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しょく 贖 罪ざい

ドキュメント内 福音の原則 (ページ 64-72)

贖罪はわたしたちの救いに不可欠である

• 贖罪がわたしたちの救いに不可欠なのはなぜでしょうか。

 イエス・キリストは「世のために十字架につけられ,世の罪を負い,世を聖きよ め,それをすべての不義から清めるため世に来た。……すべての者が,彼に よって救われるためである。」(教義と聖約 76:41 - 42 )わたしたちの罪を 償い,死を克服するためにイエスが払われた大いなる犠牲は,「贖罪」と呼 ばれています。贖罪は人類の歴史が始まって以来,最も重要な出来事です。

「贖罪が行われることは必要である。というのは,永遠の神の偉大な計画に よって贖罪が行われなければならず,そうでなければ,全人類が滅びるのは 避けられないからである。まことに,すべての人は…… 堕落し,迷った状態 にあるので,贖罪によらなければ必ず滅びる。」(アルマ 34:9 )

 アダムの堕落はこの世に 2 種類の死をもたらしました。肉体の死と霊の死 です。肉体の死とは肉体と霊が分離することであり,霊の死とは神の前から 絶たれることです。この 2 種類の死がイエスの贖罪によって克服されていな かったならば,二つの結果が生じていたでしょう。すなわち,わたしたちの体 と霊が永遠に分離したままであること,そして,二度と天の御父とともに住め なくなることです( 2 ニーファイ 9:7 - 9 参照)。 

 しかし,賢明な天の御父はわたしたちを肉体の死と霊の死から救うため に,憐あわれみ深いすばらしい計画を備えてくださいました。救い主をこの世に送 り,代価を支払ってわたしたちを罪と死から解き放つ(贖あがなう)ように計画され たのです。罪や肉体の弱さがあるために,わたしたちは自ら代価を支払って 自由になることはできません(アルマ 34:10 - 12 参照)。救い主となる御方 は罪がなく,死に打ち勝つ力を備えていなければなりません。

教師へ― 簡単な表や絵を用いることによって,生徒や家族が原則と教義を理解す るのを助けることができます。次のように行うとよいでしょう。2 列の表を作ってそ れぞれ「堕落の結果」「 贖しょくざいの祝福」と書き,本章の内容を基に記入してください。

イエス・キリストは人類の罪を贖える唯一の御方であった

• イエス・キリストがわたしたちの罪を贖える唯一の御方であったのはなぜで しょうか。

 幾つかの理由によって,イエス・キリストは救い主となり得る唯一の御方で した。一つの理由は,天の御父がイエスを救い主となるように選ばれたこと です。イエスは神の独り子であり,したがって死を克服する力を備えておられ ました。イエスは次のように説明しておられます。「命を捨てるのは,それを 再び得るためである。だれかが,わたしからそれを取り去るのではない。わ たしが,自分からそれを捨てるのである。わたしには,それを捨てる力があ り,またそれを受ける力もある。」(ヨハネ 10:17 - 18)

 イエスが救い主となる資格を備えておられるもう一つの理由は,この地上 で生活した人の中で,罪を犯さなかった唯一の御方だからです。これにより,

イエスは他の人々の罪を償うのにふさわしい犠牲となられたのです。

キリストはわたしたちの罪を贖うために苦しみ,亡くなられた

• 本項を読むに当たって,自分がゲツセマネの園や十字架を目の前にして,イ エス・キリストの苦しみを目撃していると想像してください。

 救い主は,ゲツセマネの園で苦しみ,十字架上で命をささげることによっ てわたしたちの罪を贖われました。救い主が人類のあらゆる罪のためにどれ ほど苦しまれたかを完全に理解することはできません。ゲツセマネの園にお いて,わたしたちの罪があまりにも重かったために,イエスはあらゆる毛穴か ら血を流すほどの激しい苦痛を味わわれました(教義と聖約 19:18 - 19 参 照)。その後,十字架にかけられてからも,イエスはこの世で最も残酷と言え る方法で死の苦しみを受けられたのです。

 わたしたちのためにこれほどの霊と肉体の激しい苦痛に耐えられたイエス は,どれほどわたしたちを愛しておられることでしょう。また,ほかの子供 たちに代わって苦しみと死を引き受けるよう御自分の独り子を遣わされた天 の御父の愛も,何と深いことでしょうか。「神はそのひとり子を賜わったほど に,この世を愛して下さった。それは御を信じる者がひとりも滅びないで,

永遠の命を得るためである。」(ヨハネ 3:16)

贖罪と復活は全人類に復活をもたらす

 十字架におかかりになってから 3 日目に,キリストは再び御自分の体をまと い,復活した最初の人になられました。友人たちがイエスを捜しに行くと,天 第 12 章

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使たちが墓の番をしており,次のように言いました。「もうここにはおられな い。かねて言われたとおりに,よみがえられたのである。」(マタイ 28:6)イ エスの霊は再び肉体に戻り,二度と分離しない状態となっていました。

