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⑶ 契 約

ドキュメント内 優越的地位の濫用︵二︶ (ページ 172-184)

した とい う意 思主 義の 基盤 が失 われ てい ると いう 自己 決定

=

自 己責 任の 原理 から も、 また

、そ れと は別 に、 契約 内容 の実 質的 公正 さ︵ 契約 的正 義︶ が侵 害さ れる こと があ り得 る、 とい う観 点か らも 問題 とさ

( )

れる

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ここ まで は、 取引 当事 者間 にお ける 利益 の均 衡、 ある いは 契約 的正 義と いう 観点 から の議 論で ある が、 その 背景

︵学 説に よっ ては その 内容 とな って いる こと もあ る︶ には

、そ のよ うな 不当 な条 項を 押し 付け るこ とが でき るの は、 競 争原 理が 十分 機能 して いな いか らだ とい う正 当な 実態 認識 があ ると 考え られ る。

契約 の本 体部 分に つい ては

、契 約締 結時 に当 事者 にも よく 了解 され てい るこ と、 また

、市 場メ カニ ズム

︵競 争原 理︶ が最 もよ く働 く部 分で ある から

、外 から の介 入を 控え て、 市場 の決 定に 委ね るべ きで ある

、と いう 議論 が 通り やす いと 説か れる

。こ の点 につ いて は、 独占 禁止 法上 の実 際の 事件 から みれ ば、 取引 の不 当な 拒絶 や、 価格 に つい ての 濫用

︵不 当廉 売、 不当 高価 格販 売、 買い たた き等 も︶ あり 得る

( )

ので

、こ のよ うな 見方 には 限定 が必 要で ある

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が、 次に 述べ る付 随的 条件 に比 べれ ば、 前記 のよ うに いう こと がで きよ う。 これ に対 し、 付随 的条 件に つい ては

、契 約締 結時 に当 事者 にも よく 了解 され てい ない

、あ るい は一 応は 分か って いて も、 その 実際 的意 味が 軽視 され がち であ るこ と、 極め て個 別的 な条 件に なる ので

、他 の供 給者 の取 引条 件と の 比較 が困 難で あり

、個 々の 付随 的条 件と 契約 の本 体部 分︵ 特に 価格

︶と の均 衡が とれ てい るか 分か り難 く、 市場 の 決定 に委 ねて 済む とは 到底 いえ ない

、と いう 特殊 性が ある

。 した がっ て、 優越 的地 位の 濫用 につ いて の実 際を 見て も、 付随 的条 件に つい て濫 用行 為を 行う 方が 容易 であ り、 また

、そ れら を客 観的 に見 て濫 用と 判断 し易 いと いう こと はい える

。こ れと 反対 に、 すぐ 後に 検討 する よう に、 契 約の 本体 部分 につ いて 濫用 と判 断す るこ とは

、実 際上

、極 めて 困難 であ り、 日本 だけ でな く︵ ここ では 買い たた き だけ を挙 げる こと がで きる

︶、 諸外 国に おい ても

、実 際の 適用 例は 数少 ない

二 取引 過程 にお ける 濫用 優越 的地 位の 濫用 とは

、取 引の 相手 方に 不利 益な 取引 条件 を押 し付 ける こと であ る。 ここ には

、既 に﹁ 不利 益

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﹂と

﹁押 し付 ける

抑圧 性、 一方 的︶ とい う二 つの 要素 が含 まれ てい る。 契約 内容 にお ける 濫用 は、 条文 の文 言ど おり に、 優越 的地 位を 利用 して

、契 約内 容が 相手 方に 不利 益に なる よう にす るこ とで ある

。取 引当 事者 間の 利益 状況 の不 均衡 から 見て 濫用 とす るの であ り、 取引 の相 手方 の﹁ 不利 益﹂ が キー ワー ドで ある

。 これ に対 し、 取引 過程 にお ける 濫用 とは

、優 越的 地位 を利 用し て相 手方 の意 思と は関 係な く、 一方 的に 取引 の内 容を 決定 し相 手方 に押 し付 ける よう な行 為で ある

。こ こに は、 コン ビニ の事 例に みら れた よう に、 情報 格差 を利 用 して

、冷 静・ 的確 な判 断が でき ない のに 取引 を開 始さ せる こと も含 まれ る。 ここ では

、当 該行 為が

、﹁ 一方 的﹂

﹁抑 圧的

﹂で ある こと がキ ーワ ード とな る。 この こと は、 条文 の文 言に は現 れて いな いが

、一 方的 に取 引内 容を 押し 付け るこ とは

、﹁ 自己 の取 引上 の地 位が 相手 方に 優越 して いる こと を利 用し て﹂

、﹁ 取引 の相 手方 に不 利益 とな るよ うに 取引 の条 件を 設定 し、 若し くは 変更 し、 又は 取引 を実 施す るこ と﹂ 法二 条九 項五 号ハ に︶ つな がる 行為 であ ると 考え るこ とが で

