禁止 法に よる 規制 の限 界 一九 五三 年︵ 昭和 二八 年︶ 独占 禁止 法改 正に よっ て優 越的 地位 の濫 用規 制が 導入 され た理 由の 一つ は、 日本 の経 済構 造の 特色 であ った
、大 企業 と中 小企 業、 特に 下請 企業 とが 極め て異 なる 企業 組織
・企 業形 態・ 企業 活動 様式 を
持っ てい た、 とい うい わゆ る経 済の
﹁二 重構 造﹂ にあ るこ とは 否定 でき ない
。し かし
、優 越的 地位 の濫 用規 制を
、 大企 業と 中小 企業 の間 の下 請取 引関 係に 適用 する こと には
、実 際上 困難 な点 があ った
。 第一 に、 下請 取引 にお ける 下請 代金 の支 払遅 延等 の行 為を 独占 禁止 法に 基づ いて 規制 する 場合
、取 引上 の優 越的 地位 にあ るか
、ま たは
、﹁ 相手 方に とっ て不 当に 不利 益な もの か﹂ を個 別具 体的 に認 定し なけ れば なら ず、 その た めの 審査 のコ スト
・時 間が 必要 であ り、 規制 の時 機を 失す るお それ があ った
。 また 第二 に、 下請 取引 にお いて 不利 益を 受け る事 業者 がそ の不 利益 を是 正す るた めに 積極 的に 問題 の提 起を しな けれ ば、 第三 者、 特に 公取 委は 容易 にそ の事 実を うか がい 知る こと がで きな い。 しか し、 問題 提起 をし た下 請事 業 者が 誰か が親 事業 者の 知る とこ ろに なれ ば、 親事 業者 は当 該取 引を やめ る可 能性 が高 く、 下請 事業 者は
、そ のよ う な報 復を おそ れて 違反 の主 張を しな い。 した がっ て、 下請 法で は、 報復 の禁 止を 含め てい くつ かの 配慮 措置 を可 能 にし てお り、 それ が下 請法 の特 徴に なっ てい る。
下請 法特 有の 規制 手法 下請 法は、こ のよ うな 観点 から
、違 反行 為の 摘発
・抑 止の 効果 的な 処理 を図 るた め、 特別 な手 段、 手続 を定 めて いる
。そ の特 色と して は次 のよ うな もの があ げら れる
。 第一 に、 大量 的に 発生 する 可能 性の ある 違法 行為 を迅 速に 処理 する ため
、違 法性 の判 断の ため の画 一的 基準
︵親 事業 者・ 下請 事業 者の 定義 など が︶ 採り 入れ られ てい る。 第二 に、 公取 委自 らが 親事 業者 およ び下 請事 業者 に対 して 定期 的に
、か つ匿 名性 を配 慮し つつ 調査 を行 い、 そこ で明 らか にさ れた 問題 を処 理す るこ とが 予定 され てい る。 これ は下 請事 業者 の立 場上
、親 事業 者か ら不 当な 行為 を され ても 問題 提起 がな かな かで きな い現 実を 反映 した もの であ る。
第三 に、 下請 事業 者が 本法 の規 定す る禁 止規 定違 反行 為に よっ て不 当な 不利 益を 被る こと を未 然に 防止 する ため の規 定が 定め られ てい る。 すな わち
、下 請事 業者 に発 注書 面を 交付 する 義務
︵同 法三 条︶ およ び下 請取 引に 係る 書 面を 作成
・保 存す る義 務︵ 同法 五条
︶等 であ る。 下請 法三 条は
、親 事業 者に 発注 内容
、下 請代 金の 額、 支払 期日 およ び支 払方 法等 を記 載し た書 面の 作成
・交 付を 義務 付け てい る。 その 趣旨 は、 口頭 の発 注で は内 容が 不明 確に なり がち であ るの で、 これ を書 面化 する こと によ り トラ ブル の発 生を 未然 に防 止し
、下 請事 業者 の正 当な 利益 の確 保を 容易 なら しめ るこ とに ある