 キリストはこのようにして肉体の死を克服されました。キリストの贖罪によ り,この世に生を受けるすべての人は復活します( 1 コリント 15:21 - 22 参 照)。イエスが復活されたのとちょうど同じように,わたしたちの霊は肉体と 結合し,「すべての人がもう死ぬことはあり得ない。……決して分離しない」の です(アルマ 11:45)。この状態を「不死不滅」と呼びます。この復活は,

「老いた人にも若い人にも,束縛された人にも自由な人にも,男にも女にも,悪 人にも義人にも,」(アルマ 11:44 )かつてこの世に来たすべての人に及びま す。

• 復活について知識があることで,これまでにどのような助けを得てきました か。

キリストを信じる人は贖罪により罪から救われる

• 本項にあるたとえが贖罪を理解するうえでどのように役立つか考えてくださ い。たとえに登場する人々は,わたしたちの人生においてはだれに当たるで しょうか。

 救い主の贖罪により,わたしたちは霊の死を克服することができるようにな りました。あらゆる人が復活します。しかし,贖罪を受け入れる人だけが霊 の死から救われるのです(信仰箇条 1:3 参照)。

 わたしたちはキリストを信じる信仰を持つことによって,キリストの贖いを 受け入れます。この信仰によって,罪を悔い改め,バプテスマを受け,聖霊の 賜たま

もの

を授かり,主の戒めに従います。イエス・キリストの忠実な弟子となりま す。赦ゆるされ,罪から清められ,天の御父のみもとに帰り永遠に御父と一緒に 生活する備えをするのです。

 救い主は次のように語っておられます。「見よ,神であるわたしは,すべて の人に代わってこれらの苦しみを負い,人々が ……〔わたしが苦しんだよう に〕苦しみを受けることのないようにした。」(教義と聖約 19:16 - 17 )キリス

教 師へ― 物を 使ってレッスンすることによって,生 徒 や家 族 が原 則と教義を 理 解 するのを助けることができます。死と復活を説明するために,次のようなものを使っ たレッスンをするとよいでしょう。手袋に手を入れ,手袋の中の手は肉体の中の霊に たとえることができると説明します。手 袋を取り,これは肉体の死に似ていると説明 します。すなわち,霊(手)と肉体(手袋)が離れた状態です。次に再び手袋に手を入 れ,これは復活,すなわち霊と肉体が再び結合した状態に似ていると説明します。

第 12 章

トはわたしたちの罪を贖うという役割を果たされました。贖罪の効力が生活 の隅々にまで及ぶようにするために,わたしたちはキリストに従い,罪を悔い 改める努力をしなければなりません。

 十二使徒評議会のボイド・K・パッカー会長は次のような説明をして, もし わたしたちが自分の責任を果たすならば,キリストの贖罪によってどのように 罪から救われるかを教えています。

 「皆さんに一つの物語,つまりたとえを話しましょう。

 あるものが欲しくてたまらない人がいました。人生でそれに勝る大切なも のはなかったのでしょう。彼は望みをかなえるため多額の借金をしました。

 そのような多額の借金はしないように,特に貸し主には注意するように警 告されていました。しかし,自分の思いどおりにして,欲しいものをすぐ手に 入れることの方がもっと重要だったのでしょう。借金はいずれ返済できると 思い込んでいました。

 それで彼は契約書に署名しました。借金はそのうちに返せると思っていた ので,さして気にもかけませんでした。支払期限は遠い先のことのように思 われたからです。今欲しいものを手に入れた,そのことが大切に思われたの です。

 貸し主のことがいつも心の片隅にあり,時々借金の一部を返済しました。

けれども,決済日のことはまったく考えにありませんでした。

 しかしそうしている間にその日が来て,支払期限が切れました。返済はま だ全部は終わっていません。貸し主が来て,全額支払うように要求しました。

 そのとき初めて気づいたのは,貸し主には自分の持ち物を残らず取り上げ る権限があるだけでなく,自分を投獄する権限もあるということでした。

 『お返しすることはできません。わたしには返済する力がないのです』と彼 は告白しました。

 『それでは』と,貸し主は言いました。『契約を履行してあなたの財産をも らいます。あなたは獄に入るのです。あなたはこの契約に同意し,自分で決 めたのです。契約書に署名したのですから,今こそ履行しなければなりませ ん。』

 『支払期限を延ばすか,負債を免除していただくわけにはまいりませんで しょうか』と,借り主は請い求めました。『何とかして,財産をそのまま持てる ように,そして獄に入らなくてもよいようにお取り計らいください。きっとあな たも,世の中には憐あわれみが必要だと認めておられるでしょう。どうか憐れみ をおかけください。』

第 12 章

ドキュメント内 福音の原則 (ページ 64-72)