たた きの 禁止
a
買い たた きと は、 下請 事業 者の 給付 の内 容と 同種 また は類 似の 内容 の給 付に 対し、通 常支 払わ れる 対価 に比
し著 しく 低い 下請 代金 を不 当に 定め るこ とで ある
︵四 条一 項五 号︶
。買 いた たき は発 注段 階に 生じ ると いう 意味 で、 発注 後の
﹁下 請代 金の 減額
﹂と 区別 され る。 この 規定 の趣 旨は
、親 事業 者が その 地位 を利 用し て、 下請 代金 を不 当 に低 廉な 価格 で設 定す るこ とを 防止 し、 下請 事業 者の 利益 を保 護す るこ とに ある
。 買い たた きは
、取 引当 事者 間の 契約 にお いて 自由 に決 定さ れる 価格 に対 して
、そ れを 不当 なも ので ある とし て行 政が 干渉 する こと にな るの で、 極め て厳 しい 規制 と受 け取 られ るも ので ある
。 しか し、 行政 は下 請法 の規 定に 基づ いて 干渉 する ので ある から
、ま ずは 本規 定の 趣旨 と内 容を 確定 する 作業 が必 要で あり
、そ こか ら得 られ る認 識を もと に、 個別 具体 的な 事例 ごと に不 当に 対し て行 政干 渉が 行わ れる かど うか を みる べき であ ろう
。
b
本号 にお ける﹁通 常支 払わ れる 対価
﹂と は、 当該 給付 と同 種ま たは 類似 の給 付に つい て当 該下 請事 業者 の属 する 取引 地域 にお いて 一般 に支 払わ れる 対価
︵以 下﹁ 通常 の対 価﹂ とい う。
︶を いう
。 下請 取引 は、 いう まで もな く親 事業 者と 下請 事業 者と の個 別的 な取 引と して 行わ れる から
、当 事者 間で 決め られ た下 請代 金の 額が 取引 地域 の他 の事 業者 には 分か らな いこ とが 少な くな い。 その ため
、通 常支 払わ れる 対価 の把 握 がで きな いか また は困 難で ある 場合 には
、下 請取 引の 多く の場 合は 継続 的取 引で ある から
、当 該給 付に つい ての 従 前の 対価 を通 常の 対価 とし て取 り扱 うと して いる
︵運 用基 準第
・⑴
。︶ また
、﹁ 著し く低 い下 請代 金を 不当 に定 める
﹂に 該当 する か否 かは
、通 常支 払わ れる べき 対価 と実 際の 下請 代金 との 乖離 状況
、原 材料 等の 価格 動向
、下 請代 金の 額の 決定 に当 たり
、下 請事 業者 と十 分な 協議 が行 われ たか どう か 等の 対価 の決 定方 法、 ある いは 他の 下請 事業 者と 比べ て差 別的 であ るか どう かな ど対 価の 決定 内容 を斟 酌し て判 断 され る︵ 運用 基準 第
・
⑴
︶。
c
通常 支払 われ る対 価に 対し ては 次の よう な理 論的 な主 張が 注目 に値 する。
独占 禁止 法に おけ る濫 用規 制は
、市 場支 配的 事業 者に 限ら れず
、よ り広 く、 取引 上の 地位 が相 手方 に優 越し てい る者 によ る濫 用行 為を 対象 とし てい るた めに
、﹁ 対等 な当 事者 間に おい て通 常付 せら れる であ ろう 条件
﹂を 基準 と して
、そ れと 異な る取 引条 件等 が成 立す るこ とを
﹁不 利益
﹂と 解す べき こと と
( )
なる
。
146
﹁他 の商 品や 地域 にお ける 取引 条件 を比 較す ると いう 方法 は、 前掲 の第 二次 北国 新聞 社事 件や 西ド イツ の価 格濫 用の ケー スの よう な場 合に は必 要で あり
、G WB 上は
、比 較市 場基 準等 をめ ぐっ て精 緻な 議論 が展 開さ れて いる と ころ であ る。 わが 優越 的地 位の 濫用 規制 につ いて は、 一般 論と して は、 前述 のよ うに
、優 越的 地位 にな かっ た場 合 の取 引条 件と 異な るか とい う形 で考 える べき であ るが
、具 体的 な判 断の 材料 を得 るた めに は、
﹃有 効競 争が 存在 す る比 較可 能な 市場 にお ける 事業 者の 行為 が考 慮さ れな けれ ばな らな い﹄
︵G WB 二二 条四 項二 号後 段︶ とい う観 点も 有益 であ る場 合が あ
( )
る﹂
。
147
理論 的に は、 ドイ ツ競 争制 限禁 止法 で採 られ てき た﹁ 想定 競争
﹂︵ 仮に 競争 が機 能し てい たと 想定 すれ ば、 あり 得た であ ろう 取引 条件 を考 える こと の︶ 考え 方を
、日 本の 独占 禁止 法に おけ る優 越的 地位 の濫 用、 ある いは 下請 法に 持ち 込む こと が可 能で ある と考 えら れる
。﹁ 対等 な当 事者 間に おい て通 常付 せら れる であ ろう 条件
﹂を 見出 すた めに
、 有力 な判 断材 料と して
、﹁ 想定 競争
﹂の 具体 的判 断過 程で ある
﹁比 較市 場ア プロ ーチ
﹂を 挙げ るこ とは 可能 であ
( )
ろう
。た だし
、下 請取 引の 場合 は、 比較 する ため の適 当な 他市 場が 見出 せな い場 合も 多く
、こ のア プロ ーチ が有 効 性 148
を持 つケ ース は限 られ るで あろ う。 しか し、 親事 業者 が複 数の 下請 事業 者と 同種 の取 引を して いる 場合 に、 特定 の下 請事 業者 だけ 下請 代金 を低 価に した 場合
、他 の下 請事 業者 との 取引 価格 を参 照す るこ とは 可能 であ ると 考え られ る。 ただ し、 親事 業者 が複 数の 下 請事 業者 の全 部に 対し
、同 様の 低価 を押 し付 けた 場合 には
、こ の方 法は とれ ない こと は言 うま でも ない
︵具 体的 な ケー スに つき
、本 章第 三節 一
参照。︶