( )

きる

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取引 の相 手方 にと って 有利 な取 引内 容で あれ ば、 一方 的に 押し 付け ると いう 形態 はと られ ない のが 通常 であ ろ う。 した がっ て、 一方 的に 押し 付け ると いう 取引 過程 があ れば

、そ れは 取引 の相 手方 にと って 不利 益な 取引 内容 だ から であ ろう とい う﹁ 事実 上の 推定

﹂が 働く と解 して よい と考 えら れる

。 この こと は、 優越 的地 位濫 用の 規制 根拠 から も導 き出 すこ とが でき る。 それ は、 取引 の相 手方 の自 由か つ自 主的 な判 断に よる 取引 を阻 害す ると いう こと であ り、 一方 的に 取引 の内 容を 決定 し相 手方 に押 し付 ける こと は、 まさ に

競争 基盤 の侵 害に 当た ると いえ るか らで ある

。 優越

的地 位の 濫用 の一 般条 項的 な位 置づ けに ある 法二 条九 項五 号ハ は、

﹁取 引の 相手 方に 不利 益と なる よう に

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取引 の条 件を 設定 し、 若し くは 変更 し、 又は 取引 を実 施す るこ と﹂ とい う定 義規 定に なっ てい る。 ここ では

、前 記の よう な、 取引 の相 手方 に取 引条 件等 を一 方的 に押 し付 ける とい うこ とは 現れ てい ず、 取引 の相 手方 に﹁ 不利 益﹂ を与 える こと だけ が要 件で ある よう に見 える

。 しか し、 ここ での

﹁不 利益

﹂と は、 取引 の相 手方 が当 該行 為を 甘受 して 取引 を行 い、 結果 とし て不 利益 にな った とい うこ とだ けを 指し てい るの では ない と考 えら れる

。例 えば

、納 入業 者が 協賛 金を 強要 され てそ れを 受け 入れ た 後、 その うち の数 名は

、強 要に 応じ ると きに 期待 して いた よう に、 行為 者と の後 の取 引に おい て、 協賛 金等 の不 利 益を 十分 償え るよ うな 利益 を得 たと いう こと もあ るか もし れな いし

、逆 にそ うで はな く、 結局 は丸 損と いう こと も あり 得よ う。 しか し、 独占 禁止 法は

、こ のよ うな

、将 来に おけ る不 確実 な、 実体 的な 不利 益・ 利益 を保 護法 益と して いる ので はな く、 市場 にお ける プレ ーヤ ー︵ 事業 者・ 消費 者︶ が、 取引 する か否 か、 取引 条件

︵協 賛金 等も 含め

︶等 につ き、 自主 的か つ自 由に 判断 でき るよ うな 環境 を整 える こと を目 指し てい るの で

( )

ある

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つま り、 相手 方に 与え る﹁ 不利 益﹂ とは

、金 銭的 に評 価さ れる 意味 のそ れだ けを 指す ので はな く、 公正 競争 阻害 性の

﹁お それ

﹂と いう 点か ら引 き出 され る、 より 抽象 的な 不利 益、 すな わち

、﹁ 公正 かつ 自由 な競 争﹂ 秩序 の中 で、 取引 主体 が自 由か つ自 主的 に判 断・ 行為 する チャ ンス ない し可 能性 が侵 害さ れる こと がよ り枢 要な 意味 であ る。 以上 から

、理 論的 には

︵そ して

、根 拠条 文に よっ ては 具体 的な 解釈 論と して も︶

、取 引過 程に おい て、 取引 の相 手方 に対 し一 方的 に取 引条 件等 を押 し付 ける こと 自体 が﹁ 不利 益﹂ を与 えた こと にな ると 考え られ る。

もっ とも

、具 体的 な解 釈論 の次 元で は、 実定 法上 の要 件に

﹁不 利益

﹂と 明示 して いる ので ある から

、前 記の 解釈 で貫 徹す るこ とは でき ない 場合 もあ る。 それ が、 次の 三で 説明 する

﹁契 約内 容に 関す る濫 用﹂ であ る。 例え

ば、 カラ カミ 観光 事件 では

、カ ラカ ミは 宿泊 券の 購入 要請 以外 にも 納入 業者 等と の懇 親お よび 閑散 期に お

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ける 収益 確保 を目 的と して

、宿 泊を 伴う 宴会 に参 加す るよ うに 納入 業者 に要 請し た。 この 事実 だけ では

、カ ラカ ミは 閑散 期に 収益 確保 がで きる とい うこ とは 明ら かで ある が、 宿泊 を伴 う宴 会へ の参 加が 必ず 納入 業者 に損 害を 与 えて いる とは いえ ない