。ま たこ れは 同時 に、 公取 委に よる 迅速 かつ 適切 な事 件処 理に も役 立つ
。 また
、継 続的 に行 われ る下 請取 引で は、 発注 のつ ど、 所定 事項 すべ てを 書面 に記 載す るの は煩 雑で ある ため
、一 定期 間不 変の 取引 条件 につ いて は、 あら かじ め下 請事 業者 に共 通の 取引 条件 とし て通 知す れば 足り る。 すな わち
、 当該 書面 に﹁ 下請 代金 の支 払方 法等 につ いて は某 年某 月某 日付 けで 通知 した 文書 によ るも ので ある
﹂旨 を記 載す る こと によ り、 当該 書面 と共 通事 項を 記載 した 書面 との 関連 性を 明ら かに すれ ば
( )
よい
。
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下請 代金 につ いて は、 具体 的な 金額 を記 載す るこ とが 困難 な場 合が あり うる
。そ れ故
、下 請代 金の 額の 記載 に代 えて
、具 体的 な金 額を 定め るこ とと なる 算定 方法 を記 載す るこ とも 認め られ てい る。 この 算定 方法 は、 下請 代金 の 額の 算定 の根 拠と なる 事項 が確 定す れば
、具 体的 な金 額が 自動 的に 確定 する こと とな るも ので なけ れば なら ず、 下 請代 金の 具体 的な 金額 を確 定し た後
、速 やか に、 下請 事業 者に 通知 する 必要 があ る。 しか し、 この よう な書 面の 交付 にお いて もそ の内 容を すべ て信 用す る法 運用 には やや 疑問 があ る。 親事 業者 はい つも 下請 事業 者に 対し て優 越的 地位 にあ るた め、 書面 を作 成す る段 階か ら親 事業 者の 濫用 行為 が行 われ る可 能性 が ある
。す なわ ち、 書面 作成 の段 階か ら著 しく 低い 値段 によ る下 請代 金を もっ て書 面を 作成 する 場合 であ る。 この 場 合は
、買 いた たき に当 たり うる が、 親事 業者 が書 面の とお り、 下請 事業 者に 支払 った とし て不 問に する 場合 もあ り
うる
。そ れ故
、本 来で あれ ば、 個別 具体 的事 件ご とに
、書 面の 内容 が実 態を 正確 に表 して いる かど うか も確 認す る 必要 があ る。 第四 に、 公取 委が
、親 事業 者が 違反 行為 を行 う場 合、 その 排除 措置 とし て原 状回 復措 置と 填補 措置 をと るよ うに 勧告 する こと であ る︵ 同法 七条
。︶ 公取 委の 勧告 が、 違反 行為 を排 除し
、そ の再 発を 防止 する 措置 のほ か、 原状 回 復措 置と 填補 措置 を内 容と する こと がで きる こと が注 目さ れる
。 原状 回復 措置 とし て、 給付 の受 領拒 否、 下請 代金 の支 払遅 延、 下請 代金 の減 額、 不当 な返 品、 買い たた き、 購入 強制 に関 して は、 給付 の受 領、 下請 代金 と遅 延利 息の 支払
、減 じた 額の 支払
、返 品物 の引 取り
、買 いた たい た額 の 引上 げ、 購入 強制 させ た物 の引 取り が勧 告の 内容 とな る。 填補 措置 とし て、 有償 支給 原材 料等 代金 の早 期決 済、 割引 困難 な手 形の 交付
、経 済上 の利 益の 提供
、不 当な やり 直し に関 して は、 下請 代金 の支 払と 遅延 利息 の支 払、 手形 の過 大な 割引 料の 支払
、経 済上 の利 益の 返還
、や り直 し 費用 の支 払が 勧告 の内 容と なる
。こ のよ うな 勧告 は、 下請 事業 者の 利益 を保 護す るた め必 要な 措置 であ る。