章

ドキュメント内 福音の原則 (ページ 56-64)