。要 請さ れた 納入 業者 の中 には

、宴 会へ の参 加で カラ カミ とよ りよ い関 係を 築き

、売 上を 上 げる こと も可 能に なっ た、 とい う事 例が ある かも しれ ない

。 しか し、 ここ で濫 用と 認め られ たの は、 宿泊 を伴 う宴 会そ のも のが

、個 々の 納入 業者 にと って 実際 に不 利益 にな るか どう かで はな く、 その 参加 を要 請す る過 程に おけ る濫 用で ある

。す なわ ち、 納入 業者 ごと に参 加を 要請 する 人 数を カラ カミ が随 意に 設定 する など して

、文 書で 宿泊 を伴 う宴 会へ の参 加を 要請 し、 参加 の申 込み が無 いな どの 場 合に は、 納入 取引 等に 影響 を及 ぼし 得る 者か ら参 加す るよ う重 ねて 要請 して いる こと であ る。 取引

は、 取引 当事 者が 自由 かつ 自主 的な 判断 で互 いに 交渉 を通 じて 成立 する もの であ るが

、こ こで は、 カラ カ

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ミが 納入 業者 の意 思を 問わ ず、 また はそ れに 反し て取 引を 強要 して いる こと が濫 用と 認め られ たの であ る。 した がっ て、 仮に 劣等 な地 位に ある 事業 者に とっ て個 別具 体的 に不 利益 な取 引で ある と立 証さ れて いな い場 合で も、 その 条件 の取 決め が劣 等な 地位 にあ る事 業者 の意 思に 反し て行 われ る場 合は

、濫 用と 認め られ る。 大和 事件 およ び三 越事 件で は、 大和 およ び三 越が 納入 業者 との 取引 と直 接関 係の ない 商品 につ いて 購入 を要 請し てい るこ とが

、取 引の 過程 にお ける 濫用 とし て認 める こと がで きる

また

、山 陽マ ルナ カを はじ めと する 大規 模小 売業 者が

、納 入業 者と その 従業 員等 の派 遣の 条件 につ いて 合意 しな かっ たこ と、 すな わち

、取 引過 程に おい ての 濫用 が問 題に なっ た事 例で ある

。そ して

、山 陽マ ルナ カ事 件お よび ド ン・ キホ ーテ 事件 では

、従 業員 等の 派遣 が納 入業 者に 利益 にな るか どう かは 判断 され てい ない こと から も分 かる よ うに

、契 約の 内容 が納 入事 業者 にと って 不利 益な 取引 と立 証さ れて いな い場 合で あっ ても

、濫 用行 為に 該当 する こ とに なる と考 えら れる

。 三井 住友 銀行 事件 も金 利ス ワッ プの 内容 が融 資先 事業 者に 不利 であ った とい う理 由よ り、 それ を販 売す る過 程に おい て三 井住 友銀 行が 購入 を強 要し てい ると ころ に濫 用を 認め てい ると 考え られ る。 ただ し、 本件 では 小規 模事 業 者に とっ て、 この 種の 取引 が不 必要 であ った こと

、し たが って 不利 益な 取引 であ った こと が指 摘さ れて

( )

いる

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以上 は、 本質 的に 抑圧 的・ 恣意 的な 力の 濫用 行為

︵本 章第 三節 二。 特に

、独 占禁 止法 二条 九項 五号 イ・ ロ該 当の 場

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合︶ のケ ース であ るか ら、 条文 上も

、﹁ 不利 益﹂ は要 件で はな い。 これ に対 し、 本質 的に 抑圧 的・ 恣意 的な 力の 濫用 では ない 行為

︵本 章第 三節 三。 特に 独占 禁止 法二 条九 項五 号ハ 該 当の 場合

︶の ケー スで あれ ば、 不利 益が 要件 であ るが

、取 引過 程が 一方 的で あれ ば、 不利 益が 事実 上推 定さ れる と 解す るこ とが でき る。 取引 の相 手方 にと って 不利 益な 内容 を強 制す るの であ るか ら、 一方 的に 押し 付け るこ とに な るか らで ある

。 もち ろん

、こ れは 事実 上の 推定 であ るか ら、 不利 益で はな いと いう 反証 が成 功す れば

、濫 用に は当 たら ない こと にな る。

ドキュメント内 優越的地位の濫用︵二︶ (ページ 172-184)